英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク |
〜ラッセル家〜
「ほう……アーティファクトの力が停止したのか……」
「ふえ〜〜。」
「エステル、体が動かなくなったって聞いたけど、二人とも大丈夫だったのかしら?」
話を聞き終えた二人は興味深そうな表情で机の上に置かれた黒いオーブメントを見つめ、レンは心配そうな様子でエステルとヨシュアを見つめた。
「ええ、モチのロンよ!こうやって元気にいるから大丈夫よ!」
「そう。まあ、エステルなら例え絶体絶命に陥っても、お化けさんのようにしつこく犯人を追いつめそうだけどね。」
「ちょっとそれ、ど〜い〜う〜意味よ〜〜?」
「まあまあ。」
ジト目でレンを睨むエステルをヨシュアは苦笑しながら諌めていた。
「それで話を戻すのですが、このオーブメントについて調べてくれないでしょうか?」
「よかろう。測定装置に置いて調べて見るか。」
「ソクテイ装置?」
ヨシュアの依頼に頷いたラッセル博士の答えを聞き、訳がわからなかったエステルは首を傾げた。
「さっきの実験で使用したあの大きな装置の事です。導力波の動きをリアルタイムに測定するための装置なんですよ。」
「よ、よくわかんないんだけど、その装置を使えばこれの正体がわかるのよね?」
「エステル、博士たちに任せてみよう。何かわかるかもしれないし。」
「そうね、ヨシュア。じゃあ博士、お願いします。」
「うむ、それじゃあ早速……」
エステルの答えを聞いたラッセル博士は意気揚々と立ち上がった。
「でも、おじいちゃん。そろそろゴハンの時間だよ?」
「うふふ、どうやらお楽しみはディナーの後の方が良さそうね?」
しかしその時、時計の時間に気付いたティータは目を丸くして言い、レンは小悪魔な笑みを浮かべて言った。
「えー。」
一方興味が出てきたオーブメントを調べる時間が伸びた事にラッセル博士は思わず文句を口にした。
「えー、じゃないよおじいちゃん。あ、エステルさん達もよかったら、食べていって下さい。あんまり自信はないんですけど……」
「あ、それじゃあ遠慮なく♪」
「よかったら僕達も手伝うよ。」
「そうね人数も多いようだし、ティータ、手伝いましょうか?」
「ありがとう、レンちゃん、ヨシュアさん。」
「よし、それじゃあこうしよう。食事の支度が済むまでわしの方はちょっとだけ……」
4人で和気あいあいとしている様子を見たラッセル博士はその隙の間に黒いオーブメントを調べようとしたが
「だ、だめー。わたしだって見たいもん。抜け駆けはなしなんだから。」
「ケチ。」
頬を膨らませたティータに咎められ、つまらなさそうな表情になった。
(なんていうか、この2人……)
(血は争えないってやつだね。)
(うふふ、ティータもああ見えて博士に似た所があるからしょうがないわ。)
その後夕食が済みついに実験の時が来た。
〜夜〜
「コホン……腹も膨れたことじゃし早速始めるとしよう。エステル、例のオーブメントを台の上へ」
「う、うん……」
ラッセル博士に促されたエステルは緊張した様子で黒いオーブメントを測定器の台の上に置いた。
「これでいいの?」
「うむ。ティータや。そちらの用意はどうじゃ?」
「うん、バッチリだよ。」
「よろしい。それでは”黒の導力器”の導力測定波実験を始める。」
「ドキドキ、ワクワク……」
ラッセル博士の宣言を聞いたティータはまるでおもちゃを目の前にした子供のように目を輝かせた。
「あー、ティータったら凄いやる気の目ね。」
「うふふ、重度の導力技術マニアのティータなら当然、見逃せない出来事だから仕方ないわ。」
「あう……わたしはマニアじゃないよー、レンちゃん。」
苦笑しているエステルに捕捉したレンの説明を聞いたティータは頬を膨らませてレンを見つめた。
そして実験が始まり順調に進み始めた。
「よしよし、順調じゃ。ティータや、測定器の反応はどうじゃ?」
順調に進んでいる事に気を良くしたラッセル博士であったが、ラッセル博士とは逆にティータは表情を曇らせていた。
「う、うん……なんだかヘンかも……」
「なぬ?」
「メーターの針がぶるぶる震えちゃって……あっ、ぐるぐる回り始めたよ!」
ティータが叫んだその時、測定器のありとあらゆるメーターの針が故障したかのように激しく回り始めた。
「なんじゃと!?」
そして博士が叫んだその時、黒いオーブメントは漆黒の光を放った!
「な、なんじゃ!?」
「きゃあ!」
「あら、一体何が起こるのかしら?」
突如光り始めたオーブメントにラッセル博士とティータは驚き、驚いている二人とは逆に一切動じていないレンであったがオーブメントを警戒するかのように口から出た軽口とは逆に真剣な表情でオーブメントを見つめていた。
「ヨシュア、これ……!?」
「あの時の黒い光……!」
見覚えのある光を見たエステルとヨシュアが血相を変えたその時、照明などの導力器が次々と導力をなくして消え始め、やがて街全体にまで広がった。
「ちょっとこれって、まずいんじゃないかしら!?ヨシュア、レン、街を見てくるわよ!」
「了解!」
「ええ。危ないからティータはここで博士と待機ね。」
「う、うん。」
エステル達が街に出ると、街全体の導力器が止まり、街中がパニックになっていた。
「不味いよ、エステル。街中がパニックになっている!」
「まあ、導力が突如消えたんだから、当然の反応でしょうね。」
エステルと合流したヨシュアは真剣な表情になり、レンは冷静な様子で答えた。
「あたしが博士を止めてくるから、二人は混乱している人達を鎮めてきて!」
「わかった!」
「フウ、面倒だけど、仕方ないわね……」
そしてエステルの指示に頷いた二人はそれぞれ分散して、それぞれの役割を果たすために動き始めた。
「お、おじいちゃん、これ以上はダメだよぉ!測定装置を止めなくっちゃ!」
「ええい、止めてくれるな!あと少しで何かが掴めそう……」
エステル達が街中の混乱を鎮める為に奔走している中、ティータは混乱がおきていてもなお、実験を続けようとするラッセル博士を止めようとしていた。
「ちょっとちょっと!町中の照明が消えてるわよ!?」
その時エステルが慌てた様子で部屋に入って報告した。
「ふえっ!?」
「なんと……。ええい、仕方ない!これにて実験終了じゃああっ!」
エステルの報告を聞いたラッセル博士が断腸の想いで測定装置を止めると消えていた照明がつき始めた。
「あ……照明がついた……」
「はうううう〜……」
「計器の方は……。ダメじゃ、何も記録しておらん。ということは、生きていたのは『黒の導力器』が乗った本体のみ。あとは根こそぎということか……」
エステルとティータが安堵の溜息を吐いている中、ラッセル博士は測定結果を調べていた。
「よかった……。実験を中止したみたいだね。」
「あ、ヨシュア!外の様子はどうなの?」
「うん……。照明は元通りになったみたいだ。まだ騒ぎは収まっていないけどね。レンも引き続き騒ぎを収めているところだよ。」
「そっか……。すぐにあたし達も行かなきゃね。でも、一体全体、何が起こっちゃったってわけ?」
街をパニックに陥らせた原因である黒いオーブメントをエステルは不思議そうな表情で見つめていた。
「そうじゃな……。あえて表現するなら『導力停止現象』と言うべきか。」
「『導力停止現象』……」
「オーブメント内を走る導力が働かなくなったということですね。――やはり、その黒いオーブメントが原因ですか?」
ラッセル博士の説明を聞いたエステルは呆け、ヨシュアは頷いた後真剣な表情で尋ねた。
「うむ、間違いあるまい。しかし、これほど広範囲のオーブメントを停止させるとは。むむむむむむむむむ……こいつは予想以上の代物じゃぞ。面白い、すこぶる面白いわい!」
「お、面白がってる場合じゃないと思うんですけど〜……」
街をパニックに陥らせた原因を興味深そうな表情で見つめているラッセル博士をエステルは白い目で見つめていた。
「ハ〜カ〜セ〜ッ!!」
するとその時怒気を纏ったツァイスの中央工房長であり市長でもある男性―――マードックが部屋に入って来てラッセル博士に近づいた。
「おお、マードック。いいところに来たじゃないか。」
「いいところ、じゃありません!毎回毎回、新発明のたびにとんでもない騒ぎを起こして!町中の照明を消すなんて今度は何をやったんですかッ!?」
「失敬な。今回はわしは無関係じゃぞ。そこに置いてある『黒の導力器』の仕業じゃ。」
「そ、それは例の……。なるほど、それが原因ならこの異常事態もうなずける。」
街を混乱させた原因がラッセル博士ではない事を知ったマードックは一瞬怒りがなくなったが
「……………だ、だからといってアンタが無関係ということがあるかあっ!」
「ちっ、バレたか……」
すぐに直接では無くても間接的に街を混乱させた原因がラッセル博士である事に気付いて怒鳴った。
「な、なんかやたらと息が合ってるわね〜。」
「いつもこんな感じなんだ?」
「あう、恥ずかしながら……」
二人の様子をエステルは苦笑しながら見つめ、ヨシュアに尋ねられたティータは恥ずかしそうな表情で答えた。
その後エステル達は騒動を収めているレンと共にそれぞれ手分けして騒動を収め、全て鎮まった時には夜の遅い時間になり、エステルとヨシュアもラッセル家に泊めてもらうことになった………
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第19話 | ||
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