美希「マージャン?」真「マージャンかあ」P「やってみるか?」  第3話後編
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(対局中)

 

亜美「まこちん、始まってからずっとあがれないねー」

 

真「勝てる気がしない手ばっかりだったから仕方ないよ。早くこう、バーンと突き進めるような手が来ないかなあ」

 

P「麻雀は辛抱することも大事だからな。その点では真はよく粘っているぞ。初心者とは思えないほどだ」

 

真「そうですか?自分ではよくわからないんですが」

 

P「ほぼ説明なしの初心者なら、普通は降りるって選択肢は出てこないものなんだ。でも真はしっかりとできている」

 

真「敵が三人なんですから、無防備で突っ込んでも負けちゃうだけですよ。劣勢なら、まずは防御を固めたいところですね」

 

P『感覚なのか、空手の応用なのか。どうやら自分の戦い方ってものを、すでに持っているみたいだな』

 

南2局 1本場 真 24500点

 (東家 25900点)

 (西家 35100点)

 (北家 14500点)

 

* 配牌 「四六七1889(58)東南北白」 ドラ 7 

 

真「これは酷い……」

 

真美「こんどもダメっぽいねー」

 

真「プロデューサー。麻雀って、最初から降りてもいいものなんですか?」

 

P「あまり推奨されてはいないが、今はかなり競っている終盤だからな。振り込み絶対回避、という選択肢も悪くは無い」

 

真「なら、この局は防御に徹してみます」

 

1巡目

ツモ「中」→打「(5)」

2巡目

ツモ「北」→打「六」

3巡目

ツモ「(2)」→打「四」

 

P「徹底して内側からか」

 

真「字牌って鳴かれたら1ハンつくんでしょう?なら、あがる気が無いんだからできる限り遅らせた方がいいと思って」

 

P「その考え方はいいぞ。加えるなら、自分の手は七対子や一色手、端手などを目指すといい」

 

真「えーっと……専門用語が多くてよくわからないんで、素直に失点を少なくする方を選んでいきます」

 

P「ああ、すまん。真の打ち方を見ていると、つい初心者ってことを忘れちまうな」

 

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* 4巡目時点 「七1889(28)東南北北白中」 ドラ7

 

真美「なんか、最初より悪くなってない?」

 

真「自分の手なんかどうだっていいよ。それより、相手の捨て牌だ。みんなも気付いたことがあったら言ってほしい」

 

亜美「らじゃー!」

 

真「それにしてもきついなあ。ちょっと考え方を変えてみたほうがいいのかも」

 

4巡目

ツモ「(1)」→打「東」

5巡目

ツモ「八」→打「(8)」

6巡目

ツモ「4」→打「中」

 

真「だめか〜」

 

P「中は食わせにいったのか?」

 

真「いっそ食ってもらって、安くあがらせてしまおうって思ったんです。なかなか思うようにはいかないなあ」

 

P「うーん……確かに食わせようによっては相手の手を安くすることもできるんだが」

 

真「まずかったですか?」

 

P「アリなんだ。だが、相手の手がある程度は見えるレベルの人に限りな。ドラや手役の可能性を検討できるか?」

 

真「なんですかそれ?初心者相手に無茶言わないでください」

 

P「トップが下家で、食わせた後をフォローできるならアリってことだよ。初心者なら不利が増えるだけになってしまうな」

 

P『初心者離れした打ち回しと知識の無さ。これは……』

 

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* 7巡目  「七八14889(12) 南北北白」 ドラ7

 

真「もうそろそろ、完全に諦めてもいい頃ですね」

 

P「ツモと手が全く噛み合っていない。この手はまず無理だろう」

 

真「はあ。いつになったらあがれるんだろう」

 

P「麻雀にはままあることだ。この半荘はずっと劣勢続きだからキツいだろう?本当に真はよくやっているよ」

 

真「ありがとうございます。でも、ボクも美希みたいにバンバンあがってみたいんですよねー」

 

7巡目

ツモ「南」→打「七」

8巡目

ツモ「中」→打「4」

9巡目

ツモ「一」→打「八」

 

真「中が痛いっ!くそっ切るんじゃなかった!!あれがあれば、あがりに向かえたのに……」

 

P「しかし、6巡目に切っていたからこそ、進みたくなる誘惑を断ち切れたとも考えられる」

 

真「う〜〜〜ん……まあ、そうですよね。ここまできたら初心を忘れずにいきます」

 

P「七マン・八マンの合わせ打ちもちゃんとできてるな。そのルールは知っていたのか」

 

真「合わせ打ちってなんですか?えっと、ふりてん?」

 

P「知らないのか?」

 

真「さっぱりです。あの2牌はただ、『今出た牌なのにあえて僕から当たる意味がない』から、安全かなって思っただけです」

 

P「なんだ真、お前頭いいじゃないか!数局でその考えに至れるなんてすごいぞ!」

 

真「褒められている気がしないよね、これ……」

 

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* 10巡目 「一1889(12)南南北北白中」 ドラ7

 

P「トップ目の下家からドラが出てきたな」

 

真「ドラが出てきたら危ないんですか?」

 

P「ああいう真ん中あたりのドラは、使えそうなら取っておくケースが多い。切られたなら、形が整ってきている可能性が高い」

 

真「まあでも、オリる牌はいくらでもありますからね」

 

10巡目

ツモ「9」→打「一」

11巡目

ツモ「(3)」→打「中」

12巡目

ツモ「五」→打「五」

 

真「やっとツモがまともになってきましたけど」

 

P「まあ意味はないな」

 

真「うーん。親に打つと1.5倍ってのが辛いですねえ」

 

P「ああ、辛いんだ。だから親の現物一マン打ちはいいぞ。今から完全な安全牌ばかり切っていると、終盤に無くなるからな」

 

真「降りるのもなかなか難しいですね。中の二枚切れだからいいかなって。五マンは”合わせ打ち”をしました」

 

P「いい選択だ。真の降り方を見ていると、『降りることに関しては伊織よりも上なんじゃないか?』って思ってしまうな」

 

亜美「いおりん、初心者のまこちんよりも下手なの?」

 

真美「じゃあ真美たちよりもずっと下手だね!」

 

P「いや、伊織は強い。攻撃重視だから、真のように守る打法を選ばないってだけだ」

 

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* 13巡目 「18899(123)南南北北白」 ドラ7

 

真「さっき話しに出た、えっと、何だっけ。二個ずつ集めるやつ」

 

真美「七対子だよ!覚えにくかったらニコニコでもいいんだってさ」

 

真「なるほど。ニコニコっていいね。これ狙ってみようかなあ」

 

P「七対子は降りながらでも狙える役の一番手だ。嫌う人も多いけど、慣れると便利だぞ」

 

真「覚えておきます」

 

P「それよりも、ラス目の対面が発を鳴いてドラ切りだ。これはテンパイの可能性が高い」

 

真「……手役は、どんなものが考えられますか?点数は高いでしょうか」

 

P「ん?そうだな……ドラは手の内に少ないだろうし、一色手もない。他も考えにくい場況だから、安いと思うぞ」

 

真「なら、対面は気にしないことにします。ボクの頭じゃあ、親とトップ目だけでもキツイくらいですから」

 

P『その考え方、いいぞ!この差し迫った状況下、僅差二着目の親が1000点や2000点のロスで流れるなら悪くない』

 

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13巡目

ツモ「7」

 

* 現在の手牌 「178899(123)南南北北白」 ドラ7

 

真「あれっ?なんかこれ、急にいい手っぽく見えてきたんですが」

 

亜美「あー!これさっき亜美たちが狙ってた手じゃん!」

 

P「ちょっと待ってくれ。これは考えてみる価値がある」

 

P『ドラが2枚切れで1枚所持。役牌は、白以外すべて2枚以上見えている』

 

P『皆の捨牌から、三色や一通などの可能性も限りなく薄い。あってもダマでタンピンドラくらいがMAXじゃないか?』

 

P『ということは、白なら打ってもまず対面への2000点くらいか。1ソウ切りでもタンが消えて親の2900点』

 

P『ドラがほとんど見えたことに加えて、鳴きと捨て牌の絡みから場が異常に安くなっている。これは……』

 

P『前に出るリスクはほとんど消えた。なら、白も1ソウも危ないが、白は持たれていたら終わり。打つなら安い方で』

 

P「ちょっと危ないが、どの相手も点数が安いように見える。腹をくくって、生牌の白を切るのも面白いかもしれん」

 

真「その言葉を信じて、行きます!」

 

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13巡目

捨牌「白」

 

P「トップ目の下家がポンか。ポンで済んだのはラッキーだぞ!」

 

真「助かりましたね。さあて、いった甲斐があればいいのですが……」

 

P「1ソウにくっつけばあがりの目も出て」

 

 

14巡目

ツモ「7」

 

P「ぶっ!」

 

真「うわっ!すごいの引いちゃいましたよ」

 

  手牌「1778899(123)南南北北」  ドラ7

 

P「ラス牌のドラペンチャンか。しかも連続引きとはなあ」

 

真美「あんなに酷かったのに、なんかすごい手ができちゃってる……」

 

P『北が一枚切れ。南は場に出ていないから、おそらくは持ち持ちか?ならラス牌の北狙いで』

 

P「1で打っても2900くらいだ。ここは」

 

真「ええ。ここで降りたら白を切った意味がないですからね。いきますよっ!」

 

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* 捨牌 「1(リーチ)」

 

亜美「と、とおった?!」

 

15巡目

ツモ「南」

 

真「きたあっ!」

 

P「リーチ一発ツモダブ南チャンタイーペーコードラドラで、おしいっ!倍満までか」

 

真「うわあ、あんな手からでもあがれるんですね!」

 

P「いや、これは相かなりレアな牌譜だぞ。珍しいから記録しておきたいほどだ」

 

真「なんかすっごく気持ちよかったなあ。綺麗にカウンターを入れて一本を取ったときみたいだ」

 

P「もし記憶をなくした状態で同じ手を打ったら、この局を再現できないだろうな。思考の揺れの部分が的確すぎた」

 

真「プロデューサーが驚くような手が打てたんですね。ちょっと誇らしいかも」

 

P「真。ひょっとするとお前は、感覚的なセンスではウチで一番なのかもしれないぞ」

 

真「えっ?そ、そうなのかなあ」

 

P「ああ。頭を使うゲームは苦手って言ってたけど、案外麻雀は向いているんじゃないのか?」

 

真「えへへー。そうですかね。そう言われると、ちょっと嬉しいなあ」

 

 

 

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真美「ミキミキもまこちんも、すっごい褒められちゃってるね……」

 

亜美「亜美たち、完全に置いてけぼりだよー……」

 

真美「ねえ亜美。真美たちもさ、兄ちゃんに『すごいな!』って言われたくない?」

 

亜美「言われたい!今のままだと亜美たちだけが負けてるみたいじゃん!」

 

真美「そこでだよ、亜美くん。この真美に、一ついい案があるのだけれど乗ってみないかい?」

 

亜美「えっ?どんなのどんなの?それってすっごく面白いやつ?」

 

真美「んーまだわかんないかな。聞きかじっただけだし。でもまあ、とりあえずはまーじゃんのお勉強から始めなきゃだね」

 

亜美「うん、そうだね。誰か知ってる人とかいないかなあ」

 

真美「家に帰ってパパに聞いてみようよ。顔広いから、誰か知ってるかも」

 

亜美「ならなら、亜美はメール打ちまくる!765のみんな以外で知ってる人、探してみるよ」

 

真美「ゲームも買っちゃう?」

 

亜美「あったりまえじゃん!ピヨちゃんが持ってきたやつも、他のやつも買っちゃおう」

 

真美「流行りそうだね、まーじゃん」

 

亜美「流行るなら、乗っとかないとね!」

 

真美「あんま得意なゲームじゃなさそうだけど、ゲームと聞いちゃあねえ」

 

亜美「黙ってはいられないよねえ。たとえ勝てなくても、嵐くらいは呼んでみせるよ!」

 

真美「やっちゃおうか」

 

亜美「やっちゃうしかないっしょ!」

 

真美「んっふっふ〜」

 

亜美「んっふっふ〜」

 

 

 

 

 

 

説明
真も麻雀ゲームをやってみるようです。


注1:『一』は一マン、『1』は一ソウ、『(1)』は一ピンです

注2:この作品は中編(http://www.tinami.com/view/663955 )の続きです

注3:この話で使用されている牌譜は実戦譜です
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アイドルマスター 菊地真 双海亜美 双海真美 アイマス 麻雀 

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