鴉と狼 |
鴉と狼
アナトリアの会議室にエミールとアレックスそして、フィオナの3人が集まっていた。
3人はいつもより真剣な表情でパソコンにきた依頼メールの内容見ていた。
その依頼は砂漠の狼アマジーグの撃破である。
「やはり来たか、エミール」
「あぁ、昨晩オーメル社から来たよ。ご丁寧に弾薬費と機体の修理費は全て補償付きだ」
アレックス、エミールが予測した通りオーメル社からアマジーグの撃破依頼が来た。
しかも、弾薬費、機体の修理費は全て補償付きである。
「その代わりに、作戦プランは向こうから出してきた。それに従わないといかない」
「向こうから出して来たか…その作戦プランは?」
「フィオナ。説明を頼む」
「はい」
フィオナは会議室のモニターを操作し、今回の作戦エリアを表示する。
「オーメル社からの作戦プランを説明します。今回の攻撃目標であるイレギュラーネクストバルバロイのリンクスアマジーグは致命的な精神負荷を受け容れることで、低いAMS適性を補い、機体の戦闘力を、極限まで高めています。ホワイトアフリカの各地の反体制組織から、英雄『英雄』と称えられるほどの相手です。まともに戦うにはリスクが高すぎます」
モニターの一角にバルバロイの戦闘の映像が映される。
その動きから、本当に低いAMS適性なのか疑うほどであった。
「そのため、オーメル社は目標がトラックで輸送中に狙撃による奇襲攻撃を仕掛けることを決めました。起動前に狙撃で叩いてください。以上、オーメル社からの作戦内容です」
「それと、この作戦で使う、スナイパーキャノンがオーメル社から届いている。これが、そのスナイパーキャノンのカタログだ。実物は格納庫ある。
エミールはアレックスにスナイパーキャノンのカタログを渡す。
「…奇襲か。あいつには通じないだろうな」
スナイパーキャノンのカタログを読みながら、二人には聞こえない程度にそう言う。
「アレックスさん。何か言いました?」
「いや、何でもない。作戦開始時刻は?」
「3日後、1600だ」
「わかった。俺はスナイパーキャノン見に行く」
アレックスは会議室から出ていき、格納庫に向かう。
会議室にはフィオナとエミールの二人だけが残された。
「ねぇ、エミール。この作戦、本当にやらないといけないの?
「…あぁ。これをやらないとアナトリアの未来がない」
「でも…」
実のところフィオナはこの依頼に反対していた。
この依頼が成功したら、アナトリアの傭兵の価値が一気に高まり、アナトリアの経済も復活するだろう。
しかし、この依頼の目標はアマジーグ
前に倒した、ナジュータとポリスピッチと訳が違う。
確実に今まで以上の激戦になる。そうなると、アレックスにかなりの負荷がかかり倒れてしまう可能性もある。
それ以前にアレックスが絶対にアマジーグに勝てる保障もない。
それが、フィオナの反対理由であった。
「アレックスなら大丈夫だ。もとより、アマジーグと戦うつもりで依頼を受けて来たからな」
アレックスとエミールは元からアマジーグと戦うつもりで、オーメル社からの依頼を受けて来た。
それに、アレックスはアマジーグのことを聞くと何か懐かしそうな表情していることが多い。
そのため、アレックスとアマジーグは何か関係があると、エミールは思っていた。
「それでも…」
「フィオナ。最近思うだが…お前、アレックスのこと何かと気にしているな。もしかして、彼のことが好k―――」
エミールが言い切る前に、フィオナの強烈な右ストレートが腹に直撃し、腹を押さえながら床に倒れる。
「べ、別にそんなことありません!私も用意ありますから、先に行きます」
フィオナは動揺しながら勢いよく会議室から出て行った。
一方、ダウンしたエミールはどうにかして立ち上がる。
「あの反応だと図星だな。後はあいつがフィオナの真意にいつ気付くか…」
フィオナの反応を見たエミールは彼女がアレックスのことが好きだとわかり、アレックスとフィオナが両思いになる。
しかし、アレックスは人の恋には鋭いが、自分に向けられる恋には鈍いことに最近エミールが気付いた。
「やれやれ、先は長いな」
アレックスとフィオナが結ばれる日はまだ遠いなと、エミールはそう思い、会議室から出て行くのであった。
日後 アマジーグ輸送ルートから1000q離れたポイント
かつて大きなビルや建物があった大都会も今では砂漠に飲み込まれ廃墟になっていた。
その廃墟されたビルの屋上に伏せて、スナイパーキャノンを構えているネクスト、レイヴンの姿があった。
《間もなく、アマジーグが作戦エリアに入ります。用意してください》
「了解」
攻撃目標である、アマジーグを狙撃するためBFF製のスナイパーキャノンが異常ないか確認し、弾を装填しいつでも撃てるようにする。
そして…
《バルバロイ作戦エリア内に侵入。輸送車両で輸送されています。気付かれる前に狙撃してください》
車両で輸送されているバルバロイを確認したアレックスはスナイパーキャノンのスコープとレイヴンのカメラとリンクし、バルバロイのコアに狙いを定め、コアに狙撃しようとした時…
バルバロイのカメラが光った。
「やっぱり気付かれていたか!」
アレックスは自分ある程度予測していた事態になりつつも、トリガを引き、スナイパーキャノンを発砲。
しかし、同時にバルバロイはQBをし、トラックから離れる。弾はバルバロイには当たらず、車両に命中し、爆散する。
《バルバロイ既に起動しています!そんな…気付かれていた?なぜ》
バルバロイが既に起動していることに動揺しているフィオナに対して、元々こうなることはある程度予測していたアレックスはすぐにスナイパーキャノンを捨てて、近くに置いていたコンテナからいつも通りの武装を装備する。
《奇襲か…無駄な策だったな》
通信から懐かしき声を聞いたアレックスは静かに笑う。
「元より、貴様が奇襲では倒せないことはわかっている」
アレックスの声を聞いたアマジーグもまた静かに笑う。
《その声…やはり、生きていたか、アレックス》
「それは、こちらのセリフだ。アマジーグ」
《いろいろ、あってな。だが、今、お前にやられるわけにはいかない。悪いが倒させてもらうぞ》
バルバロイOBを起動。ビルの上にいるレイヴンに一気に接近する。
「それは、こちらも一緒だ」
レイヴンはOGOTOを展開し、OBで接近するバルバロイに発射するが、弾速が遅いグネレードが軽量二脚タイプのネクストに当たるはずもなく、バルバロイはQBをしグネレードを避け、散布型ミサイル、MP-O200を発射。
レイヴンはビルを盾にするため、QBでビルから飛び降りる。
ミサイルは全て、ビルに命中し、回避に成功するが、ビルがミサイルに耐えきれず、崩壊。
周りは、土煙が発生し、視界を塞ぐ。
「…本当にこのパターン多いな」
最近、土煙に包まれることが多いなと思いつつ、アレックスはレーダーでバルバロイの位置を探す。
「早い!くっ!」
レーダーでバルバロイの位置を確認したが、異常の速さで目の前から接近してくることに気付くが、その時には正面からショットガンを構えたバルバロイが土煙の中から出てくる。
《もらった!》
「そう簡単にはやられん」
レイヴンは左腕を下から突き上げ、バルバロイの右腕にぶつけ、その衝撃でショットガンは真上に発破する。
続いて、レイヴンはRF-R100下部に付けられたレーザーブレードを展開。バルバロイに斬りかかる。
この間合いなら、QBをしても武器一つは潰せるとアレックスは思っていた。
《こちらだって、今は死ねんのだ》
バルバロイはバックブースタから明らかに普通のQBじゃない噴か方をし、瞬間移動したよう後ろへと下がり、レーザーブレードを避ける。
アレックスはバルバロイが何をやったのかすぐに理解する。
「二段QBか!」
二段QB。通常のQBより倍の出力を出すことが出来るが、極めて高いAMS適性と操縦技量がなければできない。
それを、何故、AMS適性が低いアマジーグが出来たのか。
それは、アマジーグは致命的精神負荷を受け容れることによって、AMS適性を補っているためである。さらに、アマジーグの操縦技量は元より高いため、AMS適性さえ補えば二段QBの条件は全て揃うのである。
バルバロイはOBと同時に二段QBをし、一瞬にしてレイヴンの後ろに行き二段QTしショットガンとライフルを向け、撃つ。
《逃げて!アレックスさん!》
「南無三!」
アレックスは被弾の痛みを覚悟するが、ただではやられるつもりはなかった。
レイヴンは背中からショットガンとライフルが命中し、PAも消滅。
その被弾はAMSを通し、アレックスの背中に撃たれたような激痛が走る。
「う、うぉぉぉ!」
《何!》
アレックスはその激痛に耐えつつ、バックブースタでQBをし、後ろにいる、バルバロイに体当たりする。
バルバロイは不意を突かれ体制を崩す。
その隙を逃さず、レイヴンはQTし、レーザーブレードを展開。再度バルバロイに斬りかかる。
《くっ!》
バルバロイは体制を立て直し、姿勢を低くし、後ろへと二段QBし避けようとするが、MP-O200がレーザーブレードに切り裂かれ、爆散する。
その爆散でバルバロイのPAは消滅したうえ、機体にもダメージが入る。
アマジーグは痛みを耐えながら、一旦、距離を取る。
一方、アレックスも一旦、距離をとり、ダメージを確認する。
「OGOTOは使用不能…さらに、レーダーも機能停止か…」
背中に装備されている、追加レーダー、RDF-O200は機能停止。また、OGOTOも発射不能になっていた。原因は間違いなく、バルバロイに背後から撃たれた時だろう。
他にもダメージがあるが、メインブースタとOBは無傷のため、戦闘継続は可能であった。
「化け物か…お前は。AMS適性低いのによく二段QB、二段QBキャンセルとかしやがって」
《その化け物とやりあっているお前も化け物だ》
一方、バルバロイも、MP-O200がレーザーブレードに切り裂かれており、お互い背中兵装が使用不能になっている。
「そうだな。だが、化け物になってもやらなければいかないことがある!」
アレックスは背中兵装を全てパージし、両手のライフルでバルバロイを撃つ。
《確かに、そうだな》
バルバロイは二段QB攻撃を回避。二段QBキャンセルなどを使い、レイヴンをショットガンの有効射程内に入れる。
「甘い!」
ショットガンの有効射程内に入れるためバルバロイが接近してくることを予測していた、アレックスはワイヤーを射出し、ファイバーフロウにやったあのアタックコンバットをやろうとする。
《やはり、ワイヤーを持っていたか。あれをやるには拘束用のワイヤーがいるからな!》
しかし、アマジーグもレイヴンがワイヤーを射出することを読んでおり、素早く、二段QBでワイヤーを避け、ライフルで反撃する。
「ちぃ。さすがに読まれていたか」
アレックスは舌打ちし、バルバロイの攻撃を回避。そのまま、ショットガンの脅威にならない中距離戦に移行する。
バルバロイの現状の武装はショットガンのSHITANとレイヴンも使用しているAZAN。
一方、レイヴンはライフルのAZANと下部にレーザーブレードを装着されたRF-100を装備している。
ショットガンの脅威にならない、中距離戦に入れば、手数が多いレイヴンが有利になる。
はずだが、アレックスはかなり焦っていた。
「(中距離戦なら行けるかと思ったが…そうでもなかったか)」
バルバロイの二段QBで攻撃が当たらず、距離も徐々に縮まる。
「(さすがにこのままだと…!?)」
その時であった。バルバロイはレイヴンの位置とは少し違う方向に発砲した。
アレックスは一体何を企んでいるのかと思い、その方向を見たらあるものがあった。
「(パージしたOGOTO!?しまった!ハメられた!)」
アマジーグがやることを理解したアレックスはすぐさま、OGOTOから離れようとするが間に合わず、バルバロイが放った弾がOGOTOに命中し、中の数十発のグレネードが大爆発を起こす。
レイヴンはその大爆発に巻き込まれ、PAが再度消滅。体勢も崩す。
《今度こそもらった》
アマジーグはその隙を逃さず、二段QBで一気に距離を詰め、ショットガンを撃ち込もうとする。
今から、レイヴン体勢を立て直してQBをしても間に合わない。
行ける。アマジーグはそう思った。
しかし、アレックスはまだ諦めていなかった。
「(この距離だとQBだと間に合わない…一か八かあれをやるしかない!)」
アレックスはQBとブースタ以外の操作を手動操作に変更し、AMS操作をQBとブースタだけにする。そして、操縦桿を神速で操り、機体の体勢を立て直し、次の瞬間、レイヴンの左肩のブースタからまるで爆発したように火を吹き、文字通り右へと瞬間移動する。
そう、それは。
《二段QB!?》
アマジーグはレイヴンが急に二段QBしたことに驚くもショットガンを発砲する。レイヴンは二段QBしても完全に避けることはできず、左腕に全弾命中。モニターに左腕の駆動部がやられたことを表示される。
しかし、今のアレックスはそんなことはどうでもよかった。
アマジーグは今ので、完全に仕留めたと思っていたのか、動きが鈍くなっている。その隙を逃さず、アレックスはレイヴンを急旋回しつつ、レーザーブレードを展開。正面のモニターバルバロイを捉えた瞬間に二段QBで一気に間合いを詰め、バルバロイの左腕を切断する。
《ぐぉ!》
バルバロイの左腕が切断されたことによりAMSを通してくる左腕が切断されたような激痛に襲われるが、アマジーグはそれを耐え、再度、レイヴンとの距離をとり、レイヴンを見る。
そして、静かにアアレックスに一つ問う。
《その力で、貴様は何を守る?》
その静かな問いにアレックスもまた、静かに答える
「命を救ってくれた人たちを守るためさ」
《そうか…》
そして、両者はしばらく黙り、にらみ合いが続く。
そして…
「《行くぞ!》」
両者は同時にOBを起動し、突っ込む。バルバロイはショットガンを構え、レイヴンはレーザーブレードを展開する。
「《うぉぉぉぉーーー!》」
二人は叫びながら二段QBでさらに加速し、すれ違うと同時にそれぞれの一撃を放ち、動きを止める。
《…そうか…あるいは、貴様も―――》
アマジーグがそう言うと、バルバロイは倒れ、カメラの光が消え、完全に機能を停止する。
一方、立っているレイヴンもかなりのダメージを受けていた。
左腕は駆動部がやられたため動かすこともできないうえ、カメラもショットガンの直撃を受け大破。モニターにはノイズが映るだけであった。
アレックスはコアにあるサブカメラ―を起動させると、ノイズは消え、機能を完全に停止したバルバロイがモニターに映る。
《バルバロイ、沈黙しました。作戦完了です》
「そうか…アマジーグ。お前も、俺と同じだったか」
機能を停止したバルバロイを見つめながらそう言い、アレックスはオープンチャンネルを開く。
「でっ、そこにいるお前は…誰だ?」
《え!》
アレックスのその言葉を聞いたフィオナは急いでレーダーを確認すると、レイヴンの後ろに新たなネクスト反応があることに気付き、すぐさまデータを照合すると、パックスの中に一致するデータがあった。
そのデータを見たフィオナは驚愕する。
《これは!ネクスト、ホワイト・グリント、リンクス…えっ…ジョシュア…なんで…》
フィオナの動揺した声を聞いたアレックスは、後ろにいるリンクスを知っているのか聞こうとしたが、その前にホワイト・グリントから通信が入る。
《フィオナ。久しぶりだな。こちら、ホワイト・グリント。リンクス、ジョシュア・O・ライエンだ》
アレックスはレイヴンを振り向け、ホワイト・グリントを見る。機体は名の通り白くカラーリングされており、軽量二脚タイプである。
「お前の目的は何だ?少なくても戦う気はないようだが」
ホワイト・グリントはただ立っているだけであり、戦う気がないことがわかる。
《オーメル社から君の救援依頼を受けて来たが…遅かったようだな》
「オーメル社の保険というわけか」
アレックスはそう言うと、ジョシュアは静かに笑う。
《そう言いことだ…しかし、強いなお前は。あの狼倒すとはな》
「あいつとは何度かやりあって、戦い方を知っていた。それだけだ」
《そうか》
沈黙がしばらく、続く。ほんの数秒が今の二人には長く感じていた。
そして、再びジョシュアが口を開く
《お前とは敵対したくない》
それを聞いたアレックスは表情を変えず、あること言う。
「そうだな…俺もお前とは敵対したくないよ」
《それだと助かる。…フィオナ。エミールによろしく頼むと言ってくれ。アレックス。また会おう。味方としてな》
ホワイト・グリントはQBし、OBを起動。その場から去って行った。
「フィオナ。帰ったら、いろいろ聞きたいことがある。いいか?」
《…はい、わかりました》
アレックスは通信を切り、レイヴンを輸送機との合流ポイントに向かわせながら、あること考えていた。
「(ジョシュアとフィオナ。一体、何の関係が…まさか。元カレか?いや、そんなことはない。だが―――)」
この考えはアナトリアに帰るまで続いた。
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