なんか神の不手際で転生するらしい
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「………本当にどうしてこうなったんだろうな?」

 

 

 

なんか俺憑いてる気がする。今度タマモに除霊してもらおう……13回くらい

 

 

 

「オラァ!貴様ら手ぇ組んで蹲れ!!」

 

 

 

あれは、俺が変装してレジアス中将のところに向かおうとミッドチルダに来たことだ。中将には胃薬を土産に会いに行くと秘書のオーリスに伝えその旨を了承してくれたのだが会議が思った以上に長引いているらしく終わったらこちらから連絡するということで俺はミッドチルダを適当に散策してデパートに立ち寄ったのだ。そしたら――――

 

 

 

「オラァ!テメェも腕組みやがれ!!」

 

 

 

強盗………というより立てこもり犯だな。強盗なら盗んでさっさと退散するだろうし。それに遭遇してしまったというわけだ。ハハハ、もう笑うしかねぇや!!現実逃避しようと窓の方を見てみる。すると局員らしきピンク髪をポニーテイルにした局員を中心に武装隊が包囲してこの現場を指揮しているらしい指揮官であろう人物が何か言っている。

とりあえず………なんで烈火の将がこんなとこにいるの!?……ハ!まさかあの戦闘狂…犯罪者とドンパチしたいがために自分だけ管理局に残っていたのか!?……とまあ、そんなありえなくもないジョークは放っておこう。大丈夫!他の皆がそう言っても僕は君が八神家の生活費を稼ぐために管理局で働いていると信じているから!!

 

 

 

Side:シグナム

 

 

 

ええい!ここ最近、まるで手ごたえが無い腑抜けた犯罪者ばかりで退屈だったところに指名手配中の犯罪組織がいるというから、やっと骨のある相手と戦えると思ったのに………人質とは姑息な真似を……

おっといかん……改めて状況を分析せねば、今ここのデパート内にいる立てこもり犯は数十名……用件は逮捕された仲間の解放と逃走用の車及び最新鋭の次元航行船、これらを一時間以内に用意せねば一分ごとに一人ずつ人質を殺すと言ってきている。普段なら隠密に優れた局員とペアで内部に潜入して一気に制圧するところだが……厄介なことに、奴らは人質を何区画かにわけている。生体反応から見ても間違いない。それに中の様子を見るために潜入を試みた局員が一人殺されたところから見て下手をしたら奴らは魔法を無力化する装置か何かを所持し、なおかつ向こうはそれを無力化する装備か何かを持っている可能性が高い。それ故に手を拱いているのだ。

 

 

 

「シグナム隊長!俺に・・・・・・・俺に任せくださいませんか!?」

 

 

 

今私に進言している彼はヴァイス・グランセニック。彼はこの武装体の中でも屈指の狙撃能力を持つ。確かに、実弾なら魔力を必要としないし、戦闘ならともかく今回のような不意打ちならシールドを張られる心配もない。彼の技量なら人質を傷つけずに狙撃することも可能だろう。………平時の時なら

 

 

 

「ダメだ。」

 

 

 

問題は単純。その人質の少女が此処にいるヴァイスの妹なのだ。現に彼の精神状況はあまり良くない

 

 

 

「今のお前では人質であるあの少女に誤射をしかねん」

 

「ですが!ラグナは俺のたった一人の妹なんです!」

 

「だから助けたい……その気持ちは痛いほど分かる。だが、今のお前の状態を結びつけるわけには行かん。お前も状況判断位できるだろう?立てこもり犯の中には準S級の奴もいる」

 

「………できます。ですから、俺にやらせてください!」

 

「………はぁ〜、わかった。お前の腕は信用に値する。やってこい。指揮官からは私から伝えておく」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 

そう言って、ヴァイスは向かいのビルに入り屋上へと向かった、念の為補助として局員1名を付いて行かせた、信じていないわけではないがヴァイスの精神状態を報告させて、いざとなれば私が出撃せねばならないからだ。

 

 

そして補助としていかせた局員からの報告では、やはりヴァイスは安定していなかったようだ、大丈夫だろうか?

そして私は不覚にもこのことを盗聴されていたことに気付かなかった。

 

 

 

Side:伸

 

 

 

成る程………

どうやら、遠距離からライフルか何かで立てこもり犯を一撃で狙撃するようだな。だが……最初に殺される予定の人質がそのスナイパーの妹か……やれやれ、仕方ない。俺が一肌脱ぐか。もうこの施設内にある((魔力無効化装置|マギリング・デフォリアント))はそれと逆の波長を当てることで俺限定だが無効化されているが、俺が暴れたら目立つからな……さて、スナイパーさん…お手並み拝見と行こうか。

 

 

 

Side:ヴァイス

 

 

 

よし、サイレンサーもついているな……発砲音が聞こえたら敵に気取られて何をしでかすかわからないからな。そうなったらラグナが……最悪の状況を想像して思わず手に力がこもり銃身が震えてしまう。

落ち着け……人質を傷つけずに目標を撃つことなんて練習や実戦数えきれないほど行っている。この状況を打破するためにあの訓練場での営為を続けていたんだ!

だのに、どうしても腕が震えてしまっている。これでは、ラグナに当たりかねない。いやよしんば的外れな方向に当たっても着弾音で気付かれてしまう。今だけでいい!震えよ止まってくれ!あそこには俺の唯一の肉親が―――

 

 

 

『あーあ、聞こえるかね?』

 

「!?だ、誰だ!」

 

 

 

突如誰かに声をかけられた。武装体の中で俺の知らない声はいない。だから思わず声を上げてしまった。

周りを見てみるが、いるのは局員一人だけ。俺は一応聞いてみた。

 

 

 

「君、俺に声をかけたか?」

 

「い、いえ……どうしたんですか?」

 

「……いや、なんでもない。声をかけてないならいいんだ」

 

「あの……ヴァイス陸曹、やはり別の者に……」

 

「いや大丈夫だ」

 

 

 

どうやら幻聴だったのだろう。そう思い再びスナイパーライフルを構えるが―――

 

 

 

『聞こえているなら、返事をしてほしい。』

 

「!?」

 

 

 

やっぱり幻聴なんかじゃない!誰かが俺に声をかけている!一瞬後ろを見るが局員はおどおどしているがこれはここに来てからずっとだから特に変わりはない。ということは誰かが俺に直接念話で語りかけているのか!

 

 

 

『誰だ?』

 

『聞こえているようだな。誰かと言われるとちょっと困るからフリーの魔導師と答えておこう。』

 

『……そのフリーの魔導師が一体俺に何の用だ?』

 

『いや、君が妹さんとその他人質を助けるために向かいのビルから犯人を撃ち抜こうとするのは構わんが、銃身が震えているからな……左斜め斜角下に向けていく形、32度で撃て。ではな、健闘を祈る』

 

『おい!待て!お前は一体……』

 

 

 

クソ!念話が途切れた……一体誰なんだ?それに妹と言ったな…まさかさっきのシグナム隊長との会話を聞いていたのか?だが、今はそんなこと考えている場合じゃない。あと残り時間は20分しかない。とりあえずあの男の言うとおりに―――

 

 

 

「左斜め下斜角32度」

 

 

 

照準を合わせる。不思議なことにさっきまで震えていた腕が止まっていた。そしてスコープを除いてみる。……これならいける!

 

 

 

Side:シグナム

 

 

 

どうやら私の不安は杞憂に終わったようだ。さきほど、成功してリーダー格の準S級魔導師が狙撃で肩を撃ち抜かれさらに後ろに入るもう一人の仲間を持撃ち抜いたという報告もあった。そして、続けざまにリーダー格の部屋にあった魔力無効化装置を破壊してそれを合図に局員たちが一斉に突撃し事件は収束した。私ももっと仲間の腕を信じねばな

ただ、私がヴァイスを褒めていた時に彼が言っていたあの言葉………誰かに助言を受けた。彼の話を聞く限りどうやら盗聴されていたようだが……管理局の局員がこれだけいてバックアップも完璧なこの状況下で盗聴などできるわけが………他の皆も幻聴ではないのかと言っているし……まあ、今は事後処理に専念せねばな

 

 

 

 

 

 

Side:伸

 

 

 

「待たせたな麻井」

 

「別に構いませんよ。それが貴方の仕事なんですし………レジアス中将」

 

「そう言ってくれると助かる」

 

 

 

そう言って俺の席の向かいにいるのはレジアス中将。そしてその隣には秘書のオーリス秘書。所謂、秘密の密会というやつだ。

 

 

 

「話は奴から聞いている……アイツの言ったことを」

 

「うむ、儂が奴等との会話を聞いていた中で聞いた言葉だ。それに奴等、まるでこの世界を駒か何かと思っている節がある。」

 

 

 

駒ねぇ……自らの地位や権力と生への執着に溺れているだけかと思っていたが……そんな輩が人間を駒扱いするのには何の違和感もないソレをレジアスがわざわざ言うということは――――

 

 

 

「まるで、出来の悪い作品を見て嘲笑しているような感じだった」

 

「ふむ……まあ、アレについてはこちらで調べておく。俺のレアスキルなら時間は少しかかるがそれでも圧倒的に短い」

 

「すまないな。それと頼まれていたものだ。急だったから少し焦ったがな。何とか揃えられた」

 

「悪いな」

 

 

 

そう言って俺はレジアスから渡された資料を見る。その内容を見て俺は歯ぎしりを立てざるを得なかった。

 

 

 

(シグナムの他に((八神|・・))の姿もあったから嫌な予感はしたが………クソ!だが、これは俺でもどうしようもない。たとえ中将が言ったところでのらりくらりと躱されるだけだ。)

 

 

 

そこにあるのは局員育成課の教育内容だった。高町達が数年前の俺との模擬戦で管理局をやめた後、彼女たちはこの局員育成課のもとに入ったことは知っていた。この局員育成課とは将来を担う優秀な管理局に属する魔導師を育成するというもので学費が全て免除される代わりに卒業後は必ず管理局に入ることが決定されている。よく言えば将来安泰の専門学校みたいなものだ。そこに彼女たちが入ったのはいい。だが問題はその教育内容だ。

 

 

 

(明らかに高町、テスタロッサ姉妹、八神の育成プランが他の生徒と違って異常だ。普通の管理局員とスケジュールが同じだと!?犯罪者の逮捕まで行ってやがる。実地研修で通る度を超えている。しかも、過去にも同じスケジュールの奴が――――50人?!)

 

 

 

この育成課は、ちょうど高町達が部活をせずに学校を終えれば間に合う。そうかい、どうやら上は何が何でも、アイツ等を戦力としてこき使いたいらしい。

このことをレジアスに伝えたら彼の表情こそはそのままだったが怒り具合は凄まじかった。彼はすぐに問い詰めると言ったが――――

 

 

 

「まあいい、どうせ篩にかけるんだ……その時に奴らは終わりだな」

 

「篩?」

 

「そ、篩」

 

「……なるほど、そういう事か」

 

 

 

それに、アイツ等には強くなってもらわねばならん。そういう意味では悪くはない………頼むから壊れないでくれよ。

その後はくだらない雑談をしながら中将たちと夕食をとった

 

 

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あとがき

 

 

 

ハイ、というわけです。アレとは一体何でしょうね?そして篩の意味とは一体?そしてヴァイス君まさかの大活躍!わざわざ、伸君が犯罪者を撃退する必要はないのだよ!

まあ、今回は目立ちたくなかったので、念話で狙撃するポイントを伝えることでヴァイスのプレッシャーを和らげるということをしましたがどうでしたかね?伸の立場上目立つのは得策ではありませんので当然声も機械音声です。故にヴァイスは念話の主が誰かは分かっておりません。因みに状況と狙撃ポイントはサーチャーで確認しています。それと、管理局では質量兵器は廃止されているとはいえ、全くないということもないと思ってください。と言ってもあるのは小型拳銃や今回の場合に備えた遠距離からのスナイパーくらいでほとんど使われることもないですけど。

次回は飛びます。最近リアルが忙しい……

 

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第九十二話:私にいい考えがある
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