英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク |
その後エステル達が王都に戻ると既に夜になっており、更に偶然エステル達を見つけたフィリップからデュナン公爵が姿を消した話を聞き、ギルドに一報が入っていないか確かめる為にエステル達はフィリップと共にギルドの中に入った。
〜遊撃士協会・グランセル支部〜
「エルナンさん、ただい……」
エステルがギルドに入って受付を見ると、なんとエルナンが倒れていた。
「エ、エルナンさん!?」
「なんと……!?」
「そ、そんな………!?」
「まさか……!」
「毒、でしょうか。」
「クソ、そう来たかい!」
エルナンの状態に驚いたエステル達はエルナンに駆け寄ってエルナンの状態を確かめた。
「エルナンさん!?エルナンさんってば!」
「呼吸は安定しとる……。どうやら眠っとるみたいやな。この人が王都支部の受付か?」
「う、うん……。……みんな!?」
エルナンの状態を調べたケビンの問いに答えたエステルは嫌な予感がして、2階に向かった。
「あ………」
エステルが2階に上がると、全員が倒れていた。
「アガット、アーシアさん、オリビエ、ジンさん!」
アガット、アーシア、オリビエ、ジンは机にうつ伏せて、眠っていた。
「ティータ、クローゼ!」
ティータ、クロ―ゼの3人は本棚の近くで横になって倒れていた。
「あっちゃあ……。全員やられたみたいやね。」
そしてケビン達が2階に上がって来た。
「どや、無事そうか?」
「う、うん……。眠ってるみたいだけど……。一体全体、どうなっちゃってるのよ〜!?」
「ふむ、どうやら一服、盛られてしまったようですな。皆さん、急に睡魔に襲われ崩れ落ちたように見受けられます。」
「た、確かに……」
「おお、鋭いですやん。」
フィリップの推測にエステルとケビンは感心し
「……問題は一体誰が一服”盛った”かですね。」
「もしかして、”結社”の仕業、でしょうか。」
「それに何の為に、遊撃士協会の人達を眠らせたのでしょう?」
イオンとアリエッタはカリンと共に真剣な表情でアガット達に睡眠薬を持った相手が誰であるかやその目的を考え込んでいた。
「あれ、この手紙………」
そして辺りを見回したエステルはアガット達が倒れている机の上に置かれてある手紙に気付いた。
「ちょっと待て……。それ、俺らが受け取った封筒と同じとちゃうか!?」
「う、うん!」
ケビンに急かされたエステルは手紙の内容を読み始めた。
娘と公爵は預かった。返して欲しくば『お茶会』に参加せよ。
「あ、あんですって〜!?」
「こ、公爵閣下が……!?」
手紙の内容を読み終えたエステルは驚き、また内容を聞いていたフィリップも驚いた。
「『お茶会』の場所はやっぱり王都やったか……。そこに書いてある娘ってのは誰か分かるか?」
「はっ……!」
ケビンに言われたエステルはギルド内でまだ見かけていない人物――――エルベ離宮で保護した少女、ユウナの事に気づいた。
「ユウナ!?ユウナ、どこにいるの!?」
血相を変えたエステルは3階に上がって捜したが、目的の人物はいなかった。
「どうやらその子が掠(さら)われたみたいやな……。エステルちゃんの仲間か?」
「ううん、ある事情で預かっている子なんだけど……。よりにもよってこんな事に巻き込んじゃうなんて……!」
「エステルちゃん……」
「エステル様……」
「「…………………」」
「???(二人ともどうされたのかしら……?何だか厳しい表情をしているようだけど……)」
悔しそうな表情のエステルを心配そうな表情で見つめるケビンとフィリップとは逆に厳しい表情で黙り込んでいるイオンとアリエッタの様子に気付いたカリンは首を傾げた。
「ごめん、フィリップさん……。ひょっとしたら公爵さんもとばっちりを受けたのかも……」
「いえ、そうとは限りますまい。仮にそうだとしてもこんな時間まで1人きりで遊び呆けている閣下の責任です。どうかご自分を責めないでください。」
「そうやで、エステルちゃん。まずは手紙の『お茶会』が何なのか突き止めるのが先や!」
「う、うん……」
2人に元気づけられたエステルは『お茶会』を突き止める為に手紙を読み直した。
「そういえば『お茶会』って特務兵の残党の話が出たときにエルナンさんが言ってたような……。……って、ケビンさん。さっき手紙を読んだとき、『やっぱり王都やったか』とか言ってなかった?」
「なんや、聞こえてたんか。んー、実はちょっとした事情があるんやけど……」
「……その事情は俺達が説明するぜ。」
そしてエステルに尋ねられたケビンが事情を話そうとしたその時、ルークがシェラザードとフレンと共に下から上がって来た。
「お、ナイスタイミング!」
「久しぶりですね、ルーク。」
「へ……ル、ルーク兄!?それにシェラ姉とフレンさんまで……!?」
ルーク達の登場にケビンとイオンは明るい表情をし、エステルは驚いた。
「久しぶりね、エステル。ずいぶん大変なことになっているみたいじゃない?しかしケビンさん。お互い間に合わなかったみたいね。」
「ええ、面目ないですわ。」
「ど、どうしてシェラ姉達がここに……。それになんでケビンさんと話が通じちゃってるわけ!?」
ケビンと知り合いの様子のシェラザードに驚いたエステルは尋ねた。
「あたし達が特務兵のアジトを発見したのは聞いていると思うんだけど……。ちょうどその時、この人と知り合ってね。消えた残党の捜索に今まで協力してもらってたのよ。」
「勿論、お前らが”結社”を追っている事も話しておいたぜ。」
「そ、そっか……。だから事情に詳しかったんだ。」
「へへ、そういうことや。」
シェラザードとフレンの話を聞いてようやく納得したエステルは安堵の表情でケビンを見つめた。
「シェラ先輩!」
「お兄様!」
その時、アネラスとレンも走って上がって来た。
「あ、アネラスさん!?それにレンも!?」
「あら、エステルは眠らされてなかったのね。」
「エステルちゃん!よかった、無事だったんだ!それにケビンさんやイオンさん達もこっちに来てたんですね!?」
自分達の登場に驚いているエステルをレンは目を丸くして見つめ、アネラスは安堵の溜息を吐いた後ケビン達に視線を向けた。
「ああ、オレ達の方も間に合わへんかったけどな。」
「で、下の通信器はどうだった?」
「駄目です……。パーツが抜き取られたらしくてすぐには使えそうにありません。」
「しかも御丁寧に予備のパーツまで盗まれていたわ。」
「とすると……」
アネラスとレンの報告を聞いたシェラザードは3階に備え付けて合った予備の通信器を調べた。
「駄目ね、こっちも同じだわ。」
「それって……『敵』が壊したってこと?」
「もしかして”結社”の連中の仕業か?」
「間違いないわ。一体、何を狙ってこんな事をしたのか……」
「そうだ、シェラ姉!この置手紙なんだけど……」
そしてエステルはシェラザード達に手紙を見せて、事情を説明した。
「……………………」
「『お茶会』……。ようやく全てが繋がったわね。そのユウナって子と公爵を掠ったのは特務兵の残党に間違いないわ。しかも背後には『身喰らう蛇』がいるはずよ。」
事情を聞き終えたレンは呆けた様子で黙り込み、シェラザードは真剣な表情で頷いた後推測した。
「うん、あたしたちも変な機械に襲われたし……でも『お茶会に来い』ってどこに行ったらいいのか……」
「とにかく心当たりを捜してみるしかないわね。アネラス、フレンさん。一つ頼まれてくれない?」
「はい、何ですか?」
「『エルベ離宮』の警備本部にこの事を連絡してきてほしいの。周遊道に現れた武装集団はおそらく陽動に間違いないわ。」
「なるほど……」
「やはり狙いは王都やね。」
「確かにもし”敵”が特務兵なら、王都を狙う可能性は高いだろうしな。」
シェラザードの推測にエステルは頷き、ケビンとルークは真剣な表情で呟いた。
「わかりました!それじゃあ離宮までひとっぱしりしてきます!」
「アネラスさん、フレンさん、気を付けて!」
「お前らも気を付けろよ!」
そしてアネラスとフレンはエルベ離宮に急いで向かった。
「―――では僕達は城にこの事を知らせてきましょう。もし王都を狙っているのなら、真っ先に狙うのはグランセル城――――アリシア女王でしょうし。アリエッタ、カリン、行きますよ。」
「はい、イオン様。」
「…………………」
イオンの指示にアリエッタは頷いたがカリンは迷った表情でエステルとイオンを何度も見比べ
「その様子ですとエステル達を手伝いたいようですね……―――わかりました。カリンはエステル達を手伝ってあげてください。」
「!はい、ありがとうございます……!」
自分の気持ちを汲み取ったイオンの心遣いにカリンは嬉しそうな表情で頷いた。
「ルーク。彼女の事はお願いします。」
「ああ。」
そしてイオンとアリエッタもその場から去り
「あれ?今気付いたけど……そのシスターさんって、誰??イオンさん達と一緒に行動していたって事は……”星杯騎士”の人なの??」
カリンの存在にようやく疑問を抱いたエステルは首を傾げてカリンを見つめた。
「私の名はカリン・アストレイ。詳しい事は今回の件が終わってから話します。今はそれより攫われた方達の救出に向かいましょう。」
「う、うん。(あれ?この人の顔、どっかで見たことがあるような……?)」
カリンの顔をよく見たエステルは首を傾げ
「…………………」
(?どうしたんだ、レンの奴。)
真剣な表情で黙り込んでいるレンに気付いたルークは首を傾げて不思議そうな表情で見つめていた。
「執事さんは悪いんだけどギルドで待機していてくれる?公爵閣下は必ず取り戻すから。」
「……かしこまりました。待機している間、皆さんの介抱をさせて頂きましょう。どうか閣下をお願いします。」
そしてその場をフィリップに任せたエステル達はルーク達と共にギルドを出た。
〜エルベ離宮・紋章の間〜
「現在、周遊道北西エリアで第1〜第2小隊が展開中。まもなく包囲が完了します。」
「南東エリアでは特務兵数名がロマール池のさらに向こうに逃亡中。第3〜第4小隊が追撃を続けています。」
一方その頃、シード中佐は兵士達から現状の報告を聞いていた。
「ご苦労。現状を維持しつつ両集団の確保に努めてくれ。」
「は!」
シード中佐の指示に敬礼をした兵士達はそれぞれの持ち場に戻った。
「しかし解せませんねぇ……。一体、何を考えているのやら。まさか陽動のつもりですかね?」
「グランセル城には一個中隊を配備している。我々をここに留めたところで彼らに制圧するのは不可能だ。それとも我々の知らない切り札があるというのか……?」
「切り札、ですか?」
「失礼します!」
シード中佐の推測に副官が首を傾げたその時、一人の兵士が入って来た。
「どうした?」
「要塞司令部への連絡は完了。ただ、遊撃士協会の王都支部への連絡ですが……。何かトラブルでもあったのか先方に通じない状態です。」
「なに……?」
「いかがしますか?」
「ふむ、そうだな……。……念のため保険をつかわせてもらうか。副長、ここは任せた。私はしばらく通信室に詰める。」
「了解しました。して、どちらに連絡を?」
「もう一度、要塞司令部だ。」
そしてシード中佐は通信室に向かい、誰かと通信をした。
一方その頃、エステル達はギルドを出た時、ジークが現れ、エステル達を案内するようにどこかにゆっくりと飛んで行ったのでエステル達はシークを追って波止場に到着した………
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