真・恋姫無双〜Re:道〜 |
第三章‐肆話 『 嵐を呼ぶ〜洛陽編〜 』
カラン、カラン、カラン
「((@@@|ピンゾロ))か…」
「何をなさっているんですか?」
洛陽に到着してすぐ、月達は待合用に設けられた一室に通されていた。共に来た劉協は即座に洛陽の自室に連れて行かれ、今ここにいるのは月、鈴蘭、和輝、そして皇甫嵩と何進の五人である。そんな中で和輝は一人椀の中へサイコロを投じていた。
「別に大したことじゃねぇが、この後どうなるか気になってな」
「和輝さんは占いができるのですか?」
「できねぇよ。だが、賽の目は嘘は吐かねぇからな。下手な占いより信用できる」
実際、どっかの誰かが人生をサイコロに例えるくらいなのだから世の中そんなモンだろうというのが和輝の考えでもある。
「橘殿、遅くなりましたが、礼を述べさせて下さい」
「帝のことか?」
「いえ、それもありますが、個人的に。柊を救っていただいたことです」
「…ああ〜」
そういえば、柊と劉協を天水に連れ帰った時に柊が一人だけ安否を報せたい相手がいると言ったので楠を連絡役に回したがその相手が皇甫嵩とは思わなかった。てっきり親族あたりと思っていた。(二章‐玖話より)
「ですから、今後私のことは山吹と読んでください」
「別についでだったから気にしなくてもいいんだけどな。まっありがたく頂戴しとくよ。ついでに俺は和輝だ」
「それより、此処まで来て言うのもなんだが、本当に三人だけで来てしまって良かったのか?」
真名を交わした直後に何進が口を開く。
「奴等…十常侍は何をしかけてくるか分からんぞ?」
「大体分かるさ…。奴等が外道なら簡単だ。それに、外道でなかったとしても、もう後には引けねぇ。御嬢には迷惑かけるがな」
「気になさらないで下さい」
「そうだ、それに月様は私が必ず守り通す」
「お前最近真名で呼び合うのに抵抗無くなってきたな」
「まっ、まあ、お前のおかげだ」
その時、ようやくお呼びが来た。
「董卓並びにその将、準備が出来たので玉座に案内する」
酷く事務的な言い方であるが今はそのことは気にするつもりもない。揃って部屋を出ようとした時までは。
「武器はこちらで預かります」
「なっ、武人から武器を取り上げると言うのか!?」
「帝の身の安全の為です。それに玉座に武器は必要無いでしょう」
「だからといって「ほらよ」和輝!?」
食って掛かりそうな勢いの鈴蘭を尻目に早々に己自分の刀を手渡す。その事に鈴蘭は驚いているようだが、和輝にとっては概ね読み通りでしかない。だからこそ敢えて相手に合わせてやっているのだ。
和輝が真っ先に武器を渡したことで鈴蘭も渋々ながら武器を手渡し、山吹と何進も玉座に入る為に武器を手渡す。
「橘殿。そちらの短刀もです」
「これは只のお守りだよ」
そう言って、兵に指摘されたドスを抜いて見せるが、そこには刀身は無く、ただ柄と鞘だけしかない。それを確認した兵は渋々だが所持を許した。そのことに和輝は兵に見えないように笑みを零した。
玉座の間に通されまず不審に感じたのは名の通りの玉座そのものだった。其処に居るべき筈の帝、劉協は居らず空席になっていた。そして部屋には十常侍とその配下の兵であろう者達が居並んでいた。
「張譲、劉協様はどうした?」
「劉協様は気分が優れぬ故、代わりに私共で恩賞を手渡すことになったのだ」
そう言うと張譲はニヤリと嗤う。
「ならとっとと始めようか。せっかく誘いに乗ってやったんだからよお」
和輝の言葉に一様にニヤニヤと笑みを浮べていた十常侍の顔が引きつる。それを見て今度は和輝が嗤いながら続ける。
「てめぇ等の言う恩賞ってのは『死』だろ?兵に武器持たせてこっちは丸腰、おまけに殺気だらけ、これで気付くなってのが無理だな。てめぇ等阿呆だろ」
暫く引きつった顔でいた張譲だったが再び下種い笑みを浮べ始める。それは和輝が言ったように相手が丸腰だから。なら今更思惑を悟られたところで今から亡き者になる者達相手には関係の無いだろう。
「話が早いのは実に助かる」
「そいつぁどぉも」
「どういう事だ和輝」
鈴蘭が疑問を口にする。
「つまりこいつ等は帝を独占したいんだよ。その為には帝を助けた御嬢が邪魔になるってことだ」
「そういうことだ」
張譲が合図を出すと兵達は武器を構える。弓が十人、刀剣が十人。最低限にして丸腰の人間五人には十分な数だろう。
「張譲!貴様、まさか我々まで!」
「当然です。皇甫嵩はどこぞの文官と親しかった様なので同じことが起こらぬ様に、何進は元々我等を快く思っていなかった様なのでこの際邪魔者には全て消えてもらいます」
五人はお互いに身を寄せて張譲を睨む。
「放て!」
矢が放たれる。その迫る矢と月達との間に和輝が飛び出すと
「『((空太刀|からたち))』・『((剪定|せんてい))・枝払い』」
刀身の無いドスを抜き飛来する矢を切り払う。その光景に周りは唖然となっている。
「だから、『敢えて乗ってやった』つったろ?なんの準備も無しにいるとでも思ったのか?それとも巧く策に掛かったとでも思ったのか?めでてぇ頭してんなぁ」
「貴様!何をした!」
「『空太刀』は文字通りの空っぽの太刀だ。ま、ようはカマイタチみてぇなモンだな。鞘の中の空気や真空が刀身になる」
「無茶苦茶な…」
「因みに『飛ぶ』ぞ?」
言うが早いか同じ様に抜き放つ。それだけで今度は弓を構えていた兵の首が飛んだ。
「まぁ弱点は抜き一回で一振りしかできねぇことだな」
「お前にとってのそれは弱点に入るのか?」
和輝の一言に鈴蘭が突っこむ。
「ええい、奴は後回しだ!董卓を殺せ!」
張譲の命令で標的を月一人に絞り兵達が襲い掛かる。唯一の戦力の和輝が弓兵を相手にしている間に刀剣を持った兵が月に剣を振り下ろそうとしていた。が、
「あれ?」
間の抜けた声を上げていた。その兵が持っていたはずの剣は兵の代わりに月が手にしていた。
「月様!」
「鈴蘭さん、これを」
月は手にしていた剣を鈴蘭に渡すと鈴蘭はその剣で月に斬りかかった兵を切り捨てる。
「月様、いつの間にこんなことを?」
「楓さんに護身術として教えていただきました」
そう言いながら、さらに三本の剣を奪うとその内の二本を山吹と何進に渡す。その間に和輝の方も弓兵を片付けていた。
「無刀取りかよ。普通、護身でいきなり教えるモンじゃねぇけどな」
「あ…ああぁ…」
「さて、じゃあおめぇ等死んどけ」
その後玉座の間が血の海になるのに時間は掛からなかった。元々十常侍は文官であったしその兵も武器さえあれば敵ではない。
「張譲が居ないぞ」
何進の声で確かめるが死体は29…確かに一人分足りない。
「あの、此処から逃げたんじゃないでしょうか?」
月が居る場所…丁度玉座の真裏に当たる場所の床には縦穴に梯子が掛かっていた。
「こういう所は用意周到だな。まぁ元々逃がすつもりだったから丁度いいけどな」
「和輝さんこれからどうするんですか?」
「とりあえず天水にいる奴等を洛陽に呼び寄せる。後は一刀達次第だな」
そう言って煙管を取り出して吸い始める。下準備は整った。後は一刀達の成否が鍵を握っている。
「あのぅ、和輝殿。一応此処は玉座の前なんですが…」
山吹の注意は空しく消えた・・・
あとがき
ついに月ちゃんの奥義炸裂!そして和輝のチート奥義も炸裂でした。
因みに、空太刀の語呂合わせの元ネタは((唐橘|からたちばな))で「からたちの花」という歌でも知っている人が居るかもしれませんが元が『橘』なだけに和輝にとっての奥義となっています。(現時点では…)
そして、次回は一刀達のターンになります。
では、また次回!!
説明 | ||
月ちゃんは強くなりました!な話 『Re:道』と書いて『リロード』ということで 注:オリキャラでます。リメイク作品です |
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コメント | ||
天龍焔さん> 一刀「なんか扱い酷くないか?」 白雪「…変態には丁度いいし」(ツナまん) 白雪「…↓というコメントがきてたし。だから無理だし」 一刀「ちくしょー!」(ツナまん) 嗚呼、一刀の純に変態な心ですね、しかしない物を返せと言われても…いけないよ白雪さん近寄ったら爛れるから(禁玉⇒金球) 禁玉⇒金球さん>白雪の場合は完全にわざと煽って遊んでますけどねwそれを真に受ける一刀が純粋すぎるのですよ。 一刀「俺の純心を返せ」白雪「…うるさい変態」(ツナまん) naoさん>まあ、あくまで今は護身だけですけどね。一兵卒位が相手ならひょいひょい取り上げますよ。 弓が相手を考慮しての和輝です。(ツナまん) ↓×6 報いきれぬ恩と拭いきれぬ汚名という表現が御座います一刀君は正にそれなのですよ、あとセクハラは受けた方の主観と感じ方ですからね、白雪さんが許さなくても仕方なし。(禁玉⇒金球) 護身術で無刀取りってすげ〜なw弓で狙われたらやばかった気がする^^;(nao) nakuさん>な、なんて理不尽な・・・(ツナまん) 黒鉄 刃さん>?げている相手をさらに?ぐんですよきっとw(ツナまん) nakuさん>月「ちょっと頭冷やしましょうか?」 宦官「ガクガクブルブル」(ツナまん) kyogo2012さん>現在はまだ護身程度ですが今後は…成長に期待していてください(ツナまん) 禁玉⇒金球さん>いつになれば汚名挽回できるのか…え?間違ってる?ソンナワケナイジャナイデスカー(ツナまん) nakuさんわかってると思いますが、宦官は元々?げてますよ…。(黒鉄 刃) こういうチートなら大歓迎です。月が強くなることはいいことです。月、最高〜。(Kyogo2012) シリアスさんウェルカムバック。些か強すぎるが良いじゃないですか。次回は若干不遇の御使い君が活躍ですか?かの名を『北g…白雪「変態」』、そうでした彼はまだ変態でした。(禁玉⇒金球) |
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