小説5 |
S子は居酒屋の中でもその奇妙で不思議な特性を発揮していた。
その居酒屋は、S子の実家からさほど遠くない最寄の駅から歩いて一分の交通の便が良い場所に所在していた。
その居酒屋へ行こうと最初に友人を誘ったのはS子の方からだった。
居酒屋に入るとすぐサラダやお刺身やコロコロステーキやジュースやワインクーラーやレモンハイなどを注文した。
また、注文したものが居酒屋の従業員から届けられるまでの間の時間も少しも無駄にする訳にはいかないかのようにS子は、しきりに自分の携帯電話をチャカチャカいじりまくって伝言ダイヤルに伝言をふきこみまくっていた、あるいは以前から知り合いの男性を携帯電話で呼び出していた。
もちろん、伝言ダイヤルの吹き込みに返事が入ってくれば、即座にその相手も現在いる居酒屋に呼びつけていたのだ。
最終的に居酒屋にすっとんでやってきた(多くの男性が何故かは知らないけど一つ返事で居酒屋に直行していたのだ)。そして、S子と同行している友人のいるテーブルの空いている一つの椅子に座ると、その途端待ってましたとばかりにS子が片手を差し出してはあいと手を出していたのだった。
その次に起こった出来事は大変センセーショナルだった、次々に男が万札や5千円札(一番多くて3万円を置いていった男性がいた)を何も要求することも無くテーブルの上やS子の手に直接握らせて、しばらく談笑すると足早に立ち去って行ったのだった。
あれはいったい何だったのだろう。何故、あの男性達は、そのような行動に走ったのだろうか?何のお得もメリットも無いのに会った途端現金だけ手渡してそのままそこに置いて行くだけで自分はろくに会話もせず食事もせず引き返して行ったのだろうか?
実は、このことに関する真実はその後大分たってから見えてきた、でもここではそれは、話がゴチャゴチャしてくるのであえて書かずに置こうと思う。
説明 | ||
やはり前回と同じく意見の補足や教養のため書きました。 | ||
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