英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク
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〜グランアリーナ〜

 

「やったあああああっ!」

自分達の勝利が審判の口から告げられるとエステルは棒を突き付けた棒を空へと掲げて嬉しそうな表情で声を上げ

「勝った………勝てたのか……あの『獅子王』を相手に………」

ヨシュアは呆然とした様子で双剣を地面に落とし

「はあはあ……さ、さすがに疲れたねえ………」

安堵によって疲労が一気に襲ってきたオリビエは疲れた表情で息を切らせ

「はは………”最強の遊撃士”と称される遊撃士の一人であるあのバダックの旦那に勝てたなんて、正直実感が湧かないぜ……………」

自分達にとって”最強”の存在である男に勝てた事に嬉しさを感じるジンは口元に笑みを浮かべていた。

 

「―――見事な連携だった。しかし一つだけ疑問があるのだが……聞いてもいいか?」

自分を破って喜んでいるエステル達を称えたバダックは戦闘不能にしたはずなのに復活したエステル達の事を思い出し、その理由を知る為に尋ねた。

「ん?何かしら?」

「あの時、俺の奥義を受けたお前達は全員無力化されたはずなのに、何故治癒アーツも受けずに復活したのだ?」

「ああ、あの時ね〜。あれはこれのお蔭よ。」

バダックの質問を聞いたエステルは懐からボロボロになっている何かの人形を懐から取り出して見せた。

 

「なるほど。”身代わりマペット”か。」

ボロボロになっている人形を見たバダックは納得した様子で頷き

「はい。あの『獅子王』を相手にするのですから、できるだけ復活の時間も短縮させたかったですから。」

「ただまあ、これが勝負の”切り札”になるとは予想していませんでしたぜ。」

ヨシュアは自分達が使う事にした理由を説明し、ジンは苦笑いをしていた。

「謙遜する事は無い。どんな理由であれ、お前達の勝ちである事は間違いない。――――”泰斗流”の武術を扱うジンもそうだが……ヴァンから小僧へと受け継ぎ、そしてお前達へと受け継がれた”アルバート流”の武術、見事だったぞ。無論、そこの銃使いのサポートも中々のものだった。」

そしてバダックは静かな笑みを浮かべてエステル達に背を向けてアリーナから去って行った。

 

「??ヴァンや小僧って誰の事かしら??」

バダックが去るとエステルは首を傾げ

「もしかしたら”小僧”は兄さんの事かもしれないね。僕達が兄さんの技を参考にして習得した技って”アルバート流”って言う名前の武術だしね。」

「フム。という事は”ヴァン”とやらはエステル君とヨシュア君の兄君の師匠と言った所かな?」

ヨシュアの推測を聞いたオリビエは考え込み

「恐らくそうだろうな。(しかし……”アルバート流”という名前の武術、今まで聞いた事はないぞ?)」

オリビエの言葉に頷いたジンは不思議そうな表情で考え込んでいた。そして閉会式が開かれた。

 

それではこれより、優勝チームに公爵閣下の祝福の言葉が送られます。代表者、ジン・ヴァセック選手!どうぞ、お前にお進みください!

 

「は。」

司会の言葉に頷いたジンはアリシア女王の甥であり、国王代理を務めているデュナン公爵の正面に来た。

「おお、近くで見ると本当に大きいのだなあ……。先程そなた達が戦った東方人もそうだが、東方人というのは皆、そなた達のように大きいのか?」

デュナン公爵はジンの体の大きさを見て驚いて尋ねた。

「いや、自分やバダックの旦那は規格外ですな。自分の場合は幼き頃より、良く食べ、良く眠り、鍛えていたら自然とこうなり申した。生来、物事を深く考えない質ゆえ図体ばかり大きくなったのでしょう。」

「ハッハッハッ、なるほどな。うむ!気に入ったぞ、ジンとやら!賞金10万ミラと晩餐会への招待状を贈るものとする!」

「ありがたき幸せ。」

そしてデュナン公爵はジンに賞金10万ミラと晩餐会への招待状を渡した。

「そなたと、そなたの仲間に女神達の祝福と栄光を!さあ、親愛なる市民諸君!勝者に惜しみない拍手と喝采を!」

デュナン公爵の宣言に応えるかのように観客達は惜しみない拍手をし、大きな喝采の声を上げた。

 

〜控室〜

 

「フフ、面白い者たちが優勝することになったものだな。」

一方選手控室から表彰式を見守っていたリシャールは大佐は微笑ましそうに見つめていた。

「まったく……。恥を知りなさい、ロランス少尉。決勝に行くどころか2回戦で、しかも4人で向かったにも関わらずたった一人に遅れを取って閣下の顔に泥を塗るなんて……。日頃のふてぶてしい態度はどうやらコケ威(おど)しだったようね?」

「……恐縮です。しかし遊撃士達は精鋭揃いである事は既にカノーネ大尉もご存知かと思われますが。何せ私と同じようにその身を持って遊撃士達の強さを感じたのですから。」

カノーネ大尉に敗北を責められたロランス少尉は口元に笑みを浮かべて尋ねた。

 

「何ですって……!?」

遠回しな言い方でレナの確保の失敗の件を持ち出されたカノーネ大尉は怒りの表情でロランス少尉を睨み

「はは、カノーネ君。そう責めないでやってくれ。実は私の方から、ロランス君に全力を出さないように頼んだのだ。」

その様子に気付いたリシャール大佐は苦笑いをしながら諌めた。

 

「えっ……!」

「…………………」

「情報部はその性質上、黒子の役に徹せねばならない。今回のように、華のあるチームが優勝する方が望ましいだろう。」

「なるほど……。公爵閣下も、あの東方人を予想以上に気に入られた様子……。目くらましにはもってこいですわね。」

リシャール大佐の説明を聞いて納得したカノーネ大尉は不敵な笑みを浮かべた。

 

「しかし……今年の大会は残念だったな。親衛隊のシュバルツ中尉やモルガン将軍が参加していればもっと華やかだっただろうに。」

「うふふ、お戯(たわむ)れを……。そういう事なら、閣下ご自身が出場なさればよろしかったのに。あの小癪(こしゃく)なユリアなど足元にも及ばぬ腕前なのですから。それに閣下なら単独であの目触りな”獅子王”に勝てるのではないですか?」

「はは、私はそれほど自信家ではないつもりだよ。本気を出したロランス君にもあまり勝てる気がしないからね。」

「……お戯れを。閣下は少々、私のことを買いかぶりすぎているようだ。軍人とは名ばかりの猟兵あがりの無骨者(ぶこつしゃ)にすぎません。」

リシャール大佐の賛辞を聞いたロランス少尉は謙遜したが

「これでも人を見る目は確かなつもりだ。君に対抗できるとすれば、それこそあの男や先日君が戦った『獅子王』もしくはあの男の養子である『焔』ぐらいだろうな。」

「………………………………」

リシャール大佐の推測を聞いて黙り込んだ。

 

「その彼のことですが……。このままでは、彼の子供たちがグランセル城に入ってしまいますわ。加えて”アレ”の事を最も知られてはいけない”星杯騎士団”もリベール入りしていますわ。何らかの処置を講じましょうか?」

「放っておきたまえ。公爵閣下が約束してしまったことだ。今更、遊撃士協会が介入しても計画が止まることはありえない。それに”星杯騎士団”とて明確な証拠を手に入れていないのだから、今の所は本格的な介入はできまい。」

「で、ですが……」

自分の心配を一蹴したリシャール大佐に反論しようとしたカノーネ大尉だったが、リシャール大佐は気にせずロランス少尉に尋ねた。

 

「……ロランス君。計画の進行度はどのくらいだ?」

「現在90%を越えました。一両日中には、最終地点へ閣下をご案内できるかと思います。」

「よし、いいぞ。……王国の夜明けは近い。たとえ逆賊の汚名を受けても……必ずやこの手で明日を切り拓くのみ。」

リシャール大佐は祖国リベールの繁栄の未来を夢見るかのように眩しそうな目で祖国を夕焼けに包み込む夕陽を見つめていた。

 

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現在SC篇を書き始めている所ですが、やはり恐れていた通り主人公キャラがレンに取られるような気がしてきました(汗)なんせ今ル=ロックル篇を書いているのですが、レン視点でずっと続いていますからルークが出て来ねえ(汗)後、原作のSCと違ってエステル達が”執行者”と出会っている間にルーク達が他の”執行者”に会う構成で考えていますので、四輪の塔でエステル達、ルーク達共に初対面になる執行者も出てくると思います(オイッ!)現在の予定ではルーク達がエステル達に合流するのは3章のケビンが一時的に仲間になるタイミングあたりで、4章は飛んで一気に5章をする事になると思いますww後、凄い先の話になるのですが零・碧篇はルークはちょっと出てくる程度でレン主体になると思います(汗)だって、今の所考えている話がレンが特務支援課に途中から(早くてもハロルド登場以降)配属する話ですし(汗)

説明
外伝〜『獅子王』に挑みし挑戦者達〜後篇
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