英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク |
グランセルに到着したエステル達は王国軍から何かの依頼を頼まれようとしていた所、エルベ離宮から迷子の通報が入り、エステル達はひとまず迷子の子供を保護すし、保護者を探すためにエルベ離宮に向かった。
エルベ離宮で出会った橙色の髪を持ち、白いフリフリドレスを身に纏って眼鏡をかけ、どことなく色々とレンに似ている少女――――ユウナを保護したエステル達はユウナに事情を聞いた所、ユウナの両親はユウナをエルベ離宮に置いて姿をくらました事がわかった。
ひとまずギルドでユウナを預かる事にしたエステル達はユウナと共にギルドに戻るとそこにはクーデター事件時解決の際、昇進したシード中佐がいた。
シード中佐から話を聞くとアリシア女王が提唱した国家間の対立をできるだけ話し合いで解決するという『不戦条約』を妨害する為に様々な場所に脅迫状を送ってきた何者かが存在し、脅迫状が送られた各所で聞き込みをして欲しいという依頼を受け、脅迫状に送られた様々な場所で聞き込みをしたところ、どこも心当たりは見つからず、更にユウナの両親―――貿易商を営むヘイワーズ夫婦も同時に聞きこんでいたが、これといった情報は手に入らず、通信社に勤め、様々な業界事情に詳しいナイアルにも尋ねた所ナイアルの予想では愉快犯の仕業だと聞けたぐらいだった。
翌日、シード中佐に報告書を提出したエステル達がギルドに戻って今後の事を話し合っているとユウナがいつの間にかいなくなっており、エステル達は王都の各所を回ってユウナを探していると、オリビエが空港でミュラー少佐を見送っている所を見つけ、オリビエにユウナの事を尋ねるとオリビエはエステル達の背後にユウナがいる事を指摘し、その事に驚いたエステル達が振り向くといつの間にかユウナがエステル達の背後にいた。
その後仲間達やユウナと共にギルドに戻ろうとしたエステルだったがユウナに渡された手紙――――ヨシュアと思わしき人物が自分にあてた手紙の内容を読んだ後、仲間達に一言断って血相を変えてヨシュアと思わしき人物との待ち合わせ場所―――ロレントとグランセルを結ぶグリューネ門に向かった。
〜グリューネ門・アーネンベルク・夕方〜
「……あ………」
アーネンベルクに一人の人影を見つけたエステルは嬉しそうな表情をした。
〜王都グランセル〜
「ヒック……。フィリップのやつ、小言ばかり抜かしおって……。私をいったい誰だと思っておるのだ……。最高位の王位継承権を持つ……デュナン・フォン・アウスレーゼだぞ……」
一方その頃、クーデター事件に加担した罪で謹慎し続け、ようやく謹慎が解けたデュナン公爵は酔っぱらった様子で独り言を呟いていた。
「う〜い……少しビールを飲み過ぎたか……。しかし、あのライスカレーというのはなかなかの美味であった……。たまには庶民の味も悪くない…………くそっ……。クローディア……それに遊撃士の小娘め……。どうしてこの私が…………あんな小娘どもに……あんな小娘どもの言葉に……心を乱さねばならんのだ……」
「公爵閣下のご心痛、お察し申し上げますわ。」
自分の独り言に答えた女性の声に気付いたデュナン公爵が声が聞こえた方向を見つめるとそこには驚くべき人物がいた。
「な……。お前はリシャールの……」
クーデター事件後行方を眩ませ、王国軍に指名手配されているはずの人物―――カノーネ大尉を見たデュナン公爵は驚き
「ええ、副官のカノーネです。公爵閣下におかれましてはお元気そうで何よりですわ。ふふ、あまりご機嫌は宜しくないようですけど……」
「な、何の用だ……。お前たちはたしか指名手配されている身では……」
不敵な笑みを浮かべて自分を見つめるカノーネ大尉に恐怖を感じたデュナン公爵が下がると、いつの間にか特務兵達がデュナン公爵の背後にいた。
「ひっ……!?」
「ふふ、そう警戒されると傷ついてしまいますわ。わたくしたちはただ……公爵閣下のお手伝いがしたいだけ。さあ、一緒に来て頂きますわよ。」
そしてデュナン公爵はカノーネ大尉達にどこかに連れて行かれた。
〜グリューネ門・アーネンベルク〜
「ヨ、ヨシュ―――」
人影を見たエステルは嬉しそうな表情でかけよったが、そこには自分が望んでいた人物ではなく
「あ……?」
「へっ……?」
なんと人影の正体はケビンであった。
「エステルちゃんか……?」
「ケビンさん……。ど、どうしてここに……?」
ケビンに驚いたエステルは辺りを見回して、ヨシュアを探したが、ヨシュアは見つからなかった。
「い、いない……」
「いや〜、ひさしぶりやなぁ。しかし、こんな所で再会するなんてオレら、やっぱり縁が―――」
「ねえ、ケビンさん!ここで誰か他の人に会わなかった!?」
「へっ……誰かって。まさかエステルちゃんもここで待ち合わせしとんの?」
血相を変えて自分に尋ねるエステルに戸惑ったケビンは不思議そうな表情で尋ねた。
「う、うん……。……って、ケビンさんも?」
「ああ……手紙に呼び出されてな。」
「あ、あたしもだ。えへへ、面白い偶然もあるもんね。」
「はは、そうやねー。―――って、そんな偶然あるかいっ!」
「や、やっぱり?それじゃあケビンさんもヨシュアに呼び出されて……」
ケビンがヨシュアに呼び出された事に違和感を感じるエステルは戸惑いの表情で尋ねたが
「ヨシュア?それって……例のカレシやったっけ?」
「う、うん……」
「し、知らんかったわ……。ヨシュア君って実はいい年したオッサンやったんか。そりゃ、愛があれば年の差なんて問題あらへんけど……。それやったらオレかて充分チャンスは……」
尋ねられたケビンはヨシュアとは思えない風貌の人物象の事を口にした。
「あのー。微妙に話が噛み合ってないんですけど。ケビンさんは誰からの手紙で呼び出されたわけ?」
「ああ、グランセル大聖堂にオレ宛ての手紙が届けられてな。届けたのは、身なりの良さそうな中年男性だったらしけど……」
「ヨ、ヨシュアはあたしと同い年だってば!オジサンなはずないでしょっ!」
「あ、やっぱり?や〜。オレもなんかおかしいと思ったんよね。」
「よく言うわよ……。でも、それって一体どういうことなの?………も、もしかして………」
苦笑しているケビンに呆れたエステルが何かを言いかけたその時
「―――どうやら僕達は何者かに罠にかけられたみたいですね。」
イオン達が姿を現し、エステルとケビンに近づいてきた!
「え……だ、誰?って―――あっ!貴女はアリエッタさん!」
イオン達の姿を見たエステルは戸惑ったがイオンの傍に控えているアリエッタに気付いて驚き
「久しぶり、です。」
驚いているエステルにアリエッタが話しかけ
(あの人がエステルさん………)
カリンは興味深そうな様子でエステルを見つめていた。
「久しぶり〜、って今はそれどころじゃないわね。えっと。もしかして貴女がアリエッタさんの上司の?」
「――はい。イオン・ジュエと申します。貴女の事はルークやアリエッタ達から聞いています。」
「そうなんだ……それより、イオンさんだっけ?どうしてイオンさん達もここに来たの?」
「もしかしてそっちも誰かに呼び出されたんか?」
イオン達も何者かに呼び出された事に気付いたエステルとケビンはそれぞれ尋ねた。
「ええ、僕もケビンと同じで大聖堂に僕宛てに手紙を届けた方がいたそうなんです。何でも若い女性との事ですが……」
「手紙の内容は、アリエッタ達の任務が関係、していました、ので。」
「………もしかしてあたし達を纏めて始末するワナ!?」
イオンとアリエッタの話を聞いたエステルは考えんだ後ある結論に到って信じられない表情で叫び
「え………」
「なんやて……?」
エステルの答えにカリンが呆け、ケビンが真剣な表情になった時、空を飛ぶ人形兵器が数体現れ、エステル達を包囲した!
「なっ……」
「マジか……」
「やはり……」
「人形兵器、ですね。」
「どうやら私達を狙っているみたいですね……」
「うん………来るわ!」
そしてカリンの言葉に頷いたエステル達は戦闘を開始した!
人形兵器達はそれぞれ同時に突撃して来たが
「ハァァァァァァ………!!」
エステルがコマのように回転して攻撃する技―――旋風輪を受け、エステル達から距離を取った。
「レイトラスト!!」
その時カリンがチャクラムを投擲して一体の人形兵器を傷つけ、さらに投擲されたチャクラムはブーメランのように戻って来て攻撃した人形兵器に追撃した後カリンの手に戻り
「そらっ!!」
カリンの攻撃によって傷ついた人形兵器にケビンがボウガンから矢を放つと人形兵器は煙を上げて墜落した!
一方残りの人形兵器の2体はエステルに銃撃で集中攻撃し
「いたっ!?」
導力弾による集中攻撃を受けたエステルは傷ついたが
「癒しの光よ……―――ファーストエイド!!」
カリンが発動した術によって銃撃によってできた傷は塞がり
「―――スパークウェーブ!!」
アリエッタが術を発動すると雷の球体が人形兵器を呑みこんで放電し
「止めです!シリングフォール!!」
イオンの術によって発生した上空から落下する岩石に圧し潰され、地面に叩き落とされた!
「な、なんだったのよ、こいつら………魔獣っていうより……」
「ああ、城の封印区画にいた人形兵器と同じみたいやね。もっともアレとは違って最近造られたものみたいやけど。」
「そう、ですね。もしかしたら、似せられているかも、しれませんね。」
倒した人形兵器の残骸を戸惑いの表情で見つめるエステルの意見に同意するようにケビンとアリエッタがそれぞれ答えた。
「それってどういうこと?」
「封印区画の人形兵器が古代遺物(アーティファクト)の一種とするなら……さっきのはオーブメントで駆動する現代の人形兵器ってところや。しかも性能は全然負けてへんみたいやね。」
「な、なるほど……。………………………………。どうしてケビンさんが封印区画のことを知ってるわけ?もしかしてケビンさん……イオンさんやアリエッタさんと同じ”星杯騎士”なの?」
ケビンの説明に納得しかけたエステルだったが、ケビンが王城の地下にあった区画の事を知っている事に違和感を感じた後、ジト目でケビンを見つめ
「……ギク。」
「フフ……」
「アハハ……」
ジト目のエステルに見つめられ、表情を引き攣らせているケビンをイオンとカリンはそれぞれ苦笑しながら見つめていた。
「おい、何をしている!?」
「あ、兵士さん……」
するとそこに異変を感じ取った王国軍が部下の兵士を引き攣れてエステル達に近づいてきた。
「何やら騒がしいと思ったら……。お前たち、いったいここで何をしていたんだ!?」
「ちょ、ちょっと待って!あたしたち、ここで変な機械に襲われただけで……」
「変な機械だと……?」
「ああ、お騒がせしてエライすんませんでした。実は彼女、ギルドに所属する遊撃士でしてなぁ。とある連中を追って捜査中の身ってわけですわ」
「へっ?」
「遊撃士……本当なのか?」
自分達の話を怪しんでいる兵士に説明するケビンの話を聞いたエステルは呆け、兵士自身は目を丸くして尋ねた。
「ほら、エステルちゃん。ブレイサー手帳を見せてやり?」
「あ、うん……」
「……なるほど、本当らしいな。とある連中と言ったが、一体どういう奴等なんだ?」
そしてエステルが見せた遊撃士手帳を見た兵士は納得した様子で頷いた後尋ねた。
「それが『結社』とかいう正体不明な連中でしてなぁ。各地で妙な実験を色々としとるらしいですわ。そいつらの手がかりを追ってここに来てみたらケッタイな機械に襲われたんです。」
「………………………………」
ケビンの説明を聞いていたエステルはケビンが自分達が”結社”を追っている事を知っている事に気付いて口をパクパクさせた。
「そういえば司令部から『結社』とかいう連中について注意のようなものが来ていたな……。とすると周遊道に現れたのはその『結社』の者たちなのか……」
「え、ちょっと待って!周遊道に現れたって一体何が起こったの?」
「ああ、先ほどエルベ離宮の警備本部から連絡があってな。何でも武装した集団が離宮を襲撃してきたらしい。」
「あ、あんですって〜!?」
「……もしかして情報部の残党でしょうか?」
「その可能性は高い、です。」
兵士の話を聞いて声を上げたエステルとは逆にイオンとアリエッタはそれぞれ冷静な様子で考え込んでいた。
「幸い、シード中佐によって難なく退けられたらしいがな。現在、周遊道を封鎖してその集団を追っているところらしい。」
「は〜。エライことが起こったなぁ。こりゃオレらもギルドに戻った方がええかもな。」
「アリエッタ、カリン。僕達も二人について行って状況を確認しましょう。」
「「はい。」」
「え、あ……」
「ああ、ひょっとしたら君たちが追っている連中と同じなのかもしれない……。よし、付近の警備はこのまま我々が当たるとしよう。君たちは急いで王都のギルドに戻るといい。」
「おおきに!ほな戻るとしよか。」
「ちょ、ちょっと……」
どんどん話が進んでいる事にエステルが戸惑っている中、兵士達はその場から去って行った。
「ちょっと待って!一体どういうことなの!?」
「あ〜……。やっぱり納得せぇへん?」
兵士達が去った後エステルに怒鳴られたケビンは苦笑しながら尋ねた。
「あ、あたり前でしょ!あなた……いったい何者なの!?あたしたちの動きとか『結社』のこととか知ってたり……。本当にただの神父さんなわけ!?」
「正真正銘、七耀教会の神父やで。まあ、確かに……ただの神父とはちゃうけどな。」
「それってどういうこと?やっぱりアリエッタさん達と同じ”星杯騎士”な訳?」
ケビンの答えに満足していないエステルは頬を膨らませて尋ねた。
「その説明はまた後でな。さっきも言ったけど今はギルドに急いだ方がええ。ひょっとしたらとんでもない騒ぎが起こるかもしれん。」
「とんでもない騒ぎって……ああもう……アタマがグチャグチャになりそう!なんで……なんでヨシュアに会えるはずがこんな事になっちゃうのよ……」
「そのカレシからの手紙なんやけど……。それ、本当にカレシからか?」
「えっ……?う、うん。手紙を預かった子の話ではヨシュアとしか思えないし……」
ケビンの質問にエステルは戸惑いながら答えた。
「その子はカレシのことを知っとるわけないんやな?だとしたら、似たような特徴の別人を用意させた可能性もある。」
「で、でも……ヨシュアの字に似てるし……」
「筆跡なんちゅうもんはある程度似せられるもんや。動揺しとる人間を簡単に騙せるくらいにはな。ちなみにオレが大聖堂で受け取った手紙はコレやで。」
「僕が受け取った手紙はこれです。」
戸惑っているエステルにケビンとイオンは懐から手紙を出して、エステルに見せた。
「あ……」
「へへ、どうやら同じ種類の封筒らしいな。ちなみに手紙の中身はオレが調べていることについての情報を提供するって申し出やった。」
「僕の方も大体同じ内容ですね。」
「ということは……同じ連中の仕業ってこと?一体誰が、どうして!?」
二人の話を聞いて驚いたエステルは信じられない様子で尋ねた。
「それは俺にも分からんわ。確実に言えるのは……お互いハメられたってことやね。」
「………………………………。……けんじゃ……わよ。」
「へ?」
「エステル?」
そして身体を震わせているエステルの異変に気付いたケビンとイオンは首を傾げた。
「何者か知らないけどふざけてんじゃないわよ……。ヨシュアを騙(かた)って……あたしを呼び出したですって?許せない……絶対に許さないんだからあっ!」
「いきなり声を上げて、うるさい、です。」
「……探していた人物を騙って騙されたのですから。当然の反応ですよ。」
(フフ、エステルさん……ヨシュアの事、本当に大切にしているのね……)
「ひえっ……落ち着き、エステルちゃん。ここで熱くなったらまさに相手の思うツボやで。とにかくギルドに戻って情報の整理をしよ?」
エステルの怒鳴り声に眉を顰めているアリエッタをイオンが宥め、カリンはエステルを微笑みながら見つめ、ケビンは驚いた後エステルを宥めた。
「わかった……。だけど、ケビンさんのこと……完全に信用したわけじゃないわ。騙したりしたら……本気でぶっ飛ばすからね?」
「ああ、かまへんで。エステルちゃんにぶっ飛ばされるなら本望や。惚れた女のためなら身体を張る覚悟はできとるしな♪」
「な、なに言ってるのよ。まったくもう……調子狂っちゃうわね。」
ケビンの言葉にエステルは照れた後、呆れた様子で溜息を吐いた。
「和み系目指しとんねん。それじゃあエステルちゃん。それにイオンさんとアリエッタさんにカリンさんも。とっととギルドに戻ろうか?」
「うん、わかった!」
「「「はい。」」」
そしてエステル達は急いで王都のギルドに向かった………
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