英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク |
〜カルデア隧道・鍾乳洞内〜
「ここがカルデア鍾乳洞か……神秘的な光景ね。」
鍾乳洞に入ったエステルは神秘的な光を放っている光景に思わず呆けた。
「だが、奥の方から魔獣の気配がプンプンするぞ。なかなか歯ごたえがありそうだな。」
「うむ。街道にいる魔獣とは比べものにならないな。」
「うふふ、腕がなるわね。」
周囲の気配を探ったジンとバダックの警告を聞いたレンはメンバーの中で最年少でありながらも怖がる事なく、まだ見ぬ魔獣の強さを思い浮かべ、不敵な笑みを浮かべた。
「気を引き締めて進みましょう。」
そしてヨシュアの言葉を合図にエステル達は鍾乳洞内を進み始め、時折襲って来る魔獣を協力して撃退しながら鍾乳洞の最奥である洞窟湖に到着した。
「うわぁ〜………!」
「キレイな光景……!ティータにも見せてあげたかったわ。」
「ほう……なかなかの景観じゃないか。」
「うむ、とても洞窟内とは思えんな。」
洞窟湖に到着したエステル達は水面からも神秘的な光を放つ洞窟湖の光景に見惚れた。
「ここが洞窟湖みたいだね。このあたりのどこかに『ゼムリア苔』が生えているはずだよ。」
「オッケー!探してみましょ!」
そしてエステル達が湖の近くにある岩に近づくと神秘的な光を放つ苔が岩に生えていた。
「あら、この苔がもしかして……」
「『ゼムリア苔』ってやつか。」
「うーん、どうしてこんなにキレイに光っているのかしら?」
「七耀石の成分が大量に含まれているのかもしれないね。さっそく採取して急いでツァイスに戻ろう。」
そしてエステル達は岩に光を放ちながらこびりついている苔をむしって、予め用意していた採取用の袋に入れた。
「早く持ち帰ってティータを安心させましょう。」
「それじゃあ帰りましょう。」
エステルとヨシュアはティータが安堵する顔を思い浮かべながらツァイスに戻ろうとした。しかしその時
「―――待て。」
「どうやら、簡単には返してくれないようだぞ?」
「うふふ、もしかしてこの苔を取られたくないのかしら?」
強敵の気配を感じたジン、バダック、レンがそれぞれ武器を構えて警告した。
「へ……」
「あ……!」
ジン達の様子にエステルが目を丸くしている中、気配を感じたヨシュアは双剣を構えた。すると湖の中から大型のペンギン型の魔獣が現れ、更に続くように部下らしき小型のペンギン型の魔獣が現れた!
「な、なにアレ……」
脱力するような魔獣の姿を見たエステルは呆れ
「どうやらこの鍾乳洞のヌシみたいだな。」
「見た目とは裏腹にそれなりにやれそうだな。」
魔獣の強さを感じ取ったジンとバダックは一切油断せず武器を構えていた。
「これは戦うしかないようですね。」
「うふふ、どんな悲鳴を鳴いてくれるのかしらね?」
そしてエステル達は戦闘を開始した。
「みんな、行くわよっ!!」
戦闘開始早々エステルは掛け声をかけた。するとエステルの闘志を高める声に反応するかのようにヨシュア達の闘志は高まり
「ぬあぁぁぁぁぁぁ、てやぁ!!」
「フゥゥゥ………ハッ!!」
ジンとレンはそれぞれ体内の”気”を練り、自らの身体能力を一時的に上昇させた。
「ハァァァァ……………」
バダックは唸り声を上げ始め
「オォォォォォ―――――――――――――ッ!!」
洞窟湖内を轟かせる叫び声を上げ、バダックの叫び声と共にバダックは全身に膨大な闘気を纏った!
「ク、クエッ!?」
バダックの咆哮によって本能的に恐怖を感じた魔獣達は身体の動きを止めた。
「そこだっ!」
その時、ヨシュアがまさに”神速”と言ってもおかしくない速さで突撃して次々と魔獣達に双剣で攻撃し、エステル達の所に戻ると部下らしき魔獣達は全て斬り伏せられ、大型の魔獣にも傷がついた!
「クエエエエッ!!」
ヨシュアの奥義――――漆黒の牙によって部下が倒された事に怒りを感じた魔獣はエステル達に突撃したが、エステル達は散開して回避した。
「魔神剣!!」
「捻糸棍!!」
攻撃を回避したレンとエステルはそれぞれ魔獣を挟み込むような位置で武器を振るって衝撃波を発生させて命中させ、更にジンとバダックは同時に魔獣に詰め寄り
「せぇぇぇい!!」
ジンは手甲に闘気を込め、殴りつけた。
「クエッ!?」
ジンの技―――月華掌による衝撃を受けた魔獣は怯み
「フンッ!!」
「クエエエエエエッ!?」
更に衝撃を受けた部分にバダックが大鎌で薙ぎ払い、まるまると太る肉を切り裂くと、魔獣は血を流しながら悲鳴を上げた。
「獲った!朧!!」
その時ヨシュアが魔獣の背後に現れ、双剣で居合いを放った。しかしバダックやジン程の筋肉がないヨシュアによる攻撃は鉄のような装甲を持つ魔獣の身体はヨシュアの双剣を跳ね返した!
「なっ!?」
「クエエエエエッ!!」
背後からの衝撃に気付いた魔獣は振り向いて電撃がこもるブレスを口から放ち
「くはっ!?し、しまった……!?か、身体が……!」
ブレスを真正面に受けたヨシュアは傷つくと共に電撃によって、身体が痺れ、その隙を狙った魔獣が腕を振り下ろした。
「させん!」
その時バダックが大鎌で振り下ろされた腕を受け止め
「コォォォォ……ハッ!!」
ジンは気を静めてヨシュアに”気功”を放った。するとヨシュアが受けた傷が回復すると共に身体の痺れも取れた。
「ありがとうございます……!」
ジンの気功技―――養命功によって回復したヨシュアは後ろに跳躍し、突撃するエステルと残像を残しながら魔獣に向かうレンとすれ違った。
「二の型―――疾風!!」
レンは電光石火の速さでバダックがつけた傷口に斬り付け
「月閃光!!」
続けて剣で三日月を描いた。
「クエエエエエッ!?」
傷口を広げられた魔獣は怯み、そこに突撃するエステルが力を溜めてレンが広げた傷口を狙って棒を振るった。
「ハァァァァ……金剛撃!!」
「クエッ!?」
傷口から感じる強い衝撃によって魔獣は悲鳴を上げた。
「たぁっ!そこだっ!」
そしてエステルが攻撃を終え、魔獣から距離を取ると今度はジンが魔獣の傷口に連続で手甲を付けた拳を次々と繰り出し
「火竜爪!!」
バダックは大鎌に炎を纏わせて薙ぎ払い、魔獣の腹の部分を斬り裂いて新たな傷口を作った!
「クエエエエ―――――――ッ!クエ、クエ、クエ―――――ッ!!」
その時魔獣は暴れながら洞窟湖内を轟かせる叫び声を上げた。魔獣が口から出す叫び声はエステル達の脳を刺激し
「あうっ!?」
「ぐっ!?」
脳を刺激されたエステルとジンは気絶し、地面に膝をついた。
「うるさいわね!少しは黙りなさいっ!殲綱斬!!」
「グエッ!?」
その時常に身につけている紋章(クローナシンボル)に脳を守られていたレンは闘気を込めた剣で魔獣の喉元目掛けて振るった。すると魔獣の喉元は易々と斬られて血を噴出し、喉元を斬られた魔獣は苦しみだした。
「せいっ!!」
そして追撃するかのようにヨシュアは駆動を終えたオーブメントを発動した。すると魔獣の真上に暗黒の槍(シャドウスピア)が発生し、落下して魔獣を貫いた!
「これで終わりだっ!」
その時大鎌に膨大な炎を纏わせたバダックが大鎌を軽々と振り回し、魔獣の全身を切り刻むと共に焼き尽くし
「奥義!火龍炎舞!!」
「クエエエエエエエエエエエ―――――――――――――ッ!?」
最後の一撃に強烈な薙ぎ払いを放って大型の魔獣を易々と真っ二つに切り裂き、絶命した魔獣は辺り一面にセピスを落として消滅した。その後戦闘を終えたレン達は状態異常を回復する七耀教会が処方している薬――――キュリアの薬で気絶したエステルとジンに飲ませ、気絶状態を回復した。
「フウ……なんだったのよ、アレは……見た目の割に強かったし……」
「大型だけあって、耐久力もあったね。」
気絶から立ち直って呟いたエステルの言葉に頷いたヨシュアは疲れた表情で答えた。
「うふふ、でも結構可愛かったわよ?」
「アレを可愛いって、一体どんな趣味をしているのよ。」
そして魔獣の姿を可愛いというレンをエステルは呆れた様子で見つめた。
「ふむ、新手が来ない内にとっとと退散した方がよさそうだな。」
「確か採取した苔は七耀教会の教区長に持っていけばいいのだな?」
「うん、急ぎましょ!」
ジンとバダックの言葉に頷いたエステルは仲間達と共にその場を去った。
その後採取した材料で薬を調合してもらい、その薬をアガットに飲ませると命の危機は去り、エステル達は全員で交代しながらアガットを看病した。
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第25話 | ||
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