K-9隊員・筑波未来にとって日曜朝のお楽しみは「バトル戦隊シリーズ」の視聴である。その日も現在放映されている「刑事戦隊パトレンジャー」を観ながらテレビの前で一人盛り上がっていたのだが…

「おっはよーございまーす！」

そこに訪れたのが守谷未来であった。

「あ、ミレイさん！？また来たんですか？」

「今日は面白い物が手に入ったよ。」

そういいながら守谷未来がカバンから取り出したのは超合金のロボット。

「ああ、これは『超魂マテリアルシリーズ・スカイティターン』！この前パトシーザー買ったもんだから買えなかったんですよ！」

「超魂マテリアルシリーズ」は「オトナ向けの」ロボットフィギュアということでかつて戦隊を視聴した大人たちに向けた商品展開がなされることも多い。そういった大人たちに向けて発売されたのが今から17年前に放映されていた「バトル戦隊シリーズ」の一作品「天空戦隊スカイレンジャー」の一号ロボ・スカイティターンというわけである。スカイティターンは当時としては珍しく戦車やダンプカーといった地上機が構成メカに入っていない巨大ロボでそれを記憶する往年の戦隊ファンも多い。

「いいでしょ？ほらほら、このヘリローターの動き！」

守谷未来は自慢げに構成メカの一つ・ピンクジャイロをいじる。

「やっぱり超魂マテリアルシリーズはよくできてますよね！…でも何で17年前なんて中途半端な時期のロボットが選ばれたんでしょうね？」

「…あれのせいじゃない？」

「…パトレッド！今日こそ貴様の首はもらった！」

守谷未来はテレビに出ているパトレンジャーの悪役のローン・ウルフを指さす。実にこのローン・ウルフを演じている俳優こそかつてスカイレンジャーでスカイブラックを演じていた俳優なのである。

「確かに戦隊ファンの間ではこの再登板は話題になっていましたもんね！…それにしても他のメンバーの俳優さんはどうしたんでしょうね？最近全然噂を聞かないんですよね。」

「あれ？知らないの？スカイピンクの人って今市内でお寿司屋さんやってるんだよ？」

「ええっ！」

驚いたのは筑波未来である。

「ほら、柴野監督のブログにも記事があるし。」

そう言いながら守谷未来が端末機でかつてバトル戦隊シリーズで長くスーツアクターを務め、現在はパトレンジャーのアクション監督を務める人物のブログにアクセスする。確かにその記事には寿司屋の店内で撮られたと思われるツーショット写真と「元スカイピンク、今は寿司屋のおかみさんです！」という文言があった。

「そうだったんですね。今度一緒に行ってみませんそのお寿司屋さん。」

「…私も同じことを考えていたところよ。」

おわり