超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 プラネテューヌ編 |
俺の決意に納得してくれたベールと共に協会に戻った。
戦いで気絶したいた俺が眠らされた部屋に戻り頭を動かし始める。
これで前の問題は解決。モンスターという存在がないゲイムギョウ界を作るために対空に向けて考えることが多い。やりたい事をするためには壁を乗り越えなければならない。
『リア充滅ぶべし、慈悲はない』
誰がどう聞いても機嫌の悪そうな尖った声だった。
どうも先ほどのベールとの会話が気に入らない様子だった。しかし、これも何時もの事だと切り捨てて空との戦い方を今一度思い出す。
まずラステイションで開かれた技術博覧会での空は女神でもありないだろうと思うほどの怪力でロボットを圧倒。リーンボックスでは奴から誘ってきた模擬戦では何も出来ないまま顎に一発決められてノックダウンそして女神の中で一番速いだろうベールの槍の一撃を手で止める。ルウィーではハードブレイカーやキラーマシン相手に恐れなく突っ込む隊列をぐじゃぐじゃにして俺達が一体多数で戦いやすい状況を作り出した。つまり奴は戦いに慣れている。
それを踏まえて上で、空より勝る物が俺にあるのか考える。風を操作しての高速移動&飛翔。魔力を斬撃に乗せる剣術。簡単な魔法が少し。炎と氷を操る双銃。ブラッディハードの負の力。デペアからの助力による鎧。
あかん。勝て気がしない。
実際には全てを見たわけではないが、デペア曰く魔剣とか聖剣なら伝説のアイテムを多数持ちそれを自在自由に扱うことが出来る力量。使ってしまえば因果律すら捻じ曲げる旧神の鍵・儀典。ゼロハートの力。山に風穴を開けるほどの火力を誇る白き魔銃。しかもこれで本人は全て出しきっていない様子だった。もし全力なら俺達は正に吹けば飛ぶ紙切れ程度だろう。
『いや、今は結構いけると思うよ?』
「どういうことだ?」
『旧神の鍵・儀典は体に大きな負担が掛かる。それに今まであいつはかなりハードな奴等と戦ってきたんだ。かなり弱っている筈だよ。まぁ、それでも勝てる確率で言えば一割あればいい方だと思うけど』
……可能性があるだけマシだと思っておこう。
『あと、あいつは一体多数が得意だから一対一の方がいいと思う。それで連戦すれば更に勝率は上がるよ』
「俺が言うのもなんだけど、ちょっとそれは卑怯なんだじゃあ……」
『綺麗事で勝てるような奴じゃないし、ぶっちゃけ正論で剣を下ろす様な奴じゃない。自分の為な例え仲間でも利用して裏切って切り捨てるような外道だよ?毒には毒を悪意には悪意で勝負しないと』
「でもなぁ…あっちの方がキャリアあるんだぞ?同じ領分で争えば絶対にあっちの方が有利だろう」
『うぐっ……』
さてさて、どうするのか。そういえばあいつは神界に来いって言っていたけど行き方はどうしようか?確か神界って女神の住む場所と言われているから、ノワール達に聞かないといけないな。
コンコンと遠慮がちに扉を叩く音。誰だろうと思いつつ返事をすると入ってきたのはブランだった。あまりに意外だったので暫く唖然としていると「席いいかしら」と聞かれて直ぐに首を縦に振るう。因みに俺はベットに座っていて、ブランは俺と対面する形だ。相手は意識しているのか分からないが、彼女の体から溢れ出す警戒心にどう話しかけていいのか分からない。まだネプテューヌとノワールは気づいていないが、ベールが気づいたようにブランも空との戦いで俺がどうなるかを分かっている人物だ。しかし、ベールとは違ってブランは純粋にブラッディハートという存在に危機感を抱いている。
まぁ、それがある女神としての当たり前な反応だと思うんだけど。俺がもし暴走してしまえば多くの人が死ぬことになるかもしれない正にいつ爆発しても可笑しくない危険物だということは自覚しているつもりだ。
「気に入らないか?」
「……ッ」
顔が図星と書かれて様に見える。頭を掻く。
世界を変えることにブラン自身も賛成なのだろうが、女神として光として俺と言う存在は肯定も考慮も出来ないかもしれない。
「それでもいい」
仕方がないことだ。嬉しかったけどベールの方が可笑しい。下手すれば国民を売るような行動だぞ。
「だけど、ネプテューヌ達は信じてくれ。国も文化も宗教的考え方も違うかもしれないけど同じ女神なんだろう?信仰者を想っているんだろう?−−−俺はそれ以上の事は望まない」
お互い違う道を歩むのだ。出来れば同じ速さで向かい合いながら歩いていくのが俺的に望みだが、まだ成し遂げていないからとりあえず保留で、終わったら考えよう。
「−−−勝手ね」
漸く、ブランが口を開いた。
色んな感情がごちゃごちゃに混ざった声で。
「此方は人の負を糧にする魔神でね」
「貴方が暴走したら絶対に仕留めてあげる」
は、それはなんとも頼もしいな。安心できると同時に負の操作を完璧にしてその決意を無駄に終わらせたいという欲望が湧き出てくる。ブランがゆで上がった蛸のように真っ赤な顔で地面を見ながらぼそぼそと喋りだした。
「……助けてくれたこと、感謝、してる」
「なんか言った?」
「なんでもない…」
そうか俺の気のせいか。これでも耳はいい方だと思うのだけど、主にモンスター討伐の時に役立つから。
ブランは自分を落ち着かせる様に手を口に当てながらわざとらしく咳を何度かすると微笑んでいる様子で俺を見つめた。
「−−−少しだけ」
「ネプテューヌやノワール、ベールが貴方を信頼している理由が分かった気がするわ」
◇
「よしっと」
黒曜日を背中に背負ってコートのポケットに双銃を突っ込む。デペアが軽く封印しているから暴発の危険性はない。身支度を終わらせて妙に愛着が沸いてしまったルウィーの協会を出た。
遂にプラネテューヌに行く準備が整った。理由は知らないがマジェコンヌに封印されたイストワールを解放して空と戦う事。今の世界を破壊して、女神の望む世界を造る為の最後の旅。
空は晴天でひらひらと降る雪は無く。蒼穹を走る空がどこまでも広がっていた。まるで自ら道を示せと言わんばかりの一色の空。
「こぅちゃーん」
仲間の呼ぶ声が聞こえる。振り返るとそこには荷物を持った女神達の姿。
他国の女神がいると政治的に色々と不味いので、ノワールやベール、ブランはメガネを掛けている。ぶっちゃけあまり意味なくない?と突っ込みたいが協会の人たちは全く気付いていない様子だったし良しとしよう。深く考えても仕方がない。
「それにしてもすごいメンバーね」
「女神様達が勢ぞろいです」
確かにゲイムギョウ界で最も影響力を持つ四人が集まるってほぼないと思う。いや、確か守護女神戦争で少し前までは争っていたんだよなお前達。そう思いながら胸目掛けてジャンプしてきてネプテューヌを受け止める。それをむっと頬を膨らますノワールと目が笑っていない笑みを作るベール。
「……苦労するわね」
「ありがたいお言葉です……」
もう、ホワイトハート様信仰に変「 紅 夜 ? 」嘘です。ごめんなさい。許してください。
「後でもう一度、リーンボックスの素晴らしをその心魂に教えて差し上げますわ」
「紅夜。もし、働き口に困ったら私の所に来なさい。いつでも席を空けておくわ」
「あー、ダメだよ!こぅちゃんは私達のパーティーなんだから引き抜きとかダメー!!」
「二人とも、紅夜の帰る場所は私の国なのですから、それをお忘れないように…」
「そんなもの紅夜の意志でいくらでも返れるわよ。で、紅夜が私の所に来たらまずはこんなことをやってほしんだけど…」
「こぅちゃん!全部終わったらもう一度ゲイムギョウ界を回ろうよ!今度は食べ歩きツアーとか!!」
あのお前達?なんだか怖い。
顔が近い迫ってくるな。そんなことはとりあえず終わった後でゆっくり考えさせて!?
「……見たことがあるこの展開はまるでラノベの主人公」
「女神を引き寄せる才能でもあるのでしょう。……コンパはいいの?」
「よくないです……。でも、相手が悪すぎですぅ……」
違うタイプの美少女に迫られるのは男として少し嬉しい物があるのだが、その必死の形相は辞めて!!
俺を前に睨み合う三人の女神。いつ女神化してぶつかり合っても可笑しくない空気に冷や汗が止まらない。
生温かい視線を送ってくるアイエフやつまらなそうに口を尖らせるコンパ。ブランはため息を吐くと先に進む未だに喧嘩しそうな三人に背を向けて走る。戦略的逃走である。
「おねーちゃん!」
ぴたっとブランの足が止まり全員が振り向くとミナさんの両手にはロムちゃんとラムちゃんが手を振っていった。それを見て、嬉しそうに微笑みながら小さく手をブランは降り返した。
「……妹っていいですわね」
「私にはユニがいるから」
「私もはっきりと思いだせないけど妹がいたよ!」
納得できないと顔に書いている様子に機嫌を悪くするベール。そういえばリーンボックスには女神候補生っていないんだよな。ベールはチカを妹のように可愛がっているけど。
「「いってらっしゃーい!!」」
元気に手を振るう双子の女神候補生に見送らながら協会を背に歩み始めた。
そうだ、あのロムちゃんとラムちゃんの世代にもっといいゲイムギョウ界を作るために歩むんだ。
『(……修羅を道を歩むと言うのなら、いいかもしれない。あぁ、面白そうだ)』
「目指すはプラネテューヌ!」
「貴方が仕切るのね……」
「こいつこのパーティーのリーダーだからな」
「紅夜の方がリーダーが適任だと思いますわ」
『(紅夜なら、預けてもいいかもしれない。破壊神を倒すには((とっておき|・・・・・))が使えるようになるし)』
始まりを始まりとして刻むために俺達を歩む。
イストワールを解放して、そして世界を変えてみせる。仲間と共に女神と共に。
終わりにしてみせるもう涙なんて見たくない。
何度も立ち上がってやろう。待ってろ空、俺は必ずお前の非常識を壊してみせる。
『ーーー(ボクの((真名|・・))を)』
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