ここは譲れません[加賀] |
雪も溶け、暖かい日差しを射すようになったこの鎮守府で今日は・・・
「あ〜本日は休日とする、各員しっかりと休養をとって明日に備えるように・・・ってもういないだと」
提督は苦笑いしながら執務室に戻り仕事を再開した。
「たまには休むことも必要だな、彼女たちも私と同じように生きているのだから」
そう思いながら書類を書いているところにドアからノックの音が聞こえてくる。
「加賀です、入ってもよろしいですか?」
ドアをノックしてきたのは正規空母の加賀のようだ。
「あぁ、入ってもいいぞ。」
「失礼します・・・提督何をしていらっしゃるのですか?」
加賀が無表情で聞いてくる
「何って書類を書いているのだが・・・」
「書類を書いてあるのだがではありません、私も手伝います。」
加賀が手伝おうと近づいてくるが・・・
「今日はお前たちは休みだと伝えたはずだが?」
「確かに休みと言われました、しかしなぜ提督は休みではないんですか、あなたも休むべきです。」
加賀にそういわれ提督は
「俺は安全な場所でお前たちに指示を出すだけだからな、一番疲れてるお前たちが休めるなら俺はあとで・・・」
加賀が少し不機嫌になって口を挟んだ
「納得できません、確かに私たちは最前線で戦っています、しかしそれは提督も私たちに指示を与えているということでは一緒に戦っていると思います」
「・・・わかった、私も休むことにしよう。だが加賀お前もちゃんと休むんだぞ?」
提督は加賀にそう言うと
「もちろんです、私も休めるときは休みたいですから」
そう言って加賀は執務室から出ていった
「加賀に言われてしまったか・・・あの場所にでもいって休むか」
そういって提督はコートを羽織り、執務室を後にした
数時間後、加賀は提督がしっかり休んでいるのか見るために執務室を訪れたのだが・・・
「提督、失礼します。どこかに出かけたのかしら・・・?」
加賀は執務室をあとにしてちょうど通りがかった赤城に提督がどこに向かったのか話を聞く
「赤城さん、提督がどこに出かけたのかわかりますか?」
すると赤城は
「鎮守府の裏に大きい木のある丘があるでしょ?そっちに向かったみたいよ?」
「ありがとうございます、行って見ますね。」
加賀が去ったあと赤城は
「本当に提督が気になって仕方ないのね加賀は・・・叶うといいわね、あなたの恋」
加賀の後姿を見ながらつぶやいた
赤城から情報を得た加賀は鎮守府の裏にある大きい木のある丘を目指して歩く
「いくら雪がなくなったといってもまだ寒いことに変わりはないわ、どうして提督はこっちに向かったのかしら・・・」
加賀は歩きながら提督がなぜこちらに向かったのか考えていた
「まさか何か隠し事を・・・でも提督が隠すことなんて何も・・・」
色んな思いに駆られながら丘に着くと
「提督はどこに、あ・・・」
加賀がみた場所には、提督が大きい木に背を預けて眠っていたのだ
そっと加賀が近づき提督の顔をみると
「子供みたいな寝顔ね、とても気持ちよさそうに寝てるわ」
穏やかな表情で寝ている提督の顔を見て加賀は微笑んだ
「私たち以上にいつも頑張っているあなたが休まないなんて私は許さないわ、だって私はあなたのことが・・・」
すると提督が加賀の声に気づいたのか目を覚ます
「ん・・・?加賀?なんでこんなところに・・・ってなんでそんなに顔を真っ赤にしているんだ?」
「い、いえなんでもないわ・・・それより提督はどうしてこちらに?まだ寒いというのに」
「あぁ、たまにここに来るんだよ、眺めがいいだろう?ここから見える景色が好きなんだ」
そう提督が言うと加賀も同じ方向をみると・・・
「あ・・・確かにこの景色はとても綺麗ですね、戦争をしているというのがまるで?みたい・・・」
「そうだろう?それで、加賀はどうしてここに来たんだ?」
提督がなぜここに加賀がいるのかを問うと加賀は
「あなたがちゃんと休んでるのか心配になって執務室に向かったらいなかったので赤城さんに聞いたらここにいるって」
すると提督は納得したように
「あ〜そういうことね、って赤城のやつこの場所は内緒にしとけって言ったのに・・・」
すると加賀は不機嫌になり
「どうしてそこで赤城さんが出てくるのかしら、とても気になるのだけれど・・・」
「いやほら、前来た時に赤城が一緒でさ・・・って加賀?どうした?」
「・・・何でもありません。」
「何でもないのに何でそんなに不機嫌なんだよ。」
すると加賀はその言葉にカチンと来たのか
「・・・どうして、どうしてあなたはわかってくれないんですか!!」
加賀は感情を抑えることができず、喋る。
「今ここにいるのはあなたと私の二人だけです、それなのに・・・っ!!」
「すまん・・・俺が悪かった・・・」
すると加賀は冷静さを取り戻し
「私の方こそ取り乱してごめんなさい、でも今この瞬間、ここにいるのは私です、だから・・・」
加賀は提督に近づき
「私を、私だけを見てください」
提督に体を預けた
「加賀、お前は・・・」
「私はあなたのことが好きなの、この思いだけは誰にも負けません。」
しっかりと提督に抱きつく加賀を提督は抱きしめ返した
「ずっと俺のそばにいてくれるか?これからもずっと・・・」
すると加賀は
「あなたの隣は誰にも譲れません、ここは・・・」
加賀は提督に微笑んで
「ここは、私の居場所なんですから。」
そんな二人を沈む太陽が見ていた、まるで祝福するかのように・・・
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pixivでも投稿しているものです、短編読みきりになってるのでどうぞ | ||
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