北郷一刀の外史紡ぎ 第十五話 |
第十五話―VS
一刀視点
一刀「美羽だけで話に行って大丈夫かな〜」
今俺達は厳顔さんの居城内の客間で待機中である。どうも美羽のみと話がしたいらしいから残った俺達は客間に通してもらって待機中だ。団員達は街で好きにさせているので問題ない。
双葉「友人である紫苑様ですら此処にいますからね。」
紫苑「おそらくですが・・・美羽様の武に関して私は報告を上げていますので・・・」
紫庵「あ〜それは・・・」
一刀「・・・え?何?何かまずい事になるの??」
七乃「心配です〜」
璃々「桔梗お母さん暴走?暴走?」
紫苑「・・・璃々、否定しにくい事をあえて聞くのは淑女として不合格ですよ。」
璃々「は〜い」
一刀「暴走・・・嫌な予感しかしない。」
そんな事を話している短髪メッシュの女の子が俺達を呼びに来た。何やら鍛錬場に案内するらしい。うん、いやな予感は当たるのが世の常だね。
一刀(まったく、どうなる事やら。)
場所は変わって梓潼内の鍛錬場。その中央に美羽が居た。美羽だけ??
紫苑「で、どう言う事かしら?桔梗。」
そう言って紫苑は目の前にいた女性に声をかける。どうやらその人が厳顔さんらしい。
厳顔「ははは。何、噂の袁術の実力を試したくてな。だがどうやら話術はまだまだと見える。」
一刀「えと・・・始めまして。俺は北郷一刀って言います。」
七乃「張勲です〜」
双葉「関平と申します。」
厳顔「うむ、儂は厳顔。此処の梓潼の城主をつとめておる。と言っても代理だがな。しばらく城主の家族が喪中での郷里に一時帰国中だ。こっちに呼べぬほど病がひどかったらしくてな。ちなみに王累と言う。」
王累って・・・誰だっけ?まぁいいや。それにしても・・・
美羽『うぅ・・・妾は交渉は苦手なのじゃ。(ウルウル)』
七乃「は〜、交渉失敗で涙目お嬢様、可愛いです〜〜〜。」
一刀「七乃、気持ちは分かるけど今はこっちに集中。」
七乃「あ、は〜い」
まぁ、悦に入る気持ちもわかるよ。あのウルウルは可愛いのなんのって・・・おっと、いかんいかん。
一刀「紫苑、結局何で此処に来たの?」
紫苑「はい、どうやら桔梗、厳顔は美羽様の実力が見たいみたいです。自分でやると泣かせるだろ?と言われても・・・知りません。・・・はぁ〜」
嫌な予感が当たったのか紫苑は頭を抱えてため息を吐く。
一刀「それで、厳顔さんが此処にいるって事は美羽の相手は・・・」
厳顔「ん?おぉ、儂の弟子である魏延にやってもらおうと思ってな。ほれ、出て来たぞ。」
そう言って目を向けた先には大きな金棒を担いだ短髪メッシュの・・・
一刀「あれ、さっき呼びに来た人。」
厳顔「ん?あ奴、名乗っておらんかったのか??まったく・・・失礼した。あ奴が魏延だ。」
一刀「あれが・・・魏延・・・」
反骨の相が出てると諸葛亮に言われたあの魏延。馬岱に討たれた、あの魏文長か。
厳顔「??」
俺は今難しい顔をしてるんだろう。厳顔さんは何やら怪訝そうな顔をする。
一刀「あ、えっと、なんでもありませんので。それより、始まるようですよ。・・・あれ、美羽怒ってない??」
七乃「???本当ですね〜」
紫庵「どうしたんでしょう。」
双葉「・・・」
紫庵「どうしました?双葉。」
双葉「次は私があいつとやります。・・・絶対許さない・・・」
どうやら魏延が何かを言ったらしい。それを聞いた美羽は怒っていて・・・双葉も聞こえたんだろう。それでこっちもお冠っと・・・
紫苑「・・・桔梗、後で焔耶ちゃん借りるわよ?」
厳顔「ん??あ、あぁ・・・」
どうやら紫苑にも聞こえてたらしい。
厳顔「・・・焔耶の奴何を言いおったのだ。紫苑のあんな怒った顔久しぶりに見るぞ。」
どうやらかなり酷い事を言ったらしいな。さすが反骨魏延。人様の反感を買うのはお手の物か。
ちょっと遡って鍛錬場中央
美羽「うぅ・・・どうせ妾は・・・ブツブツ」
まだ引きずっていじけてます。
美羽「だいたい妾はどちらかと言うと孫策みたいな前線型なのじゃ・・・一刀のせいでもあるがの・・・」
そんな愚痴をこぼしていると魏延がそばに来て美羽に声をかける。
魏延「待たせたな。袁術。」
美羽「??お、おお。魏延かえ。お主も大変よの。」
魏延「何がだ?」
美羽「いや、厳顔の思い付きに付きあわされとるんじゃろ?」
魏延「・・・まぁな、だが武を振るえるのは純粋に嬉しいが・・・お前のようなチビを相手取ってもな・・・」
美羽「そうじゃな、妾はまだ子供じゃが・・・これでも一刀に鍛えられて強くなったのじゃ。」
そう説明する美羽に魏延は鼻で笑う。
魏延「・・・は、それはあの優男の事か??紫苑様ならともかくあのようなひょろい優男など・・・どうせ紫苑様もある事無い事してあの男に籠絡させたのだろう。紫庵様が居るのに・・・紫苑様もどうかしている。一刀だったか??なりはひょろいが優しそうじゃないか。それでお前やたしか張勲・・・だったか?その優しい振りでもして近づいてきたのだろう。あいつは女に囲まれて鼻の下を伸ばしてるんじゃないか??とんだ奴に近づいたもんだな。」
そのセリフを俯いて聞く美羽の顔は暗くなっていてよく読みとれない。こちらを見てる双葉、紫苑の両名はどうやら口を見て内容を把握してるようだった。読唇術とは恐れ入る。
美羽「・・・・・・のう。」
美羽はその顔を伏せた状態のまま魏延に言葉を掛ける。
魏延「ん?なんだ??」
魏延は美羽の変化に気が付かず軽く聞き返す。
美羽「言いたいのはそれだけか?小娘。」
魏延「な!?」
小娘扱いである。美羽様怒るとパネェっす。
美羽「お主など小娘で十分じゃろ。妾からしても小娘じゃ。まるで人を見ていない未熟者の言葉・・・覚悟はできておるんじゃろうの。」
魏延「それはこちらの台詞だ!」
こうして美羽VS魏延の勝負の幕が切って落とされた。
最初に動いたのは魏延の方だった。一直線に美羽に向かって鈍砕骨を振り下ろす。
魏延「でやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ズドーン
魏延から見て美羽はまったく動いておらず直撃したと思ったのだろう、ふっと笑みを浮かべたが、それはすぐに驚愕の顔に変わる。
美羽「ん?なんじゃ??何処を殴っておる。」
振り下ろされた鈍砕骨の少し先に美羽は先ほどと同じ格好で立っていた。まだ武器にすら手にしていなかった。
魏延「な、確かに此処に・・・」
よく見ると少しだが地面に足がすれた跡があるのが判る。そう、ただ下がっただけだ。
美羽「どうした?その程度か??これなら璃々と追いかけっこしてた方が有意義じゃの。」
魏延「な!?私の武を愚弄するか!!」
美羽「愚弄も何も・・・誇る武も在りはせんじゃろ??」
魏延「な・・・なんだとー!!!」
美羽は魏延を挑発し動きを荒くさせる作戦に出た。
美羽「当たらぬ武など無いのと同じじゃろ。」
魏延「き、貴様ー!」
魏延は美羽の挑発に完全にキテおり正常な判断をする事が出来ていなかった。
魏延「我が鈍砕骨が奥義を喰らえ!!爆!砕!轟打!!」
すると鈍砕骨が光り出し地面に振り下ろされる。最初の攻撃と動きは同じだが破壊力がずば抜けていた。
ズガァァァァァァァァァァァァァン
砂煙だけではなく地面の一部が塊となって吹き飛ぶ。それを遠巻きに見ていた一同はかなり驚いていた。あの厳顔さえその技を見るのは初めてだったらしい。
魏延「は、ははは。どうだ。これ・・・で・・・・」
魏延の言葉はそれ以上紡がれることが無かった。否、紡ぐ事が出来なかった。
美羽「なんじゃ。その程度か?」
魏延「・・・・・・・・・」
美羽はあろうことか振り下ろされた鈍砕骨の上に立っていた。体には多少なりとも擦り傷が出来ていたがそれを気にする事もなk
美羽「まったく・・・一刀の事を愚弄するどころか、妾の玉に肌に傷まで付けおって・・・」
あ、気になさっていました。
美羽「雅臣に見せる時痕が残っていたらどう責任をとる気じゃ!!」
あ、気にしてるのはそっちですね。
魏延「こ、このぉぉ!!」
魏延はそのまま鈍砕骨を振り上げ美羽を後ろに投げ飛ばす。
美羽「そろそろ終わらせるぞ?覚悟してもらうぞ!」
美羽は空中で体制を整えながらそう言い放つ。
魏延「ほざけぇぇぇぇぇ!!」
魏延は叫びながら着地しようとしている美羽に向かって走り出す。
美羽「・・・北郷流無手術・・・」
魏延「でぇぇぇぇぇぇぇい。爆砕轟打!!!」
美羽「流星流し。」
ブワァ
魏延「へ?」
美羽がはなった技は見事に決まり、勢いを持って突っ込んだ魏延をその力を利用して、受け流した。本来なら投げ飛ばしたと表現したいのだが美羽が取った行動は力の掛かる場所へ手を添えて流しただけ。つまり投げた訳ではないのだ。
魏延「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
どーん!!
魏延はそのまま壁に激突した。頭を下にしてそのまま壁に魏延型の穴をあけて、そのまま消えて行った。
美羽「おぉう・・・あそこまでの威力だったのかえ?悪い事をしたの・・・」
こうして美羽VS魏延の勝負は美羽の勝利で終了した。
ちなみにその後魏延は・・・
双葉「ほらほらほら。武に自信があるんだろう!?その程度かぁぁぁぁ!!!」
魏延「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
紫苑「焔耶ちゃん?言いたい事言ってくれたわね・・・まずは美羽様の素晴らしい所と一刀さんの良い所をニ刻程聞いてもらおうかしら??」
魏延「ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
まあ、御想像にお任せします。
あとがき(と言う名の人物紹介)
厳顔 真名 桔梗
武器 轟天砲
備考 酒好きの喧嘩師。魏延の師匠で親代わり。梓潼城主代理。
魏延 真名 焔耶
武器 鈍砕骨
備考 桔梗の弟子。基本男嫌い。ついでに犬苦手。今後はデレがあるかどうか微妙。
羽生「第十五話ご覧になっていただき、ありがとうございますなのです。」
結璃「ありがとうございます。」
結璃「・・・ねぇ羽生。」
羽生「ん?なんなのですか??」
結璃「袁術チート臭い。」
羽生「・・・そうでもないのです。」
結璃「ほう、その心は?」
羽生「まず一つ、美羽は怒って実力が引き上げられてるのです。」
結璃「ほう・・・」
羽生「二つ、魏延を挑発する事で単調な攻撃をさらに単調にしました。」
結璃「ふむ・・・」
羽生「三つ、今回の技は合気術なので相手の力と言うか、勢いが強い故にこんな形なのです。」
結璃「・・・それでも避け方がチート臭い。」
羽生「それも一番目と二番目の理由で説明できますのです。」
結璃「・・・まぁ、納得しておきましょう。」
羽生「さすが結璃、理解が早い、心が広い、そこに痺れる憧れるぅ。そして惚れ直すぅ。」
結璃「///////」
羽生「さて次回はVSセカンドです。」
結璃「・・・は?」
羽生「あれで桔梗が大人しくするとでも?」
結璃「・・・・・・・・・・・・ないわね。」
羽生「でしょ〜?」
結璃「ま、頭が暴発しないように頑張りなさいな。」
羽生「・・・頑張るのです。」
二人「それでは皆さん次回また会いましょう〜」
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第十五話なのです 美羽様VS焔耶のお話です ではどうぞ |
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コメント | ||
…演義で魏延を指して言われる「反骨の相」は、処刑を正当化する為の濡れ衣だと思ってますが…。しかし、噂を鵜呑みにして咀嚼せず、ただ力任せに突っかかって来る性格はちょっとなぁ…。謙虚になりさえすれば、伸びる芽も充分にあるのだが…。それにしても、相手の力を逆用する類の武術は、膂力頼みの奴が多い外史では実に効果的だな。(クラスター・ジャドウ) XOPさん<火ぶた切って落として何が始まるんだって話ですな・・・修正しました。(ユウヤ) 火蓋が切って落とされた→幕が切って落とされた:(XOP) 雪風さん<まぁ、もともと噂で動く人を主にしたお人なので・・・仕方ないでしょう。(ユウヤ) 噂だけで判断すると痛い目にあう・・・。(雪風) kyouさん<羽生「このルートではその予定なのです。あくまでメインは南華老仙こと結璃ですよ?あくまで結璃ですからね?結璃がメインですからね!?だ、だから結璃さん・・・その拳をしまってk」 ここでセリフは途切れている・・・(ユウヤ) あくまで一刀とくっ付くという意味でのヒロインは七乃(だけ?)なんですかね?その辺、まだ慣れないというかなんというか……。 そして、美羽様可愛過ぎで思わず「おもちかえりぃ〜☆」したくn……げふんげふん……。(kyou) N.博也さん<ま、当然ですがw(ユウヤ) 魏延は成長させないと・・ねw(mame) M.N.F.さん<桃香が居たら余計駄目だよ。惚れたやつが居たら本気で暴走するしね。(ユウヤ) 禁玉⇒金球さん<まさか・・・焔耶本人の根っこにある問題でしょう。いろいろ解釈はあるでしょうが。(ユウヤ) 神木ヒカリさん<さすがにそれは・・・弁と協と璋は女で設定済みです。(ユウヤ) nakuさん<そ、そんなこと言わんで下さい。焔耶はもちろん成長させる予定です。(ユウヤ) 桃香いなくても魏延やっぱダメだこいつ(ノ∀`)(M.N.F.) ↓逆はーれむとはまた新しい発想ですな、七乃義母さんの目が光る。誰かいれば一先ず噛み付く魏延ってちょっと気の毒な人種ですね、これも桔梗のせいか??。(禁玉⇒金球) ちょっと思ったんですが、劉家(男)にモテル美羽さまって展開おみたい。弁とか協とか璋とか岱とかにも。(神木ヒカリ) naoさん<純粋な腕力ではかないませんが・・・美羽は氣による強化と技によって補ってるのです。(一刀も同様なのですよ)(ユウヤ) 黒鉄 刃さん<焔耶=人を偏見で見る代名詞です。デレればいい傾向になるんですが・・・(ユウヤ) トーマさん<じゃあすぐにでも恋を仲間にせねば・・・セキト〜張々〜逢いたいよ〜(ユウヤ) 美羽つえぇ〜!魏延に完勝だと?魏延は自業自得なのでざまぁw(nao) 魏延キミはもう少し人を外見や偏見で、視るのを止めましょうでないと取り返しのつかない事になるよ何時か……、そしてタグの羽生様ドン━(。-ω-ヾ(∀`。)━マィ。(黒鉄 刃) 教訓。初対面の人を罵倒してはいけません。七乃と一刀に聞かれなくて良かったね魏延。聞かれてたら多分、資源ごみ(笑)に成ってたよ?(頭翅(トーマ)) 魏延が絡んできたときの対処法。取り敢えず犬をしこたま連れてきましょう。それでなんとかなる(頭翅(トーマ)) |
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