機動戦士ガンダム異聞〜旭日の旗の下に〜第13話 |
これまでのあらすじ
後世世界U.C.0079年1月3日、地球から最も遠い宇宙都市、サイド3とサイド4は、ジオン公国、プラントを名乗り、地球連邦政府に対し独立戦争を挑んできた。開戦から1か月間の間に、両陣営は総人口の約半数を死に至らしめた。
人々は、自らの行為に恐怖した。
ジオン軍とザフトは、開戦当初から巨大人型兵器「モビルスーツ」を投入し、戦局を有利に進めてきた。
この状況の中、大日本帝国は独自の戦術理論に基づき、MS開発計画「V作戦」を発動した。
これとほぼ同時期に、連邦軍も「G計画」と宇宙軍再編計画である「ビンソン計画」を発動、反撃の狼煙を上げた。
戦況は、膠着状態に陥り、一年近くが経とうとしていた12月8日、サイド7「ヘリオポリス」で開発中の連邦軍新型MSがザフトに強奪される事件が発生、さらに、この時の戦闘により、ヘリオポリスは崩壊、オーブ代表ウズミ・ナラ・アスハは責任を取り、辞任を発表した。
これと同じ頃、プラントでも攻撃を行ったクルーゼ隊に対し査問委員会が開かれたが、審議の結果、クルーゼ隊は不問となったものの、アークエンジェル討伐は、シャア大佐率いるラグナレク分艦隊に引き継がれた。
一方、紺碧艦隊は、新旗艦「轟天号」の最終試験航行中に、ユニウスセブン宙域にてアークエンジェルと遭遇、これを追尾していたが、アークエンジェルは味方救援のために進路を変更、轟天号もこれに続いたが、これは、シャアがアークエンジェルをおびき出すための陽動作戦だったのである。戦闘の最中、轟天号は運悪く流れ弾の直撃を受けてしまう。これに対し、前原は戦術S7でジオン艦隊を撤退させた。
世界は、かつての第2次大戦同様の三極構造にあった。だが、その構造は、火薬庫の上の蝋燭のように、脆く、危険な状態であった。
第13話 旭日の艦隊
U.C.0080年元旦、熊野大社の奥宮玉置山
今、世界は再び最大の危機に直面していた。己れ個人の力ではかなわぬ大事。その危機に対して、大高弥三郎は大晦日より熊野大社を訪れ、沐浴のあと我を捨て、心を無にして時を待った。
この聖地、熊野に昇る日輪が必ずや何かを教える。その声を訊くために大高は待った。
暫く経ち、東から、初日の出が姿を現し、聖地熊野を照らした。
大高弥三郎は感じていた。今年、U.C.0080年こそが、大戦の重大な分岐点になるであろうことを…
前世における一年戦争終戦の日であるU.C.0080年元旦を迎えても尚、後世世界では、未だに大戦は膠着状態が続いていた。
*
1月4日、帝都東京 帝国ホテル
正月三箇日が過ぎて間もない頃、一人の男が帝国ホテルに宿泊していた。男の名は富岳太郎。紺碧艦隊司令前原一誠の表世界の「顔」である。
前原は、正月三箇日を紺碧島で過ごした後、高野の出頭要請を受け、ここ、帝国ホテルで宿泊しており、軍務省から電話があった。
「はい、では、“幽霊”の出現場所は日比谷公園という事で、失礼いたしました」
前原は受話器を下ろすと、上着を着て、外へと出た。
*
日比谷公園
暫くして、日比谷公園のベンチに座った前原は、右手に持っていたスケッチブックを脇に置き、近くの自販機で買った缶コーヒーを口にしようとした、その時だった。
「富岳さんですね」
ふと、自分を呼ぶ声があった上を向くと、そこには海軍の軍服を着た士官がいた。
「大臣はあそこに」
士官の方向を見ると、そこには、政府専用の車両があった。前原はそこへ向かうと、直に乗車した。
「待たせてすまなかった」
「いえ、私も今しがた来たばかりです」
「ははは、そうか。にしても、いつ見てもその変装は大したものだよ。それより、これを見てほしい」
高野は、ファイルから一枚の報告書を取り出すと、それを前原に手渡した。
「これは…我々が目撃したジオン軍の新型モビルスーツのデータですね」
「そうだ。東機関の報告によると、そのモビルスーツにはMS用の核融合炉が搭載されているらしい」
「核融合炉を!という事は、ジオンはミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉の開発に成功したというのですか!」
「報告書を見る限り、そうだろうな」
前原は驚きを隠せなかったが、直に話を切り替えた。
「そう言えば、話は変わりますが、旭日艦隊を復活させるのですね」
「ああ。最も、まだ主力艦艇である伊吹型重巡洋艦と旗艦「日本武尊」はまだ建造中だがな」
旭日艦隊とは、第2次大戦において陽として活躍した英国救援艦隊の事である。紺碧艦隊同様、幾多の秘匿技術を使用した艦隊だが、紺碧艦隊と違い、その存在は公に発表され、あのヒトラーが名指しで脅威とした艦隊なのである。大戦終盤において日本武尊を除く主力艦艇が独軍の攻撃で壊滅し、残された日本武尊は、紺碧艦隊旗艦「潜伊3001潜亀天号」の護衛の下、英国攻略軍に対し単艦殴り込みを敢行、これを成功させ、ロンドン解放の立役者となった。その後、第3次大戦を経て、旭日艦隊は解散したが、この宇宙世紀の世において、再び脅威が迫っていることを察した高野らは、本土防衛の要として、旭日艦隊の復活を決断したのである。
前原は、旭日艦隊の艦艇の設計図を読み終え、ファイルに戻すと、既に軍務省に到着していた。
*
軍務省 大臣執務室
大臣執務室に来た前原は、高野からある指令書を渡された。
「失礼ながら閣下、この指令書は一体?」
「その指令書は、紺碧島に戻り次第、開封を許可する。最も、単なる“哨戒”任務ではないがな」
「??」
不思議に思った前原は、そのまま大臣室を後にした。
「……私だ。大石中将に繋いでくれ」
高野は、前原が去ると、電話で大石蔵良中将と会談した。
「やあ。急に呼び出してすまないね」
『いえ、こちらも人員編成がひと段落したところです』
「そうか。早速ですまないが、旭日艦隊の今後の日程についてだが…」
*
3日後 紺碧島
前原は、空路でオーブ本島を経て、迎えの伊90001「素戔嗚号」に乗り込み、紺碧島に到着した。到着早々、前原は紺碧艦隊の幕僚、並びにMS隊隊長を招集し、会議を開いた。
「皆揃っているな!では、指令書を開封する!」
そういうと、前原はナイフで封筒を開け、指令書の内容を読んだ。
「『紺碧艦隊は、3日後の1月9日に、新型機である「RAG-80-G7 ガンダムマリーネ」並びに、「RAG-80 ジムマリーネ」の水中試験運用テストの試験場であるインド洋に出動せよ』聞いたな、諸君!では、今後の日程を伝える!3日後の明朝0500に出航!インド洋に向かい、新型機のテストを行う!では、解散!」
U.C.0080年1月、大戦は更なる展開を見せる予兆を見せつつも、未だその嵐が日本に襲う事を拒んでいた…
キャラ設定
大日本帝国
大石蔵良
初出:旭日の艦隊
概要
旭日艦隊司令長官。紺碧会メンバー。奇想天外な作戦を繰り出すため、高野から「不気味で恐ろしい男」と言われている。前原の士官学校時代の教官。趣味はコーヒーを淹れる事で、その腕前は帝国軍随一と言われている。
説明 | ||
お待たせしました。第13話です。旭日艦隊がその姿を現すのはまだ先です。 | ||
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コメント | ||
本土防衛の要・・・って事はこの作品の旭日艦隊は基本地球ってか大気圏内配置?(プロフェッサー.Y) | ||
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