真・リリカルなのは 第十一章 機動六課設立編 最終話 笑顔のままで |
スカリエッティ逮捕から2カ月が経過した
無事に任務を終えた六課は解散となる
フェイトは執務官である為、六課解散後も任務で忙しい毎日を送っている
敵地へと単独調査や、前線での戦闘
なのはの二の舞にならないか心配である
カイトは隊長格の中で唯一、昇格を受け取り、一等空佐となった
なのは達は全員辞退したのだが………
彼の目的は管理局を改める事
その為には必然的に権力が必要なのだ
一等空佐となった今、前線に出る事は少なくなるだろう
はやては地上に赴き、ゲンヤ少将の下で働くようだ
今回の六課襲撃の敗北
それは全て自分の所為だと感じているのだ
リミッターを付け、Sランクの魔導師達を集める荒技…………それは失策だった
リミッターが付いていなければ、ここまでの大激戦になる前にスカリエッティを捕えていたかもしれない
よって自分を鍛え直すという意味を込めて、ゲンヤの下に付いたのだ
幸いにも六課での死亡者は0
それだけが救いだった
ヴィータは なのはの代わりに指導教官として、新しい世代を育てている
本当ならば、はやてに着いていきたかっただろう
しかし、なのはが帰ってくるまでは彼女の居場所を守る
なのはが復帰することを一番強く信じているのだ
シグナムは はやてに着いていき、彼女の手となり足となり働いている
シャマル、ザフィーラも一緒だ
はやてを支える為に………そして、己を磨く為に
ルナは一旦カイトの元を離れ、リンディの部下として働いている
リンディがルナに頼んだのだ
やはり優秀な部下が居なくなって、苦労しているようだ
ティアナは見習いとしてフェイトの仕事を手伝い、執務官になる夢を追っている
執務官試験はとても難しく、フェイトですら何度も落ちているのだ
確実に受かるようになるまでは、フェイトの部下としてやっていくようだ
彼女はやはり優秀で、フェイトの負担を大分軽減している
スバルは特別救助隊に入り、困っている人達を助ける為、日々自分を鍛えている
彼女なりの答えなのだ
あの日、なのはに救われ、彼女に憧れた
自分も困っている人を助けたい
その為だけに魔導師になった
しかし、自分はなのはのようには出来ない事を知る
そして、自分に出来る方法を探し当てたのだった
ギンガは戦闘機人達の更生プログラムを手伝っている
スカリエッティに改造された左腕を切除し、現在は片腕がない状態である
彼女曰く、スカリエッティの恩恵を受けるぐらいなら、無い方がいいとの事
彼女もスカリエッティ嫌いになったようだ
戦闘機人の中でチンクとノーヴェ、ディエチとウェンディはゲンヤが引き取る事になった
事実上、ギンガとスバルの妹となったのだ
エリオはキャロと共に、自然保護隊に入隊
たまに更生プログラムを受講しているルーテシアに会いに行っているようだ
幼く、まだまだ未熟な所が目立った2人だが、どんどん成長していっている様子
フリードリヒに乗り、槍を振るう姿を見て、エリオをの事を竜騎士と呼ぶ人達が出てきた
レインはレティ提督の部下として働くようだ
こき使われて、毎日疲れ果てている様子が覗えられる
因みについ最近、地上AAランクになった模様
アマルはルナの部下として、共にリンディの下に付く
コミュニケーション的な意味で、恐らくルナやリンディと言った彼女の事を知っている人物ではないと、彼女を部下として扱えないだろう
日々腕を上げ、彼女は空戦Aランクを得たようだ
そして、なのはは一時的ではあるが退院する事が許された
ヴィヴィオを正式に自分の娘とし、一緒に暮らし始めた
管理局から長期休養を言い渡された
これは力を取り戻すまでは管理局に戻ってくるなという暗示である
エース・オブ・エースとして褒め称え、力を失えば手のひらを返す
これが今の管理局の現状である
しかし、誰もなのはを助けられなかった
いや、助けなかったというべきかもしれない
シャマルがみなに言ったのだ
なのはの体は限界に近いと
これ以上負担を掛け続ければ、間違いなく死ぬと
それだけブラスターシステムの負荷が重いということだ
ブラスターモード3を使って、生きているのが不思議だと言われほどなのだ
これを聞いた はやては、シャーリーに命令し、レイジングハートを改良
ブラスターシステムを使用できないようにした
はやて達の認識は甘かったのだ
ブラスターシステムのリスクが、これほどまでにキツイものだとは思わなかった
ブラスターシステムを搭載しようと考えたのは、他でもない はやてだった
しかし、シャーリーはこれに猛反対
事情を聞き、自分の考えが浅はかだった事に気づき、シャーリーに謝罪する はやてだが、話を聞いていた なのはは、ブラスターシステムをレイジングハートに搭載した
使わない事を条件に
しかし、内心ではわかっていた
なのはは必ず使うだろうと
だが、ブラスターシステム無しではゆりかごを止める事は出来ないかもしれないと言う考えもあった
結果、ブラスターシステムが使えたからこそ、聖王を倒す事が出来たのだった
みなは悩んだ
なのはは力をほとんどを失い、沈んでいないか?
撃墜された時のように、絶望していないだろうか?
その事だけが心配だった
時が経てば力は戻る
しかし、全てというわけではない
なのはは、この辛い現実を受け止めきれるだろうか?
それが心配でならなかった
しかし、その心配は無駄に終わる
全く気にしていない訳ではないが、ちゃんと現実を受け入れていた
こうなる事がわかっていて、ブラスターシステムを使ったのだから
例え力を失っても、娘だけは……………ヴィヴィオだけは救いたい
その想いで、ブラスターシステムを使ったのだ
そして、ヴィヴィオは救われた
後悔するはずがない
絶望なんてするはずがない
なのはの目の前には、彼女の希望が居るのだから
ヴィヴィオ「なのはママ〜」
病院を出ると、いきなりヴィヴィオが抱きついてくる
なのは「ヴィヴィオ、久しぶりだね。元気にしてた?」
約2カ月ぶりの再会だ
ヴィヴィオ「うん!! ヴィヴィオ、とってもいい子にしてたよ!!」
なのは「そうなんだ、偉いね」
ヴィヴィオの頭を優しく撫でる
なのはの退院を知り、急いでフェイトがヴィヴィオを連れてきたのだった
なのは「フェイトちゃんも久しぶり」
フェイト「うん、退院おめでとう。なのは」
なのは「ありがとう」
片手にはフェイトの、片手には なのはの手が握られている ヴィヴィオ
2人のママが漸く揃い、ご満悦のようだ
フェイト「本当に心配したんだからね、なのは」
なのは「ゴメン、フェイトちゃん」
フェイト「もう絶対に無茶しちゃダメだよ?」
なのは「そうだね。まぁ不可能になっちゃったけどね」
なのはとフェイトは住む家が一緒である為、帰る方角も同じだ
なのは「私は力を取り戻すまでは、ヴィヴィオの面倒を一生懸命にみる」
フェイト「それがいいよ。困っている人達は私達が助ける。だから、今はゆっくり休んで」
なのは「そうさせてもらうね」
無茶ばかりする なのは
しかし、流石の彼女も力を失えば、どうする事も出来はしない
今はエース・オブ・エースとしてではなく、1人の母親として、ヴィヴィオを育てていく
それが自分の使命だと感じているのだ
もう迷わない
自分の道はしっかりと見えているのだから
誰かを救いたくて、魔導師になった少女は大人になり、そして羽を休める
今はただ、自分の一番大切な者を守り、育てる為
高町なのはの物語は、ここで一旦終りを迎える
しかし、これが終幕では無い
彼女は必ず、大空へと羽ばたく日が戻ってくるだろう
それが良い事なのか、悪い事なのかはわからない
ヴィヴィオ「ママ!」
なのは「ん? どうかした? ヴィヴィオ」
ヴィヴィオ「大好きだよ!!」
なのは「ママもだよ!」
血の繋がりが何だ?
そんなものなど無くとも、親子になれる
なのははそれを世界に知らしめた
そして、その不屈の心は受け継がれていくだろう
次代へと………………
第十一章 機動六課設立編…………………………完
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