真・恋姫†無双 異伝 〜最後の選択者〜 第三十二話
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第三十二話、『報復の剣・後編』

 

 

――虎牢関での戦い、その第一戦はここに幕を下ろした。まだ戦う力を残した軍もあれば、更に酷い損害を被った軍もある。

 

しかしこれは袁紹の策が間違いであったというわけではない。元々攻城戦において策略など意味が無く、その中で敵を誘い出し

 

得るのは袁紹の策しか無かったというのは一つの事実故、誰も袁紹を責めなかった。しかし、いざとなれば皇帝の御前で袁紹に

 

責任を擦り付けることを考えている者達もいた。この期に及んでまだ安全な後方から離れたがらない諸侯がそれであった。

 

最早完全に連合の意義は崩壊した。尤も、そんなものは最初から無かったが故、そうなるのも致し方の無い事であった――

 

 

 

□反董卓連合軍・曹操軍陣地

 

――曹操は天幕から歩み出て、陣地に帰ってきた夏候惇隊と許緒隊を出迎えた。しかし、その表情は険しかった。

 

「……春蘭までも……戦なのだし仕方のないことではあるけれど……」

 

曹操個人としては従姉妹であり自身の右腕でもある夏候惇を傷付けた者に怒りを覚えないでもなかったが、戦争の最中であるため

 

夏候惇が傷付く事自体は仕方のない事だと割り切っていた。自身のことについてもそうだが、彼女は北郷朱里に対して傷の事では

 

何も含むところが無い。ただ言葉によって耐え難い屈辱を与えられたことに対して怒り、余裕を失くしていたのであった。

 

「姉者……」

 

夏侯淵も姉が傷付いた事、またその場に自分が居合せられなかった事が辛かったが、既にどうしようもないことであった。失った

 

左目に眼帯を付けた夏候惇は今、静かに眠っている。陣に帰還する以前から気を失っていた夏候惇は、軍医の診断によれば身体に

 

壮絶な負荷が掛かり、そのために気を失い、少なくとも二日程度は目を覚まさないだろうとのことであった。姉の生命力の強さを

 

誰よりもよく知る夏侯淵だったが、気が気ではなかった。

 

曹操としては他にも気懸りな事があった。許緒の事である。兵の報告によれば、許緒は戦場で敵将と戦い敗北したというが、その

 

敵将というのがよりにもよって彼女の生来の親友だという典韋という少女だと知り、然しもの曹操も驚きを隠せなかった。

 

「……季衣、あなたは戦場で典韋に会ったそうね……」

 

「……なんで……なんでだよ、流琉……一緒に華琳さまのために戦おうって誘いたかったのに……なんで董卓軍なんかに……」

 

「季衣……」

 

普段の能天気な許緒は、そこにはいなかった。親しい者に裏切られるのは辛い事だ。況してそれが殆ど半身の如き親友ともなれば、

 

まだ幼い許緒には重過ぎる現実。曹操はそれを理解し、それ以上典韋のことには触れなかった。無邪気な童女を前にしては下手な

 

ことは言えない。曹操の言葉に返事をしなかったことも咎めなかったが、余裕が無いのは曹操の方も同じであった。

 

曹操は虎牢関を見やる。未だにそこには敵軍の旗が翻り、健在を誇示しているように見えた。戦の結果であればそれは仕方のない

 

ことで、彼女自身それをよく理解していたが、感情はまた別だ。今の曹操は、以前の彼女を知る者からすればまるで人が変わった

 

ように思えるほど、何か良くないものに憑りつかれているような様子であった。是程の屈辱は今迄に無かった。優位に立っていた

 

筈がいとも容易く圧倒され、為す術も無く蹂躙された。至極当然の事を言ったまでの筈が取り返しのつかぬ過失を犯したと言われ、

 

そして何より覇王たる曹操を否定するが如く「覇王を僭称する者」などと呼ばれ、この上ない屈辱を味わわされた。曹操の内心は

 

怒りに満ち満ちていた。

 

「……『天の御遣い』……北郷朱里……そして、北郷一刀。このままでは済まさないわ。いずれ必ずこの手で捕え、その身も心も

 

 凌辱し、私の踵下に屈させる。待っているがいいわ、北郷一刀。あなたの大切なものは、私が余すところなく凌辱する。そして

 

 あなたはそれを見て、誰がこの大陸の覇者に相応しいのかを思い知るがいいわ。そう、この上ない屈辱と共にね……私は曹孟徳、

 

 天下を覇する者。私の前には天ですら屈し、私こそが新たな天となる……あなた達は必ずこの私に身も心も屈服するのよ……!」

 

曹操は一人宣言する。大陸を力で統一し、天下の覇者となることを。自らの手で大陸を統べるという野望を。

 

しかし、それが以前の彼女のそれとは違う、酷く歪んだものとなってしまっていることに、今の曹操が気付くことは無かった。

 

 

 

□反董卓連合軍・孫策軍陣地

 

――孫策は陣地で有事に備えながら待っていたが、早々に周瑜と陸遜が帰還したため、結果的には備えは無駄となった。

 

「お帰り、冥琳、穏……その様子だと、碌に戦果を挙げられなかったみたいね」

 

「ああ……あの男にやられたよ。奴はたった一人で私と穏の隊をあっさりと一蹴し、我らは敗走するより他なかった」

 

「申し訳ありません……」

 

「いいわ。あなた達がちゃんと帰ってきてくれただけでも……それにしても、袁術め……!」

 

孫策は二人の臣を労いつつも袁術への怒りを露わにし、ぎりぎりと歯を食いしばる。袁術は周瑜と陸遜に敵軍との戦闘を押し付け、

 

自らの軍は早々に下げてしまったのだ。袁術の手勢を削るつもりが、逆にこちらの手勢を削られてしまった。死者はいなかったが、

 

孫策軍は確実に弱ってきている。此度前線に赴いていたのも周瑜と陸遜、二人の軍師であった。甘寧は無理が祟って出撃出来ない

 

状態が続いており、周泰は敵に捕らわれて捕虜となっている。孫策自身も統率者である手前、これ以上の無理は出来なかった。

 

(こんな時、祭がいてくれたら……!)

 

孫呉の生き字引たる宿老・黄蓋の不在が響いている。あの老将ならどんな時も泰然と構え、兵達に大きな安心感を与えてくれた筈。

 

その黄蓋は今、孫権と共に孫呉独立のための布石を打ちに動いている。しかし今、孫策が当初想定したのとは全く逆方向に事態は

 

推移している。このままでは独立はおろか、孫策達がここで滅ぼされかねない。自慢の勘も働かず、孫策は考えあぐねていた。

 

「……非常に不味い状況だ。敵に悉く裏をかかれている。どういうわけか補給も届かんし――!?」

 

「冥琳?」

 

「奴ら、まさか……穏!水関に物見を飛ばせ!大至急だ!」

 

「え、は、はい〜っ!」

 

何かを察知した周瑜の命を受け、陸遜が慌てて物見を飛ばす。暫くして帰還した物見の報告によれば、水関は董卓軍の張遼隊と

 

華雄隊によって再制圧・封鎖され、輜重隊は足止めを喰らっていると思われる状況になっていたという。周瑜はきつく歯噛みした。

 

またしても敵の罠に嵌められてしまった。退くに退けない状況で前に進んだが、今度は後ろを塞がれた。前もまだ塞がっている。

 

「大変なことになった……これではもう、連合は碌に戦えん……!」

 

「罠とわかっていても進むしかなかったでしょ……でもあそこまで水関で戦っておいて、更に連合を罠に嵌めるなんて……」

 

「……穏、どう思う?」

 

「……正直言って、もう限界です。南陽どころかその道程半ばまでも撤退出来ないほど物資が残っていません。特に薬や包帯等の

 

 消耗が激しく……撤退も許されない状況となれば、後一度の戦闘が限度です。それ以上は無理です。そんなことをしたら……」

 

「……詰んだわね」

 

そうとしか言えなかった。次の戦闘で勝てなければ、連合は董卓軍に降伏するしかない。そうすれば待っているのは皇帝の裁きだ。

 

そして孫策達は気付いていた。董卓が悪政など敷いていないという可能性が大きいことに。連合が降伏しても暫くは董卓に対する

 

世間の反発は続くだろうが、皇帝に加えて『天の御遣い』もいる。その影響力によって、事実は間も無く知れ渡るだろう。そして

 

そうなった時、悪者にされるのは連合の方だ――そこまで考えて、孫策は背筋に悪寒が走るのを感じ、思わず身体を震わせる。

 

「雪蓮……?」

 

「……冥琳、久々に勘が来たわ。ねえ、向こうも何か布石を打っているとは考えられない?」

 

「馬鹿な、そんなことは――いや、有り得るな……奴らの影響力を鑑みれば、何らかの布石が打たれていてもおかしくはない……」

 

「……あくまで勘よ。でも、悪い時ほど勘はよく当たると言うし……ああ駄目ね、悲観的になっちゃ……」

 

「雪蓮……」

 

「大丈夫よ、冥琳。大丈夫……きっとまだ活路はあるわ。それを信じて出来ることをしないと。ね?」

 

孫策はまるで自分に言い聞かせるようにそう言うことは言ったが、その美貌には不安がありありと見て取れた。そんな親友の姿を

 

見ながら周瑜もまた秀麗な顔を歪ませ、拳を握りこむ。この自由気儘な友人がこんな表情を見せることなど幼少の頃以来だったが、

 

周瑜に思い出に浸る余裕などあるはずも無く、孫策にそんな表情をさせることを許した自分を悔いるのだった。

 

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□反董卓連合軍・公孫賛軍陣地

 

――公孫賛軍はそれほど被害を被らなかったため、他の軍のように殺伐とした雰囲気は無かった。

 

「全力で戦ったから疲れちゃった。優雨、あたしもう寝ていい?水蓮は『アレ』のせいでさっさと寝ちゃったしさ」

 

「駄目よ。まだやらなければならないことがあるでしょう?情報の整理と今後の検討。それが終わってからになさいな」

 

「わかってて言ったんだから真面目に返さないでよ」

 

「私もわかってて言ったのだけど」

 

「あーはいはい、あんたには勝てませんよって。ま、情報を整理するって言ったって、新情報はそんなにないでしょ?」

 

田豫の問いに簡雍は頷く。確かに新しい情報は然程入ってきていない。せいぜい、水関が封鎖されて補給物資が届かなくなった

 

ということくらいだ。しかしそれが大きく状況を変えるであろうことは、言った当人である田豫も承知していた。これで連合には

 

連携体制の崩壊と同時に物資の欠乏とそれによる争いの可能性が生じることになる。特に薬や包帯など、兵の治療に必要な道具の

 

消耗度合いはそろそろ致命的な領域に達しそうである。糧食についても、兵の数が減らないので減る速度も落ちず、既に底が見え

 

始めている軍もあるらしい。公孫賛軍は当面の心配はないが、それは厳に隠匿しなければならなかった。

 

「風、次が決戦になると思うのだけど、あなたはどう思うかしら?」

 

「……ぐぅ」

 

「……寝ているのならいいわ。涼音、あなたはどう思う?」

 

「……む〜……優雨ちゃんは冷たいのですよ〜……そこは稟ちゃんみたいに突っ込んで欲しかったのですよ〜」

 

「あら、たまには違う反応も面白いのではないかしら?」

 

「おうおう姉ちゃん、こいつから一本取るたぁやるじゃねぇか」

 

「……そこで宝ャを出しても意味が無いのではなくて?私を煙に巻く意味は無いと思うけれど?」

 

「む〜……」

 

程cとしてはいつも通りの反応を期待しての「寝たふり」をしたのだが、簡雍はそれを華麗に流した。当然程cは不満げだったが、

 

特に怒ることでもないのでそれ以上は言わなかった。簡雍もこう見えて冗談の通じる人間なのだが、相手の調子を簡単に狂わせて

 

しまうあたり、曲者揃いの公孫賛軍の面々に顔負けはしていなかった。

 

「それで、風。改めて訊くけれど、あなたは今後どうなると思う?」

 

「風も優雨ちゃんと同じ意見なのですよ〜。物資も不足していますから、やるとしてももう次を最後にするしかないでしょうね〜。

 

 後ろに下がるにしても戦わなければ駄目ですし〜……後ろの方が手薄ですが、篭られて連弩で迎撃されて余計な怪我をするのが

 

 オチですね〜」

 

「やはりね。輜重隊が来ることはもう無いし、兵の治療も儘ならないなってきている。食糧事情も最悪に近い。これではこの戦を

 

 続けることは出来ない。連合の選択肢は二つ。戦って全滅寸前までいって降伏するか、今の段階で降伏するか。そのどちらかね。

 

 どちらにせよ、今の状況で勝てる可能性なんて毛ほども無いわ。そして自分達の没落はどうあがいても避け得ない。詰んだわね」

 

「……優雨、やっぱあんたキツくなったよ」

 

「私は軍師よ。状況を冷静に把握出来なければならないのだから、キツいというのは寧ろ褒め言葉ね」

 

「むむ、我が軍の軍師はみんなして厳しいのですよ〜」

 

「あんたが言うか、あんたが」

 

会話が続く間にも、簡雍は竹簡に情報を書き出し、纏めていく。現状では戦闘続行が難しいどころか、連合の維持さえ相当危うく

 

なっているような状況で、とても「戦闘を続行する」という選択肢が出て来るとは思えない。だが、それは型通りの常識論である。

 

今は董卓軍を打ち負かし、排除しなければ己の立つ大地すら危うい。しかし戦おうとすれば今の状況では勝算など無い。おまけに

 

逃げ道を塞がれ、補給も届かない。降伏すればおそらく諸侯を待っているのは没落の道である。最早、諸侯は決して抜け出せない

 

迷路に囚われてしまったのだ。連合にこの迷路を脱する術は無い。高望みを捨てれば、簡単に抜けられるが――。

 

(いつだったか一刀が言っていたわね。迷路の中では人が変わると。それはきっと、出口……光を見い出せなくなるからなのね)

 

簡雍は一刀の言葉を思い出す。出口の見えぬ追い詰められた状況では、人は普段の姿からは想像も出来ない行動をしたり、本性を

 

露わにしたりするという。今の状況が正しくそうなのだ。今後更に追い詰められた場合、連合内で争いが発生する可能性もあると

 

公孫賛が言っていたが、確かにそれは起き得る状況ではある。そうなれば、最初に狙われる者は考えるまでもなかった。

 

(真っ先に狙われると思われるのは劉備軍。有力な将は殆ど戦闘不能、しかも士気は無いに等しい。これでは格好の獲物ね)

 

劉備軍とて余裕のある状況ではない。しかし戦意を失くした軍など、この状況では格好の生贄でしかない。大将が出て来ていれば

 

まだなんとかなるかもしれないが、劉備は引き籠ってしまっていて三日前の軍議にも顔を出していない。これでは諸侯から責任を

 

擦り付けられても全くおかしく無い。ただでさえ劉備軍の所属だった筈の一刀や朱里が敵に回り、この状況の原因の一端となって

 

いる以上、非常に危ういと判断せざるを得なかった。

 

簡雍は三日前の軍議に顔を出していたが、そこで諸侯――殊に曹操は、この状況を劉備の謀略によるものではないかと疑っていた。

 

あの自信家にしては随分と余裕のない態度を見て、簡雍はあることを推測していた。

 

(……曹操は桃香を己と並び立つ英雄と見ている。だからこの状況を桃香が作り出したと思いたいのね。一刀達のことは……)

 

そう、この状況は一刀達が作りだしたものであろうことは、少し考えればわかる筈である。だが、曹操はそうではなかった。その

 

理由は簡雍もわかっていた。黄巾党との決戦を前に二人を取り込みに来た曹操を見ていればわかることだ。曹操は一刀達のことを

 

単に『道具』としてしか見做しておらず、『英雄』だとは認めていないのだろう。確かに彼らが自らどこかを治めたという実績は

 

無く、挙句劉備の売名のために『天の御遣い』という異名の力を使われていたのだ。曹操としては彼らを己の下に従わせ、手足の

 

ように操り、覇王としての威厳を更に高めたいと思っている筈だ。要するに、「『天の御遣い』にしてやられた」と思いたくない

 

だけなのだ。

 

(曹操にとって『英雄』の定義がどのようなものかはわからないけど……要は一刀達が今迄道具扱いされていたのが問題なのよね)

 

一刀達がどこかを治めていたりすれば、曹操も彼らを英雄として認めざるを得なかった筈。一応、劉備達は彼らを主としての勢力

 

拡大を図ったようだが、事実上の盟主は変わらず劉備であり、勢力の主体も劉備。そうしたやり方が曹操からの追及を招いたとの

 

推測は決して間違っていない筈だと簡雍は考えていた。公孫賛とてそれは同じなのだが、あくまで彼女は一刀達を客将として遇し、

 

また相当な配慮をした上で二人の名を広めている。ただそれだけの違いだが、その違いは劉備の無思慮が招いた大きすぎる差だ。

 

(……これ以上は無理よ。出てこなければ、あなたは全てを失ってしまう。あなたが選ばなければ、道は無いわよ……桃香)

 

自軍の陣地で引き籠る幼馴染に、心の中で語りかける。喪失の悲しみに浸るばかりで、新たな選択肢を見出そうともしない劉備の

 

気持ちを、簡雍は慮ることをするべきではないと考えていた。現実は常に過酷。それを乗り越えて、初めて理想の実現があるのだ。

 

程cと何かを言い合っている相棒をふと見る。田豫は一刀達を「『居場所』を失くした存在」だと言っていた。真実を知った今も

 

その意見は彼女の中では変わっていないだろう。そして今、それは重要な意味を持って簡雍の思考の中で甦る。

 

(……如何に苦しくとも、今は立ち上がりなさい。あなたの理想を『居場所』としてくれる者を、せめて失わないために)

 

簡雍は祈る。今は未熟そのものな劉備が、この戦いを経てせめて少しでも成長してくれることを。

 

その願いがあまりに儚いと理解していながら。

 

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(side:雛里)

 

――陣に帰ってきた朱里ちゃんは、酷く落ち込んでいた。顔が真っ青で、冬の北風に吹かれているみたいに酷く震えている。

 

「……静里ちゃん、何があったの?」

 

朱里ちゃんを心配して私達の陣にやって来た静里ちゃんに訊ねる。朱里ちゃんに聞いても、おそらく何も答えは返ってこないから。

 

「……お姉様は、戦場で敵の徐庶隊……灯里さんの隊と当たりましたの」

 

「……そう。灯里ちゃんは董卓軍側にいるんだね」

 

「はい。水鏡塾を出て、先ず涼州に行くと仰っていましたし。当時はまだ雍州刺史だった董卓さんの治政を見たのだと思いますの」

 

「……じゃあ、この連合はやっぱり……」

 

「雛里さんの懸念の通りだと思いますの。この連合は単なる権力争い……互いを利用し、あわよくば潰し合う場でしかないですの」

 

あらかじめ知っている事実を台本に、朱里ちゃんの前で芝居を打っているというなんともいえない微妙な状況だ。正直な所、私は

 

一体何をしているんだろうと思わないでもなかったけど、必要なことだからこうしている。静里ちゃんとは打ち合わせもせず殆ど

 

即興でこうして芝居を打っている。芝居の才能なんて無かった筈なんだけど。台本を書くことは出来ても、演じるなんて。それも

 

私が変わりつつあるということの証明なのかもしれない。無二の親友の前で虚偽を並べ立てるのはいけないことだけど、必要悪だ。

 

だから私は、芝居を続ける。

 

「……静里ちゃんも同じ考えだったんだ」

 

「はいですの。灯里さんは何事にも積極的ですし……董卓さんとも既に知己を得ているのではと。いつだったか灯里さんは仰って

 

 いましたの。『どんな不利な状況でも、私は正しい方につく』と。この連合は戦力的に最初から不利でしたが、数多くの諸侯が

 

 参加していて、世間の支持もありますの。よって本質的に不利なのは董卓軍側。でも灯里さんは、ただ不利だからと董卓軍側に

 

 ついたわけではないと思いますの。あの方から見て、董卓さんの方が正しいのだと思われたが故の行動でしょう」

 

「……そういえばそんなことも言ってたね、灯里ちゃん……私も、灯里ちゃんを疑いたくはないよ」

 

「それはわたしも同じですの。友達を疑ってしまうのも、乱世の一つの形ではあるのでしょうけど……わたし達の友情が、こんな

 

 乱世に壊されてしまうなどと思いたくないと思ってしまうことは、果たしていけないことなのでしょうか?自分達が拠って立つ

 

 正義こそが正しいのだと、違う正義に拠って立つ友達を責め、疑わなければいけないのが、乱世なのでしょうか?」

 

「静里ちゃん……」

 

静里ちゃんも芝居を続けてくれるけど、それでも彼女の真摯な想いが言葉に込められていると感じる。言っていること自体は芝居

 

でも何でもなく、静里ちゃん自身の心からの言葉なんだ。だから演技だなんて気付かれない。あまりに予定調和なやりとりだとは

 

思うけど、私達がお互いの会話に詰まることってあまりないから、朱里ちゃんから見ても不自然には見えない筈。

 

「……どうしようもないことでは、あるのでしょうけどね。それでも気になってしまうのは、やっぱりわたし達が人間だからだと

 

 思いますの」

 

そう言って静里ちゃんは苦笑して見せ、それにつられて私も苦笑する。そう、人間だから。私達は正義によって動く人形などでは

 

決してないから。どんなに辛くたって、私達は自分が人間であることを忘れてはいけない。正義も理想も、何も肯定してくれない。

 

それを常に心に留めておかなければ、私達はそれらに呑まれ……人形になってしまう。絶対そうなっちゃ駄目だ。水鏡先生からの

 

教えだけじゃない。これは一刀さんや朱里さんから学んだこと。私達は人間。人形なんかじゃない。

 

……もう連合は限界。朱里ちゃんの同意を得て、桃香様にちゃんと話さないと。私達二人が同じ意見だと知って貰えれば、或いは

 

桃香様も考えを変えてくれるかもしれない。だけど、朱里ちゃんは連合に対して私と同じ見解を示しつつも、桃香様の決定を支持

 

して、そして桃香様は参加を決めた。今の状況で、翻意はおろか話を聞いてくれるかどうかさえわからない。でも、やらなくちゃ。

 

……例え翻意して貰えなくても、桃香様や朱里ちゃんの心の中に毒を忍ばせることは出来るから。

 

「……朱里ちゃん、もう限界だよ。桃香様にちゃんと話して、考え直して頂かないと」

 

「……今更、どうしてそんなこと……出来ないよ、雛里ちゃん。私達はご主人様達を……」

 

「それこそ今更だよ。一刀さん達はきっと、真実を知って私達の許を離れた。私達にお二人を引き留める権利なんてない……!」

 

「っ!そんなことない!お二人はきっと……きっと、董卓さんに攫われて……脅迫されているんだよ!」

 

「……」

 

「そうじゃなきゃ、お二人が私達の前に敵として現れる理由が無いもの!有り得ないよ……そんなこと、有り得ないよぉっ!」

 

真っ青な顔から一転、怒りと悲しみで顔を真っ赤にした朱里ちゃんが、私の言葉に激しく反駁する。信じたくない気持ちはわかる。

 

それでも私はその顔を正面から見据える。朱里ちゃん、思い出して……連合を疑っていたのは、お二人も同じだったってことを!

 

「……この反董卓連合は正義なんかじゃない。それは朱里ちゃんだって予想してたはずでしょ?」

 

「聞きたくない、聞きたくない、聞きたくない……っ!」

 

朱里ちゃんは私の言葉を拒絶するように両耳を塞いで目をぎゅっと瞑り、壊れたように「聞きたくない」と繰り返すばかりだった。

 

そんな姉の姿を見かねてか、静里ちゃんが朱里ちゃんの片腕をそっと握り、その優しい仕草とは裏腹な厳しい口調で語りかける。

 

「……お姉様、現実を見据えてくださいですの。もう連合は限界ですの」

 

「……」

 

「ここで何をしようと、連合を待つのは敗北の運命。わたし達は、負けたんですの。それをあなたが認めなくてはいけませんのよ」

 

「……諦めるわけにはいかないの。私たちは諦めちゃいけないの。ご主人様達に帰って来て頂かなければいけないの。だから……」

 

「……だから、連合をあなた方の無理につきあわせると?」

 

静里ちゃんの言葉は本当に厳しかった。朱里ちゃんはまだ認めたくないといった様子だけど、そんな彼女に畳み掛けるように問い

 

質す静里ちゃんの顔には、現実を拒絶し、目を背ける朱里ちゃんへの静かな怒りがあった。静里ちゃんの言う通り、お二人を救出

 

するという名目で戦おうとすれば、連合全体に被害が及びかねない。劉備軍だけで戦っているのではないから。例え連合が戦いを

 

続けるのだとしても、この状況では勝ってお二人を取り戻すなどというのは無謀過ぎる。どうあがいても連合は勝てない。そして

 

お二人を取り戻すことも出来ない。それを認めなければいけないと、静里ちゃんは言っている。

 

「……もういいよ、静里……帰って……」

 

でも、静里ちゃんの声は、現実を見ていない朱里ちゃんには届かなかったみたい。いつも仲良しの姉妹の姿は、そこにはなかった。

 

考え方は違えど、お互い気持ちが通じ合っていた筈の二人は、今は大きく擦れ違ってしまっていた。

 

「……わかりましたの。わたしももういいですの。最後に分からず屋のお姉様に一言助言を差し上げますの……」

 

静里ちゃんは傍らに置いていた『血焔熾刃』を腰に佩き、天幕の入り口まで行ってから、言い残していくように静かな口調で言う。

 

「……現実を冷然と見据えられない者に、軍師たる資格などありませんの。静里を失望させないでくださいですの……朱里お姉様」

 

そして静里ちゃんは天幕を出ていった。後にはすすり泣く朱里ちゃんと私だけが残される。

 

(……もうすぐこの戦いは終わる。その時、私達はどうなるか……ううん、考えるまでも無い。もうとっくに崩壊しちゃってる)

 

私も簡易寝台から立ち上がり、歩き出す。朱里ちゃんが駄目なら、私だけでも桃香様の所へ行き、ちゃんと話をしなきゃいけない。

 

(……それも全て、あなたが招いたものです。指導者として責任はとっていただきます、桃香様……いえ、劉備玄徳……!)

 

天幕を出て、私は歩き出す。桃香様が一人沈んでいる天幕へと。これまでにない怒りの炎が、私の心を焦がすのを感じながら。

 

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(side:白蓮)

 

――陣に帰ってきた皆を出迎えてから、私は一人、天幕で簡易折畳椅子に座りながら、色々と考えていた。

 

「……愈々、連合も限界か」

 

一刀達は作戦の順番を変えたようだが……物質的・精神的共に、連合は更に追い詰められることになるな。寧ろ心理戦的な側面が

 

大きいのだとわかる。一刀が言っていた迷路で迷った人間が取る行動……成程、心理的な迷路か。これは厄介だ。自縄自縛を誘発

 

する策……『上屋抽梯の計』か。それにしてはやけに最初の方から連合を痛めつけたな……いや、高望みするから自縄自縛になる。

 

ただそれだけのことだ。それでも戦おうとする者はいるだろうが……どの道、後一回が限度だ。それ以上は自殺行為でしかない。

 

ふと、兵から声が掛かる。麗羽が一人で我が軍の陣を訪れたらしい。私は少し驚きつつ、麗羽を天幕に迎え入れる。

 

「どうした、麗羽?お前が一人で来るとは、珍しいこともあるものだ」

 

「……わたくしでも、偶にはこうして一人で行動することもありましてよ。少しお話がしたいのですが、よろしいですかしら?」

 

「構わん。簡易椅子しかないが、それでもいいか?」

 

「十分ですわ。ありがとう」

 

三日前の軍議といい、こいつはやっぱり様子がおかしい。一体何があったんだろうか。まあ、それも話してくれるかもしれないな。

 

麗羽に簡易折畳椅子を勧めてから、私もまた椅子に腰を下ろした。麗羽が話し辛そうにしていたので、私の方から口を開く。

 

「やはり、この連合は間違っていたのではないか?」

 

「……ええ、そうかもしれませんわ。まだわかりませんが……わたくしもそう思うようになりましたわ」

 

連合が組まれた原因の半分は麗羽の嫉妬によるものだがな。この戦いの元凶とも言える麗羽にそんなことを言う資格はない。だが、

 

私はそれを言う気になどなれなかった。この見栄っ張りの馬鹿がここまで憔悴するなど、今迄に無かった事だからだ。

 

「しかし真相はわからない。物見が悉く帰ってきていない以上、洛陽の現状は私達にはわからないんだ」

 

「ええ……ですが、一刀さんは水関で『洛陽は至って平和』と仰っておりましたわ。あの方の言は本当なのでしょうか?」

 

「……あいつの友として言わせて貰えば、あいつは嘘を吐かない。そのあまりに高過ぎる実力故、虚言を弄する必要が無いんだよ。

 

 一方では言うべきことを言わないということはあるが、それは得てして相手が自分自身で気付くべき事であることが多いんだ」

 

「……自分自身で気付くべきこと……」

 

「ああ。桃香が見限られたのもおそらくはそのせいだろうと私は考えている。私はあいつとは慮植先生の所で学んでいた頃からの

 

 付き合いだが、確かにあいつには能力はある。それこそ私などよりも……だがあいつには致命的な欠点がある。何だと思う?」

 

「……わたくしが言えたことではないのでしょうが……劉備さんは少々、考え無しが過ぎるのでは?」

 

「正しくそれだ。お前もお前だが、あいつはそれ以上に考え無しだ……どうせ檄文の内容を真に受け、そこで考えることをやめて

 

 連合への参加を決めたんだろう。苦しむ民を救うという目的は兎も角、あいつは君主の何たるかをまるで理解していないからな」

 

「それは先の軍議はおろか、水関でのあの戦闘から彼女が引き籠っていることに対しての意見ですの?」

 

「……それだけならまだよかったよ。あいつの旗揚げ当初から私は見ている。その時からなんだ……」

 

あいつは理想を掲げ、それを訴えれば誰もが力を貸してくれると勘違いしている。だから力を貸そうとしない人間に対して涙目に

 

なって訴えてみせたりする。そしてあいつは常に両隣に愛紗や鈴々を伴っている。鈴々は兎も角、愛紗は桃香の理想に賛同しない、

 

或いは否定する者に対して脅しをかけたりすることもある。はっきりと脅しをかけるのではないにしても、愛紗は雰囲気で相手を

 

畏怖させることがままある。そうまで理想を訴え、力を貸して欲しいのならば、桃香一人で訴えに行けと言いたいのだが、それは

 

あいつが自分で気付き、実行しなければならない事だから私は言わない。

 

「再会してからこっち、あいつの悪い面ばかり見せられている……今にして思えば、あいつに義勇兵を任せた時点で間違いだった」

 

「白蓮さん……」

 

「あいつの成長を願っての事だったが……あいつは成長しようとしなかった。自ら変わろうとしなければ、人は変われない」

 

そしてあいつが君主であろうとしないのは、一刀達を主人に据えているからだ。それでいて自分の我は絶対に通そうとする。その

 

在り方には憤りを禁じ得ない。あの水蓮でさえそれを私が語った時は怒りに顔を歪ませていたし、感情の起伏が少ない風にしても

 

怒りで肩が震えていた。一刀達が平原に行く以前はどうだったか……一応は集団を引っ張ってはいたようだがな。だが、あいつは

 

理想を掲げるということの意味を全く理解していない。何度も思っていることだが、最近その思いは強くなってきている。

 

「……もうどうしようもないがな。だが、あいつは得た力を大した考えも無く振り回すだけで、自分では考えず周囲に任せている

 

 ばかり。これでは鳳統や諸葛亮は好い面の皮だよ。桃香が考え無しなばかりに余計な苦労をしている。それでいて絶対に自分の

 

 やりたいことというのは曲げないからな。あれではただの、我儘な子供に過ぎん。我が友ながら、あまりにも情けない……」

 

「……そうでしたの。そして劉備さんはそれをわかっていらっしゃらないと、そういうことですのね?」

 

「その通りだ。だが麗羽、此度のことはお前にも責任があるんだぞ。それはわかっているな?」

 

「勿論ですわ。連合を糾合したのはわたくしですもの……ですが白蓮さん、わたくしはこうも思いますの。聞いてくださいます?」

 

麗羽が柳眉を下げ、俯きながらそう言ってくる。こいつは一体どうしたんだ?良い変化だとは思うが……一体何があったんだ?

 

「……聞こう」

 

内心の驚きを隠しつつ、私は麗羽の話を聞くことにする。するとこいつは驚くべきことを口にした。

 

「……まるで、何もかも最初から準備されていたかのような手際の良さ……あの方々はこの大陸について詳しくは無い筈ですのに、

 

 何故かそうは思えませんの。この戦いをわたくしが起こすのを……いえ、董卓さんが相国に任じられる件……もしかしたらその

 

 件よりももっと以前から、あの方々はこの時に備え、密かに準備を進めていたのではないかと思うようになりましたわ……」

 

「お前……!」

 

「……白蓮さん、もしやわたくし達は……蜘蛛の巣の上を歩かされているのでは?」

 

「!?」

 

「一度捕らわれてしまえば、どう足掻こうと逃げ出せない。ただ中心に向かって進むしかない……いえ、手繰り寄せられ、そして

 

 中心に待つ何か……『運命』とでも言うのでしょうか、それに呑み込まれてしまうのではと……そこに至る迄の道を選ぶことは

 

 出来るのでしょうけど、最終的には結局、同じ場所に辿り着いてしまうのではないかと、そう思えてきたのですわ……」

 

こいつ何も知らないのに、よくここまで。麗羽の感想は核心を突いているというか、核心そのものだ。確かに一刀達はこの外史に

 

舞い降り、私が保護した直後から、『計画』のために様々な布石を打っているという。その全容は二人しか知らないが、それでも

 

一刀達は望む結果を得るために大陸の状況を陰から操れるだけの準備を整えている。人の運命までは操れないというが、修正力が

 

ある以上、反董卓連合は必然的に発生する『事象』だ。だが発生した『後』、つまり『内容』と『結果』を選ぶのは、『事象』に

 

関わる全ての人間の選択だということは間違いない。ただ、あいつらは選択肢が限定されるように布石を打っているがな……。

 

それだけ言って、麗羽は立ち上がる。これで話は終わったということなのだろう。私も立ち上がり、陣の入り口まで送っていった。

 

「……白蓮さん」

 

そこで麗羽はふと私の方を振り返る。先程の柳眉を下げた、苦悩に満ちた表情のまま、麗羽は静かに話し出した。

 

「何だ?」

 

「……無能で愚かなあなたの友人を許して下さいまし」

 

「麗羽……」

 

「この状況はわたくしが招いたもの。そして一刀さん達が仕掛けた策略は……わたくしに突き付けられた、報復の剣ですわ」

 

「……報復の剣、か。確かにそうかもしれんな。これは連合への……ひいては連合を糾合したお前への報復なのだろうな」

 

「ええ……きっとそうですわ。それでは、わたくしはこれで御暇いたしますわ」

 

そう言って、麗羽は去っていく。その背中はいつもの如く無駄な自信に満ち溢れてはおらず、今にも消えそうなくらいに儚かった。

 

(何が麗羽を変えた?どこかで予想もしない歯車が噛み合い、麗羽を変えてしまったのか?どこで……そうか、そうだったのか)

 

ふと、西の方角を見る。満天の星空が広がる西の方角。かつて『蜀』という国を建国した時の仲間の多くは、あの方角にいるのだ。

 

(ふっ、恋は人を強くするものか。私がどうだったかは自分ではわからんが、つくづく恋とは大切なものだな……なあ、紫苑?)

 

一刀に恋をし、愛した懐かしい日々。それを思い起こしつつ、私に恋の大切さを教えてくれた、はるか益州の盟友に思いを馳せる。

 

またいつの日か、会うこともあるだろう。そしてきっと、その日は決して遠くは無い筈だ。

 

-5ページ-

 

(side:一刀)

 

――今日の戦いもまた、色々あった。今回の戦闘に関する報告を聞き、水関再制圧の報告も受け取った。

 

連合はこれで更に追い詰められた。孫策軍の周瑜が水関再制圧に気付いて物見を飛ばしたという報告も入って来ている。これで

 

向こうも自分達が窮地に追い詰められていることを嫌でも理解することになるだろう。明日から揉めるな、これは……。

 

「……兄様」

 

少し遠くから軽い足音が聞こえていたので、流琉か朱里か、或いは音々音かとは思っていたが、来たのは流琉だったか。普段なら

 

誰が来るかくらいは足音を聞かなくてもすぐにわかるが、何故か今日は酷く疲れている。そこまで無茶をしたつもりは無いのにな。

 

「……流琉か。君の隊は季衣の隊と当たったんだったな」

 

「はい。『岩打武反魔』を壊して、季衣を戦えなくしてから撤退させたんですけど……これで良かったんでしょうか?」

 

「君が『これで良い』と判断したのならそれでよかったんだよ。それに、これ以上無茶をするようなら連合は……」

 

「……そうですね。もう連合は兄様と灯里さんの策で逃げることも出来ないですし……でも、追い詰め過ぎると何をするか……」

 

「『窮鼠猫を噛む』と言うからな。だがこちらも次の戦闘で虎牢関から撤退し、連合を洛陽に誘うことになる。わかっているな?」

 

「はい。私はその後、陛下の護衛につけばいいんですよね?」

 

「ああ。君と灯里を才華の護衛としてつける。一応、俺達も裏で待機しているが……表向きの護衛は君達だ。頼むぞ、流琉」

 

「わかりました」

 

流琉はやはり辛そうだった。季衣の隊と当たったことが大きいと思う。季衣自身を傷付けてはいないにせよ、敵対するというのが

 

こうして現実となった今、決意をしていてもやはり苦悩はするだろうし、寧ろ以前よりも余程苦悩するだろう。それにも関わらず

 

流琉にまた季衣と対面することになるだろう才華の護衛を頼むのは気が引けたが、そもそもこれは流琉が志願したことであるので、

 

彼女が翻意しない限りは俺も流琉の意志を尊重することにした。

 

「それだけお話ししたかったんです。それでは兄様、私はこれで失礼します。もう遅いので」

 

「ああ。ゆっくり休んでくれ。次の戦闘までまだ間が空くだろうからな。おやすみ」

 

「はい。おやすみなさい、兄様」

 

ぺこりと頭を下げてから、流琉は小走りに去っていく。些か無理をしているようには見えるが……あの子も強いな。そう簡単には

 

折れない。流琉の年齢でああも強固な覚悟を持てる人間はそういないだろう。季衣は……微妙だな。あの子は純粋に華琳の理想を

 

実現するため戦ってるだけという側面が今は大きいから……その辺りを割り切れていないのかもしれない。

 

「……一刀さん」

 

不意に背後に気配を感じ、振り返ればそこには灯里がいた。朱色の外套を夜風にはためかせるその姿には、何故かいつもの明るい

 

雰囲気が無かった。酷く沈んでいるという様子でもないが、表情はかなり曇っていて、灯里には珍しく悲しげな表情だった。

 

「今度は灯里か……気配を消すのが本当に上手いな、君は。でも気配を消して近付かれると怖いから、次からはやめてくれ」

 

「すみません……直しようがないくらい染み付いてしまった癖で……」

 

報告によれば徐庶隊は諸葛亮隊と当たり、割り込んできた諸葛均隊とも黒十字隊と連携して戦闘を行ったという。さらに途中から

 

突っ込んで来た夏候惇が最初朱里に襲い掛かったにも関わらず、朱里と孔明の区別がつかずに孔明に襲い掛かったのを止めたのも

 

灯里だという。灯里はその際、隠し持っていた青銅製の太い長針を投擲して夏候惇の左目を潰したらしい。

 

「……相手が正気を失っていたとはいえ、あの夏候惇を押し返すとは……正直意外だったよ、君はそこまで強かったのか」

 

「あの時は無我夢中でしたから……朱里に稽古をつけてもらったとはいえ、自分でもあそこまで出来るとは思っていませんでした」

 

「しかし、君の武器は仕込み刀だけじゃなかったんだな。長針を隠し持っていたとは」

 

「……あまり訊かないで頂けると有り難いです」

 

「……そうか。なら、君が話してくれるまで俺も何も訊かないよ。それで、君は何をしにここへ?」

 

取り敢えず長針についての追及はやめておこう……灯里の表情が一瞬だけ酷く翳った。過去に何かあったのだろうか。まあそれは

 

置いておいて。朱里はここにはいないし、灯里がここに来るということは俺に用事か?

 

「……いえ。ただ、なんとなく一人になりたくなくて」

 

「そうか……朱里は?」

 

「あの子は今は他の皆と話をしています。こんなことを言うのもあれなんですが、なんとなく混ざりにくくて……」

 

「昔の話でもしているのかな?」

 

「多分そうだと思います。私は新参者ですし、どうしてもその話題には……脇で話を聞いているくらいしか出来ないので」

 

「……すまない。少々配慮が足りていなかったな」

 

「そんなことは……それに、私が気にしているだけですから、一刀さんは何も…」

 

俺の謝罪に、首を横に振る灯里。どことなく寂しそうな表情だが、それを特に不満には思っていないということかな。ただ、話に

 

混ざれないのが寂しいだけで。涼音達も似たような気持ちだったりするのか。今度会ったら気をつけるようにしよう。蚊帳の外に

 

してしまうのは良くない。涼音は好奇心が強いから嬉々として話に混ざっていきそうだが……。

 

次の話題を考えるために、俺はまだ東の空に浮かぶ月を見やる――次の瞬間、誰かが走ってくる足音が聞こえる。流琉よりも軽い

 

この足音は音々音のものだろう。果たして俺の予想通り、息せき切って走ってきたのは音々音だった。

 

「――あ、主殿ーっ!っと、灯里殿もここにおられましたか!すぐに来てほしいのです!」

 

「ねね、そんなに急いでどうしたの――」

 

 

 

「――朱里殿が!朱里殿が倒れたのですっ!」

 

 

 

――その言葉を聞いた途端、俺の中で何かが激しく反応するのを感じた。

 

「なんですって!?朱里が!?」

 

「ねね達と話していたら急に苦しみ出して、喀血してからのた打ち回るように倒れたのです!今は意識がないのです……っ!」

 

「そんな……病気をしている様子なんて欠片も無かったのに!」

 

灯里達が焦った口調で言葉を交わす度に心臓が大きく鼓動し、全身が脈打つように感じる。まるで何かが脈動するかのような――

 

そこまで考えたところで、俺の思考はふっつりと途切れた。

 

「うぐっ……!?――がぁぁぁああぁあああぁぁああッ……!!??」

 

そして次の瞬間、全身の血管という血管を灼熱の火焔が駆け巡るような激痛に襲われ、口の中には一気に鮮血の味が満ち、鼻腔も

 

己の血の匂いで満たされる。視界は殆ど完全にレッドアウトし、苦悶の声諸共に、口から血をぼたぼたと吐き続ける。

 

「一刀さん!?そ、そんな……一刀さんしっかり!しっかりしてください!」

 

「主殿っ!」

 

「がぁぁああッ……おぉあああぁぁあぁああぁああああぁぁあッ……!!!……うぅううッ……!」

 

「一刀さん!――っ!誰か!誰か衛生兵を!早くっ!」

 

灯里や音々音の声が聞こえるが、その内容はもう頭に入ってこない。それどころか声も遠く、どこか遠くから残響のように響いて

 

くるような、はっきりしない声にしか聞こえない。水面越しに声を聞いているような、そんな感じだった。そしてさらなる激痛が

 

全身を襲い、俺はそのまま灯里の腕の中に倒れ込み、そこで意識を手放した。

 

-6ページ-

 

□反董卓連合軍・袁紹軍陣地(参加諸侯合同軍議)

 

――翌日、再び諸侯合同での軍議が開かれたが、その光景はあまりにもお粗末なものであった。

 

(やれやれ。弱小勢力の半数は来ていないな。来ている連中も顔色が悪いし……有力諸侯も揃って顔色が悪い。末生り市場だな)

 

程cを伴って軍議にやって来た公孫賛は、出席者の顔をかわるがわる見てそんな感想を抱く。揃いも揃って末生りの果実にも似た

 

暗い顔をしている。有力諸侯ですらしかめっ面で陰険な雰囲気なのだから、弱小勢力の諸侯がそうなるのも無理は無かった。

 

「……皆さん、ご足労頂き感謝しますわ。軍議を始めましょう……」

 

軍議を招集した当の袁紹ですら、憔悴しきってやつれた様子だ。豪奢な金髪巻き毛の長髪もいつもの輝きを失い、鈍く光っている

 

程度にしか見えない。悪い意味で突き抜けて輝いていた以前の袁紹の面影は、どこにも無かった。それを見て、弱小勢力の諸侯は

 

口々に袁紹を非難するものの、袁紹は黙したまま甘んじて非難を受け止めていた。

 

「……麗羽……あなた、あの北郷一刀に為す術もなく敗れたそうじゃないの。役立たずが策など立てるからそうなるのよ」

 

極めつけは曹操だった。元々袁紹の作戦に乗り気ではなかった曹操は、消極的ながらも賛成したことを棚に上げて袁紹を非難する。

 

だがこれに異を唱えた者がいた。それは袁紹と共に囮役を買って出た公孫賛であった。心底呆れたような口調で、曹操に反論する。

 

「曹操……お前、自分のことを棚に上げてよくそんなことが言えるな。そんな様子では覇王の名が泣くぞ」

 

「黙りなさい公孫賛。あなた如きに私を非難する資格などないわ。突入部隊も役立たずだったみたいだしね」

 

「その突入部隊にいたお前の軍の許緒は典韋にあっさり敗れ、夏候惇に至っては我が軍の公孫越と共に呂布に当たったが、途中で

 

 北郷朱里を発見し、途端に豹変して呂布を越に押し付けていき、そして北郷朱里を倒せなかったばかりか、敵将・徐庶に手酷い

 

 傷を負わされたと諸葛均から報告を受けているが?お前こそ、本初を非難する資格などないな」

 

「……ふんっ」

 

「加えて、夏候惇は北郷朱里と姿や声が似ている劉備軍の諸葛亮にも襲い掛かったという報告があった。それが事実であるならば

 

 お前は夏候惇の首でも劉備軍の陣地に持って行き、謝罪をしなければならない立場だぞ。劉備は首まで要求しないだろうが……」

 

「……」

 

公孫賛に論破され、曹操も反論の余地が無くなったと見てか黙り込むが、既に不機嫌に歪んでいた美貌はさらに歪み、黒い覇気が

 

轟々と湧き上がり、異様な迫力を放つ。弱小勢力の諸侯は脂汗を流して縮こまってしまったが、公孫賛はそれをあっさり無視した。

 

曹操は公孫賛の傍らにいる程cにも覇気を向けるが、程cも曹操の覇気を無表情であっさり流してしまった。

 

「……状況を整理致しましょう。反董卓連合は現在、多大な被害を被っております。更に、孫策軍の周瑜さんからの情報によれば、

 

 先日突破した水関が董卓軍の張遼隊及び華雄隊によって再制圧、封鎖され……輜重隊がこちらに到着出来なくなりました」

 

袁紹の言葉に諸侯がどよめく。元々悪かった顔色が更に悪くなり、中には露骨に軍議を抜け出そうとする者までいたが、公孫賛が

 

睨みを利かせていたので、それ以上動くことが出来なかった。話し合いは殆ど有力諸侯のみに限定されている。

 

「この状況、どうする?」

 

「水関を再度突破して撤退するという手もあるとは思うけど……どうせまた篭られてあの武器で応戦されるだけ。今度は限りが

 

 あるでしょうけど、虎牢関からも部隊を出されたらもうお手上げ。降伏以外の選択肢はないわ。あの時点で撤退しなかった以上、

 

 向こうは容赦なく攻勢をかけてくる筈。正直、今の状況で水関から連中が出て来ないのが意外に思えるわね」

 

孫策の指摘に、公孫賛は頷く。確かにこのまま挟み撃ちにしてしまえば連合を完全に壊滅させられる。それをしないのはこちらの

 

自滅を待っているからなのだろうか。或いはこちらが行動を起こさない限りは何もしないということなのか。何にせよ、ここまで

 

追い詰められた諸侯に冷静な思考が出来る筈も無く、それは孫策も同じであった。その顔には焦燥が浮かんでいる。

 

「でも、私達に降伏するという選択肢はないわ。民の為にもここで諦めることは許されないのよ」

 

(白々しい台詞を吐くものだな、曹操……お前の狙いなど、最初からわかっている。余程の無能でなければ気付くことだろうさ)

 

曹操の目的を知っている公孫賛は、あまりに白々しい曹操の言葉に心中で呆れる。曹操はおそらくこの戦いで劉協を自らの手中に

 

収めて利用するという腹積もりなのだろうが、そんなことはさせない。劉協には二人の御遣いがついている。今の曹操には目的を

 

果たすことが出来ないだろう。歪んでいく曹操の在り方に、公孫賛は憐みすら覚えていた。誇り高き覇王の姿を今の曹操に見出す

 

事は出来ず、その面影すらそこには残っていなかった。

 

「だがもう連合は……!」

 

「何を言うか!奴らは賊軍なのだぞ!漢王朝の忠実な臣たる我らが誅滅せずして誰がやるというのだ!」

 

「しかしこの状況で戦っては、我々が全滅してしまう!そうなっては何もかもがお終いだ!」

 

「この臆病者めが!」

 

「貴様が言うか!」

 

弱小諸侯が言い争いを始める。今迄後方で見ているだけの日和見主義だった連中だが、口だけは一丁前であった。しかし公孫賛を

 

はじめ、有力諸侯はそんな争いになど注意を払わなかった。払う価値も無かった。何もしない連中に議論に参加する資格などない。

 

だが、この状況は最初から形骸的なものであった連合の実態をはっきりと浮き彫りにし、それが益々諸侯を苛立たせていた。

 

(この日和見主義の俗物共め……都合が悪くなれば途端に手の平を返すなど、支配者の風上にも置けん連中だな。腹立たしい)

 

諸侯が言い争う光景を見て、公孫賛はそんなことを思っていた――

 

 

 

「――お話し中、失礼します」

 

 

 

――不意に言い争いに割り込むように少女の声が聞こえ、諸侯が振り向くと――そこには、今迄引き籠っていた劉備が居た。

 

傍らに諸葛亮と関羽を伴い、何か思い詰めたような決然とした表情を浮かべ、軍議の中に歩を進めてくる。それを見た諸侯からは

 

口々に激しい非難が浴びせられるが、それらが全く耳に入っていないかのように、劉備は表情を変えないまま進み出て来た。

 

「劉備……貴様……っ!」

 

「待ちなさい曹操。どうやら穏やかじゃないわよ」

 

忽ち曹操が気炎をあげそうになるのを隣に居た孫策が制する。曹操は怒りも露わに孫策を睨むが、孫策は首を横に振り、今は話を

 

聞くようにと促す。曹操について来ていた夏侯淵もまた怒りのままに飛び出しそうになったが、流石に今は拙いと思ったのだろう、

 

飛び出したいのを堪えて劉備が口を開くのを待った。そして袁紹が劉備に応じる。

 

「……劉備さん、あなた今になって何をしに来たんですの?また軍議に出てこれるようになったことは喜ぶべきなのでしょうけど」

 

「……今日は、お願いがあって来ました」

 

袁紹の問いに劉備は答えるが、彼女には今の今まで引き籠って軍議に出てこなかったことを詫びる様子は欠片も無かった。

 

劉備の発言を受け、諸侯は劉備が今まで引き籠って軍議に顔を出さなかったことをはじめ、あることないことを声高に非難するが、

 

主君を侮辱されたと感じたのか、関羽が強烈な殺気を放ち、諸侯を睨み回す。酷く負傷しているとはいえ、関羽も一騎当千の猛将。

 

そんな彼女に睨まれれば、諸侯も怯えて黙るより他無かった。

 

「関羽さん、皆さんを睨みつけるのはやめていただけます?要らぬ批判を買うもとですわよ」

 

袁紹が関羽を窘めるが、関羽は謝罪どころか殺気を収める様子さえ見せず、袁紹にまで殺気を叩きつけてくる。しかしそれは幸か

 

不幸か、昨日の戦闘で北郷一刀の激烈極まりない闘気を味わった袁紹にしてみればそよ風程度にも感じられず、袁紹は特に怯える

 

こともなかった。何を言っても無駄であろう関羽を無視し、袁紹は劉備との話を続ける。

 

「それで劉備さん、お願いというのは何ですの?」

 

「……連合はまだ戦いを続けるんですよね?」

 

「それについて話し合っていたのがこの軍議ですわ。まだ何も解答は出ておりませんけれど」

 

「……わかりました。なら……」

 

そこで劉備は一端言葉を切る。目を瞑り、俯き気味に袁紹の話を聞いていた劉備は、言葉を切って数瞬の後、決然と――

 

 

 

「――次の戦闘は、わたし達に先鋒を務めさせてください!」

 

 

 

――諸侯が思いもよらなかった言葉を、口にした。

 

-7ページ-

 

あとがき(という名の言い訳)

 

 

久々に発動しました、連投のJack Tlamです。

 

まあ元々一話分だったのを二話分に編成し直しただけですけど。文字制限が…ね。

 

 

あまり細かくはコメントしませんが、やはり特筆すべきは麗羽の劇的な変化。

 

そういうわけで一言。

 

 

 

「なんということでしょう」

 

 

 

…『劇○ビ○ォー○フター』かよ。いやまあ、ビフォーの描写が少なすぎるのですが、

 

恋姫をプレイした方なら散々(?)知っているキャラだと思いますので。

 

 

ただ違うのは、最初から一刀に好意的であったこと。時代的にもああも強くて気持ちの

 

良い男はそうそういないでしょうから。麗羽だって女の子ですからね。

 

そこは一刀の天然タラシ(ただし一般論からしてもタラシに類する行為は行われていない)の

 

力ということです。女たらしなのではなく人たらし。一刀の強力無比な武器がここに来て…。

 

 

一方の華琳。ますます自重しません。

 

『真』の覇王としての一面が強い彼女はおそらく記憶が甦らないと出てこないかも。現時点では

 

無印の『覇王(笑)』状態なので。最早、覇道が単なる意地になってきていますね。こいつはもう

 

どうしようもないな。さっさと叩き潰して覇王に戻してあげなければ。苦手意識はありますが、

 

今の一刀の在り方というのが誇り高い覇王としての彼女のそれに近いものでもありますので、その

 

点を意識しつつ、やっていきたいと思います。

 

 

そしてとうとう出て来る桃香。相変わらず他人の話も聞かないし状況を考えもしないで無茶なことを

 

仰る。しかも怪我が少し良くなって動けるようになったばかりの愛紗まで連れてきて、威嚇させるなんて。

 

別にそれは桃香が指示を出したわけではないですが…。

 

もういい加減こいつをつまみ出せこの野郎、とか仰る方もおられるかもしれませんが…。

 

 

次回は第四章最後の戦闘です。一刀と桃香の直接対決となります。そして遂に、一刀と朱里がその

 

真の力を解き放ちます…。

 

 

 

次回もお楽しみに。

 

 

追伸

 

 

なぜか後編の方が前編よりも圧倒的に閲覧数が多いんですよね…前編も見てね!

 

-8ページ-

 

次回予告

 

 

 

訪れた決戦の時。人々は瞠目する。誇り高き賢王と心弱き仁王が対峙する時、戦いは大いなる破局を迎える。

 

 

次回、『解き放たれた力』。

 

 

悲しみと怒り、認識と決意。放たれる咆哮は超越の意志。((運命|さだめ))越えし者の力が今、目覚める。

 

 

説明
連投で後編となります。後編はそれぞれの状況にスポットを当てます。

会話メイン…というか会話しかありません。では、どうぞ。

※アンチ展開有


2014/11/08 本文を加筆・修正を施した改訂版に差し替えました。
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コメント
>>ジン様 コメントありがとうございます。どうも次回だけでは終わらないっぽいです…。応援ありがとうございます。お楽しみに。(Jack Tlam)
次回の解き放たれた力は一刀と朱里のことなのかはたまた桃香のことなのか 更新楽しみに待っているので頑張ってください応援してます。(ジン)
>>剣様 コメントありがとうございます。確かに少し可哀相すぎる描き方をしているかもしれません。私自身が創作家として「人間の悪意」を根底のテーマの一つとしているため、こういう描き方になっています。どうやら次回だけでは終わらなそうです。次回は炉に火を入れるまでで終わりそう…それだけにその次が恐ろしいですが。(Jack Tlam)
可愛そうだな〜桃香。まあ、あんな理想を追い求めていて覚悟が無いとなるとこういう描かれ方になるのも当たり前ですね。次話の「解き放たれた力」では、二人にどう料理されるのかな?(剣)
>>なるっち様 コメントありがとうございます。別に桃香をヘイトしているわけではありませんが、視野の狭さと思い込みの激しさ、覚悟の無さが最悪の形で表出した結果ですね。次回はそんな桃香の酷さがさらに加速する内容となります。お楽しみに。(Jack Tlam)
>>サイガ様 コメントありがとうございます。戦闘が続くと描写に苦慮することが多くなるので更新頻度が減少しています。今後徐々に週刊程度には戻せたらなと思います。(Jack Tlam)
とても面白いので、続きがとても気になります。月刊でもいいので、続きをお願いします。 (サイガ)
>>KU−様 コメントありがとうございます。戦闘が続いているため描写に苦慮することが多々あり、更新頻度が減少しています…花粉症で本調子がでないというのもありますが。今後更新速度は戻ってくると思います。モノによっては数日と待たずあがるものもありますので。(Jack Tlam)
続きが気になりますね。更新頻度は月刊という感じで思っていればいいですか?(KU−)
>>続き 散り際がどうなるか…第六章までお待ちください(死なないけど)(Jack Tlam)
>>qiyuku様 コメントありがとうございます。それは言えていると思います。確かに周りに人が居ませんものね。史実の袁紹の下にはいい人材がいたのに…外史だと二枚看板だけですからね。桂花も出ていってしまっているし。(Jack Tlam)
追伸 私は麗羽が好きなのでせめて散り際ぐらいは美しくあってもらいたいものです。(qiyuku)
麗羽は周りに人がいないのがアホの子になってる原因だと思う。最初に一刀たちが入っていればまともな正確になると思うの。それに麗羽は天の御使いの名声をそこまで利用しないでしょう。自分が先頭に立ってナンボの性格ですから。(qiyuku)
>>アーマイル様 ああ、思い当たる節が…。といっても私の場合、ハードがないものですからプレイできませんけど。過労と言えば確かに過労かもしれませんけど、ね…回復力は確かに凄いですが、どうなることやら。(Jack Tlam)
オチはコメント打った日に発売されたゲームの魔法です。でも右手から飛ばしていたから口からゴフォ! なんてなかったことに後々で気づいた。それはさておき冷静に考えると過労から来たのかも、でも回復力早そうだから1日休めば完全回復しそうだ(アーマイル)
>>sansin様 …えっと、二人は死んでないんですが…死神と言えば死神かもしれませんけど…ってあなたが逝っちゃ駄目でしょ!(Jack Tlam)
次はまだかな〜。 あれ?川の向こうの綺麗なお花畑から一刀くんと朱里ちゃんが手招きしてるよ〜。これは行かないと(ルンルン)ガクッ!(死会せな顔(^^♪)で逝ってます)(sansin)
>>アーマイル様 …えーと?よくわからないのですが、魔法で済めばまだマシだったかもしれませんね…(Jack Tlam)
血を吐いた理由は個人的に魔法が使えるようになったというオチで魔法ネタと言ったら・・・ゴフォ!(アーマイル)
>>続き 余裕をなくしているから周囲を見渡せないのです。さて、二人はなぜ血を吐いて倒れてしまったのでしょうか…。(Jack Tlam)
>>アーマイル様 コメントありがとうございます。言い得て妙ですね。上品ぶった賊軍ですか…確かにそうですね。心の持ちようでここまで差が開くわけです。無印華琳見てるとそんな印象を受けたので。『真』の華琳はまだしも…あっちは美化され過ぎてるか。(Jack Tlam)
>>慎様 コメントありがとうございます。人の話を聞かないのはいつものことです。それが今、一刀達が董卓に無理矢理従わされている(桃香達の勝手な思い込み)というのがあるので、悪い方向に凄まじい勢いで突っ走ってしまっています。思い込みの激しい子って怖い。(Jack Tlam)
>>続き 恋は人を強くするものです。以上。(Jack Tlam)
>>レヴィアタン様 コメントありがとうございます。どうなるのかは次回をお楽しみに。そして華琳は無印よりも「嫌な奴」という方向性を強めています。まもなく終わりですが…物語の「序」が終わって、「破」がようやく半ばにきたところなので…(Jack Tlam)
>>続き SMどころの騒ぎじゃNEEEEEEE!!でも怒った才華がどうするのかによっては、sansin様が用意されているものはともかくとして内実はさほど変わらないものになるかも?(Jack Tlam)
>>sansin様 コメントありがとうございます。そうですね。ってトリップ…?(Jack Tlam)
続き それ以前に自分が完璧だなんて言ったら成長しないな。…う〜ん、冥琳は策に気づいているのに華琳は策に気づかないのは…この段階でも気づいた特機には完膚なきまでに滅多打ちっぽい。それはさておき一刀と朱里がその日に吐血するのは大体は…予想できる。(アーマイル)
そして後編を再び見て、実際に勝ち続けてきたから正当化できても負け続けて歪むに歪むと曹操軍も上品ぶった(個人の目線で)賊軍にしか見えないことが1ページを見て明らかに、挙句の果てには麗羽は急成長してるためその開きが天と地の差に、まあ完膚なきまでぶっ叩かれても昼ドラの1シーンみたいにめちゃくちゃにするみたいなこと言ったらこれ以上の成長はないな。(アーマイル)
桃香よ話ぐらい聞けぇぇぇ!! 戦い続けるか話し合っていると言っているだろが!!なに勝手に戦うこと前提にしている訳!!(慎)
続き 最後に一言。麗羽さんかっけぇぇぇ!!(・д・)コノヒトカワガムケレバアタマイインダヨナ(レヴィアタン)
なんか一刀と朱里倒れちゃったな〜、次回予告の目覚めた力ってのに繋がってくるのかな?ていうか華琳さん・・・(゜Д゜;)無印ヨリキョウカサレテマスヤン もうすぐ反董卓連合も終わりですね、頑張ってください!続き楽しみにしてます!   P.S.桃の人?・・・わざとスルーしたんだよヾ(・ω・`)(レヴィアタン)
続き、わたくし只今洛陽にて反乱軍首謀者たちへのお仕置き用機材を準備しながら全裸で待機中です(バラ模様入り100匁ローソク、ヒョウ柄棘付鞭、真桜さま特製のお菊ちゃん人形、三角木馬等)反乱軍の皆さんお楽しみにねww (sansin)
キタ〜〜! しかも2話連続!! 今回も面白く拝見させていただきました。いや桃の人や覇王さま(笑)はどうにも救われなさそうですね。さて私はお先に洛陽にてトリップさせてもらいますね(ムフフフッ)(sansin)
>>qisheng様 コメントありがとうございます。何なのでしょう。曹操が無印より酷く見えるのは、この時点で大敗しているからですね…勝てる見込みがないことは彼女にもわかっているのです。でもそこで自分こそが覇王でなければならないという想いが良くない形で表面化してしまっているのです。(Jack Tlam)
修正力ではないとしたらいったい何なんだろうか?  血反吐?をはくごとによって形態がかわるのかなぁ?しかし曹操は無印の時よりひどいよ、、 (qisheng)
>>殴って退場様 コメントありがとうございます。それは次回あたりに言及しようかと思いますが…もう未来は無いでしょうね。まだ物語の先は長いですが。二人の差はようは感情の持ちようです。(Jack Tlam)
これは桃香自らの暴走かそれとも雛里の仕掛けによる暴走か、どちらにしても劉備軍の未来はこれで終わったか。そして麗羽の成長と華琳の劣化は新鮮で面白い。(殴って退場)
>>h995様 コメントありがとうございます。華琳が美化され過ぎていると思ったのが、こうして「堕ちる」描写を採用したきっかけですね。知っている一刀と知らない彼女では当然ながら覆しようのない差が最初からあるわけですが…それでも信念を掲げる者として敗北したのは間違いない事実でしょう。(Jack Tlam)
呉√では原作における唯一の失敗といえる雪蓮の暗殺以後は精彩を欠き、赤壁で大敗した事で勢力を保てずに滅んでしまったのを踏まえると、あらゆる意味で完全敗北したこの外史では、呉√以上に落ちこぼれている現状でむしろちょうどいいのかもしれませんね。(h995)
>>D8様 コメントありがとうございます。少なくとも後者ではありません。正確には「記憶が甦るまで直らない」ですね。三国は美化され過ぎていたのです。そして一応候補者は複数いますので、そちらがどうにかなれば目的は達成されます。(Jack Tlam)
>>MASADA様 コメントありがとうございます。要するに美化フィルターを(私の解釈で)取り払ったのが今の二人です。桃香に空気を読むことを求めること自体が間違っている気もしますが。最初の頃はそうでもなかったような気がするんですが、私の個性が全開になっているので…。(Jack Tlam)
>>mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます。感情の持ちようで人間はここまで変わるということです。そして詰んでしまった連合。やはり感情の持ちようです。一刀達の返事の理由については次回、劇的な形で説明される予定です。(Jack Tlam)
>>nao様 コメントありがとうございます。意地になってしまっているのはやはりまだ若いと言うことなんでしょうね。そして一刀達がどうなるかはまた次回。少なくとも修正力は関係ありません。外史の修正力はもう、二人の存在を侵食することはできないのです。(Jack Tlam)
>>Kyogo2012様 コメントありがとうございます。まさしくKyogo2012様の懸念の通り、後者なのです。こうして出てくる前に雛里から報告は行っていますけど…雛里との会話を次回やれたらなと思っています。(Jack Tlam)
北郷達の倒れた理由は氣の使い過ぎか、はたまた外史の修正力か・・・。曹操の愚者っぷりが異常。死ぬまで治らないなコレ。成長した麗羽、成長しない劉備、むしろ堕ちていく曹操。見事に対称的ですな。 つーか目的は達成できるのかコレ・・・(D8)
なんか、曹操と袁紹の地の部分が見えてきた気がしますね。というか劉備、諸侯が継続か否か言ってるのに、なんで戦う気満か々なんだよ。少し空気読め。それと、前回の投稿からしばらく経っているとおっしゃっておりましたが、この密度と濃い内容なら、全然気になりませんよ。今後も頑張ってください。楽しみに待ってます。(MASADA)
変化がいい感じになっている袁紹と悪い感じになっている曹操がとっても対照的ですね。しかもそこにまったく成長の影が見えない劉備がやってきて…連合詰んだな。しかし、一刀達に起きた変事が気になります…。(mokiti1976-2010)
曹操の劣化ぶりがぱねぇ!倒れた一刀たちはどうなってしまうのか?そして何が原因で倒れたのか・・・きになる!(nao)
劉備よ。今さら、前に出て何をするつもりなのか?どうせ、戻ってきてと訴えるだけだろうけど・・・・・・。お馬鹿すぎるな。名乗りを聞いていなかったのか?それすらも、わすれているのか? それとも、自分たちにとって都合悪いことは見て見ぬふりをしているだけなのか?後者なら、最悪だな。どうも、後者っぽい木がするけどな。(Kyogo2012)
>>ataroreo78様 コメントありがとうございます。少しも変わってません。恋は人を狂わせもするということです。(Jack Tlam)
>>flamme様 コメントありがとうございます。短絡的ですね。そして桃香もまったく愚かです。桃香が何か他人にお願いごとに行くときには必ず愛紗と鈴々がいるので、そこについての深読みが反映されています。さて、まだまだ転落していきますが…お付き合いしていただける覚悟はお決まりですか?(Jack Tlam)
>>M.N.F.様 コメントありがとうございます。外史の修正力はほとんどなくなっているようなもので、二人は歴史を変えようが特に問題は無いのですが…果たして何が起きたのか。次回をお楽しみに。(Jack Tlam)
>>たっつー様 コメントありがとうございます。まさしくそれです。呼び集めた当の麗羽はなんか心変わりしてしまうし…まあ誰もかれもが他者を踏み台にしようとしていたのがこの連合ですからね。ある意味、劉備軍はいちばん割を食っているわけです。純粋な善意(?)で参加したのにね。(Jack Tlam)
>>続き 必要なことですね。ただそれを当然と考えるか考えないかの違いがあるだけで。そしてそれはどうなんでしょうか…結果的には同じかもしれませんね。(Jack Tlam)
>>禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます。そこは人間ですしね…でも基本は「このやり方は間違っている」という認識が浸透しているものとご理解ください。そして関羽…劉備は別に脅すように指示したわけではないのですが…連れてきている時点で同じか。(Jack Tlam)
お?桃香さん、数日塞ぎ込んで少しは変わって・・・・ないですねコレ。(ataroreo78)
今回の孔明の短絡的行動と、静里の言葉に耳を塞ぎ現実を見ようとしない態度は桃香にそっくりだなと思いました。桃香も同じく一刀達を取り戻せば解決できると思い込んでるからこその先鋒希望なのでしょうが、愚かな・・・。そして軍議に出てこなかった事への謝罪をしないばかりか、愛紗を連れて自分の希望を呑ませようとする問題行動。もうこんな馬鹿、九割殺しでもよいのでは。(flamme)
一刀も朱里も爺さん達のもとに『無事に』帰ってこれるか怪しくなってきたな・・・どうなるんでしょ? ・・・修正力か・・・(M.N.F.)
人を道具として見るのは必要事項または必須事項でもありますが、この連合の中で『人を道具として見ている』諸侯は曹操含めて多いですが『人を道具としてしか見ていない』人物が一人だけいると9割方断言できそうな…。もうこいつ半殺して捨て置けお願いしますm(_ _)m 。(禁玉⇒金球)
休日の朝から良い作品を有難うございます、皆揃って酷すぎですが洛陽陣営からも自己正当化的な偽善者臭がちらほらしつつもうまく纏めてあって大興奮でした。そして件の約一名が再登場!白蓮の下の根が乾かぬうちから関羽でお願い(脅迫)と来たもんだ!!。(禁玉⇒金球)
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