英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク |
〜遊撃士協会・ツァイス支部〜
結局博士は見つからず通報を受けた王国軍と中央工房にそのことを伝えた後、エステル達はギルドに報告するため一端ギルドに戻った。そこにキリカと眼鏡をかけた学者風の男性がいた。
「いい所に戻ってきたわね。」
「あれっ……」
「あなたは……」
エステルとヨシュアはギルドに見覚えのある人物――――眼鏡の学者風の男性を見て目を丸くした。
「なんだ?お前らの知り合いか?」
「ええ、アルバ教授と言ってリベールの歴史を研究している方です。」
男性―――アルバ教授の事を知らないルークにヨシュアは軽く説明をした。
「お久しぶりですね。エステルさん、ヨシュアさん。」
「アルバ教授じゃない。ツァイスに来てたんだ。どうしてここに?」
「この人の通報のおかげで犯人達の行方がわかったの。」
「えっ……」
「うそっ!?」
「ハアッ!?」
「何だと!?」
キリカの口から出た予想外の話を聞いたエステル達は血相を変えた。
「やっぱりただ事じゃなかったんですね。ふう、通報に来て本当によかった。実は私、さっきまで塔の調査をしてたんですよ。」
「塔っていうと……例の”四輪の塔”の一つね。」
「この近くの塔といえば”紅蓮の塔”だな……」
アルバ教授の説明を聞いたアガットはツァイス地方の地形を思い出しながら呟いた。
「ええ、そしたら軍人が数名中に入って来たんです。最初は王国軍が調査をすると思ったんですが、影から様子を窺っていると誘拐だの逃走ルートだの不穏な言葉が出てきたので、気になってしまってこちらに通報に来たわけなんです。」
「その軍人たち……どんな軍服を着てましたか?」
「ええと……蒼と白を基調にした華麗な軍服を着ていましたが……」
「蒼と白……親衛隊の服装か……!」
ヨシュアの質問に答えたアルバ教授の答えを聞いたルークは目を見開いた。
「決まりだな……”紅蓮の塔”に急ぐぞ!」
「うん!」
「わかりました!」
「ああ!」
「あ、あの……お姉ちゃんたち、お願い……わ、わたしも連れていって……!」
エステル達が誘拐犯を追おうとしている所をティータが自分の同行を強く申し出た。
「ティータ……」
「それは……」
「さすがにちょっとな……」
ティータの申し出を聞いたエステル達はティータは連れて行けない事を理解している為、それを言うのが辛くてそれぞれティータから視線を外し
「こら、チビスケ。」
「ふえっ?」
エステル達を代表するかのようにアガットがティータを睨んだ。
「あのな……連れていけるわけねえだろが。常識で考えろよ、常識で。」
「で、でもでも……!おじいちゃんが攫われたのにわたし……わたし……!」」
大好きな祖父を攫われたにも関わらず待っている事ができないティータは初対面で恐怖を感じた男性でも食い下がろうとしたが
「時間がねえからハッキリ言っておくぞ……足手まといだ、付いてくんな。」
「……っ!」
アガットの言葉に泣きそうな顔をした。
「ちょ、ちょっと!少しは言い方ってもんが……」
アガットの直接的な言い方にエステルは咎めるかのように睨んだが
「黙ってろ。てめえだって判ってるはずだ。素人の、しかもガキの面倒見てる余裕なんざねえんだよ。てめえの生意気な妹―――”剣姫”と違って、そのガキは自分の身を自分で完全に守れる訳じゃねえし、”一般人”だ。」
「そ、それは……」
アガットの正論に返す言葉がなく、黙り込んだ。
「ヨ、ヨシュアお兄ちゃん……ルークさん……」
エステルの様子を見てティータは助けを求めるかのようにヨシュアとルークを涙目で見つめたが
「―――ごめん、ティータ。僕も反対だ。あの抜け目ない連中が追撃を予想していないわけがない。そんな危険な場所にティータを連れていけないよ。」
「悪いけど俺もヨシュアに同意見だ。下手をしたらティータを集中攻撃して、俺達がティータに目を取られている隙にラッセル博士を完全に連れ去る可能性だって十分考えられるしな。」
ヨシュアとルークは無情にもそれぞれ自分の同行に反対した。
「う〜っ……ごめん、ティータ。やっぱ連れていけないみたい……」
「エ、エステルお姉ちゃん……ひどい……みんな、ひどいよぉっ……」
そして最後の頼みの綱であるエステルからも断られティータは泣きながらギルドを出た。
「ティータ!」
泣きながら走り去ったティータをエステルを追おうとしたが
「待った、エステル。今僕達にできるのは一刻も早く博士を奪還して彼女を安心させておくことだ。」
「今はそっとしておいてやろうぜ。」
「ヨシュア……ルーク兄……わかったわ。確かにあたし達に今できるのそれぐらいね。」
ヨシュアとルークに諌められ、ティータを追うのを諦めた。
「ったく、一秒でも惜しい状況だっていうのによ……―――キリカ!軍への連絡は任せたぞ!」
「ええ、そちらも武運を。」
「皆さん、気を付けてください。」
そしてルーク達はキリカとアルバ教授の言葉を背に受けてギルドから出て、”紅蓮の塔”に向かう為に街道を走って進み始めた。
〜トラッド平原道〜
「あら、エステル達にお兄様までいるじゃない。」
ルーク達が街道を進んでいると聞き覚えのある声が聞こえて立ち止まった。すると目の前からレンとバダックがルーク達に近づいてきた。
「レ、レン!?」
「一体どうしてここに……」
レンの登場にエステルとヨシュアは驚き
「久しぶりだな、ルーク。」
「お、お前はラル……じゃなくてバダック!カルバードにいるお前がどうしてリベールに……それも何でレンと一緒にいるんだ??」
バダックに話しかけられたルークは驚いた。
「少々事情があってな。―――もしやその娘達がカシウスの話にあったカシウスの子供達か?特にその栗色の髪の娘はカシウスにどことなく似ているようだが。」
「あ、ああ。」
ルークの答えを聞いたバダックはエステルとヨシュアに視線を向けた。
(で、でかっ!?今日街道ですれ違った時に温泉を聞いてきた人並みじゃないかしら??)
(しかもかなりの腕前だね……あんな大鎌を軽々と持ち歩いているし。)
(一体何者だ?俺達の”同業者”のようだが……)
バダックを初めて見るエステル達はそれぞれの感想を小声で言い合っていた。
「―――バダック・オークランド。たまたまヴォルフ砦でレンと出会ってな。彼女に頼んでツァイス市のギルドへの道案内をしてもらっている所だ。」
「あたしの名前はエステル。エステル・ブライトよ。」
「ヨシュア・ブライトです。」
「アガット・クロスナーだ。悪いが自己紹介はこのぐらいにして、俺達は急がせてもらうぜ。今、緊急の事件で急いでいる所だ。」
「事件だと?一体何があったのだ?」
そしてルーク達はバダックとレンに事情を軽く説明した。
「レンがツァイスを離れている間にそんな事が……」
「ふむ………―――よければ俺もお前達に同行しようか?」
事情を聞き終えたレンは驚き、バダックは考え込んだ後意外な提案を口にした。
「え……」
「何?」
「へっ!?」
「お、お前が!?」
バダックの提案を聞いたヨシュアとアガットは呆け、エステルとルークは驚いた。
「ああ、俺も遊撃士の一人として力を貸そう。―――レン、お前はツァイスに戻ってラッセル博士の孫娘を護衛した方がいいだろう。」
「ティータを?どうしてかしら。」
バダックの話を聞いたレンは首を傾げ
「ラッセル博士に自分達の思い通りに働いてもらう為にその博士達を誘拐した者達が孫娘を人質に取る可能性も十分にありえるからだ。」
「!!なるほどね。―――わかったわ。じゃ、レンは一足早くツァイスに戻ってキリカお姉さんに報告した後ティータの護衛に移るから、そっちも頑張ってね。」
バダックの説明を聞いて納得した後ティータの身を案じるかのようにルーク達から走り去ってツァイス市に向かって行った。
「え、え〜と、バダックさん……だっけ。本当にいいの?」
「ああ、遊撃士の一人として見逃せん事件だ。」
遠慮気味に尋ねてきたエステルの言葉にバダックは頷いた。
「ちなみにそいつは俺と同じA級でしかも、”獅子王”だから文句なしの戦力になるぜ。」
「へ?”獅子王”??」
ルークの口から出た聞き覚えのない異名にエステルは首を傾げ
「え………じゃ、じゃあ貴方が!?」
「あの”獅子王”だとっ!?」
ヨシュアとアガットは声を上げて驚いた。
(ね、ねえ、ヨシュア。その”獅子王”って凄いの?A級だからルーク兄みたいに凄いのはわかるけど……)
(凄いも何も”獅子王”は遊撃士の中でも”風の剣聖”と並ぶ”最強の遊撃士”として称えられている相当の実力者だよ。あくまで噂だけど”獅子王”なら、”猟兵(イェーガー)”の中でも”最強”と恐れられている”猟兵王”や”闘神”とも互角に渡り合えるって言われるほどだよ。)
(あ、あんですって〜!”最強の遊撃士”!?それって滅茶苦茶強いじゃない!)
ヨシュアの説明を聞いたエステルは驚きの表情でバダックを見つめた。
「”獅子王”ならむしろこっちから頼みたいぐらいだぜ。よろしくな、バダック。」
「ああ。―――では急ぐぞ。」
そしてバダックを加えたルーク達は”紅蓮の塔”へと急いだ。
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第21話 | ||
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