英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク
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〜バルスタール水道〜

 

「ここが『バルスタール水道』……」

「へ〜、結構大きな地下水道みたいですね。」

「王都の地下水道を思い出すわね。」

訓練場に到着したエステル達は珍しそうな様子で周囲の景色を見回し

「王都の地下水道ほどではないが、それなりの広さはあるだろう。本日の演習は、水道の最奥にあると思われる機密文書の回収だ。」

クルツはエステル達に課題を与えた。

 

「き、機密文書ぉ?」

「はは、あくまでもそういう想定での演習だよ。とにかく、水路の最奥まで行けばダミーの書類が見つかるはずだ。それを回収できたら演習終了さ。」

「うーん、話を聞いてる限りだと簡単そうに聞こえますけど……」

「うふふ、簡単すぎて逆に警戒しちゃうわね。」

「当然、演習というからには色々と用意してるのよね?」

3人を代表してエステルはクルツに質問した。

 

「まあ、ご想像にお任せするよ。ちなみに徘徊している魔獣がかなり手強いのは確かだ。……傷を負った場合には無理せず撤退するように。オーブメントの回復装置も念のために用意したからね。」

「あはは、さすがはクルツさん。何もかも準備万端ってわけ。」

「それじゃあエステルちゃん、レンちゃん。行こっか。」

「うん。」

「ええ。」

その後3人は仕掛けを解除したり、途中で出会う魔獣達を倒しながら奥に進んで行った。

 

〜バルスタール水道・終点〜

 

「やあ、ようやく来たか。」

エステル達が終点に到着するとそこにはなんと入口にいるはずのクルツがいた。

 

「あら。」

「ク、クルツ先輩!?」

「え、ちょっと待って……。入口の所にいたはずなのにどうして先回りしているわけ?」

「実は他に抜け道があってね。君たちが仕掛けを解除している間にまっすぐここに来させてもらったよ。」

「ガクッ……。せっかく苦労して仕掛けを解いてきたのに……」

「むう。レンとした事が謀られたわね。」

先回りできる道があった事を知ったエステルは肩を落として恨みがましそうにクルツを見つめ、レンは頬を膨らませた。

 

「そ、それはともかく……。やっぱりここが地下水路の最奥なんですよね?」

「ああ、その通りだが?」

「それじゃあ……回収する機密文書っていうのは?」

「ふふ……」

アネラスの言葉を聞いたクルツは不敵に笑った後、槍を構えた!

 

「へっ!?」

「や、やっぱり……」

「うふふ、そうこなくっちゃね♪」

槍を構えたクルツを見たエステルは驚き、アネラスは冷や汗をかき、レンは小悪魔な笑みを浮かべた。

「自分の役は、機密文書を強奪しに来た某国の武装工作員だと思ってくれ。当然、同じ目的を持った者たちは実力を持って排除させてもらうよ。」

「あ、あんですって〜!?」

「機密文書は単なる口実……。本当の演習課題は、探索中の予想外の交戦ってわけですね!?」

「やっぱりレンの予想通りだったわね。」

「ふふ、そういうことだ。それでは……こちらから行かせてもらうぞ!」

そしてエステル達はクルツと戦闘を始めた!

 

「はあっ!せいっ!」

エステル達の前に飛び込んだクルツは槍で突きを3人にそれぞれ繰り出し、3人は武器でそれぞれ防御し

「ぬぅぅぅん!!」

更に連続攻撃を終えたクルツが槍で薙ぎ払うと同時にそれぞれ後ろに跳躍して回避した。

 

「はあっ!!」

クルツから距離をとったエステルは棒を振るって衝撃波の弾丸を放ち

「せいっ!」

クルツは襲い掛かる弾丸を槍で薙ぎ払い、そこにアネラスが詰め寄って剣を振るった。

「はい、はい、はぁいっ!!」

アネラスが剣を振るうたびに衝撃波の刃が発生し

「オォォォォッ!!」

自分に襲い掛かる刃――――剣風閃の刃をクルツは槍で怒涛の連続突きを放って打ち消していた。

 

「えいっ!ソウルブラー!!」

「ぐっ!?」

その時オーブメントの駆動を終えたレンがアーツによる時の刃をクルツに命中させて怯ませ

「たぁ!」

「ガッ!?」

アネラスはクルツを空中へと蹴りあげた!そしてクルツが落ちて来る瞬間を狙ってジャンプして、叩き落とし、その瞬間を狙ったかのようにエステルが突きの構えで突撃した!

「失礼します、先輩!」

「瞬迅爪!!」

「クッ!?」

アネラスの技―――落葉とエステルが突撃と同時に放った突きを同時に受けたクルツは後ろへと吹っ飛ばされたが空中で受け身を取って着地し

「方術………穏やかなること白波の如し!!」

傷ついた身体を”方術”で癒した。

 

「方術………貫けぬこと鋼の如し!」

そしてクルツが続けて精神統一して方術を放つとクルツの全身に淡い光が纏った。

「げっ、あの術って……!」

「二人とも、気を付けて!今の方術は身の守りを固くするクルツ先輩が得意としている方術だよ!」

クルツが使った方術名を聞き、武術大会での戦いを思い出したエステルは嫌そうな表情をし、アネラスは警告した。

 

「うふふ、だったらもっと凄い攻撃で防御を貫くかアーツ攻めをすればいいだけじゃない♪フゥゥゥゥ………ハッ!!」

「まだまだこれからだよっ!はぁい!」

レンが気功で自分を強化すると同時にアネラスは自らに”活”を入れて筋力を一時的に上昇させ

「さあ、行くわよっ!!」

エステルは掛け声をかけて自身の闘志を高めた。

 

「方術―――儚きこと夢幻の如し!!」

その時クルツは方術によって発生した自然の刃をレンに向けて放ち

「四の型――――紅葉切っ!!」

レンは電光石火の速さでクルツに詰め寄って回避すると共に抜刀してクルツを攻撃したが

「むん!」

攻撃を見切ったクルツは槍で防御した。

 

「二の型―――疾風!!」

「グッ!?」

しかしその時アネラスが電光石火の速さで剣をクルツの脇腹に叩き込み、方術で強化した身体から伝わって来る衝撃にクルツが呻いたその時、棒を構えた状態で力を溜め込んでいるエステルが突撃し

「金剛撃!!」

クルツに近づき、棒を振るった。

「させん!」

しかしその時クルツが反応し、エステルの棒を受け止め

「発ッ!!」

「キャッ!?」

全身から闘気を解放し、エステルをアネラスの所へ吹っ飛ばした!

 

「覚悟!」

エステルを吹っ飛ばしたクルツは二人の目の前で地面に槍を刺し

「来たれ雷神!」

クルツが精神を集中させると雷が槍に落ち

「空と海の狭間より!!」

「「キャアアアアッ!?」」

そして槍は凄まじい電撃を放電し、二人に電気ショックを与えた!

「空破!絶掌撃!!」

「クッ!?」

その時レンが電光石火の速さで詰め寄って攻撃を連続で繰り出し、レンの電光石火の速さの攻撃によって地面に刺した槍を回収できなかったクルツは回避に専念し、その隙にレンはエステルとアネラスの前で剣を地面に刺した。

「守護方陣!!」

するとエステルとアネラスの傷が僅かながら回復し

「ラ・ティア!!」

更に攻撃前に駆動を始め、絶妙なタイミングで駆動を終えた範囲治癒アーツで二人の傷を癒した。

 

「ありがと、レンちゃん!今度は私達の番だね!風よ、我が剣に力を!ハァァァァァァ………!」

レンの援護を受け、回復したアネラスはその場で集中して剣に闘気を溜め込んだ。すると闘気による風がアネラスの剣に纏い

「―――奥義!風ノ太刀!!」

「ガアッ!?」

大きく前に踏み込んだ瞬間、クルツの背後へと駆け抜けて斬撃を叩きこむとクルツの周囲に鎌鼬が発生してクルツの全身を傷つけ、そこに棒を構えたエステルが跳躍し、棒をクルツの目の前の地面に叩きつけた!

「翔舞煌爆破!!」

するとクルツを中心とした場所に地面から衝撃波が発生し

「グッ!?不覚…………やれやれ……。手加減したつもりはなかったが。どうやら、自分の負けのようだな。」

衝撃波をその身に受けたクルツは地面に膝をつき、自分の敗北を宣言した!

 

「ふう………なんとか勝てた………」

「う、うん……。さすがは『方術使い』……。3人がかりでやっと勝てたね……」

「うふふ、さすがはA級正遊撃士ね。そう言えばアネラスお姉さん、レンと何度も手合せをしていたお蔭で覚えた剣技がようやく役に立ったわね♪」

二人が疲労による溜息を吐いている中、先程の戦いで気になった事を思い出したレンはアネラスに視線を向け

「アハハ……私も”八葉一刀流”の剣士の一人としていつかレンちゃんみたいにおじいちゃんから、二つ名を貰えるように頑張らないと駄目だからね。」

アネラスは苦笑いをしながら答えた。

 

「さて……工作員が無力化したことで君たちは機密文書を回収した。今回の演習はこれで終了だ。」

「そ、それじゃあ今日の訓練は……」

「これで終わりとか……?」

「うふふ、そんな甘い話になる訳ないじゃない。」

クルツの答えを聞き、訓練の終了を期待している二人を見たレンは小悪魔な笑みを浮かべ

「―――その通り。宿舎に戻って昼食を取ったら南にある『サントクロワの森』に向かう。演習の反省点を見直す意味でもみっちり訓練を受けてもらおうか。」

レンの言葉にクルツは頷き、二人が聞きたくない話を口にした。

 

「ほらね♪」

「ひえ〜……」

「クルツ先輩って……ホント、容赦ないですよねぇ。」

余裕そうな表情で微笑みを浮かべるレンとは逆にエステルとアネラスは悲鳴を上げて肩を落とし

「全く……この中では一番年少のレン君を少しは見習ったらどうだい?」

二人の様子を見たクルツは呆れた表情で溜息を吐いた。

 

その後訓練を終えたエステル達が宿舎に戻った頃には夜になっていた……………

 

 

 

 

説明
第44話
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