英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク
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数週間後―――

 

〜遊撃士協会・ツァイス支部〜

 

「キリカ、戻ったぜ。」

「レンも今日の分は終わったわよ、キリカお姉さん。」

それぞれの依頼を終えた二人は同時にギルド内に入って来た。

「二人とも、ご苦労様。カシウスさんから手紙が届いているわよ。」

「あら、パパから?」

「一体何の手紙なんだ?」

キリカから渡された手紙をルークはその場で読み始めた。

 

”ルークへ”………

 

既に知っていると思うが今、俺はエレボニア帝国で起こっているギルド襲撃事件を解決するのに指揮を執っている。だが、リベールでも怪しい動きがある。恐らくは俺をリベールから離す為に今回の襲撃事件を起こしたのかもしれん。

 

すでに何人かの信頼できる遊撃士達にリベールで怪しい動きをしている連中の調査を頼んだが、それでも人手が足りなくてな。そこでだ、ルーク。お前も彼らと共に手伝ってくれ。

 

そして、レンはレナの護衛にあててやってくれないか。もしかしたら、敵が俺やお前を警戒してレナを人質に取るかもしれん。

 

ただレナのほうは今すぐというわけではないだろうから、レンは機を窺ってロレントに返してやってくれ。

 

勿論、信頼ある遊撃士の一人にレナの護衛を任せているからある程度は大丈夫だとは思うが念には念を入れておく。

 

そして、ルーク。お前は俺が頼んだ信頼ある遊撃士の一人―――アガットに合流してくれ。では武運を祈る……

 

”カシウス・ブライト”

 

「……………」

第2の故郷や家族が予想外の事態に陥りかけている事を手紙の内容で知ったルークは真剣な表情で黙り込み

「お兄様どうしたの?何だか顔が怖いわよ?」

いつもと違うルークの様子に首を傾げたレンは不思議そうな表情で尋ねた。

 

「……レンにも関係のある事だ。読んでみな。」

「はーい。………………………」

ルークに手紙を渡されたレンは手紙の内容を隅から隅まで読んだ後呆け

「お兄様!レン、すぐにロレントに帰るわ!ママを守らないと!」

やがて我に返ると血相を変えて尋ねた。

 

「落ち着けって。父さんも信頼ある遊撃士に護衛を頼んでいるって書いてあるから、しばらくは大丈夫だし、いざとなればシェラザードだっている。だから今すぐ母さんに危険が迫る訳じゃないから、大丈夫だって。」

「お兄様……そうね、その通りだわ。レン、ママの事になるとつい頭に血が上っちゃったわ。」

ルークに諌められたレンはすぐに気を取り直して答え

「ま、いつもあんだけ母さんに甘えまくっているんだから仕方ないって。それよりいつも余裕な様子を見せても焦る時は焦るんだな?」

「むぅ。お兄様、レンを何だと思っているのよ?失礼しちゃうわね。」

からかいの表情で見つめられ、頬を膨らませた。

 

「……さて、話は終わったかしら?そろそろ私にも何があったのか聞かせてほしいのだけど。先程の会話からしてカシウスさんの奥様が狙われているみたいな話が出てきたようだけど?」

「っと、そうだな。実は……」

一般市民であるレナに危機が迫っている事にも関わらずすぐに報告しなかったことに気付いたルークは一言謝罪した後レンと共に手紙の内容を説明した。

 

「……そう。どうやら帝国で起こっているギルド襲撃事件はカシウスさんを引きつける”囮”みたいだったわね。」

話を聞き終えたキリカは取り乱す事もなく冷静に判断し、真剣な表情で二人を見つめた。

「どうやらそうみてぇだな。それで俺達はいつでもツァイスから離れて大丈夫か?」

「二人のおかげで溜まっていた依頼もなくなったし、それにジャンの話だとそろそろエステル達に推薦状を渡してこっちに向かわせるとのことだから人手は心配しなくていいわよ。」

「あら、エステル達、もうルーアンまで来たんだ。さすがね。」

義理の姉と兄の成長度合いに感心したレンは口元に笑みを浮かべた。

 

「なら、大丈夫そうだな……それでアガットはどこにいるんだ?」

「アガットはルーアンで起こった孤児院の放火事件の担当をしているわ。」

「孤児院が放火!?あそこには数人の民間人がいたけど大丈夫だったのか?」

「ええ、幸い民間人には被害が出なかったわ。」

「確か院長先生と子供が数人だったわよね?それにしても何で放火なんかされたのかしら……?あそこにいる人達は恨みを買うような人達じゃないのに……もしかして愉快犯かしら?」

二人の会話を聞いていたレンは真剣な表情で考え込んでいた。

 

「今のところはその線で探っているそうよ。――――今からだと17:00に出る便が一番早くルーアンに到着するけど、その便の手配でいいかしら?」

「ああ、それで頼む。―――レン、母さんの事は任せたぞ。」

「ええ、ママの事はレンに任せて!」

その後ルークはキリカの手配によって飛行船でルーアンに向かった。

 

港湾都市ルーアン――――リベールの海の産業や商業の玄関口であり、森にある街道の先にはリベールで唯一の国際的な学術機構――――”ジェニス王立学園”がある都市にルークが到着すると既に夜になっていた。

 

〜夜・ルーアン市内〜

 

「もうこんな時間か……ホテルに空き部屋があるかな〜?なければ、ジャンに頼んでギルドで寝かせてもらうか……」

ルークが空港から出て歩き出したその時、ルークの目の前に黒装束の男達が走り去り、更に男達を追うかのように赤毛の青年が身の丈程ある重剣を構えて走り去った。

「あれ?今のって、アガットじゃねえか!?追っている奴らはいったい……まさか手紙に書いてあった母さん達を狙う奴等か!?とにかく追わねえと!」

突然の出来事に驚いたルークだったが、すぐに自分のやるべき事を思い出してアガットの後を追って行った。

 

 

 

 

説明
第16話
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