義輝記 雷雨の章 その拾五 |
【『猫牢館』………の件 】
? 虎牢関 門前にて ?
虎牢関は、両側が『断崖絶壁』の岩壁の道筋を隔てるように、『関』
を造り上げた建築物。 そのため、風通しが悪く…死臭の匂いが未だ濃く残っていた……。
麗羽「ウクッ……流石に辛いですわね。 不浄な匂いと言う物は…」
華琳「これくらい耐えなさい! 貴女が言っていた『英雄』達の残り香なのだから。 大体、そんな様子を晒せば、士気が落ちるわよ!」
麗羽「………………………………クッ!」
★☆☆
? 曹操陣営にて ?
朱里「昨日の戦では、火計を使用する為にかなりの『可燃物』を利用しました。 辺りにその可燃物の可能性になる物が無いため、同規模の火計は無理と思われます!」
雛里「……ですが、崖上に董卓軍配下の将と兵が散開しているため、やはり火計を行う可能性があります。 それに昨日と同じ、火計に使用された『丸い玉』を目撃したとの報告も、入っています!」
桂花「……華琳様、敵は『燃える水』を利用して、更なる凶悪な策を仕掛けてくるはずです! 何か対策を立てなければ……兵に不安が増大する恐れが!!」
華琳「そうね……一刀、貴方の考えは?」
一刀「『燃える水』を利用するのなら、多分、俺達の頭上に降り注いでくるしか考えられない! だがら、天幕の布を利用して………」
…………『説明中』…………
華琳「……それしか無さそうね。 桂花? 両壁の董卓軍を駆逐する事は出来なくて?」
桂花「はっ! それが………」
★★☆
?孫策陣営にて?
冥琳「思春と明命の部隊を持ってしてもか!?」
思春「………申し訳ありません! まさか、あれほどの練度を誇る『防諜部隊』とは…………!!」
明命「そうです! あんな所に……『お猫様の家』があるなんて!! 私としたことが……不覚でした!!!」
冥琳、思春「「 ??? 」」
冥琳「……思春は、左手上の董卓軍を狙った訳だな?」
思春「はい……! そこに居合わせた『百地三太夫』なる将と交戦して、突破が出来ませんでした。 配下の者も『忍び』なる兵に捕らわれましたが、何故か無傷で帰されました………」
明命「私は、右手側に行き…………」
☆☆★ 明命 回想 ★☆☆
? 虎牢関 道上にて ?
明命「皆! 声を出さないように。 陣が見えて…はわぁ!!」
明命配下「────────!?」
大きな木造の牢が周りを囲み、中に……小さな小さな可愛い〜お猫様が拾匹も!!!!
ニャーニャー ニーニー ファーン! ニィーニィー
あぁ〜! お猫様……はぅぅ。
────あれっ? 中に人が居るですよ!?
義弘「はぁぁ─い、待っててくれて、ありがとぉ? イイコ、イイコしてあげるぅぅ! うふふ〜〜〜〜」
明命「…………………………………」ウズウズ
義弘「こらっ! ダーメ! そんなふうに顔を舐めるの〜ダメなんだからぁ〜?」
明命「!!!! お猫様─────!!! 」ダァァ!!!
義弘「キャアアアァァァァ────!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
明命「すいません! すいません!! お猫様の愛らしさに、つい我を忘れて………!!」
義弘「うぅ〜〜〜☆☆☆!!」
明命「……どうか、お願いします! 私も、私も…お猫様をモフモフさせて下さい!! 」ペコペコ ペコペコ
義弘「ーーーどうすれば良い? みんな?」
(猫達が周泰にすり寄って行く) ニャーニャー、ニィー!
明命「お猫様!!!!」スリスリ
義弘「はぁー、仕方無いわね。 それじゃ、どうぞ!」
明命「ありがとぉございまぁすぅぅ!!!」キャーッ
配下「……………………………………」
☆☆★ 回想 終わり ★☆☆
明命「……まさか、虎牢関の上に『猫牢館』があるなんて……」
冥琳「配下の者は……どうしたのだ……!!」
明命「はわぁ! すいません! 配下の皆は自主的に行動してくれたのですが、『影』と名乗る将に行く道を塞がれて、侵入できなかったそうです! 」
冥琳「……………思春! 明命の再教育を頼む!」
思春「はっ! ───こいっ!!」
明命「キャアアアァァァァ!!!」
冥琳「…………なんで虎牢関の上にそんな建物が………」ハァ
★★★
? 虎牢関 董卓陣営にて ?
義弘「連合軍が来たって本当!!」
歳久「ひろねぇ!! 探しましたよ!? 」
家久「ほらほら! やっぱり、恋さんと共同建造した『猫牢館』で遊んでいるんだよ。 ひろねぇ、大の猫好きだからぁー!」テヘヘヘ
義弘「大事な事よ! 猫の瞳で時刻が判るから、偶に…こうして見に行ってくるんじゃない!? べ、別に会いたくて行く訳じゃ……」
『失礼します!』 ガチャ!
稟「義弘殿? 猫達の餌代、洛陽での飼育場所等の必要諸経費、全部算出できましが………何やら、お取り込み中でしたか?」
義弘「い、いえ! 大丈夫です!」
………確認中………
義弘、歳久、家久『 !!! 』
家久「わぁ! スゴッ!」 歳久「………ハァー」
義弘「ハハハハハハ…ハァー……ありがとう…ございます…!」
稟「それでは、確かにお渡ししましたので………」ペコリ
『失礼しました』 バタン!
歳久「 …野良猫を見つける度に連れて来るからですよ…。 最後まで世話して下さいね! 必要経費は、給金から引きますので!!」
義弘「だ、だって…恋と半々で分けての出費って……」
歳久「恋殿は、猫の他に犬、馬等数十匹、家族として養っておいでです。 そんな恋殿に更なる負担を掛けさせるのは、島津家としても誠に申し訳ないので、ねね殿と相談の末、丁重にお断りをしました」
義弘「えぇ──! と、としちゃんの『鬼』ぃぃぃ────!」
◆◇◆
【 麗羽と華琳の想い の件 】
? 麗羽の天幕にて ?
麗羽「………『全軍に天幕を切り裂いて、岸上から降り注ぐ『燃える水』より身を守れ!』と言う事ですかしら? 華琳さん!?」
華琳「そう…! 今出来る手立ては…それしか無いわ。 兵力差は、まだこちらが数倍上。 だから、火計を必ず仕掛けてくるはずよ!」
麗羽「…………………………」
華琳「麗羽! 貴女には何か…考えがあるとでも言うの!?」
麗羽「……分かりましたわ。 全軍に伝えましょう! 伝令! 今の話を全軍に伝えなさい!! 天幕を利用して避けるようにと!!」
伝令「はっ!」ダッ!
華琳「これで少しは被害を「華琳さん」…何、麗羽?」
麗羽「……貴女は、変わりましたわね。 いつも上から目線、自分の知恵と才知を過信して、偶に墓穴を掘るような人だったのに…」
華琳「その言葉……ソックリそのまま、お返しするわよ!!」
麗羽「私は……名家に生まれ名家に育ち、やる事なす事が全て袁家に帰依するになってましたから……『素』の自分を表現出来なかっただけですわ………」
華琳「……………………………」
麗羽「被って振る舞っていた『仮面』が、いつの間にか取れなくなってしまった………それだけ。 けれど、そんな私にも『友達』が出来て、いろいろと馬鹿騒ぎに付き合い、触れ合いましたが………」
華琳「麗羽……………………」
麗羽「どんなに長いお付き合いでも、本音を見せなかった貴女が、あの『天の御遣い』様には、心を開かそうとしている!! こんな短い間に…どのような『魔法』をかけて、心の『扉』を開いたのでしょうか!? ………私も…『素』をさらけ出したいのに!!」
華琳「……一刀は……普通に『喜怒哀楽』の表情を出し、その『慈しみ』を将兵分け隔てなく与えた『太陽』のような男。 私の周りには全く居なかった……不思議な男よ!」
麗羽「………………私の傍にも……居ない…ですわ…」
華琳「一刀は……私の『玉』であり、我が軍の『希望』! 麗羽と言えど譲渡も売買もしない! 我らが全軍で守り抜いて見せる!! 」
麗羽「………この戦が終わり、双方準備が出来ましたら……また、争いが始まりますわね……『双天』を掌中に収めるために!!!」
◇◆◇
【 嵐の前の…静けさ? の件 】
? 虎牢関 周辺にて ?
颯馬「残念だ。 懲りずに来てしまったようだな…」
光秀「颯馬………」
信長「……………」
颯馬「三太夫の隊に合図を! 準備を開始するように!!」
忍び「はっ!」スッ─
★☆☆
? 虎牢関 道上にて ?
三太夫「そうか……。 天城の旦那が決意したなら……決行だ!」
『旦那……雇い主の心情を察すると言うのも、一流の忍び…! なるべく……旦那の『願い』叶えてみせるぜ!!』
三太夫「一番隊は『燃える水入り竹筒』と『○入り竹筒』を準備! 虎牢関の行動と呼応して動くぞ。 それと『○入り竹筒』は、合図があった時に投げるんだ! 間違えると…この策の意味が無くなるからな!!」
一番隊長「はっ! 確認して、厳しく対処致します!」
三太夫「二番隊! 『鳳仙花』の準備を整えろ!!」
二番隊長「承知! 『玉』を『鳳仙花』に変更!!」
三太夫「三番隊!! 念のため『○○○』に急行! 占拠後『塁』を造り待機!! 他の対岸の部隊も行くはずだ! その者達と協力して行えよ!!」
三番隊長「わかりました! 速やかに占拠し行動に移します!」
三太夫「後の者は、周辺を警戒! 念のため、洛陽の様子と報告を十人組で行ってくれ!! 随時報告を頼むぞ!!」
忍び「はっ!!」
★★☆
? 曹操陣営にて ?
華琳「全部隊に天幕の命令は、行き渡ったようね!」
一刀「あぁ! 桂花や朱里、雛里達が伝令を送り出して、確認の上で戻ってきた! 大丈夫だ!!」
華琳「…………………………………」ジィー
一刀「な、何んだ? 俺、また何か失敗したのか!?」アセアセ
華琳「………………………………バカ」
一刀「え!?」
華琳「今から、虎牢関攻めを開始すると言ったの!! 早く位置に付きなさい!!!」
一刀「わっ、わかった!!!」
★★★
? 孫策陣営にて ?
雪蓮「うわぁー、私の勘が頭の中で叫んでいるわ!! 『全方位危険』だって?! あれ? 逃げ場が無いって事?」
冥琳「本体が振り回されてどうする!! ……無ければ、自分達で作り出せば良い!! それだけだぁ!!!」
雪蓮「きゃあぁぁ〜〜! 久々に冥琳がキレた! そこに痺れる憧れる〜〜〜!!」
蓮華「姉様!! 馬鹿言ってないで現状確認を!! 思春! 明命! 虎牢関側と頭上の両側から降り注ぐ物が無いか、注意してくれ!! 」
思春、明命「 承知!」「了解です!」
蓮華「穏! 戦場の様子を俯瞰して、我らの位置情報を把握、万が一の逃走経路を構築!」
穏「わかりました〜!!」
蓮華「それから…………祭! あの二人の手綱をお願い!!」
祭「仕方無いですな! 任されましょうぞ!!」
☆★☆
? 袁紹陣営にて ?
猪々子「姫〜! いつでも大丈夫ですって………?」
麗羽「……………………………………」
斗詩「文ちゃん? 姫って……こんな真面目な表情したかな?」
猪々子「さて? 昨日の件もあるからな…。 アタイらは、ただ前進するのみだ!! よし! 突撃準備しろ! てめぇらぁ!!!」
麗羽「 全軍! 攻撃開始ですわぁ!!!」
◆◇◆
【 新たなる惨劇 の件 】
? 虎牢関 周辺にて ?
虎牢関が昨日と同じように、攻められる!!
だが、今回は普通の将に率いられる普通の兵士では無い!!
『袁家の二枚看板』、『覇王』、『江東の小覇王』等、世に響く二つ名の持ち主達が『武で、知で、統率で』攻めあげた!!!
** ** **
? 袁紹軍 ?
猪々子「こんな矢なんか、気合いだぁ! 気合いで立ち向かえ!」
斗詩「楯を掲げて!! 矢を防ぎながら、攻めてぇぇ!!」
** ** **
? 曹操軍 ?
華琳「袁家の部隊が危なくなれば、虎牢関から兵が突撃してくる! その隙に突入しなさい!!」
秋蘭「矢を全部使用したと思われたら、夏侯妙才の恥だ! この一矢必殺の妙技!! 受けてみよ!!!」
星「我らは、両岸からの異変に備えよ! 些細な事も見逃すな!!」
** ** **
? 孫策軍 ?
雪蓮「うーん……冥琳! その上、そこから強い危機感が感じられるから、天幕用意して! それと、そこ!! そこ避けて! 『火球』が落ちてくるから!!」
祭「こんな時は、非常に頼もしいですな! 策殿は!!」
** ** **
ドオオォォォ────ンン!
ドオオォォォォ──────ンン!
銅鑼の音が……………虎牢関より………大きく響き渡った!!
☆☆★
? 虎牢関 董卓陣営 ?
颯馬「全兵! 『竹筒』構え! 掬い(すくい)投げろ!!」
俺が『竹筒』を投げるように指示すると、木の楯に隠れつつ下手投げで投げる。 上から振りかぶるように投げると、投げた奴や付近に『中身』が掛かるから、特に厳重注意とした。
竹筒の『栓』は付けていないため………落とせば………。
クルクル ポチャポチャ ポチャポチャ
クルクル ポチャポチャ ポチャポチャ
袁兵「くせぇ〜! 例の『燃える水』だ!」
袁兵「楯だぁ! 楯で防ぐんだ!!」
** ** **
? 曹操軍 ?
クルクル ポチャポチャ クルクル ポチャポチャ
星「来たぞ!! 皆! 『幕』を張れぇ─────!!」
バッ! バッ! ポン! ポン! ボトッ!!
** ** **
? 孫策軍 ?
雪蓮「そこに『幕』を準備!! 違ーう! そんな『幕』じゃ小さいわよ! もう少し大きい物を用意して!!」
クルクル ポチャポチャ クルクル ポチャポチャ
雪蓮「今! 開けぇ──────!!」
バーーーッ! バッーーーーッ!
ポンポン ボトボト! ガチャン!
★★☆
? 虎牢関 董卓陣営 ?
颯馬「次! 『竹筒』用意! 『松明』も準備! 火気には充分気を付けろよ!! 着けば燃えるのは敵ではなく、お前達だ!!」
今度の竹筒は、『栓』が付いている。 洛陽で着用しなくなった『絹』の布を栓にしてある。 少し前に『燃える水』も筒の中に入っているから、『絹』に程よく染み込んでいる。
これも、火を付けてから…眼下に群がる敵兵に投げるよう指示。
……火を付けた竹筒は、同じように下手投げで落とされた…………。
ボワァ!! 『ギャャアアア━━!』 『アチチィィィ━━!!』
防いでいた『燃える水』が沢山付いていた楯を、慌てて放り投げる敵兵。 無論……辺りは移動する事も容易では無い状態。
しかも、付近は『燃える水』を防いだ『楯』を持つ者が………!
************************
竹筒より放たれた『火』は、辺り一面に広がる『黒い道』を見い出し、喜び勇んで走り廻ります。
『ワアーイ ボクハ ジユウ ナンダ!』
『黒い道』に立ち塞がる『モノ』は、動く動かない区別なく燃える『モノ』なら手当たり次第に『仲間』にしてあげました。
『ヒトリボッチハ ツマラナイカラ ナカマニ イレテアゲルヨ!』
動く『モノ』は、奇声をあげて、嬉しそうに踊り……最後は、踊り疲れたのか…地面に伏せて眠ってしまいました。
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とある董卓側の兵士が残した竹簡には、『火炎筒』なる兵器により、焼け出される兵士達を描写したという『童話』が、後世に伝わる。
** ** **
? 虎牢関 道上 ?
三太夫「第二部隊! 『鳳仙花』に火を付けて、投下!」
第二部隊長「対岸に向け、合図! よし! 火を付けて投下!!」
虎牢関の断崖絶壁上より『火球』が転がった!
ボッ! ボボボボ! ゴロゴロ!!
** ** **
? 曹操軍 ?
星「昨日と同じ火球とは!! 破裂する前に天幕で包み込んでしまえ!! 『燃える水』が大量に付いている物は、道の隅に置け!!」
────兵を指示し、『火球』を捕獲しようとすると……!!
『火球』が転がりながら形が崩れ、中から小玉の『火球』が五玉程…別れて襲ってくる!!
曹兵1「うわぁー!」
曹兵2「来るんじゃ…!!」
驚き逃げ惑う兵士達に、大岩に当たり軌道を変えて迫る! 中には例の『竹筒』が……!!
曹兵『ぐわわああぁぁぁ!!』『だ、誰かあぁぁぁー!!』
中の『竹筒』が破裂して、火達磨に化す!!
星「くっ!! 皆、気を付けろ!! 『火球』は分裂するぞ!!」
** ** **
? 孫策軍 ?
孫仲謀は、王の姉の代わりに指揮を担当。
姉の勘が、神懸かる的中率を誇るので、被害の起こりそうな場所の対策を講じている。 周公瑾達は、別の場所で指揮を取る。
蓮華「無闇に避けるな! 火球の軌道を見極めよ!!」
兵「はっ、はいっ!!」
蓮華「負傷者は、道の中央に! 何人か護衛の為に付くのだ! 私の事は大丈夫!! 早く行け!!! 」
護衛兵「はっ!!」
慣れぬ乱戦の指揮をするため、一時の休憩とばかりに溜め息を吐いた、その瞬間─────!!!
雪蓮「蓮華! 動くな!!」
蓮華「え?」
振り向けば……割れた『火球』より『小玉の火球』が迫っていた!
蓮華「きゃあぁぁぁーーーーー!!」
バッ! トン!
??「お下がりを!!」
蓮華「し、思春!?」
『火球』が孫仲謀に迫り来るのを見て、護衛である甘興覇は、手前に踊り出てから、孫仲謀を軽く押し軌道から外す!
思春「────────!!」
シュル! キュ! ピィーン!
甘興覇は、自分の首に巻いていた布をほどき、両手に両端を巻いて手前で引き伸ばし、その布で『火球』を一瞬止める。
普通の者なら、強く引き伸ばし『火球』から身を守ろうとするが、『火球』自体が燃えて、かなり脆い状態。 そのまま力任せに押せば…『火球』が崩れ…中の竹筒が割れて『燃える水』で燃え移り…火達磨になるが必然!!
グッ── トン!! ダッ!!
だが、甘興覇は……そんな中でも冷静さを失わず、布を伸ばしきらず少し緩めていた。 『火球』が当たった瞬間、身体全体を前に押すように押し返し、その場を急遽離れる!!
ボシャン!! ボッ!! ───シュウゥゥゥ!!
……火球は、少し離れた誰も居ないところで、虚しく崩れた。
思春「ご無事ですか!? 蓮華様!!」
蓮華「ありがとう! 思春! 貴女こそ…大丈夫なの!?」
思春「はっ!」
雪蓮「蓮華! 今は戦場よ!! 少しの緩みが自分を仲間を傷付ける事になる!! よく覚えて置きなさい!!!」
蓮華「はい……! 申し訳ありません!!!」
雪蓮「………私が、こんな事を言うの……変だけどね? 大事な妹達を、私より先に……逝かせたくないのよ…………」
蓮華「姉様……………」
**************************
董卓側…………死者数 87人 負傷者 280人
反董卓連合軍…死者数 約700人 負傷者 約1200人
◆◇◆
【 更なる恐怖 の件 】
? 虎牢関 道上 董卓軍 ?
三太夫「うんうん! いい混乱具合だな。 さーて、次の『策』に移りますか! …………旦那に伝令を!!」
忍び「はっ!」
*** *** ***
? 虎牢関 董卓陣営 ?
颯馬「………わかった。 『承知』と伝えてくれ!」
忍び「はっ!」
颯馬「次の策の準備だ! 『○入り竹筒』を準備せよ!!」
兵「はっ!!」
☆☆★
? 袁紹軍 ?
イライライライラ!!!
麗羽「どうしたのです!? 天下の袁家の兵士が、虎牢関とはいえ、たかが関一つに、どうして落とせないのですか!!」
ダッダッダッダッダッダッダッ!!!
猪々子「姫────!! 駄目だ!! 董卓軍の奴ら…また、火を使ってきやがったぁぁぁ!!!」
斗詩「董卓軍は、『燃える水』を頭上より降らせ、更に火種まで落とすため、我が軍の焼死者多数! 兵も怯えてしまい………!!」
麗羽「………仕方ありません! 一時退かせるように!!」
タッタッタッタッタッタッタッタッ!!!!
袁兵「伝令! 虎牢関と連合軍中衛に…『竹筒』が多量に投下! 中身が………『黒き水』だと……………!!!」
袁兵2「伝令! た、大変です! 虎牢関の門が開き………『牛』が数十頭! 頭の角に『火が着いていない松明』が括りけられて、こちらに突進中!!!!」
袁兵3「で、でんれぇ〜!! 虎牢関上にて、『火矢』を構えた者多数散見!! 我が軍、大混乱であります!!!」
麗羽「何ですてぇぇぇ───────!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!
第2回目の火計前編となります。 考えながら文章を作っていたら、いろいろとアイデアが出まして…………。
それから、コメント入れていただいた方々、ありがとうございます。
上の華琳と麗羽のやり取りは、naku様の前作コメント読んでいたら浮かびましたので、手直して入れてみました。 ありがとうございます!
禁玉⇒金球様 折角、許可いただいた天和達のユニット名での話、まだ当分書けません。 申し訳ありませんが、気長にお待ち下さい。
雪風様 まだ………当分洛陽の話が書けません。 簡単な拠点で出してみましょうかね。
劉邦柾棟様 度々ながら、誤字の指摘ありがとうございます! 無いように頑張っても、この状況です。 感謝しております。
mokiti1976-2010様 度々ながら作品のアイデアや作品名をお借りしました。 ありがとうございます!!
他の方のコメントも、参考、励みとして読ませてもらっています!
遅れると言いながらも投稿しました。 また、宜しければ読んで下さい。 誤字等ありましたら、また、修正します。
追伸 最後の虎牢関で集まっていた牛を読んで、『火牛の計』だと思われた方は……董卓側の術中に嵌まっていますよ………
説明 | ||
義輝記の続編です。 虎牢関『火計』第二段目となります。 宜しければ読んで下さい。 7/13 ちょっと変更。 ……段落とかを。 |
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総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1968 | 1661 | 10 |
コメント | ||
一応、張三姉妹の話は一部出来ていますが、まずは虎牢関を終わらせないと。 でも、まだ洛陽の戦いが残って………。(いた) 禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 今回の作品は、すんなり出来ました。 何時も悩んで作っているに……。 今回は皆さんのコメント読んでいたら、いろいろ浮かんで纏める方が大変でした。(いた) 張三姉妹はまぁ残念過ぎましたからねぇ気長にお待ちしております、寧ろ個人的には人和だけが幸せになれたらあとは割と失礼ながらさわり程度でもいいかなーとも思ってます。(禁玉⇒金球) 両側が『断崖絶壁』ですか成程、水戸桂花「朱里さん、雛里さん出番ですよ贅肉をやってお仕舞なさい」。今回のメインはなんといっても火計ですが死臭とか肉の臭いとこういうのが当然ある訳なんですよね、二度目の攻撃にも実に力の入った表現でした、件の『童話』を使って魔王董卓を誹謗する戦略とか。(禁玉⇒金球) naku様 上手い返しありがとうございます! 前回のnaku様のコメント一読して浮かんだ話です。 賢い麗羽…そうか! と言う具合で。 一刀が誰と結ばれるのか…それは、皆さんのコメント次第…かもしれません。 (いた) naku様 コメントありがとうございます! 根刮ぎですが、生産性が落ちると言う現実問題もありまして…。 明命と義弘はどちらも猫好きですので合わせました。 思春の再教育現場は…今は浮かばないですね。(いた) 孫家がどうするか悩み事ですね。 赤壁やりたいですけど、策がイマイチ。 『船橋』使おうかなと思いますが…その前に敵味方どうするか………(いた) 雪風様 連投コメントありがとうございます! 袁紹んとこに二人送り込んであーだこーだしてもらおうかなと。 別んとこで于吉達が動きますけど。(いた) 孫と敵対・不仲・普通・友好・親密・・のどれで関係を築くか・・・(雪風) 表の姿は司馬仲達・・・裏はかの久秀・・・。「真名が久秀・・・!?ま・・まさか・・官渡の合戦は・・」by長慶/(雪風) 天龍焔様 コメントありがとうございます! 正確には火計は裏を隠す表の計略。 次回は裏の計略を出しますので……(いた) 雪風様 再コメントありがとうございます! 予定としては白蓮さんは確実で、孫家………は、う〜ん。 二つ決まっているのは、『官渡の戦い』は行う事。 袁家に司馬仲達を入れる事です。 真名は『久秀』と言います。(いた) 戦後処理が大変ですぞ。そして、今後どうするか・・・。手を組み(共同・不可侵・軍事同盟)歩むか・・単独で歩むか・・・・。手を組む可能性があるのは公孫・孫家か?(雪風) 雪風様 コメントありがとうございます! 次の一手…いや二手ですね、姫武将達の活躍はその時に。 幕を下ろすのには、薄々お分かりでしょうが『生贄』を用意しました。 問題はこの戦後なんですよねぇ………。 (いた) 伏龍の次の一手は如何に・・そして、この戦をどう幕を下ろすか・・。そして、この決戦後をどう見据えているか・・・。(雪風) mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! そう思わせるのが『要』です。 童話は完全な作者オリジナルですよ。 戦争の実話も調べた過去が滲み出ているのかも。 話作るのに十分かかりませんでしたし… (いた) 火牛の計では無いのですか…とりあえず続きを楽しみにしております。しかし…童話がとても怖い。まるで昔読んだ原爆の絵本のようです。(mokiti1976-2010) |
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