英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク |
ルーク達から剣術を学び、ルーク達から合格レベルを貰えるほど腕が上がったレンは遊撃士協会のサポーターとして登録し、ルーク達を手伝いながら時間があれば協会支部で遊撃士の勉強をしていた。そしてグランセルに出張に行ったルークに付いていったレンはいつものようにグランセル支部の受付エルナンから様々な事を学んでいたが、エルナンが協会の用事で席を外すこととなり、エルナンから留守番を頼まれた。
〜遊撃士協会・グランセル支部〜
「―――それではレンさん、申し訳ありませんが留守番の方をお願いします。何かわからない事があれば、通信で他の支部の受付達に聞いて指示を仰いでください。」
「はーい。でも、留守番くらい他の支部でもやったことがあるから、一人で大丈夫よ。」
「フフ、それは心強いですね。―――それでは行って来ます。」
「いってらっしゃーい。」
エルナンを見送ったレンは受付で勉強を再開した。
「フウ。暇ね〜。遊撃士について書かれてある本の内容とか全て覚えちゃったから、時間潰しにもならないのよね。―――ティータイムにでもしようっと。」
一息つける為にレンは椅子から立ち上がろうとしたその時、人が近づいて来る気配を感じ、椅子に座り直した。
「―――すみません、こちらは遊撃士協会でしょうか?」
「はい、そうですよ。本日は一体何の御用でしょうか。」
「え………」
「おねえちゃん、だ〜れ〜?」
受付に座っているレンを見た女性は呆け、女性の傍にいた子供は首を傾げた。
「うふふ、こう見えてもレンは遊撃士の見習いなのよ?」
「わ〜、おねえちゃん、ユーゲキシさんなんだ〜。」
「え。ほ、本当に貴女のような子供が……?」
「ええ。ギルドからも承認して頂いています。―――こちらがその証書です。」
「…………本当だわ。」
レンからギルドが発行した遊撃士のサポーターを務める事を認める証書をみせられた女性は目を丸くした。
「それで話を戻しますが本日は何の御用でしょうか?」
「あ、はい。実は観光でこのグランセルを訪れたのだけど、エルベ離宮までの道のりがわからなくて……それでエルベ離宮までの案内と護衛を依頼したいのよ。」
「案内と護衛ですか。いつからをご希望されているのですか?」
「その………もし可能ならば今すぐしてほしいのよ。滞在期間も余り長くないし……」
「今すぐ……ですか…………遊撃士達は他の依頼で出払っていて、帰って来る時間が少々かかるのですが……………(うふふ、いい考えを思いついたわ♪)。もしよろしければこの私―――レンがエルベ離宮までの案内と護衛をさせて頂きますが。」
女性の依頼を聞いて考え込んでいたレンは手っ取り早くルーク達と同じ仕事をする為に”実績”を作る事を思いつき、女性に提案した。
「え……あ、貴女が??」
どう見ても自分の子供と大して変わらないレンが護衛と案内を務める事に女性は戸惑い
「フフ、心配しなくてもこう見えて、遊撃士の方達と一緒に手配魔獣を倒せる程の腕はあります。それに私は正式な遊撃士ではないので、報酬も半分……いえ、四分の一で構いませんよ。」
「……………わかったわ。それじゃあお願いするわね。」
レンの提案に一瞬不安であった女性だったが、依頼料を安くしてもらえるというメリットにつられて頷いた。その後レンは女性と子供をエルベ離宮まで護衛した。
〜エルベ離宮〜
「―――到着です。ここがエルベ離宮ですよ。」
「わ〜、キレイな所だね〜。」
「ありがとう。………その、最初は貴女のような子供に護衛されるのは不安だったけど、貴女って強いのね。魔獣が現れてもすぐに退治したし。貴女の事、疑ってゴメンね?」
女性はエルベ離宮に到着するまでに合った出来事を思い出した後、申し訳なさそうな表情でレンを見つめた。
「フフ、気にしないで下さい。」
「おや?レン君じゃないか。一体どうしてここに………」
女性の謝罪を微笑みながら受け止めたレンにクルツが近づいてきた。
「あら、クルツお兄さんじゃない。―――今、こちらの方々をグランセルからここまで案内と護衛をして、ここまで来たのよ。」
「何だって?君一人でか?」
「ええ。最初は不安でしたけど、魔獣が現れた時は凄い速さで退治してくれましたよ。」
「おねえちゃん、かっこよかったよ〜!」
レンの話を聞いて眉を顰めているクルツに説明するかのように女性と子供はそれぞれ自分達の感想を言った。
「フフ、こんな小さい子供があんなに強いなんて、さすがは遊撃士協会が見込んだ子供ですね。―――レンちゃん、だったわね?報酬は本当にこれだけでいいのかしら?」
「はい、構いませんよ。私はまだ準遊撃士にもなっていませんので。」
「そう。それじゃあ次に私の依頼を貴女が請けてくれた時にはたくさん払うつもりだから期待していてね?」
「ありがとうございます♪期待して、待っていますね。」
レンに依頼料を渡した女性は子供と共にその場から去って行った。
「……さて、レン君。色々と聞かせてもらおうか?―――まずは何故、エルナンさんに許可もなく準遊撃士でもない君が依頼を請けたのかな?」
親子が去って行くとクルツは規則を破ったレンを咎めるかのように真剣な表情でレンを見つめて尋ねた。
「エルナンさんが用事で席を外して、レンがお留守番をしていた時にたまたま、あの人達が来たのよ。しかもすぐに向かいたいって本人達も言ってたわ。―――遊撃士もいない緊急時ならサポーターでもいいんでしょう?」
「む………しかしだね、観光が目的ならそれ程緊急性はなかったはずだ。しかも君のような幼い子供が護衛なんて。もし、依頼人達に何かあったらどう責任を取るつもりだったのだ?」
「あら、例え観光が目的でも”あの人達にとっては緊急性がある”と判断して、請けたのよ。それにレンはルークお兄様やクルツさん達と一緒にこの辺の魔獣や手配魔獣とも戦い、一人で勝った事があるわ。それはクルツさんも確認しているでしょう?」
「………やれやれ。これはエルナンさんに任せるしかないな……」
レンの説明によって反論を全て封じられたクルツは疲れた表情で溜息を吐いた。その後支部に戻ったレン達は戻ってきたエルナンやルークに事情を説明し、更にはレン自身が今回一人で護衛を無事終えたので、今後は普通の遊撃士達のように一人で依頼を請けたいと言い出した。
〜遊撃士協会・グランセル支部〜
「依頼をレンさん一人でこなしたい……ですか。」
レンの提案を聞いたエルナンは真剣な表情で考え込み
「ええ。今回無事何事もなく依頼を終えたのだし、ルークお兄様や他の遊撃士の人達のサポーターをやっていたお蔭で、仕事の要領は既にわかっているわ。勿論、荒事関係もへっちゃらよ。」
「まあ、実際リベール中に生息している雑魚魔獣はレン一人で対処できるし、手配魔獣との戦いでも十分戦力になるしな。」
「しかしだね。まだ彼女は規定年齢すら達していないどころか、試験も受けていないんだよ?」
レンが一人で仕事をこなす事に若干賛成気味なルークに対し、クルツは真剣な表情で反対し
「あら、だったらその”試験”を今レンに受けさせてよ。レン、いっぱい勉強したから筆記試験なんて楽勝よ♪」
クルツの反対を聞いたレンは小悪魔な笑みを浮かべて提案した。その後レンはエルナンが作った通常より難問の筆記試験を受けた。
「…………………まさか、レンさんにここまでの知識があるとは。――――満点です。筆記試験は文句なしの合格ですね。このテストの内容には正遊撃士でしかわからない問題も混ぜてあったのですが……それも正確に答えてしまっていますから、正直知識の点では彼女は正遊撃士クラスでしょうね。」
筆記試験の採点を終えたエルナンは目を見開いた後レンを褒めるかのように笑顔でレンを見つめ
「なっ!?」
「ハアッ!?ま、満点!?」
「うふふ、準遊撃士になる試験には関係のない遊撃士の本をいっぱい読んだ甲斐があったわね♪」
自分の成績に二人が驚いている中、レンは笑顔を浮かべた。
「――それで、エルナンさん。これでレンには”遊撃士の知識”は十分持っているってわかったわよね?レン、一人で依頼を請けてもいいかしら?」
「……………もう一つ。それをクリアしたなら、各支部や本部に貴女の事を掛け合いましょう。」
「あら、一体今度は何かしら。」
「――――明日から始まる生誕祭の途中に開かれるメインイベント――――闘技大会で優秀な成績で収めることです。」
「闘技大会……!」
「毎年軍や遊撃士の連中が腕を競い合っているあのイベントか……確かにレンの腕前を見るのにちょうどいいイベントだな。」
エルナンの提案を聞いたクルツは驚き、ルークは納得した様子で頷き
「な〜んだ、とっても簡単じゃない♪―――いいわ、エルナンさん達がレンの腕前に安心できるように闘技大会ではレン、本気を出しちゃうんだから♪」
レンは笑顔で答えた。そして闘技大会の日、レンは選手として登録し、闘技大会に参加する事となった。
〜グランアリーナ〜
これより闘技大会を始めます。まずは第一試合、南、蒼の組。王国軍親衛隊所属、ユリア・シュヴァルツ。北、紅の組、遊撃士協会所属、レン・ブライト
「お、いきなりか。」
「王国軍の親衛隊員……それもあのユリア少尉が相手ですか。さて、どこまで戦えますかね?」
観客席にいるルークは放送を聞いて目を丸くし、エルナンは真剣な表情でアリーナを見つめていた。そしてレンとリベール王国の王族を守る親衛隊員である女性騎士―――ユリア・シュヴァルツがアリーナで対峙した。
「こ、子供……?」
レンと対峙したユリア少尉は戸惑い
「うふふ、いきなり親衛隊員さんだなんて、レン、ついているわ♪ここで貴女を倒したらレンは一気にみんなの注目の的よ。」
レンは小悪魔な笑みを浮かべてユリア少尉を見つめていた。
「レン君……だったかな?”ブライト”とはもしや……」
「うふふ、お察しの通りお兄様は”焔”、パパは”剣聖”よ♪」
「フフ、やはりか。カシウス大佐のご息女となると、油断はできないかもしれないな。」
目の前にいる少女がかつての恩師の娘である事に気付いたユリア少尉は口元に笑みを浮かべてレンを見つめていた。
「これより武術大会、第1試合を行います。双方、開始位置についてください。」
審判の言葉に頷いた二人は開始位置につき
「双方、構え!」
審判の言葉に続くように双方はそれぞれ武器を構えた。
「勝負始め!」
そして審判の言葉を合図にレンとユリア少尉は試合を始めた!
昨日以前書いた小説を読んでふと思いついたので書いてみたら、意外と続きを思い付いて、キーボードを叩くスピードが止まりませんwwなお、次回の戦闘BGMはFCの”Challenger Invaited”だと思って下さい♪
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外伝〜剣姫の誕生〜前篇 |
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