義輝記 雷雨の章 その八 |
【 いえちゃんの謀略 その壱 の件 】
?水関 二日目?
今朝から、反董卓連合軍の各陣営が騒がしかった。
兵士1「なんで知っているんだ!」
兵士2「誰だ! 俺の秘密を知って告げ口した奴は!?」
朝から置いてあった竹簡…。
中に書いてあるのは『お前の秘密を知っている』と言う文章。
それと、横には…………
『お前がお金を盗んだ!』
『あいつを騙したのはお前だ』
『この剣で、あの男を殺したんだ』等、曖昧な文章が…………
兵士「どうして、アイツを殺したのがわかるのだ!」と大声で叫び、自分の罪を白状したも同然の事をする者も出てきた。
また、別の竹簡には『天の御遣いの予言』と銘うった物がある。
これにも、文章が書いてあり………
『くれぐれも、矢に当たらないように気をつけて下さい……』
『次の戦で、貴方の隣の人が死にますよ……』
『後…少し待てば、幸運が訪れます』
と……曖昧な事が書いてあり、中には『当たった!』と言って大事に持ち歩く者も出てきた。
◆◇◆
【 いえちゃんの謀略 その弐 の件 】
?水関 曹孟徳陣営内にて?
華琳「兵士の騒ぎの元は、この竹簡と言うことなのね!」
桂花「そうです、華琳様! 兵士達に文字を読める者は少なく、読める者が代読すると、心当たりのある者が騒ぎ出すと言う有り様で…」
『はわわわわ!』 『あわわわわ!』
華琳「誰だか分かる叫び声だけど…何があったのかしら?」
ダダダダダダダダッ!!
朱里「し、失礼しましゅ!」
雛里「失礼を…(カム)!!!」
桂花「どうしたの!? 華琳様の御前よ!!」
朱里「じ、実は将宛ての竹簡が見ちゅかって………」
雛里「皆が見て………落ち込むやら怒るやら、大変でしゅ!!」
華琳「わかった! 案内しなさい!!」
桂花「わ、私も行きます!」
☆★☆ ☆★☆
─────春蘭の場合────
華琳「……で、この状況が?」
春蘭が、竹簡片手に怒っているわね?
春蘭「華琳様! この竹簡が変なんですよ!」
華琳「どう言う事?」
秋蘭「………華琳様、これがそうです」
そこには…………………
*****************
『この竹簡には、とても艶めかしい曹孟徳の絵姿が書いてある。 だが、馬鹿には見えないので注意して欲しい!』
─────? 余白 ?───────
*****************
華琳「………はぁ、で? 」
春蘭「私は馬鹿で無いと思いますが、いくら見ても見えないんです! 私より頭が良い秋蘭に見てもらっても見えないと言うし…」
桂花「春蘭! 当たり前でしょう! 見える訳ないでしょうが?」
その通りよ、桂花! もっと叱ってあげなさい!
桂花「これは、『華琳様への愛で、自分自身の妄想で見ろ!』と示唆しているのよ! 馬鹿に妄想なんて出来ないから!!」
春蘭「おぉ!! 流石、桂花だ! なるほど!」
………… (--#)♯♯♯♯♯♯
…その竹簡は没収、二人は当分の間、華琳との同衾禁止となった。
★★★ ★★★
──── 桂花の場合 ───────
桂花「私宛てがあるの?」
私は馬鹿じゃないから、注意深く確認するわよ!
………ゆっくりと広げると………真ん中に文字が!
『この竹簡の後ろを見てご覧なさい』と記載がある。
私はすぐに後ろを見ると、竹簡の後ろの真ん中にまた文字が……
『この竹簡の右上の端を見るがいい』と記載。
それでも観察するとまた文字が『左上の端を見よ』と。
一体何の誘導かしらと考えるが分からない。 追わせる事に目的があるのなら、先に何かしら罠があるはず。
だが、途中過程を省けば、策の全貌を把握できず、その罠を崩す事が出来ない! ………より慎重に確認を…………。
次の指示は『左下端を見なさいよ!』
その次は『右下端を見れば最後だ! だが…警告しよう。 見ると後悔する事になるぞ!』と。
何を今更、こんな警告文章を挙げるなんて……馬鹿じゃない!!
私は勢い良く最後の部分とやらを見た!!
……そこには!?
『 馬鹿が見る 豚の尻 』
桂花「いいぃぃぃやややぁぁぁ───────────!!!
☆★★ ☆★★
──── 李衣、流琉の場合 ────
二人宛てにきた竹簡を見ている。
中には未知なる日の本の『郷土料理』が…………。
季衣「ねぇ、琉流! これ食べてみたい!!」
流琉「これ? え〜と『薩摩揚げ』?
…………………うん! 調理方法も別段難しくないから出来るよ。
でも菜種油を沢山使うから、華琳様達にも食べて貰わないとね!」
季衣「わぁーい! やったぁ────!!」
☆☆★ ☆☆★
─────華琳の場合─────
華琳「私宛ての竹簡が?」
桂花「はい! それも多数あるようで…………」
華琳「いいわ、今すぐ内容を拝見しましょう。 その竹簡を!!」
兵士「はっ!」 ドサッ!
華琳「あらっ? 題名が…『空と命と夢の狭間に』か…ふむ」
バラバラ───────ん!──────!────
────!!────バラバラ───これは?───
───ちょっと!────バラバラ──えっ!───
桂花「か、華琳様? ど、どうなさいました?」
華琳「あぁ……ごめんなさい。
…この『 物語 』に夢中になってしまったようでね。
この竹簡には、私達のいる世に『別の北郷一刀』が降り立って、漢王朝を立て直すという物語が書いてあるのよ……」
春蘭「華琳様! 私は、私は? 出ているのですか?」
秋蘭「華琳様、私は………」
華琳「心配しないの。 …秋蘭は、もう少し後から出ているから!」
ほらっ! ここね? 秋蘭は…ここ!
春蘭「おおっ! 秋蘭! 私が出ているぞ! 凄いぞ!!」
秋蘭「何となく、姉者らしくない普通の人のような……」
桂花「華琳様!!! 勿論、私も私も出ている──? 華琳様?
どうして、顔を背けるのですか? えぇ〜〜、まさか!?」
華琳「だ、大丈夫よ! まだ、最初を読んだ…だけだから、きっと後の竹簡に出てくるわよ!」
ダッ! バラバラ! バラバラ! バラバラ……ガタン!!
桂花「わ、私の名前が無い? あの両袁家は分かるにしても、あのブ男が出ているのに、私が───? 私が──────!!」
ダッ─────────!!
春蘭「おぉーい、軍議までには帰ってこいよ────!!」
秋蘭「…………で、華琳様。 桂花の事は置いて、この物語はどうですか? かなり熱心に読まれていたような…………」
華琳「そうね、何故、この文筆者が我らの『真名』を知っているかは、まず不問にするわ。 第一、そんな事言っていたら、皇帝陛下の物語を執筆いてる時点で、不敬罪で捕縛対象ものよ………。
コホン! 感想としては、物語の構成、人物、背景は現状況でも充分有り得る事だわ。 すでに劉備達はこちらに来ているし訳だし……。
だから、素直に『素晴らしい物語』だと認めるわよ。
ん!? 物語に出てくる『私』の扱いが雑というの、秋蘭?
それは違うわよ! 主役を際立ったせるのは、脇役としては当然のこと! 脇役が主役を食らうのもアリだけど、この物語は、一刀と周りの女性達が関わりあう事。 私が出る幕は、まだ無いわ。
それに、この主人公の『一刀』なら、私だって欲しいわよ。 優秀だしね。 こちらの一刀と比べれば………… 」
秋蘭「では、問題は無いと「 一つだけだけ…… 」何か……?」
華琳「『気配を殺す、消す』とか表現があったのだけど、武人として考えると納得がいかないの……。 ちょっとした事だけど… 」
『気』という物は、万物に全部備わる物。 だから、木や石にも『気』は出ているのよ。
そんな中で『気』を殺すと言うのは、『気』を発生する源自体を完全に遮断する事。 物であれば破壊し、生き物なら殺すしかない。
それに、百歩譲って気配を絶てたとしても、他の物からは『気』は出ているのに、そこだけ遮断された状態。
それなら、周りから浮いてしまい、逆に見つかるわよ。
周りがいろんな気の彩りしているのに、そこだけ『白紙』なんて言う訳ないもの。 どちらかと言えば、『同化している』が正解よ。
『木の葉を隠すには、森の中』の格言の通りに………!
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……後に、全員で確認したら、最後辺りで軍師で動いていた場面があり、桂花に教えたら喜んでいたわね。 人騒がせなんだから。
そんな桂花に罰として、二つ命令を出しましょう!
一つは、この竹簡の束を陳留まで『最重要』で運ぶように手配。
もう一つは……この文筆者を探し出し、我が軍の文官に登用するようになさい。 董卓軍側の策だから、向こうの軍に関与しているはず。
至急、間者を放ち、天水から探りなさい! あそこに向かった別動隊の様子も気掛かりだから………。
もし、見つかったら、辞を低くして迎入れなさい!
ここまで先帝や現皇帝を賛美して物語を執筆する者ですもの。 かなり現漢王朝に忠誠を尽くしているはず!
そのような硬骨漢が、私の傍には必要なのだから!!!
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桂花は行ったようね?
あの娘は、すぐに嫉妬して良き人材を蔑ろにするから、困るのよ………。 そこも、可愛いんだけど。
フフフ……こんな優秀な人材を放っておくわけ、曹孟徳がする訳ないじゃない。我が配下に迎入れて、続きを綴ってもらわないと……!
★★☆ ★★☆
────桃香の場合────
私にも、竹簡が届いたけど…なんの事を言ってるのか分からない…
****************
『 《髀肉之嘆》ってなんですか?
私達、貧乳達を嘲笑う言葉ですか?
貴女は、自分の出ている所を気にしていますが
私達からして見れば、嘲笑の類に聞こえますよ。
今度から《髀肉之嘆》ではなく《皮肉之嘆》とでも
名付けさせてもらいましょうかね 』
****************
だけど、恨まれているのは分かるんだけど………
理由をいくら考えても…………思い当たらない…………
★★★ ★★★
─────朱里、雛里の場合 ──────
朱里「ひ、ひひ雛里ちゃん、ど、どどどうしよう!?」
雛里「しゅしゅ朱里ちゃん!! おちお〜〜落ち着いて!!」
私達、朱里ちゃんと連名で届いていた竹簡には………
『お前達の秘密を知っている』と、兵士さん達に届いた文章と同じ物が……。
兵士さんから話を聞いた時は、人の疑心暗鬼を利用した、恐るべき策だと気付きました。 曖昧な言葉、外しても本人の責任にすれば、その事に気付かない。
例えば、『近々、あなたは矢に当たるかもしれません』と書いてあれば、今は戦の真っ最中ですから、矢は高い確率で飛来してきます。
そして、問題の『近々〜当たるかも』で、当たる確率の日数を増やし
『〜かも』を付ける事で、当たり外れを曖昧にしています。
ですので、当たれば竹簡通りと驚き、外れても次の可能性が残っていると言う事で、外す事自体が難しい言葉になるのです!!
………………ですが、私達の竹簡には、その文字の横に……
****************
『八百一はどこにあるの?
寝台の下? 戸棚の奥?
……………それとも………?』
****************
何でぇぇぇ、その趣味と隠し場所が、ここまで的確に判るのですかぁぁぁ!!
全然、曖昧じゃありましぇ〜ん!!!
朱里ちゃん! 朱里ちゃん? 朱里ちゃん!?
朱里「はわわわわ………、もう『腐れ軍師』と渾名を付けられ、二人で寂しく世を儚んで暮らしていくの…………」
朱里ちゃん!? わ、私も確定!? やだ、やだ! やだよー!!
★☆☆ ★☆☆
─────星の場合─────
ダダダダダダダダダダダダ!!
シュッン!!
星「華琳様!! 私を早急に陳留への帰還、許可してくれ!!」
桂花「ちょっと!! 華琳様の御前「急用だ! 黙っていろ!」────!」
華琳「どうしたの!? まず理由を説明しなさい!! 」
星「…………この竹簡を、拝見していただきたい!!」
華琳、桂花「──────────────!」
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『 くくく! 我が董卓軍に刃向かう愚か者よ!
お前の秘蔵のメンマに妖術を掛けてやる。
お前以外の物が中身を見たら、メンマがミミズに変わるだろう……』
*****************
星「このまま水関に止まり、万が一、他の誰かに見られたら、ミミズに変わってしまう!! あの高級メンマが────!!」
桂花「アンタねぇ!? たかがメンマ「たかが……!?」ヒッ!!」
華琳「わかったわ、星。…だけど、貴女程の者が出払うと私達の勝敗が判らなくなるの。 だから、条件付きで、その高級メンマを二倍用意しましょう!!」
桂花「華琳様!?」
星「これは剛毅な…。 して、条件とは?」
華琳「陳留に戻り次第、私の目の前で開封するように!!」
星「……それだけですか?」
華琳「えぇ、それだけ」ニコリ
………………………………
星「承知致しましょう! ……約束は必ずですぞ!」
華琳「覇王の名に掛けて!!」
星「では、持ち場に戻らせていただく。 失礼した!」
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桂花「華琳様!! 星の事です、中身をすり替えて華琳様にお見せし、高級メンマをせしめんと謀を企んでいるかと……!」
華琳「そうでしょうね。 さっきまで見ていた竹簡は、明らかに削って文字が上書きされていたわ。 この曹孟徳を甘くみた罰を与えなければ……………!
桂花! 至急陳留に伝令! 趙子竜の部屋から高級メンマを気付かれぬよう探しだし、中身をミミズとすり替えるように!!」
桂花「はっ!!」
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後の世に伝わる───────
『趙子竜が壺を開けると、中身が全部ミミズとなった。 子竜曰わく「私だ! 趙子竜だ! 早くメンマにならないか!!」と騒ぎ立てたという』 明命書房刊 《本当にあった…大陸の昔話》より
★☆☆ ★☆☆
───── 凪の場合 (策関係無し)─────
凪「…………………ふぅ 」
今、華琳様の陣営内は慌ただしい。
洛陽側の御遣いの策で混乱していてると聞いている。
なのに何故、私がここに居ると言うと……体調を崩し寝台で横になっている。 体が大事なのに、この体たらく…華琳様に申し訳ない。
体調は、陳留を出発したときから悪かった。 多分、天城様と対峙すると決定したからだと思う……。
それでも、華琳様や皆や兵のために頑張ろうと、気を張り詰めて動いていた。 あのときまで……………。
水関で、愛紗の挑発を聞いた瞬間、目の前が白くなった!!
袁本初様からの決起の竹簡も聞いて、激しく怒りを覚えたが……今度の事は、言葉が刃となり我が身を切り裂く!!
そして、私の心が、その度に叫ぶのだ!!
『違う!! あの方はそんな人では無い!!』
敵の私を心配し浮かべた悲しそうな顔、背負って味方の所まで運んで貰った温かさ、傷だらけの体なのに、意に介さず賛辞してくれた優しさ………!!
…………気が付けば、寝台に寝かされていた。
華琳「体調が悪ければ、素直に言いなさい! 貴女も我が軍の大事な将なのよ? 早く体調を整えて、皆を安心させない!!」
傍には、華琳様と春蘭様、秋蘭様。 そして、心配そうな様子で見つめている真桜と沙和の姿が、華琳様の一歩離れた場所で佇んでいる。
軍医によれば、軽い心の疲れからくる発熱だと言う。 一日安静すれば大丈夫だと……。 そのため、寝台に寝ているのだが……!
凪「誰だ!」
??「……あんたが、楽文謙殿で良いかい?」
入り口の所で、気配を感じ誰何(すいか)すると、曹操軍の鎧を来た者が入ってきた。 だが、ここの兵士じゃない!!
新任の兵士は、私や真桜や沙和の担当。 それなのに見たことが無い顔だ。 それに、腕もかなりのモノ、今の私では─────!
三太夫「天城の旦那が、アンタが倒れたと聞いて心配してね。 『前の戦いの傷が悪化したんじゃないか?』と狼狽えるだぜ!? 敵将なのに………まぁ、俺もその心根は気に入ってるんだかね」
えっ…? 天城………様? 心……配? 誰…私を!!!
三太夫「済まなんだなぁ、驚かせて。 …うん、大丈夫そうだな!
他の兵士も、病状は軽いと言っていたからいいだろう。 邪魔したな「待って!」………と、何か用があるのかい? 」
凪「……天城…様は、この戦、勝つ、つもりなのですか?」
三太夫「そりゃ、勿論! 間違いなく勝つさ!」
この方は屈託なる笑うが、私は思う…あの悲しそうな顔を……
人を傷つけたくないが、目的の為には容赦なく行う実行力。
その策で何十人、何百、何千人が死ぬか分からないが、天城様が背中に背負うのだろう。 自分の責任と罪として…………。
凪「天城様にお伝え下さい! 私は、貴方の策を出来る限り阻んでみせます!! 悲しい顔を浮かばせない為にも!!」
三太夫「…………やれやれ。 了解! 旦那には伝えておくよ。 アンタも早く体を整えな! それじゃ、今度こそ…お別れだ!」
天城様………貴方の傍で一緒に戦う事は出来ませんが、貴方の悲しみを少しでも薄れさせるために、私は……行かせてもらいます!!!
◆◇◆
【 いえちゃんの謀略 その参 の件 】
?水関 孫伯符陣営にて?
雪蓮「困ったわね……。単純にして、ここまで人の心に入り込む策を使われるなんて…………」
思春「雪蓮様、冥琳様、申し訳ありません!! 私が気付かないばかりに………!!」
冥琳「いや、今回は思春が悪い訳では無い。
侵入者にすぐ気付く雪蓮の勘さえも掻い潜り(かいくぐり)、この竹簡を置いていった奴が上だったのだ。
それに、今は同じ過ちを犯さないよう対策を練るように……!! 」
蓮華「姉様! 冥琳! 天幕の傍に私達、将に宛てた竹簡が!!」
穏「待ってくださ〜い! はぁ〜、はぁ〜、ふぅ〜!」
祭「ほらほら、早く持って行かないと、軍議が終了してしまうぞ?」
ドシャ! ドシャ!
冥琳「これがか………? だが、数が少ないようだが………?」
穏「将に宛てた物は、三個で『雪蓮様』、『冥琳様』、『蓮華様』だけですね〜! 」
雪蓮「じゃ! 開けて見ましょう!?」
バラバラ バッ!!
***************
雪蓮へ
この竹簡見たら、後ろを確認しないで、
直ぐに逃げる事!
天城颯馬より
****************
雪蓮「へ!? どういう意味なの…『ガシィ!!』えっ!?」
冥琳「雪〜蓮〜! 貴女、また皇帝陛下に贈呈予定の酒壺を飲んだようねぇぇぇ!!!!!」ゴゴゴゴゴ!!
雪蓮「え!? 上手く隠したつもり……ヤバッ!!」
冥琳「ほぅ〜〜 (-_-#) ピクッ」
雪蓮「ご、ごめんなさい!!」ダッ!!
冥琳「待てー!! 雪蓮!!!」ダッダッダッ!!!
ポイッ!!
祭「おっと! 何々………! これは……」
穏「祭様! 見せて下さい〜!「ほれ!」トットト…はい!」
バラバラ ───────────!
思春「穏様、なんと?」
穏「う〜ん、『孫呉の城に調査に侵入、途中で雪蓮様が高級そうなお酒飲んでたから、冥琳様に報告した』と言う内容ですよ?」
思春「─────────!!!」
穏「孫呉の本拠地内の城ですから、警備も強化してあるのに、白昼に入り込む事が出来るなんて………どんな腕前の間者なのですかね〜」
思春「…………………………」ギュッ!!
ーーーーーーーーーーーーー
雪蓮「あ、謝るから許して────!」
冥琳「謝って済む問題かぁぁぁ───!!」
ーーーーーーーーーーーーー
蓮華「……………えーと、私宛ての竹簡には……」ドキドキ
***************
酒に因る悪酔い注意
****************
蓮華「…………私って悪酔いするの? 思春? 穏?」
思春「………………………………」プィ!
穏「………………………………」サッ!
蓮華「ちょっと!! その動作は何!? 私は一体何をしているの? ねぇ、教えて頂戴!!!」
思春「………知らない方が……宜しいかと………」
穏「あははははは…………………」コソコソ
蓮華「お〜し〜え〜な〜さ〜い〜!!!」ダッ!!
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余談だが、この場に周幼平は居ない……。
天水攻撃の別動隊に向かったため。
孫呉としては、情報が足らない。 ……董卓軍や天城颯馬達の力がいか程か判断出来ないため。
敵にまわるべきか? 同盟を目指すべきか?
◆◇◆
【 いえちゃんの謀略 その四 の件 】
?反董卓軍陣営内にて?
七乃「お嬢様! ほら、例の竹簡がありましたよ!? しかも、お嬢様の名前入りで!」
美羽「おぉ!? 兵士達が申す『よく当たる御遣いの予言竹簡』じゃな! でかしたぞ、七乃や!!」
七乃「お嬢様、早く開けて下さい〜!!」ワクワク
バッ!!
**************
『お前の秘密を知っている。
黄色の液体…
それにより、汝は不幸になるだろう!』
***************
美羽「………七乃、妾は知らんぞ! お漏らしなどした「お嬢様〜! また粗相をしましたね!!」 ピィー、あ、当たったのじゃ………!? 当たったのじゃ!!」ダッ!! バタバタ
七乃「う〜ん、でも、竹簡の言葉は『蜂蜜水』とも取れますしね〜。どちらにも取れる言い回しを使い、人を貶めるですか……。
この策を編み出した人は、私より根性が捻くれてますよ〜。本当に……!」ダッ!!
★☆☆
斗詩「姫───! ありましたよ!!」
麗羽「斗詩さん、私宛ての竹簡は?」
斗詩「はい! これですよ!」
猪々子「斗詩! アタイのヤツは!?」
斗詩「文ちゃんは私と連名になってるよ?」
麗羽「おーっほっほっほっほっ! 当然ですわ!! 私と斗詩さんや猪々子さんでは、格式が違いますもの!!」
猪々子「アタイは斗詩との連名で充分! 姫は仲間外れ……」
麗羽「キィィ───!! 私は仕える臣下にも見離された寂しい王とでも……猪々子さん…!?」
斗詩「姫〜! 馬鹿な事言ってないで確認して下さい! 文ちゃんも私も袁家に、いえ麗羽様に忠誠を誓っているんですから!!
ほら! 軍議が始まっちゃいますよ!! 」
麗羽「…ふ、ふん!! 仕方無いですわね……。 では──!」
***************
(猪々子と斗詩の竹簡)
『お前の秘密を知っている…』
***************
麗羽達「「「 …………………………………… 」」」
斗詩「秘密……ですか?」
猪々子「アタイは斗詩に隠し事なんかしてねぇ〜ぞ!? だとしたら………はっ!? 斗詩! アタイに隠れて、別に好きな奴が!!」
斗詩「なんで、そうなるの!!!」
猪々子「斗詩!! 頼むからアタイを捨てないでくれ!!!!」
麗羽「袁家の秘密…それは、私の神秘的かつ神々しい美しさの源を知っている……と言う事ですわね? 恐るべし董卓軍ですわ!」
猪々子「姫〜! 姫には姫の竹簡が届いているんですから、ソッチのを見てから言って下さいよ。 この竹簡はアタイ達宛てですから!」
麗羽「─────! わかりましたわよ!!」
***************
(麗羽の竹簡)
『………………………』
***************
斗詩「はぁ?」 猪々子「何これ?」
麗羽「…まさか『絵にも描けない美しさ』と言う…」
猪々子「………いえ、普通、文章、書きますから…」
斗詩「もしかして………」
麗羽「斗詩さん? 意味判りました?」
斗詩「…文章が書いて無いですので、『呆れてモノが言えない』とか考えたのですが……」
麗羽「何ですって!! この漢を背負って起つ私に、馬鹿にする言葉を発するなんて、華琳さんぐらいしか居ないと思っていたのに!」
猪々子「ボソ(結構みんな言ってるよな……)」
斗詩「ボソ(うん。でも…今は言っちゃ駄目だよ)」
麗羽「キィィィィ───────────!!」
★★☆
白蓮「はぁ──── 董卓軍より『不幸の竹簡』が送られてくると言うが……正直…気が重いなぁ……。 なんて、来るんだろう…… 」
兵士「白蓮様! 竹簡がありました!!」
白蓮「げっ! 遂にきたか? …よし、こっちに持って来てくれ!」
ザッザッザッ ドカドカドカ!!
白蓮「なんだ!? この量は!! 三十くらいあるぞ!! まさか、中身は全部同じ言葉で『普通』とか書いて…………」
恐る恐る竹簡を取り上げ、中身を読むと…………
*************
『頑張れ!! 我々の主、白蓮様!!』
********
『貴女は立派な太守です!
自信をお持ちになって下さい!』
********
『白馬義従、最高!!!』
**************
公孫賛陣営に届いた竹簡は、全部で三十壱。
一つだけ除いて、全部無記入の状態だった。
宛名は、『公孫兵の皆様へ』と。
************
『公孫殿に、励ましの竹簡を贈ろう!!!』
************
竹簡には、そのような言葉が記載されていた……と云う。
勿論、公孫賛は嬉し泣きに泣き、兵達に感謝したそうだ。
◇◆◇
【 第二の策発動 の件 】
?水関 董卓軍陣営内?
颯馬「三太夫、どうだった? 連合軍の反応は?」
三太夫「総大将は元より、他の所も似たり寄ったりだぜ!!」
家久「どう? 上手くいったでしょ?」
颯馬「あぁ、凄い凄い!!」
本当に見事なものだ。 言葉の言い回し一つでも違うのに、それを逆手に取って相手に誤解させて、混乱に持ち込む。 凄い策だ!
家久「颯馬お兄ちゃんも、兵士の皆が書いたところに補足書いてくれたから、余計に引っかかったんだよ! ありがとね!!」
昨日は、信長の機転のお陰で、皆が被害無く退陣する事が出来た!
御礼を言おうとしたら、既に虎牢関に戻ってしまったと言う三太夫の話だ。 義輝にもお説教をしっかりしたし。
次の策の準備に移ろうか!
信廉「颯馬! 次は私と貴方の策です! 混乱している隙に準備致しましょう!! 」
そう考えていたら、信廉殿の進言。
本来なら、この時に連合軍に攻めるべきなんだが、曹操軍と孫策軍の監視の兵士が、普通より増えてこちらを見ている!
こちらが攻めれば、間違いなく直ぐに陣営内を引き締めて、反撃に移すのだろう……。 そうなれば、数に劣る我等の不利!
第二、第三の策を出して、弱らせなくては!!
颯馬「では! 準備を始めましょう!!」
俺は、信廉や兵達に命じて始める。
颯馬「その藁人形を、敵側方向の壁に人が立ってるように、固定するんだ! 藁人形の顔に貼り付けてある『紙』が取れないように、固定するのも忘れるな!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
*************
mokiti1976-2010様!
大事な作品名を心良く貸していただき、ありがとうございます!
このような結果になりました!
感想が楽しみなような、怖いような…………
**************
この作品で華琳サマが読んでいた小説は、『 真・恋姫†無双 異伝「空と命と夢の狭間に」』となります。
実際にTinamiに掲載されていますので、ぜひ、読んで下さい!!
華琳サマの事ですので、勧誘の手が来るかもしれませんが、そこは作者様にお任せしましょう。
今回の策は、元になった言葉とある種の話し方を絡めて作った策なんですが、作者の書き方が力不足で、どこまでご理解いただけるかわかりません。 その話し方の本も出版されてますけどね。
次回は、第二の策となります。
また、次回もよろしければ、読んで下さい。
説明 | ||
義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい! 2月11日一部本文を修正しました。 |
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雪風様 コメントありがとうございます! 朱里達の言っているのは、実際占い師さんや詐欺師が使っている方法だそうです!(いた) 心理的効果絶大ですね。(雪風) 次回の策は、呪術的な意味は全然ありません。 『案山子』に近い物になります! この策が演義の孔明の策をモデルにしたオリジナル策になりますが、どうなりますか…比べてみるのもよろしいかと。(いた) 禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 今回は殆ど短編小説書いてるようなモノで、楽しく仕上がりました。 書き終わって読み直してみれば、他の作者様達と違う異端の外史だとつくづく思いましたね。 そう狙っているんですが。(いた) 白蓮先生に送る言葉、白馬義従「あっしら一生姐さんで!!!」。次の策も楽しみです、藁人形…草木も眠る丑三つ時。(禁玉⇒金球) 戦は数しかし心理戦によって恐怖や猜疑心を刺激すればその限りでない、士気と心理って異なるそうです。策が嵌ってますが日頃の行いが如実に表れてますね理解してない人も居ますがw、対等の地位のせいか腐れ軍師と髀肉娘がギスギスしそうな雰囲気、星は正義を騙る割に自身は悪痔に勤しんでる。(禁玉⇒金球) ふかやん様 コメントありがとうございます! 小説は読めますよ! 一番下のmokiti1976-2010様の作品を批評しているので。作者も大好きですので、是非御一読を! 李衣達の話は直ぐに浮かんだのですが、『食べ物』を何しようかとかなり悩みました。 星は…その通りです。(いた) 李衣、流琉はほのぼのとした感じでいいですねぇ…星は自業自得、華琳は何だか送られた書物に興味津々、と言う感じか。しかしこの小説…自分も読んでみたいですねぇ。(ふかやん) naku様 再コメントありがとうございます! 先程確認してきました、確かにお名前が。 料理も人を幸せにしますが、ときに『兵器』になります。 次回の策、3つ目は『料理』を予定にいれてあります。(いた) 春蘭は考案の策とは変更、桂花は少し前に思いつき、凪は最後に急遽付け加え、星は日本の昔話を当てはめた等色々ありますが、結構気に入ってます。(いた) naku様 コメントありがとうございます! 曹操を唸らせた作品は、実際に読めますよ! 作者様が一番下でコメント入れていただいております。 今回の策と次回の策が作品書く前から考案してました!(いた) mokiti1976-2010様 誠にありがとうございます! 前作は、華琳サマは落ちてその後不明でしたでしょうか? 前の作品の読者の一人ですので。 …スカウト……どうでしょう? 此方の外史の『おば様』が来たら嫌ですけど… 度々の要請にお応え戴きありがとうございます! (いた) ほほう…そういう批評でしたか。なかなかに面白く拝見させていただきましたが…私が華琳さんにスカウトされるという事ですか!?って、そんなわけは無いですね。まあ、前作の方で無くてまだ良うございましたよ。(mokiti1976-2010) |
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