涼宮ハルヒの恋姫10 |
ここは孫尚香の故郷である江東。
孫権「姉様!! 」
王室に入ると、そこにいた三人の姿を見て少女は顔を赤くして、頭を下げたらしい。
孫権「ご無事のご帰還、なによりでございます!! 」
孫策「蓮華、今更かしこまることはないわ。」
孫権「申し訳ありません、姉様が戦場で怪我をされたと聞いたので、慌ててしまって・・・」
孫策「怪我といってもかすり傷よ。」
孫権「それなら、良いのですが・・・」
孫策「どうした?蓮華?何か言いたそうだな?」
孫権「っ!・・・・・・姉様!姉様はどうして、そうまでして戦いを好まれるのですか!?」
三人「!?」
孫静「孫権、何言い出すのです!! 孫策は此度も我が孫家の名を高めんとして・・・・」
孫権「たしかに戦いを重ねることで領地は増え、孫家の名を近隣まで響くまでになりました・・・しかし、国の礎である民は疲弊して、このままでは遠からず・・・」
「滅びるか?」
孫権「いえ・・・・けしてそうは・・・・」
そこへ
「みなさん、お待たせしました。宴会の用意ができ・・・・・・たんですけど?」
小喬「はーい、江東一の美少女・双子の・・・・・」
大喬「大喬と・・・・」
小喬「小喬が・・・・」
二人「「歌いまーす!! 」」
宴会人『うおおおおおおおお』
宴会場では華やかに始まっていた。外では一人女性が夜空を眺めていた。
孫策「なんだ、こんなところにいたのね。」
周瑜「孫策様・・・」
孫策「冥琳。二人の時は真名で呼び合うって約束でしょ?」
周瑜「そうでしたわね、雪蓮様。」
孫策「あまり浮かない顔してどうしたの?孫家を支える名軍師周喩とあろう者が何に頭を悩ませているのかしら・・・」
周瑜「孫権様のことを少し考えていて・・・」
孫策「蓮華のこと?」
周瑜「孫権様はあまりに眼の前のことが見られておられない。たしかにここ数年、戦続きで領民たちは疲弊しています。だからと言ってここで立ち止まっていれば、江東に覇を唱えることができても・・・ここで止まってしまう・・・・とうてい天下へは届かない。どれだけ苦しくても明日のために戦わなければならない。なのに孫権様は・・・」
孫策「たしかにそうね・・・でもそれがあの子のいいところでもあるわ」
孫策の言葉に周喩は疑問に思った。
孫策「江東の虎と呼ばれた今は亡き母様、先代孫堅の意思を継いで私が血まみれになって奪い取ったものをあの子なら受け継いで、守り育ててくれる。そんな気がするの・・・」
周瑜「何を不吉な!?」
孫策「えぇ!不吉?」
周瑜「そうです!! それではまるで雪蓮様が志半ばで倒れてしまうようではないですか!」
孫策「ふふふ、冥琳!いくらなんでもそれは考えすぎよ。」
周瑜「で、ですが雪蓮様。」
孫策「まったく、頭がよすぎるのも考えものね。心配しなくてもいいわ。私は必ず天下をこの手につかんで見せる!蓮華に渡すのはその後よ。」
周瑜「雪蓮様・・・・」
孫策「冥琳。志遂げるその時まで私と共に歩んでくれるわよね?」
周瑜「はい。」
ここは重役達が集まっている場所。ここでは重役達が会議を行っている。
重役1「えーい!! 戦、戦、戦。これで今年何度目だ!?」
重役3「まったくだ!! これでは民が田を耕す暇もないぞ!! 」
重役5「張昭殿、貴方は我らの中では一番の長老。なんとかお諫めさせることはできぬのか?」
そして、中央に座っている張昭という人物は
張昭「なんども申し上げておる。だが、孫策様は今では周喩のほうを重く持ち上げられて、私の甘言など耳を貸さぬ!! 」
重役2「周喩か、あの嘴黄色い軍師め!! 」
重役4「我ら普代な重臣を差し置いて、政事を左右するとはおごがましい!! 」
重役1「張昭殿、かくなるうえは一刻もあの計画を・・・」
張昭「うむ、すでに手はずは整っておる・・・」
重役5「おお、それではついに・・・」
張昭「戦狂いの孫策を倒し、あの方が孫家の舵取りなれば、必ずは我らが表部隊に立つ時が来る。」
重役3「事がなった時の周喩供の泣き面を早く見たいものですな。」
重役達は笑いが止まらなかった。それをみた張昭はニヤリと静かに笑ったらしい。
第十話、「孫策、命を狙われるのこと」
鈴々「うわぁー、これが長江か!! でっかいのだー!! 」
馬孫「さすがこの大陸の長い川!」
今俺達は、孫尚香の故郷である長江へとやってきた。長江の大きさに感激した鈴々。しかし、本当にデカいな。これ本当に川なのか?
孫尚香「どう驚いた凄いでしょ?」
鈴々「たしかにすごいけど・・・別にお前が威張ることはないのだ。」
それは俺も同感だ。
孫尚香「あー、この景色を見ると『帰ってきたー!! 』って気になるわね。」
関羽「『帰ってきたー!! 』はいいが大丈夫か?尚香」
孫尚香「何が?」
関羽さんの問いに孫尚香が首をかしげる。
関羽「お主、家出したのであろう?旅に飽きて、戻るになったのはいいが家族から大目玉を食らうのではないか?」
孫尚香「何言っているの?このシャオさまは孫家で一番、愛されている姫なのよ!! 帰ってきて泣いて喜ばれはしても、怒られることなんて絶対にないわよ。」
キョン「だと良いけどなぁ・・・」
関羽「そうですね。ジョン・・・殿///」
俺の名を呼ぶと、顔を赤くする関羽さん。
以前、温泉での騒動があったばかりか、俺と関羽さんはほとんど口をきいていない状態だ。今は何とか会話はしているが。どうなんだぁ今のところ。
関羽(恥ずかしい/// 何故私はあんなことをしてしまったのだ!! )
馬孫「くわっかっかっかー!」
やれやれだ・・・・。
孫静「まったく!! 貴方は何を考えているのですか!! 孫家の姫達が供を連れずにいなくなるなんて、皆がどれほど心配したかと・・」
孫尚香「あの・・・孫静叔母さま・・・・それについてはシャオにもに言い分が・・・・」
孫静「そんなものはありません!! だいたい貴方は・・・」
見事に怒られているのであった。そして孫家をみた俺達は円をつくる。
鈴々「皆、おへそを出しているのだ。」
キョン「皆じゃないぞ鈴々。だが多いな。」
関羽「うむ、おそらくはこの家の家風かなのだろう。」
諸葛亮「別に尚香さんが残念な子だなのではなかったのですね。」
馬孫「それ言っちゃあかんだろ。」
孫策「伯母上、もうそのくらいで・・・」
孫静「ですけど、孫策。」
孫策「それ以上叱りつけたらまた家出をしかねませんぞ。」
孫策さんの説得に孫静は説教を辞めた。さすが王といったところか。
孫策「関羽とやら、妹がずいぶんと迷惑をかけたようね。」
鈴々「大迷惑なのだ!! 」
関羽「こら、鈴々!! 」
孫策「でしょうね。同情するわ。」
孫尚香「雪蓮お姉様、ひっどーい!」
孫策「関羽、張飛、孔明、??(じんない)・・・それと貴方は・・・?」
キョン「?…ジョンスミスですけど・・・」
孫策「ふーん・・・」
と孫策さんは俺に近ずいていきた。・・・なんだろう?顔にゴミが付いてるのか?
孫策「・・・・・・・」
キョン「あのー何か・・・」
孫策「別に・・・・・とりあえず江東の孫家はあなた方を歓迎するわ。ゆっくりしていってちょうだい。」
何かを感じて見たわけでは無さそうだな。・・・っていうか馬孫。お前何故偽名を使うんだ?
馬孫「あんまり知られたくないのよ。」
・・・・・そうかい。
その夜。
???『愛紗。・・・愛紗。起きろ。』
関羽『どうしたのです。兄者?』
兄者『戦が始まった。』
関羽『えっ!?』
兄者『今すぐ。寝台の下に隠れろ!早くしろ!?』
兄者『目を瞑ってじっとしていろ。』
兄者・・・・・・兄者・・・・兄者・・・・・・・・・・!!
ドサッ!!!
関羽「!?、夢か・・・しかし今になってあんな夢…しかもまだ胸が苦しい・・・・」
関羽は自分の上を見ると。
鈴々「うにゃーこのマグロまんは鈴々が食べるのだ?・・・ムニャムニャ・・・・」
関羽「…って・・・お前が原因か・・・#」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
キョン「・・・・・・うっ・・・うぐっ・・・・・・・・ハッ!!?」
目が覚めると、俺はある部屋に居た。
キョン「・・・・・・・・・・・・」
何だか・・・ものすごく長い夢を見ていた様な気がする。ここはいったい何処なんだ?そんな事を考えていると、
ジリリリリリリリリリリ!!!!
遠くにあった目覚ましが鳴った。それと同時に、
妹「キョンくーん!おっはよーー!」
妹が入ってきた。
妹「あれー?キョンくん起きてるぅ。」
キョン「はいはい。今着替えるから出てった出てった。」
しかし、あれは本当に夢だったのだろうか?あまりにもリアル感がありすぎたような・・・・・・まぁ、考えても無駄だな。さて、学校に行きますか。
俺は平然とした歩きで、この穏やかなハイキングコースを満喫していた。すると、
???「よっ、キョン。」
???「おはよ。」
キョン「おぅ。谷口、国木田。」
いつもの通学。いつもの友人。いつもと変わらない日常が天地崩壊でも会ったかのように俺の頭をかき混ぜようとしている。その原因はというと。あれは春以来、ある圧倒的な存在によって激減した。その存在。涼宮ハルヒである。あいつといると、俺ばかりが疲れる羽目になる。…まぁそんなことはどうでもいい。俺は雑魚中の雑魚である谷口と国木田の話しかけてくるどうでもいい情報を要らんやつだけ聞き流して会話をしていた。
教室に着くと、いみょうな光景が俺の頭を刺激させる。
俺の後ろの席で脚を組んで待っている涼宮ハルヒが居なかったことだ。
休みにしては珍しい。俺は思い、谷口に話した。すると、
谷口「涼宮ハルヒ?誰だそいつ?」
キョン「・・・・・・・・・・・は?」
俺の聞き間違いなのか・・・なんって言った?ハルヒを知らないのか?冗談じゃないだろうな?あいつはお前と一緒の中学で変なことをしていたんじゃないのか?
谷口「おいキョン。お前は何言ってんだ?俺はそんな奴知らねぇよ。」
・・・聞き間違いじゃない。ましてや冗談も言ってない。ハルヒが居ない?そんなことあるのか?あっていいのか?あいつを中心に世界が回っているんじゃないのか?どうなっているんだ?何なんだ・・・これは?
・・・何でもいい。これが夢だったら今すぐにでも覚めたい。誰でもいい!夢だと言ってくれ!
キョン「はっ!! ・・・・・・」
目の前は真っ暗。ここは何処だ?俺は周りを見渡す。右にいたのは関羽さん。鈴々、そして諸葛亮がいた。どうやら夢だったようだ。よかった・・・・
翌日。
孫策「うーん!! 」
周瑜「まだ、寝むそうね。」
孫策「昨夜はちょっと飲みすぎたから。」
周瑜「関羽殿とかなり話が弾んでいたそうですが。」
孫策「ええ、かなり腕も立つようだし、あのまま野においていくのは惜しいわ。ふふ・・・それにあの張飛も面白いわね。もしあれ以上、大きくならないのなら庭で飼いたいくらい・・・」
雪蓮の頭の中には庭で飼われている鈴々がいたらしい。
鈴々『ワンワンなのだ。』
周瑜「ふふ・・・お戯れを・・・」
孫策「で、その客人達は起きているの?」
周瑜「はい。既に朝食を済まされ、関羽殿と張飛殿は尚香さまと山の狩り場へ・・・」
孫策「誰かつけてあるの?」
周瑜「案内役として甘寧を・・・」
孫策「そう、ならいいわ。」
周瑜「孔明殿は書庫を見たいと申されたので、陸遜が案内をやっています。」
孫策「ふーん。」
周瑜「そして??殿ですが、兵達の訓練を見たいと言っていましたので訓練場へと行かれました。」
孫策「ふーん。」
周瑜「あとスミス殿は城の中を見たいと言っていたので、孫権様が案内をしています。」
孫策「へぇ、蓮華が・・・ね。」
周瑜「随分とあの男を気にしているようだが・・・」
孫策「まあ、良い男だと思うけど、あまり強く無い感じがするから。」
周瑜「そうですか。」
孫策「冥琳・・・もしかして妬いているの?」
周瑜「妬いていません。」
諸葛亮「うわぁー、こんなにたくさんの書物、始めて見ました。」
陸遜「政や軍略に関する物はもちろん、農工、天文、史書、暦、あらゆる書物がここに集められているのですぅ。」
諸葛亮「もしかして陸孫さんはこれを全部読まれたのですか?」
陸遜「ええ、私、書物が大好きなんですぅ。」
諸葛亮「私もです。」
陸遜「書物っていいものですね。読むと新しい知識が波のように押し寄せてきて、それが体の一番、深い所に体を喜ばす魅力ときたら、あっは〜ん!! 」
陸遜は興奮状態となって、モジモジしていたと、
諸葛亮「いえ、私は、そういうのとはちょっと違うんですけど・・・」
いるもんだな。こういう人も。っと俺は聞いて思ったね。
そのころ、山の狩り場では、
孫尚香「しっ!」
すると孫尚香一行を止めた。そして、弓を構え始める。すると茂みから一羽の山鳥が現れ、矢を放つと山鳥に当たり、墜落した。
関羽「おおお・・・」
甘寧「お見事です。尚香様・・・獲物は私が。」
孫尚香「頼むわ。甘寧・・・この前会った黄忠ほどじゃないけど弓にはちょっと自信があるのよね。」
鈴々「ふん、薄い胸張って威張っても全然かっこがつかないのだ!! 」
孫尚香「ちょっと、薄い胸とはなによ!! アンタのほうがよっぽどのつるぺったんのお子ちゃま体型じゃない!! 」
鈴々「温泉の時見たけど、お前のだって鈴々とたいして変わらないのだ!! 」
孫尚香「言ったわね!! 変わるか変わらないか勝負しようじゃない!! 」
鈴々「望むところなのだ!! 」
関羽「って何をくだらないことを・・・」
鈴々「くだらなくないのだ!! 」
孫尚香「そうよ!! おっぱい勝ち組は黙ってて!! 」
関羽「いや…勝ち組って・・・・///////」
孫尚香「張飛、あそこで乳比べよ!! 」
鈴々「わかったのだ!! 」
孫尚香「大きさ、形、感度の三番勝負だからね!! 」
関羽「はあ・・・山鳥でも探すか・・・・」
と歩くと、城のテラスでくつろいでいる孫策と周喩がいたらしい。
そして、
馬孫「まだまだぁ!! 腰があまいぞ!!! 」
この人は何をやってるのだろう?
一方俺は、
キョン「広い・・・迷子になりそうなくらいの広さだ。」
見ての通り。城の中を見ていた。案内人として孫権さんがいる。
孫権「城の中を見たのは初めてですか?」
キョン「えぇ。こんなに広いとは思いませんでした。」
孫権「そうですか・・・」
・・・何やら浮かない顔をしているように見える。
キョン「孫権さん。」
孫権「如何しました?」
キョン「暗い顔してますけど、どうしました?」
孫権「いえ、なんでもありません。」
キョン「・・・そうですか。」
この重い空気には慣れないなぁ・・・どう会話すればいいんだ?そう思っていると。
兵43番「孫権さま!?」
と一人の兵士が走ってきた
孫権「どうした?」
兵43番「実は・・・」
孫権「それは本当か!」
兵43番「はい。」
孫権「スミス殿。すまないが後は侍女が案内してくれる。」
と孫権は走り去っていった
キョン「・・・なんか、裏がありそうだな。」
孫権「周喩!! 」
周瑜「孫権様」
孫権「姉様が襲われたって本当なの!?」
周瑜「残念ながら・・・昼前、ここでくつろいでいられたときに、矢を射かけられて・・・」
孫権「矢を・・・!?・・・・それで姉様の容体は?」
周瑜「矢傷は浅いのですが矢じりに毒が塗ってあって、傷口からすぐに毒を吸い出して、何とか一命を取り留めたのですが・・意識は今だ戻られず・・・」
孫権「そんな・・・姉様・・・」
鈴々「大量!大量!・・・今日のお昼は牡丹鍋にするのだ。」
と狩りに出ていた関羽さん達が戻ってきた。すると
兵89番「関羽!張飛!お前達の身柄を拘束する。」
関羽「なっ!?」
今、王間の中には孫権さん。甘寧さん。周瑜さん。鈴々。孫尚香。馬孫。俺。そして手枷をかけられた関羽さんがいた。すると諸葛亮が慌てて、入ってきた。
諸葛亮「関羽さん!! 何があったんですか!?」
今までのことを聞いた諸葛亮は驚いていた。
諸葛亮「関羽さんが孫策さんを暗殺しようとした!?・・・何かの間違いです!! 関羽さんがそんな事をするなんて、絶対あり得ません!! 証拠は・・・証拠はあるのですか?」
孫権「証拠はない・・・」
諸葛亮「それならなぜ!?」
孫権「確たる証拠はないが、姉様がいたところに矢を射かけるにはあの山の狩り場が絶好の場所なのだ!! 姉様が矢を受けた正にその時、そんなところ素性も知らない旅の武芸者がいたのだ。疑われるのは当り前であろう。」
孫権の推理に諸葛亮は納得しなかったのか、
諸葛亮「当たり前じゃありません!! たしか狩り場には御家中の方が案内役として付いていたのでは?」
孫権「ついてはいたが、ずっと一緒だったのではないと甘寧は言っている。」
甘寧「孫策さまが矢を受けられたと思しき頃、私は尚香さまが射かけた獲物を捕りに、関羽殿の下から離れました」
諸葛亮「それなら尚香さんが近くに・・」
孫尚香「ちょうどその頃、シャオは張飛と一緒、関羽の近くにはいなくって・・・」
孫尚香も申し訳なさそうに言った
鈴々「けどだからって愛紗を疑うのはおかしいのだ!! 」
馬孫「・・・・・・・・・・・」
キョン「そうだな。甘寧さん。貴方、獲物を拾いに行くために関羽さんのもとを離れたといいましたよね?」
甘寧「いかにもそう言ったが・・・」
俺の方を向いて問に答える甘寧さん。
キョン「ていうことはこうだ。孫策さんが射られたとき、甘寧さんも山の狩り場には一人だったということですね。」
それを聞いた甘寧さんの表情が変わり、俺を睨みつけてきた。わぁ、怖えぇ・・・
甘寧「貴様、何が言いたい?」
キョン「一人で狩場にいた関羽さんが怪しいんなら、同じく一人でいた甘寧さんも怪しいということじゃないのか?」
甘寧「な!?…ふ、ふざけるな!? 私は孫家に仕える身だぞ!! そんな私が孫策様の暗殺を企むなど!! 」
キョン「孫家に仕える身だからこそじゃないんですか?毎日のように顔を合わせる主君と臣下であればこそ、日々の軋轢、考えの違い、利害の不一致・・・。相手を殺してやりたいと思う可能性は、貴方達とは何の関わりの無い旅の武芸者より、ずっと高い筈。違いますか?」
俺はこの状況を理解して言ったまでだ。文句はあるまい。
甘寧「言わせておけば…!?」
俺の問いに完全に切れたのか、甘寧さんは兵士から剣を奪い取り、
関羽・鈴々「ああ!?」
孫尚香「ひっ!?」
シャキッ!!!
どうやら喉を突きつけられている状態だ。
甘寧「武人をそこまで辱めてただで済むと思うなよ。」
そうかい。俺はこの世界をまだ知ったわけじゃないからそんなこと言っても分からんよ。
諸葛亮「甘寧さん!! 貴方が誇り高き武人なら関羽さんだって同じです!! それを確たる証拠もなくて疑って、こんな恥辱を与えることなど、それこそただではすまないことですよ!! 」
甘寧「くっ!」
諸葛亮の言葉に動揺しつつも武器を治めようとはしない甘寧さん。すると
周瑜「そこまでだ!?」
と周瑜さんの声が響いた。
周瑜「甘寧。剣を引くんだ。」
甘寧「っ!? しかしっ!! 」
周瑜「いいから引くんだ!! 」
そう言うと、甘寧さんは渋々、突いていた剣を下ろす。
周瑜「孫権様。どうやらいささか勇み足だったようですね。孫策様が倒れられて動揺しているのはわかりますが、こんな時だからこそ冷静に物事を判断し、皆を率いるのが上に立つ者としての務め。そうではないのですか?」
孫権「そうだな、周瑜。お主の言う通りだ。」
それを聞いた孫権さんは関羽さんの手枷を外したのであった。
孫権「関羽殿、すまなかった。」
関羽「いえ、わかっていただければ・・・それで・・・」
この事件。やっぱり何か裏があるに違いないな。
その夜、
孫権「姉様・・・」
孫静「孫権、まだ起きていたのですか?」
孫権「叔母上」
孫静「孫策の容態が気になるのはわかりますが、そんなことでは貴方の方が参ってしまうのですよ。」
すると、
二喬「「孫権様、あっ・・・・孫静様!?」」
孫静「どうしたのです?こんな夜更けに。」
孫権「まさか、姉様が!?」
大喬「いえ、その逆です。孫策さまのご容体は持ち直しました。」
小喬「まだ意識がもうろうとしていますが、医者は峠を越したと・・・」
孫権「よかった・・・姉様・・・本当によかった・・・」
大喬「しばらくは絶対安静ですが、熱が引けば会って話してもいいと・・・」
ここは孫策の部屋であるらしい。そんな中で何者が侵入してきた。そして、近づくと針を取り出した。すると・・・
孫策「なるほど、その針の先端に毒が塗ってあるというわけですか・・・ようやっと尻尾を出しましたね・・・・・・・叔母上。私の容態が回復したと聞いて、お忘れになれましたかな?」
孫静「孫策・・・そなた・・・」
孫策「死にかけていたのではなかったのかですか?・・・叔母上が私のやり方を快く思われていないのはわかっていましたが、まさか、命まで取ろうとするとは・・・・乱世とはいえ嘆かわしい限りです。」
さらにそこへ、
周瑜「孫静さま、恐れながら反逆の罪でお身柄を拘束させていただきます。」
孫静「周喩、これは全て貴様の企みか!?」
周瑜「ご想像にお任せします。」
兵に拘束された孫静は・・・・
孫静「孫策、そなたのやり方は間違っておる!! どれだけ多くの物を得ようとも、そのために流されたおびただしい血がいつか孫家に綽名すこととなろう!」
孫策「母上の意思を継ぎ、覇道を歩む決めた時からそれは承知の上です!ですが伯母上、たとえどれだけ血を流そうとも私には手に入れたいものがあるのです!! 」
孫静「っ!?」
孫策「連れて行け。」
兵士「はっ!?」
とある部屋
張昭「そうか、終わったか」
周瑜「はい。すべて全て滞りなく。」
重役の一人である張昭と周喩がいた。
張昭「あとはこれに名を連ねた者たちの始末じゃな。こたびに際し作った連判状じゃ。反逆の揺るがぬ証拠となるじゃろう。」
張昭は反逆者側にわざと入っていてのであったらしい。
張昭「しかし、関羽とかと申す者には悪いことをしてたの。」
周瑜「あの時、偶然あそこに居たのが身の不運と申せましょうが、まさか孫権さまが本当はいもしない暗殺の下手人を捕まえるとは・・・想定外でした。」
張昭「名軍師だの智謀の師だの言われても、神でならぬ身である以上全てを見通すことはできぬか。」
周瑜「恐れいります。」
翌日
「このたびは、私の早とちりで迷惑をかけてしまいすいませんでした。」
と孫権さんが頭を下げた。
関羽「いえ、気にしなくても」
ちなみに俺達と孫権達は港に来ていた。
孫権「関羽殿・・・そなたには何とお詫びしてよい事やら・・・・・」
関羽「何度も申しあげましたように、そのことはもう・・・」
孫権「あの時、私はどうかしていたのだ。すっかり気が動転して、何の罪もないそなたを疑いをかけてしまった・・・まったく、人の上に立つ者としてあるまじき行為だ。」
関羽「過ちを改めらず、すなわちこれを過ちという。人間だれしも過ちを起こすことがあるものです。過ちを犯した後、それに気づいて謝罪して、反省して、同じ過ちを繰り返すまいとする。それができる貴方は人の上に立つ者としての資質は十分あると私は思います。」
孫権「関羽殿・・・・」
関羽さんの言葉に涙ぐむ、孫権さん。
キョン「さて、そろそろ行きますかね。」
関羽「そうですね。ジョン殿。」
陸遜「孔明さん。もっと、書物の話がしたかったです。」
諸葛亮「陸遜さん、私もです。」
陸遜「気が向いたら、お手紙下さいね」
諸葛亮「はい、かならず!! 」
孫尚香「この間は決着つかなかったけれど、今度会ったら、大きさ・形、色、つや、感度、弾力、味の7番勝負だからね!! 」
鈴々「望むところなのだ!! 」
ってこいつ等。何の勝負をしているんだ?
関羽「ってお主らまだそんなことを・・・」
どうやら関羽さんも思ってたらしい。・・・あっそうだ、孫権さん。
孫権「!?、何だ。」
キョン「あの時、何かを悩んでいたようですが、一人で悩むより、誰かに話した方がいいですよ・・・」
孫権「そ、そうか。」
キョン「もう少し時間あれば、聞いてあげたんですが、すみません。」
孫権「気持ちだけでも、うれしいです。」
関羽「さあ、我らの旅立ち、笑顔で見送って差し上げますよな?」
関羽さんの言葉で笑顔になる孫権さん。なんだ、笑顔の方が良いじゃないか。
キョン「また此処に訪れる時が会ったら来ますよ。孫権さん。」
孫権「・・・蓮華だ。」
・・・・・・・・え?
蓮華「私のことは蓮華と呼んでも良い」
キョン「・・・いいんですか?」
蓮華「か、かまわないわ//」
キョン「…ありがとう。」
真名をもらうのはうれしいんだが・・・
関羽「・・・・・・・」
後ろからすっげー殺気感じるぅ?・・・
馬孫「カッカッカー!愉快愉快!」
関羽「いやー、船旅はいいものだな。こうやってのんびりしているだけで目的地に着くと。」
鈴々「本当なのだ!! 陸の上もこれでいけば楽なのだ。」
キョン「そうだな。」
関羽「・・・ん?どうした、孔明殿?船酔いか?」
なにやら諸葛亮が険しい顔をしていた。
諸葛亮「あっ、いえ、ちょっと気になることがあって・・・・」
関羽「気になること?」
諸葛亮「はい、今回のことって、本当に単なる暗殺未遂事件だったんでしょうか?何かあらゆることがあまりも出来すぎるような気がして、まるで一編のお芝居を見いているような、そうこの事件の背後に誰か筋書きを書いた人がいるんじゃないか。そんな気がするのです。」
諸葛亮の言葉に疑問を思う関羽さんと鈴々と馬孫。
…確かに、そのような事件は裏があるとしか言えん。さっき諸葛亮が言った言葉に俺も出来すぎているとは思ってはいた。あの時のあいつの発言。長門や朝比奈さんや古泉がいきなりの団員入りにされたのも、あいつが入れたからだ。だが、長門が宇宙人であり、朝比奈さんが未来人。これがあいつの思惑だとしたらあまりにも出来すぎているのと同じだ。
・・・あいつ等はどうしてるんだろうか・・・・・
そのころ、陸遜が書簡で仕事をやっている周喩の元へとやってきた。
陸遜「周瑜様。」
周瑜「陸孫か。見送りは済んだか?」
陸遜「はい。」
周瑜「陸遜。貴方、孔明の事をどう思う?」
陸遜「そうですね。あの年にして利と正論をした演説、剣を鼻先に突きつけられても一歩もひかぬ胆力。この先、どのくらい、のびるか楽しみな逸材かと・・・」
周瑜「楽しみか・・・私にはむしろ恐ろしいと思ったのだが…」
陸遜「え?」
周瑜「なぜだが、分らぬのが、あの者は、いつか我らの前に立ちはだかるような気がする。時が来て、あの才にふさわしい立場を得たらな・・・」
孫策「けど、もう一人分からない人がいるでしょ。」
周瑜「ああ、あのジョンスミスと言う者、私の予想とは違う。謎が多い人物だ。」
孫策「んー・・・・・・ほしいわね、彼。」
周瑜「何故ですか?孫策様。」
孫策「私の勘だけど、彼、私達のことをよく知っているかもしれないわ。」
蓮華「・・・彼は何者なのでしょうか?」
孫策「分からないわ。でも、いつか手に入れてみせるわ。」
あとがき
どうも。ガリ眼鏡どぇ?す。
キョン「同じく、キョンです。」
早いものでこの小説もあっという間に十話まできたのですねぇ。
キョン「何度も言うが、めげずによくここまで来れたな。たいしたもんだよ。」
まぁ、次回作は頑張りますが、もう一つの作品も投稿しなくてはいけないのよねぇー。
キョン「あぁ確か、剣崎の話だよな。あれはどうなる話なんだ?」
まだ秘密。そろそろあやつの志も決めようと思っているんだがな。なかなか思いつかないのよ。
キョン「おいおい。大丈夫なのか?」
大丈夫大丈夫。では、次の予告をしましょう。
キョン「はぁ、次回、涼宮ハルヒの恋姫、第十一話。『キョン。劉備と会うのこと』…って劉備に会えるのか!?すげぇ!!! 」
どうだろうねぇ・・・・
キョン「なっ、なんだその顔は・・・・」
いや。では、次回で会いましょう。
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