英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク
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〜エレボニア帝国南部・廃村〜

 

「あ………」

「どうやら小僧達が勝ったみてえだな。」

「ったく、とんでもない戦いだったぜ……正直、どいつもこいつも”化物”みたいな強さじゃねえか。」

戦いを見守り、ヨシュア達の勝利を見届けたジョゼットとドルンは明るい表情をし、キールは疲れた表情で溜息を吐いた。

 

「クク……ハハ……ハハハハハハッ!次はこの傷を癒してもっと強くなってから、貴様ら全員を血祭りに上げてやろうっ!ハーッハッハッハッハ!!」

その時全身から血を流しているバルバトスは狂気の笑みを浮かべて笑いながら暗黒に包まれようとし

「逃がすかっ!魔神剣・双牙!!」

暗黒に包まれようとするバルバトスを見たリオンは剣と小剣をそれぞれ振るって衝撃波が発生させてバルバトスに命中させようとしたが、一足遅くバルバトスは暗黒に包まれ、姿を消した!

 

「き、消えた………」

「な、何だったんだ一体……?」

「とりあえずは危機が去ったって事でいいんじゃねえか?」

バルバトスが消える様子をジョゼットとドルンは呆けた様子で見つめ、キールは安堵の表情で溜息を吐いた。

 

「…………………」

「チッ、仕留め損ねたか。逃げ足が速いのも相変わらずだな。」

(坊ちゃん。とりあえず今は一体どういう状況なのか確認すべきでは?)

一方クラトスとリオンはそれぞれの武具を収め

「…………………」

その様子を黙って見続けていたヨシュアは先程の戦闘で二人の戦闘力が自分が知る強敵達とも渡り合えるレベルだと瞬時に判断し、自らの”目的”を達成する確率を上げる為に二人に話しかけた。

 

「リオンさんにクラトスさん、でしたね?先程のバルバトスという名の男との戦いでは本当にありがとうございました。援護するつもりが逆に助けられてしまいましたね。」

「いや、私としてもお前の加勢は助かった。」

ヨシュアの感謝の言葉を聞いたクラトスは冷静な表情で答え

「フン、バルバトスに挑む等無謀としか言いようがないぞ。」

(またそんな事を………手伝ってくれたのですから、お礼ぐらい言ったらどうですか、坊ちゃん。)

リオンは鼻を鳴らし、リオンの腰の鞘に収めてある剣はリオンだけに聞こえる念話を送った。

 

「―――先程のバルバトスとやらの男。お前は知っているようだったが………奴は一体何者だ。」

「そうだな………奴を一言で言い表すなら、”英雄”を憎み、強者との戦いを楽しむ”狂戦士”だ。色々と理由があり、僕は仲間達と共に何度も奴と剣を交えた。死んだと思っていたんだがな………まさか生きているとは。」

「”狂戦士”………(ヴァルターと同じタイプか………厄介だな。)」

クラトスの疑問に答えたリオンの答えを聞いたヨシュアは考え込み、新たな強敵の登場に気を引き締め

「僕の方こそ聞きたい。一体どこで奴と会い、剣を交える事になった。」

「……………奴は私の第2の故郷と言ってもおかしくない場所に突如現れて暴れ出し、私はそれを止める為に奴と剣を交え、そして何度も剣を交えると奴と共に光に包まれ、この場所に転移してきた。」

リオンの疑問にクラトスは答えた。

 

(坊ちゃん、とりあえず今はこの場所の事を誰かに聞いた方がいいのでは?あの黒髪の少年達は最初からこの場所にいましたから、ここの事も知っているでしょうし。)

「………おい、そこの黒髪のお前。ここは一体どこだ。」

その時リオンはヨシュアに視線を向けて尋ね

「………………………………。……『ハーメル』。かつてエレボニア帝国南部に存在する村で今は廃村となった村です。」

尋ねられたヨシュアは考え込んだ後静かな口調で答えた。

 

「エレボニア帝国だと?聞いた事もないぞ、そのような国名は。まさか僕が知っている時代よりも遥か未来の時代なのか……?」

聞き覚えのない国名を耳にしたリオンは眉を顰めて考え込み

「………………………」

クラトスは何も語らず真剣な表情で考え込んでいた。その後ヨシュア達とリオンとクラトスは互いに軽い自己紹介をし合い、それぞれが知っている知識の国や世界の常識を言い合うとリオンとクラトスがいた世界はそれぞれ違う事が判明した。

 

「馬鹿な……異世界だと………?まさかフォルトゥナが蘇って歴史を改変―――いや、カイルが”アレ”を破壊し、フォルトゥナの分身であるリアラが消える瞬間もこの目で見たのだから奴が蘇っている事は”絶対にありえない”な。第一崇められている”神”の名前も違う上、世界の在り方を考えるとフォルトゥナやエルレインの性格からして、今の状況のような世界に改変する事自体、絶対にありえないな。しかしそうなると、一体何故僕やシャルが生き返ったんだ……?」

(理由はよくわかりませんけど、またこうして坊ちゃんと再会でき、坊ちゃんが生きているだけでも僕は嬉しいですよ!それに異世界ですから坊ちゃんの過去は全く知られていませんから、いいじゃありませんか!ここから坊ちゃんの人生をやり直しましょうよ!)

自分が今いる世界が全く異なる事を知ったリオンは目を見開き、リオンの剣―――シャルティエは嬉しそう様子でリオンに念話を送り

「2度も死んだ………いや、裏切者のこの僕が人生をやり直す……か……………」

シャルティエの念話を聞いたリオンは複雑そうな表情で小声で呟いた後黙り込み

「大地はマナに溢れ、”オーブメント”という技術によって発展し続ける世界……か。」

クラトスは墓石の背後に見える景色を見つめて呟いた。

 

「い、異世界って……」

「あ、ありえねえ。俺達、夢でも見てんのか?」

「お、おいおい、どうなってんだよ、これは……?」

一方ジョゼット達は戸惑いや驚きの表情でリオンとクラトスを見つめ

「……………リオンさんにクラトスさん。もしよければしばらく僕達と一緒に行動しませんか?」

「ヨ、ヨシュア!?」

「おい、一体何を考えてんだ?」

ヨシュアの提案を聞いたジョゼットは驚き、キールは眉を顰めて尋ねた。

 

「話に聞くところお二人とも、僕達がいるこの世界―――ゼムリア大陸で活動する際、色々と不都合が出てくると思います。ですので僕達にしばらく力を貸して頂く代わりに、僕が僕が知る裏ルートを使ってお二人の偽の戸籍等も作り上げます。―――どうですか?」

「つまりはお前が私達を傭兵として雇う、という訳か。」

「……………その前に一つ聞かせろ。僕達を利用して、一体何を企んでいる。」

ヨシュアの提案を聞いたクラトスは静かな口調で答え、リオンは警戒の表情でヨシュアを睨んで尋ねた。

 

「……………――――僕が敵対している裏組織の『計画』の妨害や拠点に潜入する際の手伝いを少しだけして頂くだけです。勿論それまでに多くの危険が付きまとうでしょうが、お二人の腕なら大丈夫でしょうし、危険がつきまとう分こちらもその分の働きはさせてもらうつもりです。」

(坊ちゃん、とりあえずは申し出を請けておいた方がいいんじゃないですか?さすがに今まで知っていた世界とは勝手が違う訳ですし。ここは事情を知っている人達と一緒に行動すべきですよ。)

「………フン、いいだろう。とりあえずしばらくは力を貸してやる。」

「私もその申し出を受けよう。まずはどこに向かう。」

「リベールへ―――見えざる影に覆われた大地へ。」

こうしてリオンとクラトスを仲間に加えたヨシュア達はそれぞれの目的の為に、リベールへ向かう事になった。

 

(一体どいつが何の為に僕を再び蘇らせたのかわからないが……僕は僕自身の信念で動く。蘇らせた事を盾にして僕を”駒”扱いして、自分の思い通りに動かせると思って蘇らせたのなら、大間違いだ。)

ヨシュア達と共に廃村を後にするリオンは決意の表情で空を見上げた後歩き出した。

 

大丈夫………アはそんなつもりであなたを………ないから………貴方もいつか”幸せ”に………

 

そして廃村には謎の少女の声だけが響き渡った。

 

一方その頃、リベール王国の商業都市―――ボース市にてボース市長と共に市内を歩いている人物―――リオンにとってはゼムリア大陸に存在していること自体が”ありえない”人物にして、心の奥では再会を願っていた人物に突如頭痛が襲って来た……………

 

 

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外伝〜動き始めた運命〜中篇
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