英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク |
ルーク達が貨物飛行船に乗る少し前、一足早くロレントに戻ったエステルは飛行船で出会った七耀教会の神父―――ケビン・グラハムと共に実家に戻って来ていた。
〜ブライト家〜
「へ〜。ここがエステルちゃんの家か。なんちゅうか、あったかそうな雰囲気の家やね。」
ブライト家に到着した七耀教会の神父―――ケビンは家から漂う雰囲気に感心していた。
「えへへ、そうでしょ?あたしと、父さんと、お母さんにルーク兄とレン………それにヨシュアとの思い出がいっぱいに詰まった場所なんだから。」
「なるほどなー。で、そのヨシュア君ってのが一足先に帰ってきているわけか?」
「うん、間違いないわ。ついて来て、紹介するから。」
ケビンの言葉に頷いたエステルは家の中へ入って行き
「どんな野郎か知らんが、罪作りなやっちゃ。ふう……」
その様子を見守っていたケビンは真剣な表情になった後家の中に入って行った。
「ただいま〜、ヨシュア!ねえ、帰って来てるんでしょ!?」
「あら、エステル。お帰りなさい。」
エステルが家に入ると台所で食器を洗っていたレナが笑顔で出迎えた。
「あ、お母さん!ただいま〜!ねえ、ヨシュアはどこ?」
「ヨシュア?一緒に帰って来たんじゃないの?」
「……………………あはは、帰って来てるに違いないじゃない!お母さんに帰って来た連絡もしないなんて、薄情な奴ね〜。全く、ここはお姉さんとして叱ってあげなくちゃね!」
レナの答えを聞いたエステルは笑顔が固まった後、気を取り直して2階に上がって行った。
「エステル……?」
愛娘から感じる違和感にレナが首を傾げたその時、ケビンが家の中に入って来た。
「……そうだ。あたしの部屋にいる可能性もゼロじゃないよね……?やばっ、下着とか出しっぱなしにしてたかも……」
ヨシュアの部屋に行こうとしたエステルは自分の部屋に入った。
「………………………………。よかった……。出しっぱなしにしてなくて。まあ、ヨシュアだったら、あたしの下着なんか見たって平然としてるだろうけど……。………………………………」
フラフラしながらエステルは自分の部屋を出た後、ヨシュアの部屋のドアの前に立ち
「ヨシュア……入るね?」
ノックした後、エステルはヨシュアの部屋に入った。
「………………あ。」
しかし部屋の中には誰も存在せず、それを見たエステルはようやく現実に戻って来た。
「あは……そっか…………あたし……バカだ……」
現実に戻ったエステルはその場で崩れ落ち
「カレシ……おらんみたいやな」
「エステル………………」
同時に真剣な表情のケビンと悲痛そうな表情をしたレナが部屋に入って来た。
「それともアレか。いったん帰って来てからまた街にでも出かけたとかか?」
「……ううん…………」
「ふう……。やっと目ぇ、醒めたみたいやね。」
エステルがようやく現実を見ている事を確認したケビンは安堵の溜息を吐いた。
「………………………………。そうよ、ホントはね、ちゃんと分かってたんだ……。ヨシュアは行っちゃったって……。家に戻ってるはずないってちゃんと分かっていたんだよ……」
「そっか……」
「でもね……この部屋が最後だったから……。他に、ヨシュアの居場所なんてあたしには思いつかなかったから……。だから……ここでおしまい。あたしはもう……二度とヨシュアに会えないんだ……」
「エステル………!」
絶望に陥っているエステルを見ていられなかったレナは思わずエステルを抱きしめた。
「お母さん……!ヨシュアと会えなくなっちゃったよ……!う、ううっ………」
「………そう………………」
涙を流して泣いているエステルを慰めるように、レナはエステルの背中を優しく撫でた。
「………………………………。諦めるの、早ないか?」
「…………?」
その時ケビンの口から出た言葉の意味がわからなかったエステルは泣き止んでレナから離れて、立ち上がってケビンを見つめた。
「所詮、運命なんちゅうもんは女神にしか見えへんシロモンや。そんなもんに縛られた気になって諦めるのは早すぎるで。大事なんは、エステルちゃんが何をどうしたいって事とちゃうか?」
「で、でも……。ヨシュアを捜そうにも何の手がかりもないし……」
「いや、そうでもないやろ。そのカレシがどんなヤツかオレは知らへんけど……。何のきっかけもなしに姿を消すヤツなんておらんで。」
「……え…………」
「最近、カレシの言動や態度で何かおかしなことはなかったか?もしくは、カレシに関係ありそうな奇妙な出来事が起こったりとかな。ずっと一緒にいたキミにしかわからんことやで。」
「……あ……!」
ケビンに言われたエステルは頭の中に思い当たる節を思い出し、声を上げた。
「ああっ……!ヨシュアがおかしくなったのはあの休憩所に戻ってから……。……うそ……どうして?なんであたし……あの時あった人が思い出せないの?」
自分の記憶の一部が欠落している事に気付いたエステルは混乱し
「だ、大丈夫か?めっちゃ顔色悪いで。」
「エステル?どこか具合が悪いの?」
「う、うん……大丈夫……」
ケビンとレナに声をかけられ、我に返った。
「そっか……。ヨシュアの目的は悪い魔法使いを止めること……。あの時、あたしがあった人がその魔法使いだとするなら……。それがクーデターを影から操っていたのと同じ人物なら……。悪い魔法使いは、まだリベールで何かをしようと企んでいるはず……。じゃあ、あたしが遊撃士として魔法使いの企みを阻止できたら……。……ひょっとしたら……」
「……よく気付いたな。」
そしてエステルが自分の為すべき事に気付いたその時カシウスがルーク達と共に部屋に入って来た。
「父さん、シェラ姉!?それにルーク兄とレンも!?ど、どうしてここに……?」
「……悪い、エステルちゃん。定期船を降りる時、ギルドの王都支部に連絡させてもらったわ。」
「え……」
意外な人物が通報した事に驚いたエステルはケビンを見つめた。
「まったく驚いちゃったわよ。あんたを捜してギルドに行ったらちょうど連絡が入ってくるんだもの。で、あわてて先生とルーク達と一緒に出発直前の貨物飛行船に乗ったわけ。」
「全くもう。エステルのせいで、滅多に食べられないお城の朝食を逃しちゃったじゃない。」
「お、おいおい、レン。少しはエステルを気遣ってやれよ。」
呆れた様子で溜息を吐いたレンの言葉を聞いたルークは表情を引き攣らせ
「あら、気遣っているからこそいつもの調子で接しているのよ?」
レンは小悪魔な笑みを浮かべてウインクをした。
「あ………」
「まあ、そういう訳だ。ケビン神父といったか?連絡してくれて本当に助かった。礼を言わせてくれ。」
「……ありがとうございます。」
「いや〜、とんでもない。部外者が出しゃばったりしてホンマ、すんませんでしたわ。」
カシウスとレナから感謝の言葉を述べられたケビンは苦笑しながら答えた。
「あ、あの……。父さん、あたしね……」
「判っている。……深入りするなと言ったのはただの俺のエゴだ。男としての、父親としての論理をお前に押し付けただけにすぎん。そう、シェラザードに叱られてな。」
「シェラ姉……」
「ふふ、あたしも今回は全面的にあんたの味方よ。」
「勿論、俺もお前の味方だぜ、エステル。」
「うふふ、手のかかる”お姉ちゃん”を助けるのが賢くて可愛い”妹”の役目だものね♪」
「ルーク兄、レン………」
自分を気遣い、助力を申し出たシェラザードやルーク達の言葉にエステルは胸がいっぱいになった。
「フフ、私もシェラちゃん達と一緒でもちろん貴女の味方よ?エステル。」
「お母さん…………」
「……それとあなた?」
「な、なんだ?レナ。」
レナに呼ばれたカシウスは表面上は穏やかなレナの声に突如恐怖感が襲って来て、微妙に手を震わせ始め
「………後で私からも言いたい事や聞きたい事がい・ろ・い・ろと!あるので、忘れないで下さいね?ア〜ナ〜タ〜?」
「…………ハイ…………」
凄味のある愛妻の笑顔で微笑まれたカシウスは為す術もなく降参を認め、肩を落として頷いた。
(………な、何やろ?オレが怒られた訳やないのに、こっちにまで震えが来てしまう……!ってこの感覚はルフィナ姉さんが怒った時と同じ感覚やんけ!…………というか下手したらルフィナ姉さんの上を行く怖さや………!とんでもない人や……!)
(さ、さすがレナさんね…………先生、ご愁傷様です………)
(女って、マジで怖ええ〜……!)
(うふふ、レンも見習っていつかママみたいな素敵なレディにならないとね♪)
王国の”英雄”を尻にしくレナの様子をケビン達はそれぞれの想いを抱えて見つめていた。
「覚悟はしていたが……あいつが居なくなったことが思っていたよりも堪えたらしい。だから、せめてお前だけは危険な道を歩かせたくなかった。命と引き替えにお前を救おうとしたレナのようになって欲しくなかった。……だが、そういう風に考えるのはお前にも、レナにも失礼だったな。今更ながらに思い知らされたよ。」
「父さん……」
「フフ……そうね。……でもあなた?私は今でもこうして生きているのだから、命と引き換えにこの娘を救ったなんて事を言わないで頂戴。」
「………そうだな。ルークには改めて感謝しないとな。」
「――勿論、レンもお兄様にはすっごく感謝しているわよ?お兄様がレンを迎えに来てくれたお蔭で、レンは幸せだもの。」
「ハハ、感謝したいのは俺の方だぜ。父さん達からは色々と大切な物をもらっているしな。」
感謝の言葉が自分に向けられる事になれていないルークは恥ずかしそうな表情で答えた。
「……軍を立て直すため俺はしばらく身動きが取れん。おそらく奴等の狙いはそこにもあったのだろうが……。今度こそ、俺はお前のことをロクに手助けもできんだろう。それでも、決意は変わらないか?」
「……うん。あたし、まだまだ未熟だけど、それしか方法はなさそうだから……。だからあたし、やってみる。『身喰らう蛇』の陰謀を阻止してきっとヨシュアを連れ戻してみせる!」
「うふふ、レン達の事を忘れないでよ、エステル?」
「ああ。俺もブライト家の一員としてヨシュアを連れ戻す事に全力で手伝うぜ!」
「二人とも……ありがとう!」
レンとルークの力強い言葉を聞いたエステルは明るい表情になった。
「そうか……。ならば何も言うことはない。遊撃士として……それから1人の女として。お前は、お前の道を行くといい。」
「……父さん……」
自分が進む道を認めてくれたカシウスにエステルは思わず抱きついた。
「あたし……あたし……」
「そうだ……。大事なことを言い忘れていた。」
「え……?」
「エステル、どうか頼んだぞ。ヨシュアを―――あの馬鹿息子を連れ戻してくれ。」
「……あ…………。うん……わかった……。またこの家で……みんなで一緒に暮らすためにも……。絶対にヨシュアを連れ戻すから……!」
こうしてエステルはヨシュアを連れ戻す決意をした……………!
なお、OPは”銀の意志、金の翼”のアニメ版のフルverで2番目の歌では空を見上げてティアを思い出しているルーク、ルークと同じようにケビンやセシル達を思い出しているアーシアとフレン、ル=ロックルの崖から複雑そうな表情で見つめてヘイワーズ一家やオリジナルキャラ、ユウナを思い出しているレン、”ハーメル”を跡にして決意の表情でイオンとアリエッタと共に旅立つリースと同じシスター服を身に纏う黒髪の女性、ヴォルフ砦から景色を見つめるバダック、SC篇で登場する黒髪の少年を悲しそうな表情で思い浮かべている黒髪のメイド、歌が盛り上がるシーンではSC篇で登場する赤茶色の髪の男性が狂気の笑みを浮かべる大柄な男性と鍔迫り合いの状態になっている所、怒りの表情でラヴェンヌ村の廃坑でレーヴェと鍔迫り合いの状態になる漆黒の服とマントを身に纏う黒髪の少年、”琥珀の塔”の屋上で対峙し、互いに小悪魔な笑みを浮かべて見つめた後同時に地面を蹴って鍔迫り合いの状態になり、瓜二つの顔で互いを睨むレンとユウナ、最後のヨシュアが写る瞬間には黒髪の少年、レーヴェが順番に移り、エステルが手を差し出している部分はハーモニカを吹く黒髪の女性、嬉しそうな表情で涙を流して誰かを抱きしめようと両手を差し出している黒髪のメイドが一緒に写っているイメージを想像してください♪………あれ?主人公はルークかレンの予定なのに、このOPだとSCから参戦させるテイルズキャラの一人が主人公の一人として間違えられてしまう(汗)
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