早朝

誰かが動いている気がする

ほとんど気配がない

「だれだ？」

いたのは、昨日助けた女子だった

「どうしたんだ？」

何を言っても上の空の様子で陣を出て行った

どこにいくつもりだ？

女子がやってきたのは、焼け崩れたあの邑だった

「.....お母さん.....ごめんなさい....邑守れなかった

　....ごめんなさい....ごめんなさい....ごめんなさい...ごめんなさい」

「落ちつけ！！女子」

「....ごめんなさい..ごめんなさい...ごめんなさい」

落ち着くように女子を抱く

「大丈夫だ、安心しろ」

「.....お母さん......お母さんんんんんんんんんん」

今まで我慢していたのだろう泣き出した

この子が落ち着くまでそばにいてあげよう

しばらくしたら女子は泣き止んだ

「大丈夫か？」

首をよこに振る

親が目のまえで殺されるなんて並の精神じゃ耐えれない

「.....あの...」

「どうした？」

「.....あっちの方に邑があるから......様子を見に行きたい」

なんだと！この邑が燃えていたから全く気付かなかった

「今すぐ様子を見に行くぞ」

「......ん」

Side 悳

お父さんが笑顔で刺した僕をなでた

そして、お父さんが死んだ

僕のせいで僕のせいでお父さんが死んだ

僕がお父さんを殺した

お父さん！

「お父さん！」

目が覚めたら小さな龍が目の前にいた

何を言っているのかわからないと思うが僕も何を言っているかわからない

頭がどうかなってしまったのだろうか？

「起きたか　りょりゅー」

話すことが出来るとは・・・

そして、なぜ僕のなめを知ってるいるんだ？

下手に刺激したらまずいかもしれないなぁ

一応臨戦態勢はとる

くっ！体がうまく・・・・

「はぁはぁ、あなたはだれだ？」

「そんな慣れてない口調しなくていいりゅ

我は・・・・龍かな？」

いや、見たらわかるよ目を疑うけど

「てかなんで疑問形だよ」

「うーん〜言っていいのか悩んでるって感じりゅ」

「ああ・・そういうことか」

「しいて言うなら・・・厳密には龍って感じりゅ」

「ますますわからないよ」

「まぁ、そんなことは置いといて今は少なくてもお前の味方だりゅ」

むしろここまで怪しいと疑う気まで失せてしまうな

「わかった　でここはどこ？」

「邑から少し離れた川の近くの林の中だりゅ」

「なんでそんなところに・・・？」

「今のお前を見たらわかるけど、体中血だらけでやばいりゅ

　それにちょっと遠くから人が来ていたから見つかったら殺されるかもしれないりゅ

　だから、ちょっと移動させたんだりゅ」

あんな小さい体で・・・・

近くには何もない・・・・か

「そのお・・・・・おとうさんの・・・・・し・・・死体は？」

「すまないが、持ってこれなかったりゅ」

・・・・そうか

「いや、いいよ　今命があるだけ儲けもんだ」

「恋とお母さんのいる邑がどうなったかわかるか？」

「燃えたりゅ」

「燃えた！？恋たちは・・・恋たちは無事なのか？」

「わからないんだりゅ」

「どうにかならないのか！？頼むから教えてくれ！！なんでもする！」

「そーいわれても無理なんだりゅ　我はお前の周りにしかいれないからな」

「・・・そうか」

となると・・・情報がほしいな

「その遠くから来るやつってのはどんな奴らかわかるか？」

「ゴロツキみたいなやつらだったりゅ」

「恋たちのいた邑みたいなところからきてるか？」

「全然違う方向だりゅ」

なるほど、恋たちていう線はないな

賊の物資回収みたいな感じかな？

わからないなぁ

「せめてお父さんだけでも回収したい」

「といっても無理だりゅお前をここに連れてくるのに全部力を使ってしまったからりゅー」

「とりあえず体を洗って来るんだりゅ」

「わかった」

立ち上がっただけで視界がふらふらする

「いくりゅ」

「ああ」

「うわぁ、赤黒い」

川を覗き込んでみた、体中に付着した血が乾いて赤黒くなっていた

「たしかにこれは危ないなぁ」

下手したら殺されるな

あれ？体が傾いてあれ・・・・・

「大丈夫か？りょりゅー？りょりゅー？？」

あいつの声が聞こえる

どんどん意識が途絶えていく

Side　恋

....悳兄たちは無事かな....？

「あ！そういやまだ自己紹介してなかったな

　あたいの姓は丁、名は原、字は建陽だ　女子は？」

「......呂布.......呂奉先」

「呂布、父親はどうした？」

「.....邑にいるはず」

「強いのか？」

「....強い」

「なら兵士を連れてくる必要はなかったかもしれないな」

Side　丁原　

「これはひどいな」

惨劇

一言でいえばそれだ

あらゆるところに血がこびりついてる

人がいるようには見えない

呂布が走り出した

「悳兄ぃぃぃぃぃ！お父さんんんん！」

「ん？なんだあいつ」

いたか！この邑の人か？

「おい、お嬢ちゃん　なんでこんなところにいるんだ？」

違う！あれは賊だ！

「呂布離れろ！！！」

賊を切り殺す

「二人組になって行動しろ！」

「「「「「「了解」」」」」」」

「大丈夫か？」

「....ん」

ここまで派手に荒らされていると生存者は絶望的だな

ふむ.......血の付き方が同じ方向だな

これの先に何かあるかもしれないな

「こっちに行ってみよう」

「....わかった」

「こっちには何がある？」

「....広場」

「なるほど」

周囲を警戒しながら広場についた

道中で２回襲われたが雑魚だった

「......お父さん！」

広場の真ん中には剣が刺さった死体があった

「.....お父さん！.....起きてよ！お父さん！..........起きてよ！お父さん！......お父さんんんんんんんん！」

ああ、お父さんも手遅れだったか

「呂布、すまない」

あたいに今出来ることは呂布を慰めることだけ

大分経ち、泣き止んだ

「..........この剣....悳兄のもの.......どういうこと？？？」

父に刺さっているのが兄の剣だと！！！！

・・・それ以前に兄がいたのか

兄が父を殺したのか？

それとも父が息子の剣で自刃か？

考えたらきりがないな

「........近くに悳兄がいない」

呂布の父の周りに出来た人の死体の山を見て呟いた

兄がいない？死体がないのか

「兄はどんな容姿だ？」

「.....恋と同じで赤髪で肌が黒い...あと....全身に入れ墨みたいのがある」

・・・・・呂布といっしょか

「とりあえず一回集合して容姿を伝えるぞ」

「.......ん」

呂布のお父さんを背負うために近づく

呂布のお父さんの顔は　笑顔　だった

・・・・・・娘を置いて自刃という線は少なそうだ