英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク
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〜ミストヴァルト・セルべの大樹〜

 

「クッ……!」

「う……ん……」

「グッ……!?」

「ン……」

夢の世界から帰還したルークが目覚めて起き上がるとレン、フレン、カリンも同時に目覚めて起き上がり

「!!ルーク、レン!それにフレンやカリンさんも!よかった……起きてくれたのね!」

目覚めたルーク達を見たシェラザードは安堵の溜息を吐いた。

 

「ああ……夢とは言え、懐かしい奴等に会えたぜ………」

「ふふっ、今度は”本物”のヨシュアとレーヴェに会わないといけませんもの……」

「ったく、よくできた夢だったぜ……マジで俺も騙される所だったぜ。」

「うふふ、レンはすぐに”偽物”だと気付いたけどね♪あんな人達………レンの”本当の家族”じゃないし。」

ルーク達が懐かしそうな表情でそれぞれ呟いている中、レンだけは小悪魔な笑みを浮かべて答えた後全身に殺気を纏って冷たい視線で呟き

「う〜ん、むにゃむにゃ………わあ……可愛いぬいぐるみがいっぱいだ〜。えへへ〜、どの子を先に抱きしめようかな〜?」

アネラスだけはまだ眠っており、幸せそうな表情で呟いた。

 

「アネラス……あんたね……」

「えっと、どうやって起こしましょう……?普通の起こし方じゃ起きないでしょうし……」

幸せそうな表情で呑気に眠り続けているアネラスにシェラザードは呆れ、カリンは苦笑しながらルーク達を見回し

「うふふ、レンに任せて♪怖いよ……レン、一人ぼっちじゃ眠れないよ……誰かレンをずっと抱きしめて一緒に眠ってくれる人はいないの……?」

カリンの言葉に小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンはアネラスの耳元で何かに怯えるような表情を作って囁いた。すると

「はいはいはいっ!ここにいます!だから今夜は私がず〜〜〜〜っと、ぎゅっと抱きしめて一緒に眠ってあげるね、レンちゃん!!」

目を覚ましたアネラスが起き上がって必死に何度も手を挙げながら真剣な表情で叫んだ!

 

「………あれ?もしかして私……今まで眠っていたの??」

そしてすぐに我に返ったアネラスは周囲を見回して首を傾げ

「うふふ、おはよう、アネラスお姉さん♪良い夢は見れたかしら?」

レンは小悪魔な笑みを浮かべてアネラスを見つめていた。

 

「すげえ。一発で起きたぞ。」

「っていうか、何気に演技がすげえ上手いな、レン。」

「ふふっ、とても演技とは思えない表情を出していましたね。」

一方その様子を見守っていたフレンはレンの手際に感心し、ルークは冷や汗をかいて苦笑し、カリンは微笑んでいた。

「ハア……まさかアネラス自身が自分の性格に助けられるなんてね。さてと、それはともかく……」

シェラザードは呆れた表情で溜息を吐いた後大樹を睨み

「いるんでしょ!ルシオラ姉さん!」

「ふふ……やっと呼んでくれたわね。」

シェラザードが叫ぶと、鈴の音が鳴り響き、黒衣の女性がルーク達の目の前に現れた!

 

「なっ!?」

「わあ。一瞬で現れるなんて、手品みたいね。」

突如現れた黒衣の女性にルークは驚き、レンは目を丸くし

「こ、”黒衣の女性”……!」

「……………」

「犯人のお出ましか……」

アネラスとカリンは不安そうな表情をし、フレンは真剣な表情でロレント中を騒がしていると思われる黒衣の女性を見つめていた。

 

「……やっぱり……」

ルーク達が驚いている中、シェラザードだけは動じず複雑そうな表情で黒衣の女性を見つめていた。

「久しいわね、シェラザード。8年ぶりになるかしら?」

「ええ……そうね。まさか姉さんがこんな事をしてるなんて……。いったい、どういう事なの?」

「あら。もしかしてシェラお姉さんのお知り合いなのかしら?」

二人の会話からシェラザードと黒衣の女性が顔見知りである事を察したレンは目を丸くして尋ねシェラザードに尋ね

「ええ……昔いた旅芸人一座で姉代わりにあたしを世話してくれた人よ。」

「ふふ、今は『身喰らう蛇』に所属する『執行者』No.Y。『幻惑の鈴』ルシオラ。今はそう呼ばれてるけどね。」

シェラザードの説明に捕捉するように黒衣の女性―――ルシオラは妖しげな笑みを浮かべて答えた。

 

「えっ!?」

「『身喰らう蛇』………!」

「まさかこんなにも早く会うなんてね……!」

「……俺達とやり合うつもりか?」

ルシオラが自分達が追う組織に所属してる者だと知ったカリンは驚き、ルーク達は警戒し

 

「ふふ、今回は挨拶代わりに姿を現しただけよ。それより……よく今回の出来事を起こしているのが私だと気付いたわね、シェラザード?

「鈴を使った幻術……。姉さんの十八番だったから。ロレントで発生した霧も幻術とか言わないでしょうね?」

「ふふ、まさか。あれは今回の実験のため、『ゴスペル』が起こした現象よ。人々の夢に干渉するための触媒といったところかしらね。」

「じ、『実験』?」

「その『ゴスペル』を使って『結社』は一体何をしようとしてるのかしら?」

「触媒……。まさか『ゴスペル』というのは人の精神にも干渉するというの!?」

ルシオラの口から語られた話を聞いたルークは戸惑い、レンとシェラザードはそれぞれ真剣な表情で尋ねた。

 

「ふふ、そうみたいね。私の鈴はあくまで誘導……。幻術とは比べ物にならないリアルな夢を構築するわ。苦しみも哀しみもないただひたすら幸せな夢をね。ちなみに『実験』は今後の『計画』の為とだけ言っておくわ。」

「そ、そんな……人の精神にまで干渉するなんて……」

「…………………」

「その言葉からすると他の地方でもその『実験』とやらをやっているみたいだな……?」

「……くっ……」

信じられない内容を聞いたアネラスとカリンは不安そうな表情をし、フレンは真剣な表情でルシオラを見つめ、シェラザードは唇を噛みしめた。

 

「その『計画』ってのは一体何の『計画』なんだよ?」

「私はただの『執行者』。『使徒』の手足として動くもの。その意味では、今回の計画の手伝いをしているに過ぎないわ。詳しいことは教授とレーヴェに聞きなさい。」

「!!やっぱり『剣帝』が……レーヴェがリベールにいるんですね!?」

警戒するルークの質問に答えたルシオラの話を聞いたカリンは血相を変え

「あら。レーヴェと知り合いなのかしら?見た所、”星杯騎士”のようだけど。」

「!!そ、それは………」

ルシオラに視線を向けられた瞬間、自分の正体がわからないようにヴェールを深く被って顔をルシオラに見せないようにし、口ごもった。

 

「………………………………。……ルシオラ姉さん。これだけは言わせてくれる?」

「あら……何かしら」

「最初、あたしはリベールに長居をするつもりはなかった……。姉さんが帰ってくるまでの間、身を寄せるだけのつもりだった。でも、あれから8年が過ぎた。今の私には、友人や仲間たち、家族同然の人たち、そして誇りに思っている仕事がある。もう……ハーヴェイ一座の踊り子シェラザードじゃない。」

「シェラ先輩……」

「………………………………」

シェラザードの口から語られた話を聞いたアネラスは驚き、ルシオラは黙ってシェラザードを見続け

「ふふ……それでいいわ。あなた達にとって『結社』はあまりにも強大よ。全力で立ち向かってきなさい。」

鞭を構え、自分を睨みつけるシェラザードを見たルシオラは満足げな笑みを浮かべた後、『ゴスペル』を回収した!

 

「あっ!」

「『ゴスペル』を……!」

「ふふ……近いうちにまた会えるわ。つもる話はその時にでも……」

ルシオラの行動にアネラスとルークが驚いたその時、ルシオラは鈴の音と共にその場から消えた!

 

その後ルーク達は報告の為にギルドに戻った。ロレントに戻ると既に霧は晴れ、昏睡していた市民達も眼を覚ましていた。

 

 

 

説明
第55話
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