誰もが虜になる惚れ薬:2 |
「何食べてるんだい?」
「これですか?ばあやさんから貰ったチョコレートです。エドガーさんも召し上がりますか?」
「・・・頂こうかな」
「美味しいですね」
「ここの国は菓子産業に力を入れているからね。女性達の間では知られない者はいないよ」
「よくご存知ですね?それは仕事としてですか?趣味からですか?」
「どちらだと思うかね?」
「エドガーさんの場合だと仕事から趣味でしょうか?」
「ふむ。趣味からかも知れないよ?」
「それはそれでエドガーさんらしいですわね」
「さては、どちらでも構わないんだろう。君」
「ええ、まぁ。ところでチョコレートは古来、媚薬として使用されていた時期があるそうですよ」
「ほぉ・・・相変わらず物知りだな。・・・ちょっと待て、先日やったあの薬どうしたのか聞いていいか?」
「エドガーさんがくれたんで、大切に、肌身、離さず、持ってますよ。勿論、今も」
「・・・・あの薬の使用方法は確か・・」
「ええ、ご存知の通り、「虜」にしたい相手の目の前で薬を自分から手渡し、合意の上で相手が口に入れる」で
すね」
「しかも、飲ませる相手も「薬」の存在を知っていないと効果をなさない」とも書いてあったな」
「はい。かなり厳しい条件ですよね〜〜〜。ところで、エドガーさんチョコレート美味しいですか?」
「さっきまでしていた味がしないね」
「あら不思議v」
「悪いが、私はこれで失礼させて貰うよ。少し用事を思い出したのでね」
「はい。お仕事頑張って下さいね」
「ああ」
「はんっ先週、散々からかわれてたんだし。これくらいのお返しはさせて貰わないとね〜〜。今頃エドガーさん
あわを食ってるだろうなぁ〜」
想像するだけで楽しい。
「国内では使うな」って云ったのは自分なんだし、ま、そろそろ気付くでしょ」
今のうちにお茶でも入れておこうかな・・
湯を沸かし、ポットに茶葉とお湯を注いだ辺りで、扉の外から足早な靴音が聞こえる。
きっと彼だろう。
「ヒロイン、私をいっぱい食わせたな!」
やっぱりね。
「チョコレートの事ですか?それともエドガーさんは何か他の物でも召し上がりました?」
「・・・君がそこまであの手の冗談が嫌いだとは思わなかった。素直に謝る。先日はからかって悪かった。もう
今後しないと誓おう。だからその口調も直してくれ。聞いていて気分が悪い」
「分かればいんですよ。まったく・・・ああ、お茶入れたんで飲みますか?勿論なにも入ってないですよ」
「貰おうか」
「あ、でも今から入れます」
「・・・・何をいれるつもりだ」
「砂糖とミルクです。どうします?」
「遠慮しておこう」
「そうですか。では改めてばあやさんから頂いたチョコレートでも食べましょうね〜〜・・・う〜〜ん甘くて美
味しい〜ねぇエドガーさん」
「女性に一杯食わされたのは初めてだよ・・・覚えてろ」
「口が悪いですよ陛下v」
「ハハッこれは手厳しいね。気をつけるとしようか」
フィガロ王国は今日も平和なようです。
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遥路歴程シリーズ:シーン切り取り。 FF6 エドガーの夢小説ではなく夢小咄。 ※注意書きはプロフに書いてあります |
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