英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク |
王都グランセルを除いた各地方に存在する”四輪の塔”――――その内の一つである”紅蓮の塔”はその名を示す通り、塔全体が真っ赤に染まっていた。
〜紅蓮の塔〜
「本当にここに連中がいるのかしら?」
「間違いない……複数の足跡ができていやがる。」
「しかし何でこんな所を隠れ家にしたんだ?確かに塔内は入り組んでいるから隠れるのにはうってつけだけど、逆に入口さえ抑えてしまえば袋の鼠だぞ?」
塔内を見上げたエステルは首を傾げ、アガットとルークは考え込んでいた。
「!!どうやら早速来たようだぞ。」
「皆さん、構えて!」
そして何かの気配を感じたバダックとヨシュアはそれぞれ武器を構え、二人に続くようにルーク達も武器を構えた。すると塔内から大型の犬が数匹現れた。
「こいつら!?」
「へっ、やっぱりここだったか!」
「行くぜっ!!」
そして犬達はルーク達を排除する為に一斉に襲い掛かった。するとその時闘気によって発生した炎を大鎌に宿していたバダックが大鎌を大きく振るった!
「烈火衝閃!!」
バダックが鎌を振るった瞬間、火炎放射をも思わせるような炎が放射状に犬達を一斉に襲い、炎を受けた犬達は撃ち落されて怯んだ。そこにバダックが詰め寄り
「獅吼!」
炎の”獅子”を形どったエネルギーを犬達に放ち
「爆炎陣!!」
闘気の炎を纏った大鎌を地面に叩きつけ、ドーム型に広がる小規模な炎の爆発を起こした!爆発に呑みこまれた犬達は悲鳴を上げながら絶命し、爆発が収まると犬達がいた場所にはセピスが落ちていた。
「す、凄っ!?まさに”瞬殺”じゃない!」
「あんな一瞬であの犬達を…………」
「へっ、さすが”獅子王”だな。」
「ハ、ハハ……(俺やティア達が協力してようやく倒せた相手だからな……改めて思うと”六神将”って強すぎだろっ!)」
バダックの圧倒的な戦闘にエステルとヨシュアは驚き、アガットは感心し、ルークはかつての戦いを思い出し、冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「お前達は先程の魔獣を知っているようだが……もしやラッセル博士達を誘拐した犯人共が連れている番犬か?」
「え………―――あっ!」
「確かにこのタイミングで現れるなんて、あまりにも出来過ぎていますね……」
バダックに尋ねられたエステルは呆けた後すぐに気付いて声を上げ、ヨシュアは真剣な表情で考え込み
「ああ、間違いねぇ。おそらく連中によって訓練された戦闘犬ってところだろ。」
「だとすると、犯人達のバックにはかなりデカイ組織が控えているかもしれねぇな……」
アガットとルークはそれぞれ目を細めて考え込んでいた。
「せ、戦闘犬……?」
「俺は連中を調べ始めてから、何度もあの魔獣の襲撃を受けた。無関係であるはずがねぇ。」
「ああ、それにルーアンでアガットと追った時も出てきたからな。」
聞きなれない言葉に戸惑っているエステルにアガットとルークはそれぞれ自分達が体験した出来事を説明した。
「そ、そうだったんだ……てことは、峠の関所がさっきの魔獣に襲われたのはあんたがいたからってわけ!?」
「ま、結果的にはな。そもそも、連中の調査を俺に押し付けたのはお前らの親父だ。こっちだってイイ迷惑なんだよ。そんな面倒な事は赤の他人の俺より自分の息子(ルーク)に頼めばいいものを……」
エステルに責めるような視線で睨まれたアガットは頷いた後一瞬ルークに視線を向け
「う、それを言われると……」
「ハハ………」
「ほう?カシウスから任せられる程という事は、それなりに評価をされているようだな?」
アガットに図星を突かれたエステルは呻き、ルークは苦笑し、バダックは感心した様子でアガットを見つめた。
「そういえば、ジャンさんもそんな事を言ってましたね。どういう経緯で父さんに頼まれたんですか?」
「例の空族事件が起こる少し前にフラリと現れて押し付けやがったんだ。何でも、外せない用事ができたと抜かしやがってな。全く、相変わらずふざけたオッサンだぜ。」
(外せない用事………――――!!あの件か!)
「………………………」
ヨシュアの質問に答えたアガットの話を聞き、自分とレン宛てに届いた手紙の内容をふと思い出したルークは顔色を変え、ルークと同じように心当たりがあるバダックは真剣な表情で黙り込んでいた。
「そ、そんな事があったんだ。」
「最も今となっちゃあ、誰にも譲るつもりはねえがな。特にあの仮面野郎だけは絶対この手でふん捕まえてやる………」
ルーアンで対峙し、まんまと逃げられた仮面の男を思い出したアガットは怒りの表情になった。
「???」
「あの仮面野郎?」
アガットの様子に気付いたエステルとヨシュアはアガットを見つめ
(おい、何があった。)
(ああ、多分ルーアンで逃がした犯人共のリーダー格だと思う。)
(なるほどな。しかしお前がいながら、まんまと逃がしたのか?全く、やはりまだまだ小僧だな……この調子だと、先が思いやられるな。)
ルークに小声で事情を聞いたバダックは呆れた様子で溜息を吐いた。
(うっせ!それに言っとくが、その仮面野郎とやらと俺も剣を交えたけど、アッシュ並みの強さだと感じたぜ。)
(何?なるほど、確かにそれは強敵だな………)
しかしルークの反論を聞いたバダックは眉を顰めた後まだ見ぬ強敵の存在に気を引き締めた。
「俺の事は気にする必要はねぇよ。とっとと連中を捕まえて爺さんを解放するぞ。」
一方エステルとヨシュアに見つめられたアガットは複雑そうな表情で答えた後、エステル達を促し、エステル達と共に塔内を進み、屋上に到着した。
〜屋上〜
「あいつらはっ!」
「とうとう追い詰めたぜっ!」
「博士もいるわ!」
屋上にいる黒装束の男達とラッセル博士を見つけたルークとアガット、エステルはそれぞれ声を上げてヨシュア達と共に武器を構えて男達に近づいた。
「き、貴様らは!?」
「馬鹿な……どうやって我らがここにいる事を嗅ぎ付けた………!」
「しかもあの大男は”獅子王”!何故奴がリベールにいる!?」
「ほう?俺を知っているとは、お前達の組織はよほど情報通のようだな。」
自分の姿を見て驚いている男達の様子にバダックは眉を顰めて男達を睨んだ。
「変装して町から脱出なんて、セコイことをしたようだけど、無駄だったみたいね。」
「誰も来ない遺跡だと判断したのが運の尽きですね。ラッセル博士を解放してもらいましょうか。」
慌てている男達の様子を見たエステルは得意げな笑みを浮かべ、ヨシュアは真剣な表情で忠告した。
「く……!」
「民間人風情が……!」
「遊撃士協会に基づき、てめぇらを逮捕・拘束する。あの仮面野郎が見当たらないのは残念だが……まあ、てめぇらで我慢してやるよ。」
「ふ、ふざけるな!」
「邪魔者は排除するのみ!」
そしてルーク達は黒装束の男達との戦闘を開始した!
「おらぁっ!!」
男達が自分達に向かって来るとアガットは重剣を地面に叩きつけた。すると炎の衝撃波が発生した。闘気の炎の衝撃波を襲われるアガットの技――――ドラグナーエッジは男達を襲ったが、男達は散開して回避した。
「「喰らえっ!!」」
アガットの攻撃を回避した男達は残像を残しながら敵に突撃する技――――影縫いでエステルとヨシュアにそれぞれ襲い
「そこだっ!!」
銃を持つ男は銃弾を連射した。
「っと!!」
「!!」
突撃して来た二人の攻撃をエステルとヨシュアは間一髪でそれぞれ受け流し
「一つ!二つ!三つ!!」
ルークは連続で剣を振るって真空の刃を発生させ、襲い掛かる弾丸を真空の刃―――剣風閃で真っ二つにした。
「覇道………!」
その時大鎌を大きく振りかぶったバダックは膨大な闘気を大鎌に溜め込み
「滅封!!」
溜め込んだ闘気を解放すると共に大鎌を振るった。するとバダックの大鎌から極太のレーザーを思わせる闘気のエネルギーが銃を持つ男に襲い掛かった!
「な―――――ぐああああああああああああああっ!?」
エネルギーをその身に受けた男は悲鳴を上げながら屋上の手すりに吹っ飛ばされ、地面に膝をついた!
「ク、クソッ!?」
「奴を真っ先に仕留めろっ!!」
味方が一撃でやられた事に焦った男達は標的をバダックに変えた。
「おぉぉぉぉぉぉっ!!」
その時ヨシュアは琥珀の瞳に膨大な殺気を纏わせて男達を睨みつけた。
「グッ!?」
「か、身体が……!?」
殺気による冷たい視線―――魔眼に睨みつけられた男達の身体は本能的に恐怖を感じて体の動きを鈍くし
「あたし達を忘れるんじゃないわよ!エアリアル!!」
「「ぐぅっ!?」」
その隙にオーブメントの駆動を終えたエステルが竜巻を発生させる魔法(アーツ)を発動して男達を怯ませた。
「雷雲よ、我が刃となれっ!!」
その時詠唱を終えたルークが剣を掲げたその時、上空から雷を帯びた剣が現れ
「サンダーブレード!!」
「「ギャアアアアアアアッ!?」」
男達の目の前の地面に刺さり、放電した!
「魔王―――――」
そこに大鎌に業火を宿したバダックが詰め寄り
「炎撃波!!」
「「ぐああああああっ!?」」
業火を宿した大鎌で薙ぎ払った!バダックの持つ大鎌に切り裂かれた事によって着込んでいる鎧を貫通し、肉を切り裂かれると共に炎をその身に受けた男達は腹から大量の血を噴出すると共に大火傷を負った。
「こいつで止めだっ!フレイムスマッシュ!!」
「「ガッ!?」」
そして炎の闘気を纏わせたアガットが跳躍して男達の目の前に重剣を叩きつけた際に発生した炎の衝撃波に吹き飛ばされた男達は手すりまで吹っ飛ばされて地面に膝をついた!
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