真・恋姫無双〜虎と狐の三国演義〜 |
参之二 『 新しい仲間達 』
狐燐が申公豹からのお使いを終え城に戻るとなにやら慌しい雰囲気に満ちていた。その中で指示を飛ばしている冥琳を見つけてその傍に降り立つ。
「冥琳。なにかあったの?」
「狐燐か…」
「どうかした?」
なぜか苦笑している冥琳に不思議に思い聞いてみる。
「いや、空から降りてくるのを当たり前のように受け止めている自分がすこし可笑しくてな」
「あ〜。僕にとっては当たり前だけど普通はそうじゃないもんね」
「そういうことだ。話が逸れたな。狐燐、すぐに出陣の準備をしてくれるか?」
「また賊?」
「そうだ。だが、今までと違って規模がでかい」
「雪蓮は?」
「袁術のところだ。後で合流することになっている」
「分かった。じゃあすぐ準備してくるよ」
「ああ。それと狐燐、後ろの二人が誰なのかも説明してくれ」
顔をひくつかせてそう言う冥琳が指差す先、つまり僕の後ろには
「むっふん!」
「うっふん!」
なぜか華佗の所で会った卑弥呼と貂蝉が気持ち悪いポーズで立っていた。
「あっ、冥琳、狐燐遅かったわね」
「あはは…ちょっと色々あってね」
「そう。…冥琳ちょっとやつれた?」
「まあ、色々とな」
「?」
僕と冥琳の言う『色々』が分からず首を傾げる雪蓮の傍に三人の女の子が近づいてくる。その内の一人は雪蓮に似ている気がする。
「姉様。彼が姉様の言っていた仙人ですか?」
「そうよ。狐燐、紹介するわ。こっちが妹の孫権、それとこっちが甘寧でこっちが周泰。三人共、こっちがさっき話してた蘇業よ」
互いに紹介されて頭を下げるが、顔を上げた瞬間
「姉様。とても仙人には見えませんが?」
「確かに」
「私にも見えません」
散々な言われようだった。
「なら狐燐よ。儂と手合わせした時のアレを見せてやればよいではないか」
「祭さん…アレ、ですか…」
祭さんとの手合わせの時その場に居なかった四人(さっきの三人+穏さん)は首を傾げている。
「…別に構いませんけど、アレ肩が凝るからあまりやりたくないんですよ」
「まっ、いいじゃない。面白いし」
あ〜もう。雪蓮の一言で完全にやる雰囲気になってるよ。
「はぁ〜」
パンッ
ポフンッ
溜息を一つ吐いて手を打つと一瞬白い煙が狐燐を包む。その煙が晴れた場所には先程までの狐燐の姿は無く、代わりに長い金髪の女性が立っていた。その一瞬の出来事に四人とも目を丸くしている。
『転身の術』以前、狐燐が祭との手合わせの際意表を付く為に使った術である。(壱之三参照)
『変化』との違いは誰かを模したものではなくこれ自体が狐燐にとってのもう一つの姿であるということくらいである。
「…で、どうかなぁ?」
口調そのものは今までと変わらないがその声、その雰囲気は青年であった時とは完全に変わっていた。一言で言えば『妖美』という言葉が一番しっくりとくる。
「「「・・・・・」」」
「これは聞いていた以上に凄いですね〜」
あらかじめ話だけは聞いていた穏はそんなのんきな感想を述べているが三人は信じられないといった顔で口をパクパクしている。
「ほんとよねぇ。それよりなんか私の服と似てない?」
「うん。さすがにあの服のままだと息苦しいから雪蓮の服を参考に術でいじってみた。どうかな?」
そういってくるりと一周回ってみせる。
「なかなか良いと思うわよ。今からでも女の子になっちゃえば?」
「それは遠慮しとく」
「で、蓮華。これで信じる気になった?」
雪蓮に声を掛けられて孫権達は我に返ったようにハッとなる。
「…まだです。もしかしたらただの術士かもしれませんから」
思ったより頑固だった。別にムキになって信じてもらう必要もないんだけどこの際だからやれるとこまでやろうかな。そう思い冥琳に声を掛ける。
「ねえ、今回の賊って規模はどのくらい?」
「報告では一万ということだがそれもまだ末端らしい。それがどうかしたのか?」
一万…それならなんとかなるかな。せっかく貰った宝貝も試したいし。
「じゃあ、その一万。僕が一人でやってみていいかな?」
その一言に全員が驚く。
「なっ、お前は何を考えて「いいわよ」姉様!?」
「良いじゃない。もし出来れば皆信じる気になるでしょ?」
「そうですが、一人で一万なんて数」
「そうね。確かに無謀だけど、違うんでしょ。狐燐」
「まあね。ちょっと試したい物があるから。大丈夫」
さくさくと話が進んでいき誰もくちを挟めずにいる。というか一部、我に返った周泰辺りから恨みと悲しみの混じった視線を感じるのが気になってるんですが。
「じゃ、折角だから狐燐はそのままの姿でやってみたら?」
「へ?」
「別にそのままでも戦闘はできるんでしょ?」
「できるけど…なんで?」
「私の気まぐれ」
晴れやかな笑顔でそう言われたらさすがに断りづらい。
「分かりました」
「やった!楽しみにしてるわよ狐燐」
まぁいっか。雪蓮が喜んでるみたいだし。それより周泰からの視線が一層強くなったのはなんで?何か悪いことでもしたかなぁ?
「むぅぅ」
「どうしたの?卑弥呼」
江都の城の一室。狐燐の説明と説得で貸し与えられた部屋の中で卑弥呼は唸っていた。というのもこの外史においては理解の及ばない部分が多い、突端である『北郷一刀』は管路の占いの通りにこの外史に降り立った。だが御遣いでもなくこの外史に存在し周囲に影響を与えている存在、狐燐。
「貂蝉よお主は何か用があるか?」
「ん〜、今はまだご主人様に会うわけにもいかないし特にないわよぉん」
「なら、一つ頼まれてくれんか?儂はだーりんが来るまでは離れられんからのう」
「いいわよぉん。何をすればいいの?」
「管路を呼んできてほしい」
「あら?それまたなんで?」
「管路の占い。その内容に気になるところがあっての」
「ふ〜んわかったわぁん。じゃあ行ってくるわねぇん」
そう言って貂蝉は部屋を出て行く。その後部屋で一人になった卑弥呼はなおも考えていた。管路の占い、『((道標|しるべ))無き世』とは何かを。
あとがき
久々の『虎と狐』です。『Re:道』は黄巾終わりましたけどこっちはこれから黄巾ですよ〜。
ちなみにこっちでは黄巾はすこし長めになる予定です。なんせ雪蓮と狐燐はとっくに張三姉妹と真名を交わしていますからね。楽しみにしていてくださいな。(自分でハードルを上げる馬鹿)
ではまた次回!
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久々の投稿です。 注:オリ主作品です。 |
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