義輝記 雷雨の章 その拾四
[全1ページ]

【 百家争鳴 の件 】

 

?虎牢関門前にて?

 

一刀「……………ウップッ!!」ダッ!

 

────! ーーーー! ━━━!!

 

ハァ───、ハァ───ハァ──

 

……これで、何回、吐いたの…だろう………?

 

董卓軍より…俺宛に竹簡が届き……火計で亡くなった者の遺体回収に向かう。

 

*********************

 

『虎牢関前の遺体を回収するのであれば、『天城颯馬』の名において、一切の攻撃や謀略をしない事を誓おう! 終わったら合図をするように。 もし、卑怯な事をすれば物笑いの種になるだろう』

 

*********************

 

肩書きだけの盟主だから、俺も遺骨収集に参加したが………遺体の破損は想像以上。 

 

炭化した腕や足、そして頭。 五体まともに付いているのは少なく、

大体が二つか三つ程取れている…… 

 

しかも、俺達が回収作業している時に、平気で野犬や狼が現れて、遺体の一部を咥えて、持って行く!! 正直、追うのも億劫だ……

 

周辺に染み付く腐敗と焼けた脂の臭いが、俺や仲間達の身体に纏わり付き、何回も吐き出す悪循環を繰り返す結果となっている。

 

だが……泣き言なんて言っていられない! 

 

これは、俺に取って『謝罪』なのだから…………………

 

☆☆★

 

今回の戦は、どういう戦になるか、はっきり言って見当が付かない。 

俺の居た時代の『三国志』とは、かなり違ってきているからだ。

 

三国志に出てこない策謀、兵器、人材と混沌としている状態。

 

先の戦の戦術は、偶々学校で習った事が出てきたから…華琳達を止めて、別の将達を前衛に回した結果だ。 対応策なんか思い付きもしないから。 

 

では…………前衛部隊には、突っ込んだ初期に撤退を促すつもりでいたか? もし………あんな凶悪な戦術と分かって要れば、流琉と一緒に前衛を引き止めた…か?

 

ふと、自分の思考に問えば…応えは『 否 』!

 

前衛の兵達を『試金石』に変えて、策にワザと嵌めて敵の裏を掻く事に終始しただろう。

 

始めは恨んだ事もあった(特に猫耳)が、今は大切な仲間達だ!!

そんな仲間が死ぬ事になるなんて、俺は考えたくない!!

 

それに、流琉は何度も警告をした!! それを無視して突撃したのは前衛の将達! これは文醜や季衣達から……そして近くに居た兵士達からも報告を受けているから、間違いない事だと確信。

 

流琉は…今でも天幕で泣いている。 『自分が…もっと必死に止めれば、救えたかも知れない!』と思い詰めて。 ……………季衣が一緒に付いてくれているから、大丈夫だと思うけど。

 

今、行っている行為は、俺からの『謝罪』だ。 『試金石』にしてしまった行為の詫びを態度で示すための! 

 

けどな……俺の『妹』の警告を無視して……突撃を選択した、お前達に罪悪感は感じない。 お前達が自ら選んだ道だからだ!!!

 

 

◇◆◇

 

【 報告に騒ぐ連合軍陣営 の件 】

 

?虎牢関 連合軍陣営内にて?

 

華琳「麗羽……悪い知らせがきたわ。 天水に向かった別働隊が……壊滅させられたそうよ…………」

 

麗羽「どういうことですの!? あちらに五万もの兵を、預けた筈が……寡兵の三千に倒されたと……いうのですか?!」

 

華琳「油断と言えば油断、相手の策が優れていたと言えば賞賛になる……そんな戦いだったみたい」

 

麗羽「ちょっと! 華琳さんにしては、やけに曖昧な言葉を発するではありませんの!! ハッキリ言いなさい! ハッキリっと!! 」

 

☆★★

 

冥琳「天水での活動、ご苦労。 ………で、今の報告は真か?」

 

明命「はい!! 物凄───く怖かったのです!! (T^T) 」

 

***   ***   ***   ***

 

天幕に潜んでいましたら…袁本初の将旗を持った将が、天水城より出てきて、袁遺様と会談したんです! 

 

そのまま和やかな状態が続く中、天から野太い大音声が聞こえて…。

 

『この可憐なる謎の巫女『卑弥呼華蝶』を『お姫様抱っこ』で受け止めてみよぉぉ─!!!』

白髪白髭、褐色の露出も甚だしいガチムチのオッサ『漢女だぁ!』が……? アレ? 声、被りました? はぁ…では、無視します。

 

で、そのオッ『漢女だと言っておるだろう!!』……ムカッ!

 

で、その『漢女ダァ』のオッサンが落ちてきて、二里(約8,6b)程周辺の兵達が吹き飛ばされたんですよ!!

 

そうしましたら、天幕内も乱闘が始まる、周りから『華蝶仮面』とか宣う上半身…裸の変態紳士達が湧き出したり…!!

 

***   ***   ***   ***

 

冥琳様…………本当───────に、怖かったんです!!!

 

ですから…顔を背けて、笑いを堪えないで…下さいませんか……?

 

怯えた私が、お馬鹿さんに見えるじゃないですか!!!

 

★★★

 

桂花「………袁本初の将旗を利用して、相手の首脳陣に潜り込んだ事、奇抜な兵で大軍を混乱せしめ、自分達の有利な戦いに持ち込んだ事………そこは、いくら私でも認めるわよ!」

 

朱里「はわわわ!」  雛里「あわわわ!」

 

桂花「だけどねぇ…………何で! 変態示威行動を!! 敵に見せ付ける必要があるのか!!! あんた達に判るのぉぉぉぉ!!!!」

 

朱里「あれだけ派手なら、充分に敵を驚かす事はできましゅよ!?」

 

雛里「星華蝶なら…まだ、派手になるかもしゅれませんね?」

 

桂花「……………本気で、そう思うの…………!?」

 

朱里、雛里「「 コクコク 」」

 

桂花「今の陳留に伯耆星(彗星)のように現れて、華琳さまのお足元を騒がしてくれている『鵞鳥仮面』が、あんな集団で来てみなさい! ……華琳様や私を含む将達が…妊娠させられるじゃないの!?」

 

朱里「『鵞鳥仮面』じゃありましぇん!」

 

雛里「に、妊娠は……く、空気感染……じゃ、む、無理ですぅ…」

 

★★☆

 

?天水城付近にて?

 

華陀「───────よしっ! これで治療完了だ!! 」

 

兵「ありがとうございました! 華陀先生!!」

 

華陀「ハハハッ、先生は勘弁してくれ! 患者が居れば、どこにでも治療に行くのが医者の役目。 俺はその使命により…動いただけさ」

 

俺は、天水の兵達の治療を全て完了させ、次の患者が待つ土地へ旅立とうと準備していたが…………卑弥呼が、外で叫んでいる!?

 

 

卑弥呼「漢女だと言っておるだろう!! 」

 

 

俺は、天幕の外に出て卑弥呼に尋ねる。 卑弥呼は、今日もうねうねと身体を動かし、頬を染めて俺に答えてくれた。

 

卑弥呼「だぁ〜りん! 聞いてくれぇ!! このたおやかな身体を持つ儂の事を『ガチムチのオッサン』呼ばわりされてしまったのだぁーーー!! 儂の可愛い硝子のハートが壊れてしまうぅぅ!!」

 

うーん、身体の筋肉の付き具合、骨格の歪みの無さ、肌の瑞々しいさ………今日も立派な健康体だ!!

 

………たが…心労が激しいと、病魔が来てしまう恐れがある。 

 

何か方法は…………そうだ!! 颯馬がよく将を相手に行っていた行動があったな!

 

華陀「卑弥呼! すまないが頭を俺の傍に、寄せてくれないか?」

 

卑弥呼「……だぁ〜りんの頼みであれば…」

 

     スゥ──────   

 

俺は、卑弥呼の頭を優しく撫でる。 丁寧にゆっくり………

     

     ナデナデ ナデナデ

 

華陀「どうだぁ? 気持ち良いか?」

 

卑弥呼「ムフ━━!!! 滾る! 滾りまくるぅぅぞぉぉぉ!!」

 

良かったな! だか、これで絶大な威力がある事が分かった!!

 

これなら、新たなる医療にも着手できそうだ!!!

 

◆◇◆

 

【 虎牢関より…… の件 】

 

?虎牢関 連合軍陣営にて?

 

前衛…『袁本初』

 

中衛…『曹孟徳』、『孫伯符』

 

後衛…『袁公路』、エン州刺史『劉岱』

計……約壱拾壱万六千人(約116,000人)

 

麗羽が、盟主代理で演説を披露するとの事。

 

虎牢関の遺体の片付けで、早くも疲労困憊な盟主役の一刀。

 

一緒に働いた仲間達と休むように命じるのだが……身体を無理やり動かして…私の傍に居る。 全く…自分の身体を弁えなさい。

 

貴方が無理すると………心配する女が多数出て…戦場で支障を来すのよ。 認めたくないけど…………私も含めて………………ふん!

 

 

 

『 皆さん!! 昨日の虎牢関では、前衛部隊の勇猛果敢な働きがありながら、敵の戦術で敢え無い最後を遂げられました!! 

 

無念だとか悲しいとか……いろいろ想われると思われますわ! 私もその最後には……涙が止まりません!! 

 

しかし、見方を変えれば、漢王朝を救う為に命を投げ打って立ち向かった『英雄』ですわ! 女々しい事を言っていれば…亡き魂への

侮辱になりましょう!! 

 

強者達よ! 今こそ…虎牢関を落としましょう!! 

 

この『眉目秀麗』『容姿端麗』の袁本初率いる軍が先陣を走り、皆さんを導きます!!!! 』

 

兵『ウウオオオォォォォォ━━━━━━━━!!』

 

☆☆★

 

華琳「───で? なんで此処に貴女が来ているのかしら…麗羽?」

 

麗羽「盟主の傍に副将が居なければ、組織は成り立ちませんわよ?」

 

華琳「……その前に、貴女の軍が先陣で虎牢関に向かい、その軍の総大将である麗羽が…何故、一刀の横に居るのか知りたいの!!」

 

麗羽「我が軍は将も兵も優秀ですのよ! 指示しなくても、自ら考え行動に移行してくれるからですわ!」オーッホッホッホッホッ!!

 

一刀「  (゜-゜*;)オロオロ(;*゜-゜)  」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

?一刀達より数歩離れた…場所にて?

 

桃香「ボソ…(何か、他人事に聞こえないよぉ……)」

 

桂花「ボソ(アンタといい、あの女といい、胸に栄養が集まった者は、大概は頭脳労働は壊滅的なのよ……!)」

 

朱里「ボソ(同士桂花! その通りです! 貧乳こそ知性の象徴! この世の秩序! 我々の存在意義です!!)」

 

雛里「ボソボソ(朱里ちゃん…孫策軍の周公瑾さんや陸伯言さんは巨乳だよ? それに鈴々ちゃんは私達と同じ………)」

 

秋蘭「それ以上、話を混乱させるな…………」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

華琳「コホン! それは、麗羽が『陰が薄い・居ても居なくても変わらない』って事じゃないの? 」

 

麗羽「誰が『第二の白蓮』さんですか!?」

 

華琳「誰もそんな事、言っていないわよ!!」

 

       タッタッタッタッタッ!

 

兵「も、申し上げます!! 袁紹軍、接敵致しました!!」

 

麗羽「!」

 

 

 

華琳「! 兵数の報告は!? 」

 

兵「はっ………! それが、将と思しき男女二人……!!」

 

 

一刀「将の名前は、分かるかい?」

 

兵「女性の将は、『張文遠』! 『神速』の二つ名があります!!」

 

 

 

麗羽「男の将の名は? 何者なのですの!?」

 

兵「はっ! 『天の御遣い』の一人『赤備えの山縣昌景』と名乗っております!! 」

 

三人「「「  ! !!  」」」

 

☆★★

 

霞「いやぁ────久しぶりの出番やわぁ!! はよぉ! はよぉ! 関羽と対戦したいわぁぁぁぁ!!!」

 

昌景「霞よ…………儂は何でお前さんと、一緒に馬に乗らなくてはならんのだ?! 馬なら儂だって乗りこなせるぞ? 」

 

霞「えぇ───いいじゃん、いいじゃん!! 昌景っち、可愛いもん!! 小さいから、大事に扱わなきゃ───ねぇ?」

 

昌景「まさか……この歳になり、童扱いされるとは……」

 

張文遠と昌景は、馬に相乗りで袁紹軍の前に訪れる。

 

こちらの馬は、『日の本』の馬より遥に大きさが違う。 でも、昌景も慣れて乗り降りも手綱捌きも支障無し。

 

だか、『逃げるんなら一頭馬! 敵を攪乱し易いもん!』との提案があり、この状態となる。

 

ちなに、前が昌景が乗り、後ろで張文遠が手綱を操りつつ乗り合わせる。 ……と、なれば必然的に………………

 

昌景「…………霞よ。 頭の後ろに柔らかく弾力がある物が当たるのだが………?」

 

霞「どやぁ? 興奮せえへん?」

 

昌景「………馬鹿者が……爺に色気など使うな……!!」

 

…………何とも……緊張感無い状態で……到着した。

 

 

◇◆◇

 

【 因縁?の一騎討ち の件】

 

?虎牢関付近にて?

 

猪々子「オオオォォ!! これだよ! これ!! これぞ「男の浪漫」と言うもんだんろう!! 斗詩ぃぃ───────!!」

 

斗詩「文ちゃん……その「男の浪漫」って何? 第一…文ちゃん『女』でしょう?」

 

猪々子「この軍の盟主『北郷一刀』より教わった『天の言葉』だ! アタイは『アニキ』って呼ばせて貰っているけどな!!」

 

斗詩「えぇぇ〜! 姫より偉い人なるのに??」

 

猪々子「いいの、いいの! 本人がそう呼んでくれと言うんだから。それにさぁ! アニキは凄いぜぇ!! アタイ感銘しちゃたよ!」

 

斗詩「文ちゃんが…難しい言い回しする方に驚くけど………」

 

猪々子「『天の国』の中では、同性でも結婚が認められる国や『女』が『男』に変わる秘術があるんだって!! 『天の国』最高!! 」

 

斗詩「!!! ………でも、北郷さんは戻り方、知らないって…流琉ちゃんから聞いたけど………」

 

猪々子「馬鹿だなぁ 斗詩。 その同性愛を認める数少ない同士が『天の御遣い』なら、この国の法律や実情が変わるさ!」

 

斗詩「………………何か、悪い物でも食べたの?」

 

★☆☆

 

雪蓮「冥琳! 蓮華! 祭! こっち! こっち!!」

 

蓮華「待って下さい! 姉様!!」

 

冥琳「一軍の将が、わざわざ場所取りに向かうとは……」

 

祭「……まぁ、今回は私事じゃからのぉ。 水関で対峙した『武田』方三将の一人が来たとなれば、儂等の『今後の計画』へ波及するか確認しなければなるまい」

 

冥琳「口では、最もらしい事を申して……背中に隠した『徳利』は……何ですか…………?」イライラ

 

祭「いやぁ、これはぁぁ─主命に背く訳には……!」ギャアアアー!!

 

★★☆

 

華琳「……春蘭! 愛紗! 鈴々! 」

 

三人「はっ!」「お呼びですか?」「どうしたのだぁ?」

 

華琳「あの二人では、董卓軍には太刀打ち出来ないわ。 二人が倒されたら続けて攻めて頂戴。 武人の矜持に関わるのは承知しているけど……出来れば二対一で完全勝利を頼みたい!!」

 

春蘭「華琳様……! 私は貴女の御命令通りに行います!!」

 

愛紗「………やむを得ないか。 私の失態の件もあるし……」

 

鈴々「……鈴々は、少し納得出来ないけど…」

 

一刀「鈴々、俺からも頼む! 『燕人 張益徳』の力、俺に見せてくれ!!! 」

 

鈴々「分かったのだぁ!! お兄ちゃんのため、鈴々頑張る!!」

 

愛紗「わっ、私も……ご主人様の為に頑張りますからね!!!」

 

春蘭「一刀! 安心して見ていろ!! 華琳様の加護を受けた我等が負ける事などない!!! ……華琳様の事、頼むぞ!!」

 

一刀「三人共! 武運を!!!」

 

華琳「……………………………はぁ」イラ!

 

星「華琳様……私は?」

 

華琳「貴女は、陣営内の警護を! 十数万の軍営にたった二人の将なんて…………なんか策謀があるはず!」

 

星「任されましょう! だが、次の戦いの時は…是非とも先陣を賜りたく……!!」

 

華琳「承知しましょう!」

 

星「では!」ダッ!

 

 

◇◆◇

 

霞「仰山なお出迎え、ご苦労さん!! ウチの名は『張文遠』! 一騎討ちの申し込みに来たった!! 神速の技喰らいたい奴、はよぉー出てこんかぃ!! 特に関羽!! ウチはアンタの対戦、楽しみにしとるでぇ!!!」

 

昌景「見知りの将も居るが、あえて名を名乗ろう! 董卓軍配下『伏竜の軍勢』の一人 山縣昌景だ! こんな姿だが……歳は『六十越えている』のでなぁ。 遠慮等一切無用!! 我と思う輩は掛かってくるがいい!!!」

 

連合軍『…………………………………………………………』

 

★★★

 

華琳「敵将『張文遠』は、関雲長を指名しているようね。 私の陣営から三名出させてもらうわよ、麗羽?」

 

麗羽「構いませんわ! 私はあの『おチビさん』を狙いますから。

偽りでも『天の御遣い』を名乗り、我が軍が勝てば風評は上がりますもの!! 猪々子さん、斗詩さん! やってお終いなさい!!」

 

★★☆

 

霞「おっ? おおっ! おおおっ!! 関羽やん!! やっと、やっとーーー対戦できるぅ!! メッチャ嬉しいんよぉ、ウチ!!!」

 

愛紗「…………………………」

 

鈴々「愛紗? 知り合いなのか?」

 

春蘭「……なら、私達は抜けて二人で仲良く……」

 

愛紗「待って!! いや、頼むから一緒に居てくれ!!!」

 

霞「関羽と二人っきりも良いんやけど……ウチは強いで、お二人さん!! 」ゴゴゴゴ!

 

春蘭「ほぅ? 面白い! そっちの『鬼』退治に向かう、この私を倒せるか、やってみるがいい!!!」

 

鈴々「強いんなら、鈴々も相手してやってもいいぞぉ!!」

 

★★★

 

昌景「そちらの二人が……儂の相手か?」

 

猪々子「その通り!! 行くぜぇ、斗詩!!」ブン!

 

斗詩「すいません! ごめんなさい!!」ブゥーン!!

 

 

昌景に向かい……『巨大な大剣』と『大金鎚』が迫る!!

 

 

 

昌景「………やれやれ。 先に戦い方を教えるのが先かの?」

 

   ───スッ!   ブン?!  ガシィ!!

 

 

 

先に文醜の大剣を避けて、文醜の右手側に入り…手首を軽く握る。

 

昌景「こんな大きな得物を振り回せば、自ずと隙は手元に出来る!」

 

 

   ここを『グリッ! グリッ!!』とすると……

 

 

猪々子「痛ぁ───!!」  ガッーーシャン!!

 

昌景は、手首の急所を握りしめて痛覚を持って、文醜を制す。

 

 

斗詩「文ちゃん!!」  クルッ!  グッ!

 

顔良は、驚きながらも位置修正をし、昌景へと振りかざす!

 

昌景「だから……大振りだと言っておろう!!」

 

『ドカァーーーン!!』 昌景が居た所に『大金鎚』が落ちるが、そこに居る筈の人物は既に……顔良の後ろに廻り込み、首筋に指を当てる。 

 

斗詩「えっ─────!?」

 

昌景「少しは分かったか? まだ、やるのなら相手をしてやらんでもないが──『それなら、儂と勝負を願いたいのぉ!!』──!!」 

  

 

反董卓連合軍の中から、弓を持った妙齢の将が名乗りを挙げた!

 

 

祭「儂の名は『姓は黄、名は蓋、字は公覆』じゃ! そこの二将の代わりに、儂がお相手を仕ろう! どうじゃ……御遣い殿?」

   

昌景「うむ! 此方こそお願いしたい!! ただ『御遣い殿』は勘弁してくれんか? 『山縣』か『昌景』で呼んでくれれば、助かるのだが………」

 

祭「…恥ずかしがり屋の御遣、いや『山縣』殿とお呼び申そうか。 では…準備は宜しいかの? 準備不足で此方が勝利しても、一向に構いませぬが………」ニヤニヤ

 

昌景「おなごを待たせるなど…無粋な真似などせぬよ! さて…いざ! 尋常に勝負!!」 

 

★★☆

 

霞「そりゃ! そりゃ!! そりゃ!!! 」

 

手数で攻める張文遠! 『神速』の異名に相応しい数々の技の応酬!

 

愛紗「でぇぇりゃぁぁぁ!!!」

 

一撃必殺を主とする剛の武『関雲長』! 技の隙を狙い的確に狙う!

 

ガンガン! キイィィィィンンン!! ブンブン!!

 

春蘭「強くなったな………! 愛紗!!」

 

鈴々「…………昔の愛紗なら…鈴々倒せたのにぃぃ!!」

 

どっかの外史で聞いたような台詞が流れる中、一時離れる二人!!

 

   バッッ!!  ストッ!  ズシィ!

 

霞「ゼェー、ゼェー、決着、着かへんな………!」

 

愛紗「ま、まだだ! 私は……………戦える!! 」

 

 

カァ──────ン! カァ──────ン!

 

双方の思いと別に……無情にも、虎牢関より鐘の音が響く!!

 

★☆☆

 

昌景「─────っと、無粋だが仕方ない。 霞! 我等は戻るぞ! 早く馬の準備を──!?」

 

──────張文遠に呼びかけると、二人の将に囲まれていた!!

 

春蘭「どうした!? 私達二人を相手にするのではなかったのか?」

 

鈴々「鈴々達を舐めると、怖いのだぁ!!!」

 

得物を杖として支え、踏ん張る張文遠……………。

 

霞「 関羽相手に…はしゃぎ過ぎたわ……」

 

そんな中に、昌景が割り込んだ!! そして、張文遠を担ぎ出したと思うと、走りだす!!

 

春蘭「待てえぇぇぇ!!!」 

 

鈴々「鈴々が追いかけるのだぁぁぁ……あ? もう、居ない……?」

 

☆☆★

 

霞「ま、昌景っち!! ウチを置いて逃げえぇ!! 」

 

昌景は、張文遠の身体を肩に引っさげて、尚且つ飛燕のように動き回り敵陣より遠ざかる……!

 

昌景「何を言っている! 良い若い者が、そんな事でどうする!? どのみち、援軍も来ているようだし……な!」

 

    ドッドッドドッドッドドッドッド!!

 

虎牢関より援軍五十騎が到着する! 

 

将は武田姉妹、上杉謙信の三将。 武田姉妹が昌景の下に駆け寄る!

 

信玄「昌景!! 霞!! 無事ですか!?」

 

信廉「あぁ───やはり、颯馬が危惧した通り、霞の様子が変です!! 姉上! 霞を連れて戻って下さい…殿を私が!?」

 

謙信「信玄達は、先に戻ってくれ!! 私の部隊が殿を務めよう!」

 

上杉軍配下は二十騎。 連合軍と昌景達の間に割り込み、対陣を開始する。 そこへ、新たに二十騎…武田信玄率いる武田軍が参加した。

 

謙信「おい! 信玄! お前も戻れ「嫌です!!」なっ!?」

 

信玄「景虎………この人数で殿をする意味、判らない私だと思いますか!? これも、颯馬の策謀なんでしょう?」ニヤッ!

 

謙信「見抜かれていたか………………」ニコリ

 

☆★★

 

華琳「敵は少人数!! 今なら騎兵で補足は可能! 行くわよ!!」

 

麗羽「お待ちなさい!! 華琳さん、貴女に虎牢関の様子が見えなくて!?」

 

反董卓連合軍が注目する虎牢関は……入り口である門を…観音開きで

解放していた。 何時でも虎牢関攻略可能な状態で……!!

 

しかも、城壁の上、門までの道筋に『篝火』が立ててある。 朝方だから勿論、必要ではない。 なのに、何故………………。

 

麗羽「あの虎牢関の異様さ、敵兵力の数の少なさ、これはまた……とんでもない策謀を準備しているに、違いありませんわ!」

 

華琳「………………確かに。 全軍待機、敵兵が引いたら慎重に行軍を開始! 虎牢関に向かう!!!」

 

★★★

 

謙信「…………どうやら成功したようだ。 ゆっくりと戻ろうか、信玄……いや、信廉殿?」

 

信玄?「わ、私、何かヘマしましたか? 姉上の影武者として、見抜かれてる事など無いと思っていたのですが?」

 

謙信「いや、信玄に比べると些か『柔らかい感情』を感じただけだ。他には、違和感などない……。 他の者には、わからんさ!」

 

信廉「あ、ありがとうございます。 そ、それで、この策は『空城の計』なんですか? 虎牢関の様子といい、この人数というと?」

 

謙信「そうだ! 普段の霞なら冷静に対応してくれる事が、今回憧れの関羽と決着出来ると言う事で、精神が高ぶっていた。 そのため、急遽実行に移したのだ。 本来は、信玄達にも伝えなくてはならない事だが、迫真の演技を起こすため…敢えて秘密にしてしまった。許して欲しい!!」ペコリ

 

信廉「いえ! 策の秘匿も大事な事ですから!! ただ、姉上が少し不機嫌になると思います。 除け者にされたと言って………」クスッ

 

謙信「あ、あり得そうだ! その時は、軍師殿と共に謝りに行くとしよう…………」

 

信廉「……そうなれば、更に機嫌が悪くなりそうですねぇ……」ハァ

 

☆★☆

 

雪蓮「祭!! 大丈夫だった? 怪我は無いの!?」

 

冥琳「祭殿! 貴女程の者が! あのような策にやられるとは…」

 

祭「言わんでくれ! 儂も修業不足じゃわい!!!」

 

☆☆★  祭 回想  ★☆☆

 

昌景「おなごを待たせるなど…無粋な真似などせぬよ! さて…いざ! 尋常に勝負!!」 

 

山縣殿は、数歩踏み込む得物を構える!

 

対峙して分かるが、亡き主『孫文台』殿を思わせる程の…覇気、技量!

 

儂は……思わず身構えた! 

 

………すると、山縣殿は得物を投げ捨て、儂に近づき……急に抱きしめる!? 

 

………視線は上目使い、少し目に涙を溜めて………

 

 

昌景「こわいよぉ〜〜、お姉ちゃん…………」

 

 

祭「ううぅぅ…………!!!」

 

───────ガッチャン!!

 

 

思わず…あまりの可愛さに…持っていた武器を落としまう……!!

 

昌景「……うむ…………。 こうも容易く引っかかると………罪悪感を覚えるな…………」

 

祭「なっ!? ─────痛っ!!」ガキッ!

 

その隙に、片手を関節技で決められてしまい……勝敗をつけられた。

 

☆☆★  回想終わり  ★☆☆

 

祭「何が『六十越えている』じゃ!! 詐欺じゃ、妖術じゃ、女誑しじゃ!!!」

 

雪蓮「凄いわよねぇ……祭程の武人を騙すなんてぇ?」

 

冥琳「私でも、できない話だ」

 

穏「そうすると〜やはり〜、祭様より『年上』なんですよねぇ? あの方〜は?」

 

蓮華「でも、あれは『不老不死』という事では………?」

 

孫策軍は、暫し騒然としていたという。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

火計の話を出すつもりが、幾人かのキャラが活躍していないとの指摘と、思い浮かべたら作品になってしまったと言う事で、これで投稿いたします。

 

次回こそは、火計の話になる予定ですが……一応投稿遅れると報告だけいたします。 

 

遅れると書いて、全然遅れない小説ですが、また、宜しければ読んで下さい。

 

 

ついでに、この時点での虎牢関は、このように…

 

 《虎牢関 》

〈《伏竜の軍勢》〉 島津義久、義弘、歳久、家久、武田信玄、信廉、山縣昌景、上杉謙信、天城颯馬、足利義輝、織田信長、明智光秀、本多忠勝、百地三太夫 

〈《董卓軍》〉呂奉先、陳公台、張文遠、華雄

〈《洛陽軍》〉郭奉孝 

計…約二万五千人

 

 

 

説明
義輝記の続編です。 また宜しければ読んで下さい。 3/2に一部修正しました。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
1948 1686 9
コメント
作者の文章で笑えが誘えれば何よりです。 一人よがりの作品ですので笑えるのか、つまらないのか全然分からなくて。 次回こそは、二回目の火計を発動させます。 連合軍は、どう反応するか…お楽しみに。 (いた)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 一刀とは一刀なりに頑張って欲しいな…と作者としては思っています。 明命と冥琳のやり取りは次回も続きます。(いた)
連合の将達を手玉に取った印象の強い今回の戦闘、「我は張遼!、我は張遼!!」武勇伝も間近でしょうか。ラストの祭さんの詰めの甘さに吹いたww、そのような体たらくでは美魔女の称号が泣きますよ。次の火計は一体どれだけヤルのか(禁玉⇒金球)
一刀が矛盾と苦悩してますねアンビヴァレンスとでもいうか。明命(T^T)冥琳(´m`)成程こうして上下間の軋轢が始まるのか、叔母様をおっさん呼ばわりした褌ちゃんに災いあれ。桂花と朱雛里って結構気が合うのでしょうか、今や君主も〇乳だからやり易いのかな。(禁玉⇒金球)
雪風様 コメントありがとうございます! 長慶達は、洛陽で于吉の白装束と交戦中です。 その時に久秀との出会いを予定していますが…後何話目になるかわかりません。(いた)
三好・鬼十河・鬼左近らは何処の守備でしたっけ??。さて・・この戦・・そろそろ中盤〜終焉を迎えるかな・・そして・・戦後の行く末を見始めなければ・・(雪風)
明命の受難は更に続く予定。 やっと二回目の火計が書けそうです。 麗羽は華琳と組ませると、それぞれ影響受けるのか高飛車発言が出せません。 猪々子の発言は戦後には忘れられるでしょう。(いた)
naku様 コメントありがとうございます! この作品の一刀は何処へ目指しているのやらと思いつつ、今日も脱線した話を構想中。火計がなかなか進みません。(いた)
タグ
戦極姫 真・恋姫†無双 

いたさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com