英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク
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レナを守り切って数日後、ルーク達はシェラザードと共にボース市にあるヴァレリア湖からボートを使ってグランセルの波止場に移動した。

 

〜深夜・王都グランセル〜

 

「ふう、無事についたわね。湖に見張りがいないのが幸いしたわね。」

妨害もなく、無事に王都についた事にシェラザードは安堵の溜息を吐き

「もしいたとしても、イオン様に頼めば”アレ”で王都に潜入できますから、王都に潜入する事は、それ程難しく、ありません。」

「まあ、さすがにいくら情報部といえど、”アレ”の存在は把握するなんて無理な話だろ。」

アリエッタが呟いた言葉から何かを察したフレンは苦笑していた。

「むう、レンの遊撃士として始まりの地であるグランセルにこんな形で来たくなかったわね。」

「気持ちはわかるが、今はギルドに行くぞ。」

「ええ、お兄様。」

そして5人は状況を把握するために王都のギルドに向かった。

 

〜遊撃士協会・グランセル支部〜

 

「ルークさんにシェラザードさん!それにレンさんとフレンさんも!アイナさんからこちらに向かったとは聞きましたけど、よく関所を越えれましたね?」

ギルド内に入って来たルーク達に気付いたエルナンは目を丸くした後予想外の強力な援軍に嬉しそうな表情をして尋ねた。

「ま、裏技を使ったようなもんよ♪……それで状況はどうなっているの?」

驚いているエルナンを見たシェラザードは悪戯に成功したような顔で答えた後、エルナンに状況を聞いた。

「ええ、実は………」

そしてルーク達はエルナンから、軍の動きは情報部によって完全に握られた事、リシャール大佐がアリシア女王の孫娘であるクロ―ディア姫を人質にとって玉座を女王の甥であるデュナン公爵に譲るよう脅している事、エステル達が女王の依頼を受けて潜伏していた親衛隊や王都に滞在している遊撃士達―――バダックやクルツ達と協力してクロ―ディア姫を軟禁しているエルベ離宮へ襲撃し、クロ―ディア姫やほかの人質達を解放するために作戦を開始していることを話した。

 

「……なるほど、大分状況が悪いようだな。俺達もクルツ達の援軍に行ったほうがいいな。」

状況を把握したルークは頷いた後エルナンに尋ねた。

「ええ、人手が足りない中あなた達がいれば作戦の成功率はさらに上がりますのでお願いできますか?」

「そのためにあたし達が来たんじゃない、当然オッケーよ。」

「勿論、俺も力を貸すぜ。」

「レンも当然行きたいけど、いいかしら?エルナンさん?」

「ええ、皆さんの力、期待しています。それと……そちらの女性は何者ですか?見た所七耀教会のシスターのようですが……」

シェラザード達の返事を聞いたエルナンは法衣を身に纏うアリエッタの正体がわからず、不思議そうな表情で尋ねた。

 

「アリエッタは、”星杯騎士”、です。」

「!!貴女があの……!し、しかし、一体何故”星杯騎士”がルークさん達と一緒にいるのですか?」

目の前の女性が七耀教会の裏組織に所属する女性である事を知ったエルナンは驚いた後、戸惑いの表情で尋ねた。

「アリエッタ、イオン様に、頼まれました。ルークを手伝って、欲しいと。リベールの情報部、古代遺物(アーティファクト)を、利用しようとしている可能性、あります。だからイオン様、見逃せないと、言ってました。」

「え〜と、アリエッタの上司―――イオンって名前の”星杯騎士”なんだけど、そいつとはある事件で知り合ってさ。たまたま騎士団の任務でロレントに訪れていた所を俺達が母さんを守る為に特務兵達と戦っていた所をわざわざ加勢してくれた後、俺達が王都に向かう時、任務の関係で手が離せない自分の代わりにアリエッタに俺達を手伝いながら情報部の連中が何を企んでいるのか調べておく事を頼んでくれたんだ。」

「なるほど……しかしまさかルークさんに”星杯騎士”のお知り合いがいるとは驚きました。」

「ホント、あたしも最初話を聞いた時は驚いたわよ。一体どこで教会の裏組織に所属する人達と知り合ったのかしら?」

アリエッタとアリエッタの説明を捕捉したルークの話を聞いたエルナンは目を丸くし、シェラザードは興味深そうな表情でルークを見つめた。

 

「ハハ………」

シェラザードに見つめられたルークは苦笑いをしながら答えを誤魔化し

(クク、正確に言えば既に”星杯騎士”が遊撃士協会に潜伏しているけどな。)

フレンは笑いをかみ殺していた。

「ほう、これは恐れ入った。まさかキミみたいな可憐なシスターが『星杯騎士』だったとはね。」

「?」

「うげっ………」

その時青年の声が聞こえ、声を聞いたルークは首を傾げ、シェラザードが嫌そうな表情をして振り返るとそこにはオリビエが玄関にいつのまにかいた。

 

「おや、あなたは……」

「って誰だよ、お前!」

「あら、どなたかしら?」

オリビエの登場にエルナンは目を丸くし、ルークは驚き、レンは首を傾げた。

「……みんな、行くわよ。」

「え、おい。シェラザード!?」

「ちゃんと着いて行くから引っ張らないでよ。服が伸びちゃうわ。」

その時シェラザードはオリビエを無視するかのようにルークとレンを引っ張ってギルドを出て、アリエッタとフレンも3人に続くようにギルドを出た。

 

「フ……シェラ君ったら照れちゃってもう。そんな所もそそられるのだがね♪」

シェラザード達がギルドから出るとオリビエは酔いしれた表情で喜んだが

「行かなくていいのですか?皆さん、もう出て行ってしまっていますが。」

「え……お〜い、シェラ君!おいてかないでくれよ!お願いしますから、無視しないで〜!」

エルナンに指摘され、慌ててシェラザード達を追うようにギルドを出た。

 

「………撒けたかしら?」

シェラザードはある程度ギルドから離れると後ろを見て確認した。

「誰だったんだ今の?」

「そうよ、それに逃げる必要もないんじゃないかしら?」

シェラザードの様子を不思議に思ったルークとレンは理由を聞き

「その様子からすると以前に付き合っていた恋人とかか?」

「……あの人、変です。”星杯騎士”を知っていました。」

フレンはからかいの表情で尋ね、アリエッタは淡々と呟いた。

 

「そんな訳がないでしょう!?今の馬鹿は自称天才音楽家とかふざけたことを抜かしているオリビエっていう奴よ。相手にしてたら疲れるからさっさと出たのよ。」

フレンの言葉に指摘したシェラザードが疲れた表情で溜息を吐いたその時

「ハッハッハ、シェラ君にそこまで言われるなんて光栄だなあ。」

湧いて出たかのようにルーク達の背後にいつのまにかいた。

 

「はぁ……ゴキブリ並にしつこい奴ね。」

厄介な人物を撒けなかったことに本気で残念に思ったシェラザードは溜息を吐いた。

「ハッハッハ、こんな面白そうな事にこのオリビエ・レンハイムが傍観者でいると思ったのかね?」

「もう何とでも言いなさい……ただし、痛い目にあっても知らないからね!」

「おいおい、いいのかよ、シェラザード?」

一般人に見えるオリビエの参加をあっさり認めた事に驚いたルークは尋ねた。

 

「こんな奴でも銃とアーツの腕だけ!はいいから数合わせにはなるでしょう。」

「へえ……そいつはちょうどいいな。この中には銃使いがいないから助かるな。」

「足手纏いにならなければ、どうでも、いいです。」

シェラザードの説明を聞いたフレンは目を丸くし、アリエッタは興味がなさそうな様子で答えた。

「あの、シェラ君?なんでそこだけを強調するのかな?」

「変態のあんたの取り柄はそれだけでしょうが……ついて行くのを許すだけでもありがたく思いなさい!」

「ハハ、まあよろしく頼むよ。俺はルーク・ブライト、エステルとヨシュアの兄だ。」

「フレン・ガルディオスだ。よろしくな。」

オリビエとシェラザードの会話を聞いていたルークは苦笑いをしながらフレンと共に自己紹介をした。

 

「ほう、君が噂のエステル君とヨシュア君の……それに君がかの”不屈”か。こちらこそ、よろしく頼むよ。」

「レン・ブライトよ。よろしくね、面白そうなお兄さん♪」

「なんと!この年でこの愛らしさ!将来はヨシュア君を超えそうな逸材がこんな所にいたとは……!ブライト家、なんて恐ろしい一家なんだ♪ボクはオリビエ・レンハイム。君のような可愛らしい人と行動できるなんて光栄だよ、リトルレディ。」

レンの容姿や雰囲気に驚いたオリビエはレンの目の前で膝を付きレンの手の甲にキスをした。

 

「クスクス、本当に面白いお兄さんね♪」

「へえ……まるでお姫様と姫を守る騎士みたいだな。」

「ハハ………(ってか、あいつ、何者だ??さっき見せた仕草とか、貴族が習う仕草だし……)

一人前の女性として扱ったオリビエに気をよくしたレンは微笑み、ガイの言葉を聞いたルークは苦笑いをしながら考え込んでいた。

「それでそちらの可憐なシスター!是非とも貴女の名前をこのボクに教えてくれたまえ!」

そしてオリビエはアリエッタを見つめた高々と言い

「………アリエッタ・タトリン、です。」

アリエッタは淡々と言った後先に進み出し

「フフ、そんなに照れなくてもいいじゃないか♪」

「…………………」

酔いしれた様子で話しかけてくるオリビエを無視して先を進み続け

「ハア……とっとと行くわよ。」

「「ああ。」」

「うふふ、サプライズパーティーの始まりね♪」

そしてシェラザードの言葉を合図にルーク達はオリビエとアリエッタの後を追って行った。

 

こうして6人はエステル達やクルツ達を援護するために急いでエルベ離宮へと向かった………

 

 

 

説明
第29話
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