義輝記 雷雨の章 その弐拾
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【 それぞれの思い の件 】

 

? 洛陽軍左翼 にて ?

 

兵「伝令! 三太夫様からの報告です! 島津義弘様方『中央突撃隊』……無事敵陣営を穿ち抜け、後方に出現!! 猛烈な勢いで、攻め立ておられます!」

 

信長「そうか! 『竜が翻したか』! 三太夫隊に鐘を打ち鳴らすように、伝令を出せ!!」

 

兵「はい!!」

 

光秀「それでは、これで!」

 

信長「うむ! 全軍奮戦せよ!! これで策はなった!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

? 洛陽軍 右翼 にて?

 

『カン! カン! カン! カン! カン!  カン! カン!』 

 

歳久「───! 家久!! 策は成りました!! 今、ここで勇戦しなければ手柄は取れませんよ!?」

 

家久「としねぇ! 無理は絶対駄目だよ! 

 

皆! 三人一組で一人を攻撃して! 怪我を負ったら、直ぐに下がって治療を受けて……………!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

? 洛陽軍 中央 にて ?

 

霞「なかなか……しぶといやんけ。 よぉーしぃ! 張遼隊!! 敵陣営の薄いところに斬り込むでぇ!! 」

 

華雄「退路は私が守ってやる! 帰ってきたら、次は突入させてもらうからな!!! 」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

? 洛陽軍 伏兵 にて ?

 

忠勝「どおおおぉぉぉりゃゃあぁぁ!!!」ブ─────ン

 

恋「『天』を阻む……暗雲……恋が………打ち払う!!!」ドン!!

 

劉岱兵7『グエエェェェ!!』 

 

劉岱兵8『アベシィィィ!!』

 

劉岱兵達『(数多くの断末魔!)!!!!』

 

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? 洛陽軍 劉岱陣営後方 にて ?

 

義輝「………頃合いは良さそうかのう…。 伝令! 山縣昌景に伝令を出せ! 『足利義輝、単騎突入! 後の備えを任す!!』とな!」

 

昌景「……伝令は不要ですぞ、義輝公。 やはり……参られるおつもりか………。 儂が、あれほど申しても……………」ハァ〜

 

義輝「わらわは、よく悍馬のようだと言われての。 段階を踏まえての攻撃は着実だが、悠長に待つなど性に合わん! ……それに、颯馬の身が案じてならぬのじゃ!! ………早急に決着を!!!」

 

昌景「どうどう!」

 

義輝「………………………」ジィ─────

 

昌景「そんな反応されてものぉ? 老い先短い爺の洒落故……笑って許すが上に立つ者かと。 しかし、あまり血が上り過ぎても、冷静さが欠けて、要らぬ怪我をされても、儂等が困りますのでな……」

 

義輝「………………………………」

 

昌景「……いやはや颯馬は、『おなご冥利』に尽きるわい。 実は、義弘殿も儂に颯馬の体調不具合を説明した後、謙信殿の援軍に向かわれましてな。 儂も仕方無しに、交代に参った次第!」

 

義輝「何じゃと!? 皆、既に───!!」

 

昌景「…………義弘殿に事情を聞いたのでしょう。 景虎殿も、一足先に敵将に向かって行きましたわい。 御屋形様も……憤怒の形相で敵部隊に攻勢を掛けており、一刻も経たぬ内に戦の勝敗が付きましょうぞ─────!?」

 

義輝「─────────後は、頼む!!!」ダッ!

 

         タッタッタッタッタッ!!

 

昌景「………………皆、勝利は勿論の事だが……出来れば、颯馬の悲しむ真似だけは、しないで欲しいものじゃな…………」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

義弘「上杉隊の皆!! 暫しの間、この鬼島津に命を預けて頂戴! 謙信みたいに、疾風迅雷の用兵は出来ないけど、死地での生還戦では私以上の者は居ない!! だから……お願い!! 力を貸して!!」

 

上杉隊『うおおぉぉぉ────────!!!』

 

昌景 「足利隊! 今より、この山縣昌景が指揮を取る!! 一刻も早い勝利を義輝公達に届けるため、奮戦を期待する!!!」

 

足利隊『オオォォォ──────────!!!』

 

義弘、昌景「「全軍! 突撃、奮戦、生還せよ!!!」」

 

足利、上杉、山縣、島津隊『オオオオォォォォォ━━━!!!』

 

◆◇◆

 

【 郭奉孝の献策 の件 】

 

? 虎牢関 連合軍陣営 にて?

 

華琳「あの戦術は………」

 

??「………『翻竜鳳翼の陣』と言う名の戦術ですよ。 曹孟徳殿」

 

華琳「貴女は………?」

 

稟「お初にお目にかかります。 現漢王朝、大将軍何進配下で軍師を拝命している『郭奉孝』と申します! 」ペコリ

 

華琳「………敵の軍師が、私になんの用なのかしら? この命が目的ならば、狙える機会は幾らでもあったはずよ?」

 

稟「クスクス、御冗談を。 この戦の采配を受け持つ『天の御遣い』は、命の保証を申していたのでは、ありませんか?」

 

華琳「…………………………」

 

稟「図星のようで何よりです。 私が、此方に赴いたのは……『献策』をさせて戴こうと思いまして……如何でしょう?」

 

桂花「……ちょっと! 急なポッと出のアンタに、何が献策出来るのよ? 自慢じゃ無いけど……華琳様配下には、賢人なんて掃いて捨てる程居るわよ!!!」

 

朱里「はわ! 賢人を捨てましたら、他国の富が増しますよ!」

 

雛里「賢人の皆さんに失礼でしゅ!!!」

 

稟「………では、「王佐の才」殿。 貴女に《 曹孟徳様の悩み 》が、判りますか?」

 

桂花「アンタ達の謀略、軍略、策略の大盛で、にっちもさっちも行かなくなったからよ!! 袁本初の道連れなんて、こっちから願いさげだけど…あの馬鹿の策略で…ううぅ! 思い出しても腹が立つ!!」

 

朱里、雛里「「……( その馬鹿に翻弄された私達って )…!」」

 

華琳「………………………………」

 

稟「…なら、この現状打破する策を献策するが、軍師の役目と思いますが……一体、何をくすぶっておいでるのですか?」

 

朱里「私達は………何度も相談しました。 何度も何度も!! でも打つ手がないんですよ!! 絶望の壁に阻まれて、何も手立てが浮かばないんです!!!」

 

雛里「…………そんな私達に、偽りの救いを伸ばし、更に絶望の絶壁に突き落とす気ですか………………………?」

 

      ジトォォォ──────────

 

稟(……『天城殿』。 貴方の策は、乙女心を痛く傷つけたようですよ……。私としては、とても興味深いのですがね。 クスクス)  

 

桂花「何、笑っているのよ! 何とか言いなさい!!」

 

稟「………では、私の『献策』を貴女方で判断して下さい。 これは貴女達の為になり、我らの為になりますので!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

稟『 まず、悩み事を解明しましょう。 

 

貴女方は袁本初の求めにより、皇帝陛下に反乱を起こした。 

 

されど『天の御遣い殿』の策略により、貴女方は『死に体』の状態にされている。 もし、目の前の戦に巻き込まれてしまえば、貴女方も壊滅。 

 

さりとて、そのまま立ち止まって居れば、反逆者で罪に問われて、捕縛は間違い無し。 

 

ここまでは、間違いありませんか?』

 

桂花「そんな事! 私達も分かっているわよ!!」

 

穏「面白そうな話ですねぇ〜。 私も入れて下さい〜!」

 

冥琳「……『郭奉孝』殿。 貴女には、現状を何とかする事が出来ると言うのか? 八方塞がりになっている、この有り様を………」

 

稟『諸侯の軍師達が、集まってくれるなら好都合。 今、諸侯の軍は《死に体》の有様。 《風前の灯火》とも言いますが?』

 

軍師達「「「「「 ………………………… 」」」」」

 

稟『……見解は一致していますね。 では、この《死に体》の陣営に《大義名分》と言う《魂》を与えます!』

 

雛里「 ……《 兵法三十六計 借屍還魂 》。 しかし、皇帝陛下に弓を引いた私達に《大義名分》なんてぇ────!?!?」

 

稟『………洛陽より救援の要請が入りました。 《白装束の軍勢》凡そ五万、洛陽を包囲していると……………』

 

軍師達「「「「「 !!!!! 」」」」」

 

朱里「わ、私達の他に軍を率いる者が…………!?」

 

桂花「嘘! 大陸で名のある諸侯は、ほぼ全軍ここに! …あっ!」

 

穏「益州太守『劉焉』……!!」

 

冥琳「…………それなら、天水を越え攻め寄せるはずだが、その動きは報告されていない。 西涼太守『馬騰』も、静観を決めて動いていないようだが…………」

 

稟『………私達も把握していないのです。 周辺に敵部隊の到着はなかったのに、天から降りたか地から湧いたか、急に現れたのです!』

 

雛里「《謎の軍勢》…………あっ!!」

 

朱里「どうしたの? 雛里ちゃん?」

 

雛里「袁遺さんの………妖術………!!」

 

朱里「あっ!!」 

 

桂花「………有り得るわね。 呼べば、都合よく数万が………」

 

穏「み、未知なる、知識のよか〜〜ん〜〜!!」

 

冥琳「話だけなら与太話で一笑に付すが………実際に目撃してしまったからな……………」

 

稟『………貴女方なら分かると思いますが、私達には余力がありませんし、時間もありません! 劉岱を相手をすれば、するだけ洛陽が危機に陥ります!!』

 

華琳「………だから、私達に『洛陽及び皇帝陛下救出』の大義名分、無事救出後の恩赦に依る叛乱の罪削減と言う『餌』をぶら下げ、洛陽の救援を頼みたい…………こんなとこかしら? 郭奉孝!」

 

稟『……はい! 流石の御慧眼です。 ………曹孟徳殿!!』

 

華琳「お世辞は止しなさい。 今までの話を纏めれば、答えは簡単。 ……………全軍、直ぐに軍の編成を!! 洛陽が、皇帝陛下の危機ならば、漢の忠臣として成すべき事は分かっているはず!!! 」

 

桂花「はい! 雛里、朱里! 急ぐわよ!!!」

 

雛里「まっ、待ってくだしゃ〜い!!」

 

朱里「あわわわわわわ!!!」

 

穏「冥琳様〜!!「先に行ってくれ! 私も追い掛ける!」はぁ〜い! わかりましたぁ〜〜〜!!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

稟「どうされました? 曹孟徳殿、周公瑾殿?」

 

華琳「貴女、私の配下に加わる気は無い? 貴女のような才を何進将軍如きに使役させられるなんて、全くの無駄よ!?」

 

稟「…………嬉しい御言葉ですね。 ですが……………」

 

華琳「…………断る、と言うの?」

 

稟「はい。 ………実は、私は曹孟徳殿に仕える気で、陳留に向かった事がありました。 でも、今は……未練がありません。 軍師として、大きな目標が出来ましたので……………」

 

華琳「……そう。 今回は時間も無いから諦めるわ! だけど、必ず貴女を手に入れる! 覇王『曹孟徳』の名にかけて!!」クルッ!ダッ!

 

稟「えーと、貴女は…………?」

 

冥琳「孫策軍 軍師『周公瑾』だ! ちと、問いたい事があってな。 …その策だが、もしかして『颯馬』の考えか………?」

 

稟「それが、何か?」

 

冥琳「もし、そうなら……アイツらしい……と、思ってな……」

 

稟「………半分は『天城殿』の考えですよ。 『連合の諸侯を出来ればでいい。……助けてくれ』と。  私に取っては、甘い判断としか言えないのですが………『天城殿』の考えは、私の想像を超えています。 現に………この一手が打てたのですから………」

 

冥琳「……そうか。 フッ、やはり……だな。 手間を掛けた!」

 

     ……………………………………………

 

稟「天城殿。 貴方の策に、名高い軍師達が興味津々ですよ……。

お陰で……曹孟徳殿と話す……機会が………プハァァァ!!!」

 

◇◆◇

 

【 義輝 対 辺允 の件 】

 

? 劉岱陣営 右翼 にて ?

 

劉岱兵「駄目だぁ! 逃げるしか! 逃げ─《ザッシュ!》──グハァ!!」バタァン!!

 

辺允「クッハッハッハッハッ!! ……折角………面白くなって…きたの………逃げる………? 逃げる………だぁぁぁ!?」

 

??「…………例え逃げても、逃がしなんぞせぬよ! 辺允とやら!!」 シュッ───────!!

 

辺允「ケッ!!」 ガキィ────────ン!!

 

義輝「………ほぅ!? わらわの太刀筋を見切る事が出来るとはのう!! やはり、斯様な敵に遭遇するなど、この世界は飽きが来ぬわ!!!」

 

辺允「お……前は!? さっき……招いたが………来なかった……臆病者…………かぁぁぁ!! クックックックックッ!!!」

 

義輝「だからの! この部隊が崩れている様を見て、他の将に隊を任せて、わざわざ出張ってやったのじゃ!! 感謝するがいい!!!」

 

辺允「いくら……でも………感謝してやる………ぜぇ!! これだけ……強い奴はぁ……居ねぇ……! 天城は……残念……だがぁ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

辺允は、血で塗れた大剣を頭上に掲げ、義輝を見据える。 

 

最初は真っ白だった白装束も、敵や味方を切り刻んだ返り血のため、赤黒く変色している。 誰が見ても『天の御遣いの僕』では無く、『地獄よりの使者』が、的を得ている姿であるが…………。

 

辺允「クックックックックッ! ハッハッハッハッハッ! クッハッハッハッハッハッ!」

 

大剣を左右に車輪の如く振り回し、義輝に迫る!!

 

劉岱兵9「あっ! あぶっなぁ─────!!」ブシュー

 

劉岱兵10「辺允様!! 我々がここにぃぃぃいやぁ──!」ザシュ!

 

長さ四尺(約92a)もある両刃の大剣を片手で操り、進行方向に居る味方の兵さえも斬殺して、近付く!!

 

義輝「…………人としての『心』すら、既に失ったか!」

 

頭上、左右より迫る野獣のような大剣に、ある時は刀で受け流し、またある時は体術で避ける! のらりくらりと攻撃を外され、怒りに目が血走る辺允!

 

辺允「戦え……! 闘え! 俺…を…失望……さ…せるな!!!」

 

義輝「そうじゃな。 この辺りなら兵の被害も無かろう………」

 

ふと、辺允は、周りを見渡す。 場所を確認すれば、虎牢関付近まで、誘導されていた。 少し遠くに…驚きの表情を浮かべる連合の諸侯達。 その中に関雲長が、一刀を守るように前に仁王立ちしている。

 

義輝「彼奴(あやつ)に、わらわの技を見せてやろう…と思ってな」

 

『ニッ!』っと、はにかむように一瞬笑うと、厳しい表情に戻り辺允に向かい合う。 義輝の鬼気迫る覇気を受けて……嬉しそうに嗤う辺允。

 

辺允「御託…なんぞ……いい! 貴様の攻撃……仕掛けて…来い!」

 

義輝は、鞘に刀を仕舞い……居合いの構えを取る。

 

義輝「……我が流派………最奥義『一之太刀』!!」

 

誰もが思った神速疾風の太刀筋! ……が、何故か童が…始めて刀を払うようにゆっくりと………太刀が鞘から抜刀される!

 

辺允「………期待………外れ………か!!!!!」

 

始めは、どんな凄い技が放たれるかと思い、少なからず警戒していた辺允だが………稚拙な技に……失望感と憤怒に感情が弾け、大剣を義輝に向け、頭上に振り落とした!!

 

 

   『キイイイィィィィィィ──────ン!!』

 

 

辺允「なっ………にぃぃぃ………?!?!」

 

『確かに、この女の頭に、大剣を、振った! だが、弾かれた!?』

 

辺允の腐った頭に、そんな言葉が繰り返される。

 

『何故? わからん! 理由? わからん! 答え? わからん!』

 

疑問が解けない! なら、もう一度試す!!

 

辺允は、更に頭上より高く大剣を素早く上げた後、義輝に振り落とす。 義輝は、まだ……刀を鞘から抜いて一寸ぐらい離した状態。

 

すると、ゆっくりと動いていた義輝の太刀が、霞んだ!

 

   『ガキイイイィィィィィィ──────ン!!』

 

義輝「やっと…分かったようだな! この『一之太刀』の恐ろしさが………!! ついでに申し渡して置こう。 もう、逃げる事も出来ないぞぉ!!! 」

 

辺允は、慌てて周辺を見ると……義輝の攻撃予定太刀筋(攻撃軌道

線)が、全ての逃走経路を潰しているではないか!?

 

辺允「クックック! 『窮鼠、猫咬む』と……言葉……あるぞ?」

 

義輝「一之太刀曰わく『一の攻撃から始まりし技は、百の防御になり、千の返し技となり展開す。 されど、千の技は最後に一の攻撃へと帰す! これ即ち一之太刀と申す也』……。 先人達の結晶! 破れるモノなら、破ってみるがよい!!」

 

義輝がその会話を終わらすと、太刀が辺允に届く!! 速度は相も変わらずユックリだが、一撃必殺の太刀である事は、間違いない!!

 

辺允「なら、これで………どうだ? 」

 

  ザック!!!  ドスン!!!

 

辺允は、ワザと自分の左手を差し出し斬らせる! 攻撃が当たれば、その技は終わる。 一之太刀の発動時間帯は無敵で、攻撃が当たれはば、強制解除! そう考えたのだ。 

 

そして………残った右手で大剣を握り締め、義輝に攻撃をしようとした……その時! 

 

辺允の眼前には、例の一之太刀発動中の義輝が、攻撃を仕掛けていた。 煌めく刃がユルユルと近づいてくる。

 

義輝「ほぅ! 考えは良い! じゃが、この一之太刀はな。 鞘に収まるまで、攻撃は継続しているのじゃぞ!?」

 

辺允は、先程の攻撃で左腕を落とされ、尚且つ右手に大剣を持つ。

 

さすれば、先程と違い釣り合いは取れず、右側に傾く……。 それに伴い回避もまた………遅れる…………

 

辺允「クッ──クックック!」

 

辺允は、大剣を軸にして避けようと試みるが──太刀が僅かに早かった!! 辺允の首に、義輝の秘剣が………当たる!!!

 

    シヤッ────────  ズバッ!!

 

辺允「キャハッハッハッ!! すげえ! すげえよ!! …俺を…ここまで……追い詰めた奴……『天城』しか……居ねぇのに……!!」

 

義輝「…………………………」

 

辺允「…だかなぁ! 俺も『死人』だからぁ……死ぬ事なん…か…ねえぇぇんだぁ……よ! 残念……だっ─────あっ!?」

 

辺允の斬られた首の部分は、付け根より半分も満たない程の斬り込みだった。 しかし、そこから白き煙が立ち上る!!

 

仁王立ちしていた辺允が………膝から屈して倒れ込む…………!

 

辺允「な、なんだぁ……? 身体………力が………抜けて……」

 

義輝「主(ぬし)のような武に秀でた『死人』相手なら、わらわが適任と思い対戦したが………正解であったな…………」

 

辺允「テメェ………! な、な……に……を!?」

 

義輝「わらわの佩刀…いや、得物はな。 『鬼丸国綱』と言う退魔の太刀よ! 時の為政者に仇成す鬼を斬って退けたと伝わる、我が家伝来の宝刀。 やはり、主にも効力を発したか………!!」

 

辺允「そんな……話……聞いて……ねぇ…ぞぉ! 于き─」バタッ!

 

辺允は、怒りの形相を見せた後……右手を天に伸ばし空を掴むと……

仰向けに倒れて………動かなくなる。

 

そして、赤黒く染まった装束だけ残し、身体は灰と帰し……一陣の風と共に消えてしまった……………………。

 

義輝「…………かの者が、剣の術理を知り、人の心を持って要れば、不世出の剣豪になっていたかもしれんな。 仕方無い話だが……」

 

そう呟いた後、義輝は身体を翻し諸侯、特に関羽に声を掛ける!

 

義輝「わらわを本気にさせたければ、最低でも、この奥義を仕掛けさせれる程の腕を持て!! そうでなければ、到底話にもならんな!」

 

それだけ言い捨てると、自分の陣営に戻って行った。

 

◆◇◆

 

【 一刀の噂話の価値 の件 】

 

? 虎牢関 連合軍陣営 にて ?

 

春蘭「………………………………………」

 

愛紗「………………………………………」

 

一刀「……あれが……世に聞く『一之太刀』か!! 剣士の末席に着く身に取っては、『神の領域』だ!」

 

雪蓮「『天の知識』で知ってるの? 今の技って?」

 

一刀「………………実際には見た事が無いんだ。 世に聞く噂話しか知らないんだけど…………」

 

冥琳「構わんさ! 噂とは、砂金の採集と似ていてな。 川岸の砂を浚い、その中から金を見つける。 噂も同じで、多数の噂を精査して真実を得る。 噂も大事な情報源だからだ!」

 

華琳「それなら、一刀は我が配下! まず私の許可を得てから聞きなさい!! 勝手に声を掛けるんじゃないわよ!!」

 

雪蓮「冥琳〜! 曹孟徳様が嫉妬してる〜!! 」

 

華琳「だ、誰が嫉妬して──」

 

麗羽「そうですわ! 華琳さん!! これ以上『御遣い様』にちょかい出されないよう、釘を刺さないと───オ─ッホッホッホッ!!」

 

一刀「俺の事はどうでも良いけど───!! 洛陽救援の編成を急いで行わないと──────!!!」

 

華琳「一刀──! どうでもいい問題じゃ──コホン。 

 

周公瑾も言っていたけど、貴方の知識は、あの『天城颯馬』等を崩す切り札! 噂と言えど他の勢力でも、喉から手が出る程欲しいモノ。それを自覚していないのは、まだ覚悟が足りないわね!?」

 

雪蓮「私達の軍は、古参の将達で編成してるし〜!」

 

麗羽「わたくしは、『上に立つ者、些事などしなくてもいい!』と猪々子と斗詩さんに言われましたわ。」

 

華琳「優秀な軍師が三人も居るのよ? 私が口を挟む事なんて無いわよ!?」

 

一刀「……………そうですよねぇ」

 

雪蓮「─と、言うわけだから、洗いざらい喋っちゃいなさい!」ピトッ! ムニュ!

 

一刀「あ、当たってる! 当たってるから────!?」

 

華琳「だから! 私に許可を得なさいと!!!」

 

麗羽「『御遣い様』から離れなさい!!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

禁玉⇒金球様より、連合軍の処分の御意見いただきました。

改めてお礼申し上げます!!

 

展開としましてはnaku様のコメント読んで、閃く物があり本文の様子になりました。 

 

明日辺り、用事が出来たので……先に仕上げて投稿致します。

 

もし、誤字脱字等ありましたら、後に修正しますので、宜しくお願いします!!

 

また、よろしければ、読んで下さい!

 

 

 

説明
義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい!
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コメント
naku様 再コメントありがとうございます! あははは! 確かに言いそうですね。 その時、曹操の顔に泥を塗ったと言う事で、曹操の寝所に直行ですよ。(いた)
実は、曹操陣営より一人董卓軍に引き込もうかな〜と。 心配していただき感謝してます! また、これで月曜日頃に投稿しようか迷ってます。 (いた)
naku様 コメントありがとうございます。 虎牢関戦も、やっと終盤に入りちょっと安心。 謁見の時は、代表だけ行くから口出すする事は無いでしょう。 ……多分。(いた)
『颯馬』は、主人公ですので殺すと董卓軍全員と一部を敵に廻しますのでやりません。 でも、一人の『天の御遣い』は、退場してもらいます。 正確には二人なのかな?(いた)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 確かに減刑対象ぐらいがいいところですね。 一応腹案がありますが、上手く出来るか少し心配です。 (いた)
実際問題ラストで未だに天の御遣い『天城颯馬』を倒さんとしてますね『天城颯馬』の事だからきっと生き延びても死に体一歩手前に持っていくと信じていますが。正に弱肉強食、勝てば官軍の時世なので曹操と周瑜の謀略家な所は大好きですがね。もはや残念ながら僭称天の御遣い二人は『処刑』した方が世の為ですね〜(意味深)(禁玉⇒金球)
朱雛里が途轍もなく人間的に役人的に矮小になっている自業自得ですが、この場に陰口外交官こと愛紗と桃がいたらどうなっていた事やら。大義名分は揃ったがしかし減刑の材料になっただけで刑自体はなくならんよ、なんせ旗色を読んでいる日和見集団だから間違いなく忠臣とは見られず天使から痛烈な皮肉と賠償が待っているかも(禁玉⇒金球)
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