英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク
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〜ミストヴァルト〜

 

「……ここも完全に霧に覆われちまってるな。」

「ええ……。元々暗くて視界が悪いから歩きにくいことこの上ないわね。」

霧に包まれ、周囲がほとんど見えない様子にルークとシェラザードは気を引き締め

「気を抜いたらすぐに迷ってしまいそうですね。」

「ちゃんとコンパスを確認した方が良さそうだな。」

不安そうな表情で呟いたアネラスの言葉にフレンが答えた。するとその時霧の魔獣が2体ルーク達の目の前に現れた!

「早速来たわね……」

「うふふ、歓迎されているわね♪」

霧の魔獣を見たシェラザードは真剣な表情をし、レンは小悪魔な笑みを浮かべて武器を構えた。するとその時両手にそれぞれ円輪状の投擲武器―――チャクラムを構えていたカリンが片方のチャクラムに魔力を込めて投擲した!

 

「ホーリースティア!!」

魔力が込められた影響で光を放つチャクラムは魔獣達の中心地に止まって回転し、光の刃で霧の魔獣達の身体を切り裂き続け

「集え、光よ!――――フォトン!!」

更に短い詠唱を終えると魔獣達の中心地に光の魔力が集束した瞬間、爆発を起こし、爆発に呑みこまれた魔獣達は消滅し、回転していたチャクラムはカリンの手に戻った。

 

「ヒュウ。やるじゃねえか!」

カリンの戦闘能力を見たフレンは感心し

「この調子なら、フォローは最低限で良さそうですね。」

「ええ。それにしてもアリエッタさんの時も思ったけど、ホントに魔法みたいよね、”法術”って。」

心強い協力者の様子にアネラスとシェラザードは口元に笑みを浮かべ

「ハ、ハハ………(なんでこっちの世界の人間が譜術を使えんだよ!?もしかしてイオン達が教えたのか??)」

カリンが使った”術”の正体がわかっていたルークは冷や汗をかきながら表情を引き攣らせていた。

 

「うふふ、カリンお姉さんが戦う所をヨシュアが見たらビックリするんじゃないかしら?」

「ふふっ、レーヴェを見つける為といつまでも守られてばかりではいけないと思って、イオン様達に保護された時から戦い方を教えてもらい続けた甲斐があったわ。」

小悪魔な笑みを浮かべるレンに見つめられたカリンは苦笑しながら答えた。

 

そしてルーク達は視界が悪い中、時折現れる魔獣と戦いながら先に進むと、敵の仕掛けらしき迷路をも抜け、奥にある大樹に到着した。

 

〜セルべの大樹〜

 

「!?おい、あれって……!」

「リシャール大佐が使っていた黒のオーブメント―――『ゴスペル』じゃねえか!」

大樹の真ん中についている見覚えのある漆黒のオーブメント『ゴスペル』を見たルークとフレンは驚き

「水面から沸き起こる霧……。ひょっとして、ここから霧が生まれているのかも……」

レンは小さな湖から沸き起こっている霧を見つめて真剣な表情で考え込んでいた。

 

「だ、だったら早く『ゴスペル』を外しましょうよ!そうしたら、この霧も晴れて眠っている人達も起きるかも……!」

そしてアネラスが焦った様子で提案したその時

「アネラス、待ちなさい!」

アネラスの行動を見たシェラザードが警告をした。すると

 

チリーン………

 

なんと鈴の音が鳴り響き、そしてルーク達の目の前に霧がかかった後、今まで現れた霧の魔獣の倍はあるであろう大きさの魔獣達が現れた!

 

「霧の魔獣!?で、でも大きさが今までとは比べ物になりませんね……」

現れた魔獣を見たカリンは驚いた後戸惑い

「農園で戦った連中とは格が違うみたいね……」

「うふふ、少しは楽しませてもらえそうね♪」

敵の強さを感じ取ったシェラザードは真剣な表情をし、レンは不敵な笑みを浮かべ、ルーク達と共に戦闘を開始した!

 

「!?みんな!その魔獣達と戦う時、気を付けて!右の魔獣は物理攻撃を、左の魔獣はアーツ攻撃を吸収するって情報にあるわ!」

戦闘開始時、オーブメントにつけられてある目の前の敵達を瞬時に解析するクオーツ――――『天眼』をつけていたレンは頭の中に入って来た敵の情報に驚いた後ルーク達に警告した。

 

「チッ、厄介ね……!」

「だったら、片方が物理が効く奴を相手して、もう片方はアーツが効く奴を相手するぞ!」

レンの警告を聞いたシェラザードは舌打ちをし、フレンは瞬時に判断して叫んだ。

 

「だったら……!フレン、アネラス!俺達で左の魔獣―――物理が効く奴を相手するぞ!」

「ああ!」

「了解しました!」

「あたし達は残りを相手するわよ、レン!―――カリンさん!貴女はあたし達の援護をお願い!」

「はい!」

そしてルーク達は二手に分かれてそれぞれが相手する魔獣へと向かって行った。

 

「スタンブレイク!!」

フレンは電撃を流し込んだトンファーを魔獣の正面に叩きつけたが

「……………」

「っと!」

正面からトンファーを叩きつけられたにも関わらず、魔獣は拳を次々と繰り出し、フレンはトンファーで繰り出される拳をガードしていた。

 

「貫く閃光!翔破!裂光閃!!

「さあ、行くよっ!まだまだまだまだまだぁっ!――止めっ!!」

フレンを攻撃している間にルークとアネラスは挟み撃ちにして怒涛の速さで連続突きや連続斬撃を叩き込み

「ゼロ・ブレイク!!」

二人による挟み撃ち攻撃を受け、怯んでいる敵にフレンはトンファーを叩きこむと同時に零距離で闘気を爆発させた!すると弱っているのか魔獣は霧状の身体を薄っすらとさせて、フラフラしていた。

 

「ハァァァァ……燃えちまえ!」

「ハァァァァ………切り裂け!」

敵が弱った瞬間ルークは炎を纏わせた剣を、アネラスは風を纏わせた剣を振り上げ

「―――業炎撃!!」

「―――業嵐撃!!」

それぞれ同時に強烈な一撃を叩きつけ、止めを刺された魔獣は消滅した!

 

「レン!駆動が終わるまでの時間稼ぎを頼んでもいいかしら?」

「ええ、任せて!――魔神剣!!」

シェラザードと共に自分達が相手する魔獣に向かったレンは剣を振るって衝撃波を魔獣の横を通り過ぎさせて自分に注意を引きつけた。

 

「……………」

レンを標的に決めた魔獣は両手から風の刃をレンに放ったが

「舞の型――――紅燐剣!!」

レンは高速に一振りして分け身を数体放ち、襲い掛かる風の刃を相殺した!

 

「やあっ!ストーンインパクト!!」

レンが注意を引きつけている間にオーブメントの駆動を終えたシェラザードは上空から巨大な岩石を降り注がせるアーツを発動し、岩石に圧し潰された魔獣は一瞬怯んだが、すぐに立ち直って何かの溜め動作をしていた。

 

「―――何をするかしらないけど、させないわよ!烈破掌!!」

その時レンが詰め寄って闘気を込めた拳を叩き込んで闘気を爆発させ、敵の傷を回復させたが、溜め動作を中断させた。

「裁きの槍達よ、我が敵を貫け!―――シャイニングスピア!!」

そして詠唱を終えたカリンが叫ぶと上空から光の槍が降り注いで敵を貫いた瞬間数本の光の槍が敵の周囲に発生して次々と敵を貫き

「やあっ!ソウルブラー!!」

そこにシェラザードが放った駆動時間が短い下級アーツが命中して止めを刺され。止めを刺された魔獣は消滅した!

 

「普通の奴よりタフだったな……」

「フウ。先輩達がいなければ、こんな簡単に片づけられなかったでしょうね。」

戦闘を終えたフレンとアネラスは安堵の溜息を吐いたが

「気を抜かないで!今のはただの使い魔よ!操っていた術者がどこかにいるはずだわ!」

何かに気付いていたシェラザードが警告した。

 

「!!」

「もしかして”黒衣の女性”かしら?」

「一体どこに……」

シェラザードの警告を聞いたルークは目を見開いてレンと共に周囲の警戒を始め、カリンが不安そうな表情で呟いたその時!

「ふふ……なかなか頑張ったわね。それではみんなにご褒美をあげましょう。」

どこからともなく女性の声が聞こえて来た後、樹に嵌められてある『ゴスペル』が妖しく輝いた!

「!!!」

「な……!」

「しまった……!」

 

そしてルーク達は意識を失った……

 

 

説明
第53話
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