真・恋姫無双〜Re:道〜
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   第三章‐伍話 『 嵐を呼ぶ〜交渉編〜 』

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和輝達が十常侍の思惑に乗り洛陽で騒動を起こしている頃一刀、楓、流琉の三人は天水を離れはるばる陳留へと来ていた。目的は今、ここを治めている人物との交渉である。和輝の考えはつまり、一方では反董卓連合が起こる要因を作り出し、一方で董卓軍の全員が生き残る為の手助けを得る為に動くというもの。月が全てを捨ててでも((皆|家族))を見捨てたくないと決意したからこそ和輝達が悪に成り、それを討つという名目で救い出し有耶無耶にすること。死力をつくして相手をすれば今の董卓軍なら跳ね除けることは出来るかもしれないが、死力を尽くすということは文字通り誰が死んでもおかしくは無い。それでは月の願いとは程遠い。だからこそ敢えて月の元を離れ連合に組し、月達を救える存在が必要不可欠。その為の交渉が一刀達だった。云わば、和輝や月達が無事に生き残れるかは三人の交渉の結果次第ということである。

「でも、本当に大丈夫かな?」

一刀はこれから向かう先―交渉相手への懸念を口にする。それは歴史を知るからこそ出てくる言葉でもある。一応、交渉の為の材料は事前に…それこそ帝を交えてまで話し合い用意した。それでもやはり懸念は残る。

「先輩。とりあえずやれるだけやってみましょうよ」

「そうですよ兄様」

楓と流琉がそれぞれ励ます様に声を掛けてくれる。因みに流琉が一刀を兄様と呼ぶ様になったのは最近のことで楓が和輝を兄と呼んでいるのを見てから暫く経った頃で、どうやら兄という存在に憧れていたらしい。まあ歳自体もそんな感じではあるし別に悪い気はしないので自分も兄として接している…つもりだ。

「そうだな、確かに二人の言うとお…」

「・・・・ぁ」

ん、今何か聞こえたような。空耳だろうか。

「・・しゅ・・まぁ」

いや違う。確かに聞こえる。しかも聞き覚えのある声で同じ様なことがあった気が…

「ご主人様あああぁぁん!」

「やっぱり出たー!」

はっきりと声が聞こえた時には件の化け物こと貂蝉が土煙を上げて全力疾走して来ていた。

「ごっ主人さまぁぁん!」

「はいっ!」

貂蝉の華麗なるルパンダイブを間に割って入った楓ちゃんが合気で投げ飛ばす。前にも同じことがあった気がする。(二章‐弐話参照)

「さて、じゃあ先輩、流琉ちゃん早く曹操さんのところに行こっか」

やっぱり放置するんだ。つくづく兄妹なんだな。

 

「では暫くここでお待ちください」

城に入りその一室に三人は通される。謁見の申し出はすんなりと受け入れられた。というのも、『天の御遣い』の名を出した為だが。

「まあ、使える物は何でも使うのが立華のやり方だからね」

「本当に無茶苦茶だな、立華組は」

その内本当に立華組が出来上がるんじゃないかなんてことすら考えてしまう。まあ、和輝に限ってそんなことは…ヤバイ、超ありそうだ。

「流琉ちゃん!」

「本当にいた!」

「天和さん!?それに地和さんに人和さんも!?」

突然やってきた三人の女の子に流琉は驚きと喜びの声を上げる。それもそうだろう、なにせ流琉が今一刀達と共にいるのは元々太白と白妙がこの三人を助ける為に動いていた時に二人に出会い共にいたことに始まり、この三人…張三姉妹と出会っているのだ。だがその時は結局三人を救うことは出来なかったのだが。(二章『天は蒼く黄天は沈むT〜W』参照)

だからこそ、生きていてくれればとは思っていたがまさかこんな所で再会できるとは思ってもみなかった流琉にしてみれば完全に不意打ちの様なものだったがそれでも嬉しくて仕方が無かった。

「楓ちゃんどうしたんだ?」

「…いえ、持ち点が足りないなぁって」

「そこ!?」

それから暫く四人は互いに別れた後の事を話し合っていた。そこから分かった事は、曹操が彼女達三人を始めから殺すつもりは無く、彼女達の人を惹き付ける才能を利用するために黄巾討伐に参加していたことだった。なら、上手くいけばこの交渉もなんとかなるかもしれない。

そんな風に四人の会話を聞いている一刀とは別に楓の方は部屋の一角を仕切って着替えをしていた。本人曰く勝負服に着替えて気合を入れるとのことだが、一刀としては同じ部屋の中で女の子が着替えていることに少なからずドキドキしっぱなしだった。

「客人、謁見の用意が整った。着いて来い」

「やっとか。楓ちゃん」

「はい。今行きます」

出てきた楓はフランチェスカの制服ではなく。彼岸の花をあしらった鮮やかな紅い振袖姿だった。

 

「待たせたわね。では聞きましょうか?わざわざ天の御遣いを名乗ってまで私に謁見を求めてきたあなた達の目的を」

玉座に座る少女は三人を見るなりそう告げてきた。その堂々とした風格は確かに後に一国の王として乱世に乗り出すのに十分なものを感じさせる。そういう意味では兄や月にも似たものを感じるが二人と違いその内にある傲慢さを楓は感じ取っていた。それと同時に彼女が自分達を軽く見ていることにも気付いていた。

「では、単刀直入に申し上げます。今私達がお世話になっている董卓、彼女を助ける為に協力して欲しいのです」

「…話が見えないわね」

「では、ご説明します。これから起こるであろうことを」

 

それから暫く楓さんと兄様は代わる代わるに曹操さんに今後の出来事を大まかに話していた。でも、私はそれどころではなかった。天和さん達にも驚いたけどまさか季衣までこんな所に居るなんて。多分季衣も気付いてるはずだ、でもお互いに今は声を掛けれない。今は…この交渉が無事に終わるまでは。

 

「大体、言っていることは分かったわ。…俄かには信じがたいけれど。」

説明を終えて曹操の第一声はそれだった。まあ、確かに信じられないというのもごもっともだけど、俺達にとっては当たり前に知識として得ていることだ。

今後起こるであろう事、反董卓連合…その説明は時に未来のこと例えば、彼女がいずれ国を立ち上げ『魏』の王になることなども一応話した。その時は酷く驚いた様だったが、それによって彼女は俺達を天の御使いと信じてくれた。というより、信じざるおえないように仕向けた。和輝や楓ちゃんなんかは特にそうしているが、確かにこういう場合は使える物は何でも使った方が効率がいいのかもしれない。何より俺達にはあまり悠長にしている時間も無い。

「手助けして欲しいと言っていたけど、それはつまり私に董卓の側に付けと言うことかしら?」

「それなんだけど、ちょっと違うんだ。別に俺達は君達に董卓と一緒に連合と戦って欲しい訳じゃないんだ」

「どういうこと?」

「董卓…彼女は彼女の元に集まった皆を家族と言った。そして彼女の願いはあくまで家族と共に平穏に暮らしたいだけなんだ。だからこの際、連合相手に無理して勝利しようとは考えていない」

「では、一体私達に何を求めているの?」

「連合との戦の後、俺達を此処に置いて欲しい。そのために用意できるものは四つある」

「…なら、まずはその四つの物というのを聞きましょうか?」

「まず、一つ目に連合に参加したときの功績。二つ目に董卓軍の戦力の提供。三つ目に俺達の持つ天の知識」

「それだけじゃ話にならないわね。それで?四つ目は?」

「四つ目は「先輩すこし待って下さい」楓ちゃん?」

説明の後、今まで黙ったままだった楓が割り込んできた。心なしかどこか怒っているようにも見える。

「四つ目の前に一つあなたに聞きたいことがあります。あなたは、あなたに仕えている人をどう思っていますか?」

「私の優秀な手足といったところかしら?少なくともその辺の男達に比べれば役に立ってくれるわ」

「…そうですか。やっぱり、傲慢ですね。人を道具にしか見ていないなんて。先輩、もういいです帰りましょう」

「へ?」

「こんな人に月ちゃん達を任せられません。任せてもいずれお兄がキレちゃいます」

「黙ってきいていれば。よくも華琳様を侮辱しおって!」

「やめなさい春蘭!」

曹操の傍らにいた黒髪の女性が楓に対して怒りを露わにして吼える。確かに楓の言い方では主を侮辱しているようにしか聞こえないから仕方もないが。同じように青い髪の女性も何も言いはしていないがその眼光には怒りが見える。だが楓の言うように和輝ならいずれキレるかもしれない。少なくとも今の彼女の元では。

「…では、私達はこれで失礼します」

「勝手ね。あなた達の言ったことが本当だとして、何もせずに帰すと思っているのかしら?」

曹操は不敵な笑みを湛えている。それと同時に不穏な空気に包まれる。

「ここであなた達を捕らえればあなた達の提示した物のうち一つは手に入るとは思わない?」

「もし、そうだとして、他はどうなんだ?」

「そんなもの自力で手に入れるまでよ」

なるほど、つまり彼女が謁見を受け入れたのは天の御遣いを手中に収めるため、彼女にとっては交渉の結果がどっちに転がろうと目的が果たせるように準備しておいたということか。

「でも、まだ四つ目を聞いていなかったわね?」

「…四つ目は、帝を君の庇護下に置かせようと思っていた。だが、考えが変わった。確かに楓ちゃんの言うように、少なくとも『今』の君には預けることは出来ない」

「なっ、帝ですって!?」

帝という言葉に彼女は目を丸くしている。

「それでは、今度こそ失礼します。ああ、それと、もし私達を捕らえるつもりならそれ相応の覚悟が必要ですから」

楓の最後の一言と同時に空気が凍りつく。それは、和輝と同じように殺気を発したからだろう。楓の実力を知らない彼女達にしてみれば完全に不意打ちになった。その隙に一刀達は広間から出て行った。

 

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城を出てから幸いにも追っ手が出てくることは無かった。正直、追われてもおかしくは無かったのですこし拍子抜けではあるけれど、何事も無いのはいい事だろう。ただ、流琉が落ち込んでいるけれど。

「でも、結局交渉決裂か」

「ごめんなさい。先輩」

「謝ること無いよ。楓ちゃんの言ったように多分和輝はその内キレるかもしれないし」

正直一度だけキレた和輝を見たことがあるけど、あの時は暫く手が付けられなかった。しかも怒るというよりは…。

「先輩!」

ドンッ

考えごとをしていたせいで曲がり角から飛び出してきた人にぶつかってしまいその拍子に一緒に倒れこんでしまう。

「いつつ、ごめんちょっと考えごとしてて…」

そこで気付く、ぶつかって来たのが女の子で俺の下敷きになっていて掌には柔らかい感sy

「きゃああ!」

「へぶらっ!」

思った時にはいきなり殴られた。当然だが。しかし目の前にはさらに不味いことに一人の少女がいる。

「危ない!」

咄嗟に叫び、身を捩るがどうすることも出来ずにぶつかるがなんとか抱きかかえて被害を最小限に抑える。

「えぇっと。大丈夫か?」

「ええ〜まぁ〜。しかしいきなり見ず知らずの男の人に押し倒されるとは流石の風も予想しませんでしたが」

「…へ?」

言われて今の状況を整理する。

道端で少女を抱きかかえて馬乗り状態。

状況整理終わり。

「兄様…」

「先輩大丈夫ですか?」

楓ちゃん心配してくれるのは嬉しいけど、どうしてかな?笑顔が怖いよ。

俺、死んだかな?

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あとがき

 

交渉というより後半は脅し合いになってましたが(覇王と脅し合いのできる楓はまごう事無き極道の娘)そして最後のふたりまあ一人は分かりますがもう一人はオリキャラです。

え?もう出さないとか言ってなかったって?大丈夫。彼女はリメイク前に出てきてましたから(言い訳

ということで、次回も続く一刀達のターン。

 

では、また次回!!

説明
覇道の少女と極道の少女、そして一刀は期待を裏切らない

『Re:道』と書いて『リロード』ということで

注:オリキャラでます。リメイク作品です
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コメント
まぁ、今回は自力で変わってもらいますけどね。今回はそのきっかけを与えたわけです。(ツナまん)
曹操が部下を物扱いじゃなくなるのは一刀と接してからだもんな^^;(nao)
nakuさん>白雪に限ってそれはないでしょうねぇ。彼女は一応和輝を慕ってますからw一刀は…だめだ、BADENDしか見えてこない(ツナまん)
禁玉⇒金球さん>続き>もしそんな生活してたら白雪の一刀に対する風当たりはさらに激しくなるでしょうねwww(ツナまん)
禁玉⇒金球さん>十中八九そうなるでしょうねぇ。でも初心者に無刀取り教えるような人とか鎧ごと真っ二つにするような御遣いに果たして勝てるのか?(ツナまん)
kyogo2012さん>それも考えられますが、白妙も関羽と一悶着ありましたからねぇ。上手く纏まるはずが無い!(ツナまん)
黒鉄 刃さん>おっふネタバレwリメイク前を知っててもらえたことに驚きですよ。 え?凜ちゃん?今頃宿で貧血起こしてるんじゃないですか〜?ww(ツナまん)
nakuさん>そうですね、言い方一つで色々変わるものですよ。いきなり来ていきなり帰っちゃったのは…まぁ和輝の妹ですから、我が強いんですよねぇ。それに、無理して勝つつもりが無いということは逆に考えれば無理すれば勝てる可能性はあるんですよ。ただ、月の願い通りにはいかなくなるでしょうが(ツナまん)
kyogo2012さん>まあ確かに帝もそうですが、月達全員の今後が掛かっている訳ですしね。家族を道具なんて思われたらそら怒りますよ。(ツナまん)
道具云々は組織人としてトップとして必須ですが:曹操は具体案で大陸掌握で太平の世を望み非難や欠点を認め進む、孫策は基本内政的だが必要なら大陸掌握に動く、劉備は冷静に見ると五徳皆無だが曖昧模糊な思想で人”だけは”惹きつける。馬、公孫、益州は差異はあれども「地元命」だが戦の気配プンプン?という訳で南蛮で露出しながら出来得る限り楽しく過ごそう(禁玉⇒金球)
↓同感です、@劉備の思想が否定/欠点を指摘されると訂正を求め断ると斬りかかるA劉備の協力要請(ほぼ強要)を断ると理由を聞く→高確率で斬りかかる、@A共に劉備は配下を止めようともしない事多し(禁玉⇒金球)
またの登場です。曹操にしても、孫策にしても、劉備にしても、たいして変わらないかと・・・・。天の御使いとしての利用価値しか、見えてないようです。ま、自己勢力を作るのが一番かと思いますが・・・・・。劉備のところには、行かないほうがいいかと。関羽が、前に断れたことを激怒するかもねと思っている。(Kyogo2012)
フム、モゲロ種馬、考え事しながら歩くもんじゃありません、だから風と徐晃にぶつかるんです(怒)……アレ凛は?。(黒鉄 刃)
まあ、そのままだな。今の曹操は、人として見ていないからな。部下は道具として見ているから。だから、変態なんだよ。道具として見ていない人間に、帝を任せるわけないじゃないですか。ケケケケケケケ。(Kyogo2012)
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