九番目の熾天使・外伝 運命の獅子
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第二話 運命の赴任。そして獅子の編入

 

別荘での話し合いの数日後、フェイトとウルはそろって麻帆良学園女子中等部にある学園長室に呼び出されていた

 

「あなた達の希望通り、全ての手続きは済ませましたわ。…でも、無茶しますね。ウルくんは」

「ありがとうございます」

「あはは…あのクラスが一番楽しそうなんですよ」

 

豊かな金髪を靡かせる、優しそうな雰囲気の女性教諭―源しずながフェイトとウルに話しかける。ウルに対しては苦笑いを向けていたが

 

「ふむぅ…じゃが、フェイト君にこの仕事ができるかのう?」

「インストールすれば僕らに出来ない事はありませんよ」

 

ぬらりひょ…学園長が首を捻りながら問いかけるが、フェイトは問題ないとばかりに即答する

 

「インストール、のう…じゃがそれだけでは分からぬ事も多いぞ?…特にこの仕事はな」

 

学園長が見定めるような目つきでフェイトを見る

フェイトはその視線に全く動じずに答える

 

「それを理解するためにお願いしたのです」

「…分かった。君にあのクラスを任せよう!そしてウル君は…」

 

学園長は次に視線をウルに向ける

 

「この時期での編入となるからの。しばらく放課後は補習漬けの毎日となるが、大丈夫かね?…まあ編入試験で満点を叩き出した君なら問題は無いと思うがの」

「大丈夫です。なんだったら全科目、全学期、全学年の定期試験をやらせてください。彼女達の行った問題を」

「…ふむ、そうじゃの。ではそれで行こう。その試験で一定以上の点数を取れれば放課後の補習を免除と言う事でどうかね?」

「別に補習でも良いのですが…。時間が空くに越した事は無いですからね。それでお願いします」

「決まりじゃな。それではしずな君。彼らをクラスに案内してくれたまえ」

「はい学園長。では二人とも、こちらへ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は変わってここはいつも変わらぬ喧騒が絶えない3−A、ネギが担任を務めるクラスである

 

「2コねー♪」はい2コ 「おはよー♪」「はいなおはよー」「おはにょー」「よ♪」

「いいんちょ例のアレ?」「うんちづ姉も」「おはよー、あれー?アスナも」「うん休みや。ネギ君も休みや」「ネギ君休みなの?」「うん」

 

今話題になっているのは先も言ったこのクラスの『子供先生』、ネギ・スプリングフィールドの事である

魔法世界を一時的に救った英雄である彼は、出張と言う名目で魔法世界の崩壊を食い止める計画のために日夜奔走しているのである

そのため結果的にこのクラスに顔を出す頻度は少なくなってしまっているのだ

 

「あれ、ネギ君来たじゃん」

「えーうそー?」

 

と、いう会話がされた後に教室のドアがガラッっと音を立てて開かれる

しかしそこから姿を現したのはネギではなく

 

「!!?」

 

ガタガタ、パアアッ、ドタンッなどと騒がしくなる教室

それもそのはず、教室に現れたのはこのクラスの半数が数日前まで命をかけて戦っていた相手だったのだから

 

「フェ…」

「「「「「フェイト!!」」」」」

 

日常から非日常への切り替えが早かった一部の女生徒は、すでにアーティファクトを呼び出し戦闘体制を整えている

半妖の神鳴流剣士―桜咲刹那などはフェイトに刀の切っ先を向けている

 

「いや、待つでござる」

「…どうやら、やる気はなさそうだぞ」

「…っふん」

 

しかし戦闘経験が豊富な長瀬楓、龍宮真名、エヴァンジェリンなどはフェイトが戦闘のために来たのではないと察する

 

「ほらほら皆さん席について!何を突然コスプレ大会など開いてるんですか?紹介しますよ、こちらはフェイト・アーウェルンクスさん!」

 

パンパン、と手を叩きながらしずなが皆を諌めて説明を始める

 

「海外などにも出張する機会が増えてご多忙のネギ先生の代わりとして、臨時にあなた達のクラスを受け持つ事になった子供先生です!」

「え…」

 

その言葉を聴いた一般人代表、村上夏美が冷や汗を掻きながら絶句する

 

「よろしく」

 

フェイトは刹那が自身に向けた刀の切っ先を指で挟みながら、威圧を含めて言葉を発する

 

「「「「「「「「「「…えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!??」」」」」」」」」」

 

教室全体に絶叫が響き渡った

 

「それともう一人、このクラスに編入生がいます」

「「「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」」」

「こ、この私の情報網に引っかからなかった…ですって!?先生、その人は誰ですか!?」

 

またもしずなから放たれた言葉にクラスの殆どが驚愕する

もっとも『麻帆良のパパラッチ』を自称する赤い髪の少女―朝倉和美は別のことで驚いているようだが

その和美がしずなに質問を飛ばす

 

「慌てないの朝倉さん。どうぞ、入ってきて」

 

その言葉を聞き、ガラッとドアを開けて入ってきたのは

 

「ウル!?何でお前がこのクラスに…。いやその前に、何故この学校に編入できた!?お前は男だろう!?」

 

エヴァンジェリンが言うように、編入生はウルだった

クラスの殆どは小学校低学年ほどの男子が入ってきた事に戸惑って言葉も出せないようだ

一部の生徒は何故フェイトの弟とも言える存在がこのクラスに?と戸惑っているのだが

 

「あ、エヴァさん。いや学園長が『男女共学化の良いテストケースになるわい』って…それでこのクラスに」

「っ、あのジジィ…」

 

エヴァンジェリンは頭を抑える

 

「はい、ウル君。自己紹介をお願いね」

「分かりました、しずな先生。えっと、ウルティムス・ファートゥム・レオーネ・マクダウェルと言います。名前も苗字も長いので、ウルと呼んでくれると嬉しいです。そこにいるエヴァンジェリンさんとは義理の家族になります。何か質問がある人はいますか?」

 

満面の笑みで自己紹介をするウル

その笑顔は女子諸君の母性本能を強烈に刺激したようで、ハイハイハイ!と挙手がされる

 

「歳はいくつ!?」

「何でエヴァにゃんと家族になったの!?」

「どうしてこのクラスに?」

「趣味は!?」

「好きな女性のタイプは!?」

 

「え、えっとぉ…うう…一気に喋られても…」

 

怒涛の勢いで飛ばされる質問に、ウルは怯み気味だ

 

「はいはい、ここは自称『麻帆良のパパラッチ』であるこの私、朝倉和美に仕切らせてもらうよ!ウル君がビックリしちゃってるでしょ」

 

と、ここで和美が混沌としてきた場を収める

自分にとっては救世主とも言える存在の和美を、ウルは尊敬の目で見つめる

 

「か、和美さんありがとうございます…」

「おっ、いきなり名前呼びとはねぇ〜。お姉さん照れちゃうなー」

 

ウリウリ、と和美がウルの頭を撫で回す

ウルは初めて頭をなでられた事もあいまって、至福の表情でされるがままになってしまっている

 

「はふぅ…」

「っ(ごくり)…さ〜って!じゃあ一個ずつ質問を処理していくよ。まず、何歳なの?」

「あ、(肉体年齢は)な、7歳です」

「7歳!それにしては大人っぽいね、じゃあ次。どうしてエヴァちゃんと家族になったの?」

「ええっと、両親が事故で亡くなってしまって…。それで両親の知り合いだったエヴァさんの家に引き取られたんです」

「おっと、不味い事聞いちゃったみたいだね…。ごめんね?」

「いえ、大丈夫です。エヴァさんにはとても仲良くして貰ってますから…本当のお姉ちゃんみたいで」

「本当に仲いいみたいだね。じゃあ次、さっきエヴァちゃんが言ってたけど、どうしてこのクラスに?何か学園長が関わってるみたいだけど」

「い、いくら共学化のテストケースと言っても、周りが知らない人ばかりだと不安なので…。だから学園長にお願いして、エヴァさんと茶々丸さんがいるこのクラスにして貰ったんです」

「あ、そうか。エヴァちゃんと住んでるって事は当然茶々丸とも知り合いな訳か。よっし次。お見合いの質問みたいだけど、ご趣味は?」

「読書と勉強です。図書館島には是非行ってみたいです」

「おおっと、良い子ちゃんな趣味だね、次は…好きな女性のタイプ!これは7歳にはまだわかんないかな〜?」

「う、えっと…すいません、まだそう言うのはわかんないです…」

「まあそりゃそうだよね。むしろ誰よこんな質問出したの…。あ、そうだ」

 

一通りの質問が終わった後、突然和美はウルの耳元に顔を寄せる

その行動にウルは驚いて顔が真っ赤になり、クラスの生徒はきゃー!や、朝倉って意外と大胆なのね…などと騒いでいる

 

「君、フェイトの弟だよね?何でこの短期間で体が成長してるのか、とかなんでフェイトがこのクラスの担任になってるのか、とか気になる事は沢山有るけど、これだけは言っておくね」

「…なんですか?」

 

突然雰囲気が変わった和美にウルは警戒心を隠せない

しかし和美はニッと笑ってこう言い放った

 

「いやぁ、ね?女子中に編入した男子、それも小学生くらいの男の子が!って言うのはパパラッチとしてはおいしいネタだからさ…。今度、独占取材させてもらえないかなってね♪」

「…なんだ、そんな事ですか。良いですよ。答えられる範囲なら出来るだけ取材に答えます」

「おっけ〜契約成立〜。それじゃ、今日の放課後にね」

「分かりました。場所は?」

「そうね…じゃあ教室で待っててよ。麻帆良を案内するついでに取材しちゃうから」

「分かりました」

 

ここで和美がウルの耳元から顔を離した

 

「おい朝倉!貴様私の家族に何を吹き込んだ!」

「いや〜ちょっとね?今日の放課後に約束を取り付けただけよ」

「「「「「「「「「「何ぃぃぃぃいいいいい!!!???」」」」」」」」」」

 

エヴァンジェリンが和美に詰問するが、和美はそれを意にも介さず即答する

さらにクラスのほぼ全員がまたも驚愕の声を上げ、3−Aの教室のみならず校舎全域に響き渡る

にゃははははは、と和美は頭を掻きながら照れ笑いをしていたのだった

 

「…僕の事はスルーかい、君たち」

 

その喧騒の外で、フェイトが若干拗ねていたのは余談である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、麻帆良学園の学園内掲示板に『まほら新聞』の号外が掲示された

その見出しは『驚愕!女子中等部に男子小学生が編入!?』という物だった

また魔法関係者にのみ配られた『あのフェイト・アーウェルンクスの弟にして((闇の福音|ダークエヴァンジェル))の家族!!その素顔に迫る!』と題された『魔ほら新聞』なる物も発行されたそうだ

 

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深夜のテンションで書いたので、矛盾点があると思います

気がついた方はコメントで知らせてくれると嬉しいです

…フラグは建ってないはず!

説明
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コメント
次話更新しましたー(ディアーリーズ)
やーめーてー!(ディアーリーズ)
私にはフラグなど建たんよ!  ディアさん。私、ネギま知ってるからフラグ関係でいじれるから安心してくれてかまいませんよ?(Unknown)
…………orz(ディアーリーズ)
仕方ないね(嘲笑(キリヤ)
えっちょ、その言い分酷くないですか(ディアーリーズ)
だめだどう足掻いてもハーレムフラグしか存在しない(デルタ)
えー…まあハルトがいればフラグブレイカーになりますけど…暫くハルト出ないしなぁ…(ディアーリーズ)
逆に死亡フラグを立て過ぎると生存するパターンもある(例:伊達さん)(竜神丸)
…あっちが建てばこっちが建たず…と?(ディアーリーズ)
死亡フラグを疎かにすると生存フラグが折れるらしい(キリヤ)
あっはーい死亡フラグさんも帰ってどうぞー(ディアーリーズ)
…まあ、そりゃそうなんですけどねー!(ディアーリーズ)
あと支配人さんやルカさんにも任せられます…!(血涙&歯軋り)(ディアーリーズ)
残念ながら美空さんが一番心を開いてるのはディアさんなので、もう他の男では釣り合いません←(竜神丸)
フラグさん…この作品内であなたは何度か出てきますので帰ってください!(ディアーリーズ)
何故俺にふる。アン娘さんは分かるけど(キリヤ)
蒼崎さん以外なら…キリヤさんとかUnknownさんなら…!(血涙)(ディアーリーズ)
というかその理論は他の人に美空ちゃんが他の男に渡ってもいいと?例:蒼崎(キリヤ)
死亡フラグを壊したところで、恋愛フラグも立たせなきゃ美空さんにとっては意味が無いという罠←(竜神丸)
←フラグを立たせる為尽力した男(キリヤ)
そのフラグも壊したい…!美空さんの死亡フラグも壊してやんよぉぉお!!(ディアーリーズ)
フラグを壊したら壊したで、今度は美空さんが報われないというジレンマが←(竜神丸)
あははははは…。僕は欲しかったんだ…フラグを壊せる腕!いくつものフラグを壊せる腕が…!!(ディアーリーズ)
多分、私が美空さんとディアさんのフラグ立てちゃったから?←(竜神丸)
ナズェだ…ナズェ僕にはフラグメイカーの印象が付いてしまったんだ…!(ディアーリーズ)
筋肉ダルマと会うのは次々回くらいなんですけど…あのバグに勝てる気がしない!(ディアーリーズ)
あえて言わせてもらおう……宿命であると!!(キリヤ)
とりあえずあの筋肉ダルマ吹っ飛ばそうぜ!!(kaito)
ナズェフラグヴォタデルンディスカ!?orz(ディアーリーズ)
俺のとこでもディアが出るようならシナリオそっちのけでフラグ立たせよう(決意(キリヤ)
とりあえず筋肉バカを叩きのめそうぜ!(唐突&超適当)(ガルム)
なん…だと…?これ以上フラグが立つようなキャラいますか!?(ディアーリーズ)
その代わり、出来る事ならこちらの本編でフラグを立てたいところ!!←(竜神丸)
まあそのうち簡単なキャラ紹介くらいは書きますので…(ディアーリーズ)
えーっと…どんまい?(これでフラグ関係でいじられるのは少なくなるはず…!)(ディアーリーズ)
ネギ魔は一部のキャラクター名しか分からない…orz(竜神丸)
ネギ魔わかんね………シット!(キリヤ)
間違えてるー!?orz(ディアーリーズ)
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