真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 三十二話 |
蜀に来て三日…リトは色々と居心地が悪かった。
原因は分かっている、荒ワシ師団長との戦いだろう。
大勢の兵の前で変身し、あまつさえ敵を簡単に仕留めたのだ。
もっと言えば荒ワシ師団長を倒すまでの過程…異形の存在とは言え殺られる光景を見て、リトに恐怖を抱くなと言うのは無理と言える。
仮面隊のメンバーはある程度の耐性はできているのだが、その他のリトを見る目が怯えているのだ。
しょうがないと思いながらも訓練を終えたリトは部屋に戻って来た。
「……………おかえりなさい」
「お帰りなさいなのです、リト兄ィ!」
「…すんません、部屋間違えました」
扉を開けると恋と音々音がいた。
リトは少し固まって部屋を出て、表記されている文字を見る。
そこには間違いなく客人扱いされている自分の名前があった。
そして再び部屋に入る。
「恋、音々音…いつからここに居たんだ?」
「リト兄ィが訓練に行って半刻したぐらいからなのです」
「……………寂しかった」
「って言われてもさ、俺もやることあるんだから戻れないって。てか、ここで何してたんだ?けっこうここにいたっぽいけど」
「そ…それは、そのぉ…」
「……………(ポッ」
「…え、ホントに何してたの?」
前のように昼寝していたと思っていたリトは二人のリアクションを見て少し戸惑った。
二人して顔を赤らめ明後日の方向に顔を向けている。
まるでここでしてはいけない事をしてしまったような……そんな感じだ。
「そ、それよりもリト兄ィ!一緒にお風呂に入りに行きたいのです!」
「風呂?……ああ、そっか。早速やったのか」
「………何したの?」
恋がリトに訪ねてくる。
つい先日、リトは桃香に風呂についての相談を受けていた。
何でも風呂に入る間隔が長いことに不満だったらしい。
たしかに風呂を沸かすのにはかなりの手間と木材が必要だ。
この世界…いや、時代にとっては毎日風呂に入ることはかなり贅沢なのだろう。
そこでリトが取った行動は鍛冶屋や近くの料理店等の火を扱う場所からうまく熱源を使う事だった。
それを利用すれば毎日とは言えないが、週に三回ほどは風呂に入れる計算だ。
リトは早速境界を裂いて魏にいる真桜のもとへ行き相談。
結果は成功し、今日からためしに城でやろうと言う事となっている。
「…って言うことがあってさ」
「…………ご主人様、すごい」
「やったのは真桜だって。それより早く行こうぜ?訓練後の汗流したいし」
「全然汗かいてないですぞ…?」
音々音の言う通りリトは全く汗を掻いていない。
まぁ…本人が流したいと言っているのだから気にしないでおこう。
と言うわけでリト達は替えの下着などを持って風呂場へ向かった。
――――だがこの後、精神的な疲労と肉体的ダメージを喰らう事をリトはまだ知らない。
「おろ?焔耶じゃん」
風呂場の目の前に焔耶がいた。
彼女の手には着替えの入った袋があるので彼女も風呂に入る予定なのだろう。
一瞬リトの顔を見て顔を背けた焔耶はチラチラとリトを見ながら返事をする。
「ひ、平沢か…こんな時間にどうした?」
「いやさ、恋と音々音に風呂に入りに行こうって言われてさ。焔耶も風呂に入るのか?」
「ああ、ワタシも入ろうとしているのだが…って風呂だと!?」
「そうだけど?でさ、聞きたいんだけど何でここ扉が一つしかないの?」
そう…風呂がある扉は一つしか見受けられなかった。
――あれ?男湯別の場所なのか?
リトは自身の超直感が悪い方にがんがん鳴り響きながらもそんな事を考えていた。
そして、焔耶の口からリトの予期していた事を言われる。
「ここが唯一の風呂場だからだ」
「…ごめん、もっかい言ってくんない」
「ここしか風呂場がない」
「れぇぇん!?ねねねぇぇ!?」
「「………(サッ」
リトの叫びに恋と音々音はそっぽを向く。
おそらくはこの二人、知っていて来させたのだろう。
その証拠に音々音は口笛を吹いている。
「…はぁ…部屋に帰ってるな」
「り、リト兄ィ!さっき一緒に入るって言ってたのは嘘なのですか!?」
「いや、嘘じゃないけどさ…てっきり男女別れてると思って…」
「…………一緒に入らないの?」
「入っちゃダメだろ。二人…いや、三人とも嫁入り前の女の子なんだし俺と一緒に入るのは色々と不味いだろ」
「たしかにな…というより、お前は…その…ワタシの体を見ただろう?」
「あん時はすんませんでした!!」
焔耶は最初と同じように顔を赤らめ明後日の方向に顔を向けている。
それを見てリトは土下座した。
不可抗力とは言え、裸を見てしまったのだ。
当然土下座するだろう。
そして、これを見て面白く思ってないのがここに二人。
「ムッ…焔耶の裸は見れてもねねの裸は見れないのですか!?」
「いや、そう言う問題じゃ…」
「……………恋、ご主人様と入りたい」
「いやだからダメだって!?」
「……………だめ?」
「う…」
恋の上目遣い(無自覚)とウルウルの瞳にリトは罪悪感を沸かせる。
さらには音々音も一緒になってΟmΟ。と言った表情になり、段々と押されぎみとなった。
最終的にはリトは頷いてしまうことに。
「どうしてこうなった…」
「えへへ…リト兄ィ…♪」
「……………♪」
「…大変だな…」
「同情するなら助けてくれ」
その後、リト達は風呂に入っていた。
ただしリトは目隠しをしている…これはせめて裸を見ないようにリトがやったものだ。
少なくともこれで尊厳は守られるはず。
だがそれに反して恋と音々音はリトの両側の腕に腕を絡んできている。
ダイレクトに体が密着しているので色々とヤバい気分にならないように、リトは心の中でポケモン言えるかな?を歌っていた。
彼なりの落ち着き方なのだろう。
ちなみに焔耶は体を洗っているので声はリトの背後から聞こえている。
「あー…恋、音々音…もう少し離れて…」
「………や」
「嫌なのです」
「即答しないでくれよ…」
「苦労しているな…」
「全くだよ…はぁ…」
思わず溜め息が漏れる。
それを見て恋は少し思い詰めた顔を見せる。
雰囲気で察したのか、リトは恋に訪ねた。
「どした、恋?」
「…………ご主人様、辛い?」
「辛い?ああ、辛いよ?だって犯罪臭がぷんぷん…」
「(ふるふる)………夜、一人ででかけてる」
「…っ……」
「夜?どこかに出掛けてるのか?」
「…………ご主人様、帰ってくる時いろんなにおいした。…血のにおい」
「血!?リト兄ィ、どこか怪我をしてるのですか!?」
リトはわたわたと慌てる音々音の頭を撫でる。
付け加えて俺は怪我してない、と言いながら。
ふにゅぅ…と垂れた表情になった音々音を確認しない内にリトは躊躇いながらも話始めた。
「…前に……ここからかなり離れた場所でさ、怪人の反応があって…その…」
「誰にも言わずに討伐しに行ったのか!?」
「……ああ」
「何故だ!?怪人ならばワタシ…それに恋だって相手にできるはずだ!それなのに…」
「一応言っとくが、お前らが足手まといってわけじゃないぞ?ただ、俺一人で十分ってだけで…」
「だが恋が言うにはお前は無理をしているんじゃないのか?」
焔耶の言う通りだった。
恋と音々音が時々布団の中に潜り込んできた夜も含めると、リトが怪人を倒しに行った回数は三十は下らない。
どれも下級と言える怪人だったがその数は多く、しかも連続であったためリトは恋の言う通り疲れている。
食事や睡眠である程度は回復するとはいえ、少しずつだが分かりやすくなっているのだろう。
だが、リトはこれで『はいそうですか』と納得する男ではない。
「たしかに…俺、最近肩凝りとか酷いんだよね」
「肩凝りはともかく、もう少し休め。いくらなんでもそこまでする必要は…」
「あるんだよ。元々怪人が出てきたり、この世界が消滅しようとしているのは俺が前の世界をちゃんと再創造できなかった事が原因だからな。ケジメつけたいんだよ」
「だがお前は何でも一人でやりすぎだ!」
「たしかにな…辛くないとは言わないよ。たださ、本当に辛いのは…そう言うのじゃ無いと思うんだよ」
「本当に辛いこと…ですか?」
いつの間にか正気に戻っていた音々音も会話に加わる。
リトの言う辛いこととは何か、興味を示しているようだ。
「ああ…自分が傷付こうが、疲れようが、そんなんじゃないんだよ。俺は皆が傷付いてる方が辛いし、泣いてる方が辛い。でも俺が思う、辛いことはさ…自分で大切なモノを壊す事だと思うんだ」
「……………大切な…もの…?」
「恋はさ、音々音が誰かに苛められてたら嫌だろ?」
「……………ん」
「じゃあ…その苛めてる相手が自分なら?」
「…………もっと、や」
「だろ?そう言うことだよ。それが何よりも辛くて、怖いんだ」
「…………でも…」
恋はリトの腕に絡める力を強くしながら、呟く。
リトの目には見えていないが、恋の目は潤んでいた。
「…………無理しないで、ご主人様。恋もねねも、皆も…ご主人様が辛いと悲しい」
「…ありがとな、恋。…さてと、気を取り直して体洗うか。焔耶、変わってくんね?」
「ああ、もう少し待ってくれ。今湯を…」
「―――楽しみだね〜、愛紗ちゃん」
「そうですね。久しぶりの入浴ですし、身を清められる事は嬉しいことです」
「そうだな、愛紗は平沢にいつ抱かれてもいいようにしなければならんからな」
「なっ、せ、星!」
「ひ…平沢に…だ、だか…抱かれ…!?」
…何故か聞いたことのある声が聞こえた。
しかも四人…おそらく脱衣室からだろう。
現在風呂場にいる四人は固まり、そこから急に慌てた。
「…ハッ!?ちょ、やば…誰か来るぞ!?」
「声からして女…男の平沢がここにいるとまずいぞ!」
「いいいい急いでくだされ、リト兄ィ!早くしないとリト兄ィの裸が…裸が!」
「……あ」
リトが立ち上がり、自前のタオルで下半身を隠すと湯槽から出る。
だか、恋はリトを掴んでいた手を離さないでいた。
結果、バランスを崩したリトは近づいていた焔耶を巻き込み前に倒れる。
「あでっ…!?」
「うあ!?……あっ…」
「……えっ…今の何?」
すぐ近くから艶っぽい声が聞こえる。
それは焔耶だと確信すると同時に、リトはあることに気がつく。
今、自分の手には柔らかい感触があった。
ヤバいと思いながらもリトはその近くをなぞるように動かすとそれに比例するかのように艶っぽい声が漏れる。
そして、目隠しの結び目が取れ……リトが最初に見たのは、二度目の焔耶の裸とその胸を掴んでいる自分の手だった。
さらに最悪な事に、脱衣室にいた布で体を隠した四人…桃香、愛紗、趙雲、馬超が入って来る。
「あ」
「リト…くん…?」
「…何をしているのですか、リト?」
「ほほう…?」
「なななな何で平沢がぁ!?」
「あ、ん……ひら…さわぁ…手をどけ、ん…て…」
「わ…悪い!?」
「ひゃぁあああ!?」
いきなり手を離したからか、焔耶の敏感肌は過剰に反応する。
それを見た愛紗は、どこから取り出したのか……青龍偃月刀を構えた。
趙雲はニヤニヤしているし、馬超は趙雲の後ろに隠れて真っ赤に顔を染めている。
恋と音々音はともかく、ここにはリトの味方はいないらしい。
「リトくん…私、信じてたのに…」
「ちょ、誤解だって!そんな目で見ないで!?」
「リト……ここで何をしていたのか話して頂けますか?」
「その前にどっから出したそれ!?」
「いやはや、平沢は焔耶のような者が好みとは」
「へ…変態!エロエロ魔神!!」
「趙雲お前絶対知ってたろ!?あと、魔神なのは否定しない!」
「問答無用!!今すぐセッキョウシマス!!」
「片言になってる!?」
リトのツッコミの後、愛紗との鬼ごっこ(リアル)がスタート。
やはり助けてくれる人はいない。
音々音は不機嫌になり、恋は微笑んでいる。
「むむむ……ねねも焔耶ぐらい胸があれば…」
「………ご主人様、やっぱりおもしろい♪」
「恋殿はいいのですか!?あのままだとリト兄ィが桃香達にとられてしまうのです!」
「……………恋は皆と一緒に笑っていればいい。桃香とも、愛紗とも、ねねとも…ご主人様とも」
一騎当千と言われた呂布はリト達を見て年相応の笑顔を見せている。
――いつも一緒…ずっと一緒…
温かい気持ちにしてくれたリトに感謝して、また微笑む。
「…………ご主人様、だいすき」
その言葉は、愛紗に吹き飛ばされたリトにも、それを介抱しに行った音々音にも、誰にも聞かれなかった。
リト「 」←黒焦げ
XXX「あー、すっきりした」
一刀「……いつもとちがくね?」
XXX「おいおい一刀ー、後書きコーナーって言ってないぞー?」
一刀「いやいや、そうじゃないって!?何この光景?普通立場逆だろ!?」
XXX「作者の本気さ☆」
一刀「だったこいつ作者だわ!」
一刀「で…何で爆発させた?原因解ってるけど」
XXX「女子と風呂入った。密着した。胸もんだ」
一刀「どれも不慮の事故だろ!」
XXX「うるせーやい、ち○こ」
一刀「こいつ…!」
XXX「まーね、非があるのはリトだけじゃないのも知ってるけどやっぱねー」
一刀「まぁ、男湯と女湯がないのは仕方ないよな。一緒に入ろうとする恋達の気持ちもわからなくは無いけど」
XXX「それと焔耶はリトに対する警戒心が薄れてます。まあ、メイン回の影響だけどね」
一刀「でも目隠しするとは、やっぱり慣れてないんだよな」
XXX「忘れられてるかもしれないけど彼十五歳だからね。恥ずかしいのもあるし、何より呪いで性欲とかあんまりないし」
一刀「微妙にシリアス入れたのは?」
XXX「さあね?伏線と取ってもリトの考え方だと思っても構わないよ」
XXX「さーて次回のアンケートは!」
一刀「バラけてたからまたやるらしいです。タイトルとメインキャラは前回を参照してください」
XXX「ちなみに戦闘回が三回、お仕置き回が一回な感じです」
リト「…ヲイ」
XXX「あ、ヤベ…!」
究極の闇「倍返しじゃぁぁぁ!!」←全力パンチ
XXX「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」←仮面へこんだ
(o\o)#⊃°Д°;再見
説明 | ||
仮面編 無理しないで |
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コメント | ||
すんません、作者側の都合で『認めないんだから』と『やらないんですか』が混ざります。詳細は次回で書きます(XXX) アンケートについてですが、締め切りは明日の12時頃までとします(XXX) 刃さん お勤め御苦労様です。リトはこう言う星の下に生まれちゃったから仕方ないんですな(XXX) 休日出勤が堪えた( ;∀;)、おかげで※遅れたしまぁそんな事は置いといて、xxx様気持ちはわかりますリト、ラッキースケベでもお前も悪いと俺は思う(っ・д・)三⊃)゚3゚)'∴:. ガッ。(黒鉄 刃) 金球さん ありがとうございます。(XXX) 月&詠と南蛮娘達でお願い致します。(禁玉⇒金球) 劉邦さん 追加アンケート類はめっちゃ短編ぐらいしかできませんね。やるんであれば蜀パートラストの前なら纏めてできますね(XXX) 更に追加アンケートで「・疲れた貴方を癒したいから by恋・ねね・璃々(メイド服姿バージョン)」もお願い致します。(劉邦柾棟) 劉邦さん わざわざすいません。てか二番目の発想はありそうでなかった…!(XXX) 一つ目は「・認めないんだから by月&詠」で、二つ目は追加アンケートで「・『天のお菓子』を一緒に作って、皆で食べよう by朱里&雛里&月&詠」でお願い致します。(劉邦柾棟) そしてできればアンケートに答えてくれると嬉しいです(XXX) 劉邦さん 四人中三人は風呂に入れることに浮かれてたんですよ。一人は確信犯ですけど(XXX) っていうか、リト達が脱いだ服とか置いてある事に気が付くだろうに・・・・・・( ̄◇ ̄;) 『ソレ』に気が付かずに入る方も入る方だよ。(劉邦柾棟) 劉邦さん たぶん戦争とか農作業とかで忙しかったのでは?生きる事に必死になってたからそれを作る暇が無かったとか(XXX) 毎回思う事なんですが、何で「この時代」の人は『風呂』に入り易くする技術を確立しなかったんだろう? 『何百年』って時間があれば、毎日『風呂』に入れる様にする事も可能な筈なのに・・・・。(劉邦柾棟) 金球さん おおふ…物理的にっすか。まぁ、そこまで行き着くのに作者の根気と設定とイマジネーションがあればやりたいっすね(XXX) まァその何だ愛情表現は千差万別ですが音々と恋ははっきりしている訳でしてそれを邪魔する奴らは石を喰え!!、詰まる所大事なのは音々や恋とのイチャコラやイチャツキとかイチャイチャでして、もっと積極的に露骨に行きましょう物理的に!!!(禁玉⇒金球) nakuさん 恋姫「「「…orz」」」←ハートフルボッコリト「 」←血塗れ XXX「お前ってやつぁ…!!」←血涙+血のついたハーメルケイン ウィザード一刀「やりすぎだバカ!」←エンゲージの用意中(XXX) nakuさん 途中までいい話だったのに…w(XXX) |
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