義輝記 雷雨の章 その弐拾弐
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【 ………颯馬 死す! の件 】

 

? 洛陽、宮廷内にて ?

 

月「詠ちゃん……。 洛陽の周辺は、どう?」

 

詠「…………思っていたより、状況が悪いわ。 禁軍の北軍、南軍を率いて、何進が頑張ってくれているけど、決めてが無いのよ!」

 

長慶「二人共すまない。 私達も何とかしようと、手を砕いているのだが……」クッ!

 

月「いいえ!! 長慶さんや一存さん、左近さん、小太郎ちゃん、果心居士様には、精一杯守っていただいています!!」

 

詠「えぇ、月の言うとおり。 ………しかし、禁軍の軍勢が、こんなに怠慢で訓練不足だと思わなかったわよ! 敵が普通の奴と違うと分かっただけで、腰抜かすなんて……新兵だってしないわよ!?」

 

     ダッダッダッダッダッ!!!

 

一存「いやぁ〜、今回も疲れたぜ!」

 

長慶「一存! 部屋に入る時は、一声掛けろ!!」

 

一存「ご、ごめん! 姉さん! 月様! 只今、帰参しました! よおっ! 相変わらず、辛気臭い顔してんな! 詠は!?」

 

詠「ア、アンタね! 人が勝つための策練ってるのに、辛気臭いとは何よ! 辛気臭いとは─────!!!」

 

左近「おいおい、一存! 月様がいらしゃるのだ。 まず、月様に帰還報告をしてから、イチャイチャしてくれ!! ……月様、島左近! 只今、戻りました!!」ペコ

 

一存「おい! 左近! 俺はいちゃついてなど「一存!!」うっ!

分かった、分かりました!!」

 

月「はい! お二人共、お疲れ様でした。 お怪我はございませんでしたか?」

 

長慶「二人共、疲れている所を悪いが、現状況の説明を頼む!」

 

一存「あぁ、北軍八千、何とか耐えてるが……今日も百人以上討ち取られた! それに比べて、奴らは……いくら斬っても数が減らねえなんて……どうなっていやがる!!」

 

左近「私のところもそうだ…。 後、数日持つかどうかだ………」

 

一存「姉さん、陛下達の方はどうだい?」

 

長慶「陛下達には、万が一に備えて、禁軍の精兵数十人と果心殿に護衛をお願いしてある。 あの方が居れば、大丈夫だ!」

 

      ────────スタッン!

 

小太郎「───只今、戻りました! 月様!!」

 

月「小太郎ちゃん、お帰りなさい! どうでしたか!?」

 

小太郎「………見渡す限り『白装束』の輩ばっかりです! でも牙門旗も見あたらず、将の姿さえ分かりません!」

 

月「そうですか……将の姿が分かり、その者と交渉出来ればと思ったのですが…………」

 

詠「……月、気持ちは分かるけど、それは駄目よ。 相手が洛陽を攻め立てた時点で、交渉は不可! 今、ここで交渉なんかしたら、足元見透かされて、碌でもない要求してくるわ! ……辛いだろうけど、ここは耐えて欲しいの!!」

 

小太郎「…………………………」プルプルプル

 

長慶「どうしたのだ、小太郎? 具合が悪いのなら、報告は後で…「待って下さい! この場で…説明…致しますから」……分かった」

 

小太郎「まず、水関、虎牢関戦ですが、反董卓連合軍約十五万、お味方約二万五千! 今のところ、優勢に連合軍を翻弄しているとの事です。 後、天水にも五万の敵別働隊が、向かったそうですが、奇襲により壊滅したとの事!」

 

一存「戦勝報告じゃないか! それなら、数日後に颯馬が援軍引き連れて来てくれる 「颯馬様は……来れないのです……」……何!? どういう意味だ!?」

 

小太郎、一存除く全員「!!!!!」

 

小太郎「虎牢関終盤戦において………新たに任命された『天の御遣い』が現れて、人質を取り脅し……連合側の将と真剣勝負を……挑ませたとの事……です!!」ポロポロ ポロポロ

 

月「け、結果………は? 天城様は……? 天城様は、どうされたのですか!!! 教えて下さい、小太郎ちゃん!!」

 

小太郎「……連合側の将『楽文謙』と対峙、互いに応酬の末……引き分けたと…………。 

 

……ただ、颯馬様が……頭に酷い怪我を……負われ……

一時は回復したものの…………数刻後に……息を……引き取った……そうなんですよ!! ウワァ〜ン!! 颯馬様!! 」

 

月「───────────!!!」フラッ〜

 

詠「しっかりして、月!!」

 

一存「馬鹿な! あの颯馬が………死ぬなんて!! 何かの冗談だろう!! なぁ? なぁ! なあぁぁ!!!」ガクガク!

 

小太郎「わ、私だって──、わ、わ、私だっ、て、信じ、たく、な〜〜〜〜〜〜いぃぃぃ!!」ガクガク

 

長慶「止めないか、一存!!!」ツカッツカッツカッツカッ! パシィーン!

 

一存「痛ぅ、姉さん…! 姉さんは!! 颯馬が死んだ事を、そう簡単に受け止めるのかよ!! 俺の弟分であり、姉さんに取っては実の弟より可愛い奴じゃなかったのか「馬鹿者!!」───!!」

 

長慶「───私だって、悲しいさ! 思いっきり泣き叫びたい!! だがな………颯馬が、そんな事を望むか? 

 

あの心優しき『弟』が…だぞ!! ………ならば、残された私達は、颯馬の残した仕事を受け継ぐのみ!!! ……それに、お前が居なくなっても…同じ事だ!! お前も私の可愛い『弟』なんだからな!!」

 

一存「姉さん…………………すまない。 言い過ぎた」 

 

左近「……………………月様! このような時に、申し訳ありませんが、私は任務に戻らせていただく!! この状況を……一刻も早く覆したいので!!!」

 

詠「左近! まだ月が……!?」

 

月「………詠ちゃん、ありがとう。 だけど……大丈夫だよ。 

 

天城様はね、臣下として忠を尽くし、役目を果たして……天に帰られたんだよ、きっと………………………。 

 

……だから、今度はね。 私が……君主として、『董仲穎』として、天城様に報いたいの! こんな私を支えてくれた『天の御遣い』様の願いを叶えるために!! 」

 

詠「月…………………」

 

月「左近さん、貴女も……天城様に殉じるのですか?」

 

左近「颯馬とは親しい友であり、良き仲間、尊敬すべき軍師、そして……いや、言いますまい。 アイツの目指した『戦乱の無い世』を具現化するなら、ここで止まっていても、変わりありませんので!!」

 

    ダッダッダッダッダッ!!

 

一存「左近! 待てよ!? 

 

………くそっ! おなごの将がしっかり前を見て歩もうとしてるのに、女々しく落ち込んでたなんて、颯馬に知られたら……あの世で馬鹿にされちまう!!! 月様! 俺も行かせて貰うぜ!! 『鬼』二匹が王都を守護するんだ!! …必ず勝利してみせるさ!!」

 

     ダッダッダッダッダッ!!

 

小太郎「ウワァァァァァ─────────ン!!」

 

月「長慶さん………この部屋の中は……今、四人だけですよ?」

 

長慶「でしたら……門番にちょっと離れて貰いましょう」

 

 

詠「…………………ボクは、別に…………」

 

月「……そんな事言って、目尻に涙が溜まってる」フフフ…

 

 

長慶「………お待たちを致しました。 四半刻(約15分)は、離れているように頼んできました」

 

月「それでは……天城様を悼んで……泣きましょう! グスン、続きは……この戦に勝って………から!!!」

 

『ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

護衛は、後に『部屋から漏れ聞こえる涙声に………ただただ、胸が張り裂けそうな痛みを………受けました……』と、語る。

 

◆◇◆

 

【 何進、兵達に『友』を語る の件 】

 

? 洛陽内 練兵場 にて ?

 

 

何進は、禁軍の兵を緊急収集し………今回の吉報と悲報を告げる。

 

何進「 皆、今日まで…よく洛陽を守りぬき、住民達に成り代わり礼を言わせてもらう!! 」

 

様子は陽気な大将軍が何時もと違うため……兵達は戸惑う。

 

ここに、居る兵は禁軍洛陽市街の守備兵。 禁軍は約二万人程、洛陽守備のため颯馬が割り振った兵。

 

北軍に八千、南軍に八千に分け、担当守備を北門、東門を北軍に、南門、西門を南軍を配置して抵抗していた。

 

残りの兵は、洛陽市街を守備すると共に、北軍南軍の予備兵として存在していたのである。

 

何進「 二刻前に一報が入った! 反董卓連合軍壊滅の報が!! 」

 

『うおおぉぉぉーーーーーーー!!!!』と、喜びの声を爆発させる洛陽守備兵達! 

 

反董卓連合の兵数は凡そ二十万近くと噂が流れていた。 ……それなのに、天下の要害と知られた虎牢関に籠もるとはいえ……董卓軍のみの二万五千が阻むだけ。 

 

そんな絶望的な中を、どうやって勝てかは判らないが…『勝利』と言う言葉に酔いしれた。 

 

そんな圧倒的多数の中に、少なからず疑問を抱く者も居た。

 

『 ……………勝利すれば、喜ばれそうな大将軍が……何故、あんな悲しそうな顔を、されているのだろう……………? 』

 

何進は、雄叫びが下火になるのを確認した後、話を切りだした。

 

水関、虎牢関で、大軍を数々の策で手玉に取り、勝利へと導いてくれた『 伏竜の軍勢軍師 天城颯馬 戦死 』の報告を…………。

 

何進「 ────俺は、お前達の上官であり、大将軍という武官最高位の地位に着いている。 お前達を顎で使い、さぞ優雅な生活をしているだろうと思うが……はっきり言うと……孤独な毎日だ!

 

周りには、宦官のように媚びへつらい、妬みの眼差しを向けられるか、どこかの太守のように、その後釜を狙いにくるような野望溢れる者しか集まらない!! 元肉屋のオヤジである俺が言うのだ、信用出来ないかもしれんが、事実だ!!

 

そんな中で……アイツ……天城だけは……俺を立てながらも、気安く接してくれたんだよ!

 

……一つ尋ねよう。 お前達の中に、俺がボケたら、ツッコミを入れる事が出来るのは何人居る? お前は……? お前はどうだ? 

 

……………………………………………………………

 

……………やはり誰も…………居ないか。 

 

だがな! 天城は……数少ない対面に関わらず、神速のツッコミを何回もしてくれたぞ!! 己が『天の御遣い』だろうと、俺が『大将軍』の地位に着く肉屋だろうと、全く関係無しに痛烈にな…… 」

 

『シ──────ン』と静まり返った中で、何進の涙ながらの野太い声が響き渡る────。

 

『軍師、天城颯馬』 『伏竜の軍勢』 『天の御遣い』の事を聞き、幾人かが『 あの方が……… 』と、声を挙げる。

 

兵達の中でも、幾人か世話になった者が居た。 

 

少なからず仕事を手伝ってもらったチャカリな奴も居た。

 

中には、命を救われた者も……居た。

 

そんな事を一人が呟くと、俺も俺もと、言い始めた。

 

何進「 ………お前達の中で、『 俺は恩も借りも無い! 』と、言う者が居れば……俺は激しく其奴を叱り飛ばしてやる!! 

 

『 本当に何も無いと答えられるのか!? 』とな!

 

この洛陽に襲いかかるはずだった、連合軍を阻止してくれたのは、どこの誰だと応えてみせよと!!! 」

 

その言葉を聞いて『 あっ! 』とした顔を見せる者達!!

 

何進「 ……我々は……今、滅亡の危機に瀕している! 確かに危ない、明日には落とされるかも知れない! 

 

だが、怯えていて何になる!! 己の大事な者さえ守れきれず、あの世で『 天城颯馬 』に顔向け出来るか!! 

 

兵達よ! 立ち上がれ!! 

 

我々が勇敢に戦い抜き、『 天城颯馬 』の恩に報いる事が出来たと、勝る働きは出来なかったが、劣らぬ働きは出来たぞと、胸を張って言ってやるがいい!!!! 」

 

禁軍兵『 オオオォォォォ─────────!!! 』

 

◇◆◇

 

【 駆け巡る訃報 の件 】

 

?洛陽 宮廷内 皇帝私室 にて?

 

金糸「……此方只望………是否?」

 

訳(私達は……ただ傍観しているだけで……いいのでしょうか?)

 

銀糸「お姉様…………」

 

金糸「……虎牢関敵味方相阻止…包囲洛陽、謎軍対味方! 因果我守護…………! 」

 

訳(虎牢関では、董卓軍が反董卓連合を洛陽進出を阻み、洛陽を包囲する得体の知れない軍勢には、叔父上と董卓達が対処してくれている! だが……原因になった私は、ただ守られるだけなんて……!)

 

銀糸「ですが、皇帝とは、そういう者だと…………」

 

金糸「…昔日、先帝曰『天上地下忘却否支柱、支柱倒天落必然』…」

 

訳(……『上に立つ者は、下で支えて貰っている者の事を忘れてはいけない。 下の者が倒れれば、必然的に上も倒れる』 昔、病に倒れる前の父上は、そう仰いましたよ………)

 

銀糸「………………………!!」

 

金糸「……原因玉座我不幸、罪人敵渡、禅譲新帝…………」

 

訳(…………元はと言えば、私が皇帝の玉座に座ったのが間違い! 

少し遅いかもしれませんが、銀糸に皇帝の座を禅譲し、私を反董卓連合軍に引き渡せば……………)

 

銀糸「止めて下さい!! 姉上!! 姉上は立派に皇帝としての責務を果たしておいでです!! 『天城颯馬』も、申していたではありませんか? 必ずこの状況を覆せれると!!!」

 

        スッ!

 

果心「………お二人共、緊急の事態が…入りました……」

 

金糸「…………!」

 

銀糸「虎牢関が………落とされましたか!?」

 

果心「いえ、逆に反董卓連合軍壊滅の報告が参りました。 颯馬達は、上手く撃退出来たようです、くつくつ………」

 

銀糸「……じゃあ、吉報!?」

 

金糸「…………」

 

訳(………にしては、果心殿が……とても悲しそうですが……?)

 

果心「…『天城颯馬』戦死の報告も、同時に届きましたよ………」

 

金糸、銀糸「「 !?!? 」」

 

果心「………月殿から……頼まれましたよ。 もし、禁軍敗れしときは……お二人と一緒に難を避けて欲しい………と」

 

金糸「─────────────────!!」

 

銀糸「──────────そんな!?」

 

 

 

◇◆◇

 

【 狐と狸の化かし合い の件 】

 

? 虎牢関 門前 にて ?

 

華琳「………………ねぇ、こんな虚言を報告させて、大丈夫なの? 『天城颯馬』? 」

 

颯馬「……………大丈夫じゃないが、これしか方法が思い着かなかった。 洛陽の皆を騙すのは気が引けるが………………」

 

 

☆★☆  ☆★☆  ☆★☆  ☆★☆  ☆★☆

 

虎牢関の戦いは、俺達『董卓軍』側の勝利に終わる! 

 

 

新たに『天の御遣い』を名乗った劉岱は、袁遺が召喚した三将に討たれて戦死。 三将も『天の御遣い』を討てた事により、仇討ちに満足したらしく、声にならない声と剣をあげて勝利を祝いつつ、消滅していった──────

 

     ………………………………………

 

…………俺が、凪殿と信廉殿の肩に掴まり外に出れば………味方の姫武将達に揉みくちゃにされる……………

 

義弘「馬鹿! 馬鹿!! 颯馬の大馬鹿あぁぁぁ!!」

 

信長「この空け者(うつけもの)めがあぁぁぁ!!」

 

特に……この二人が涙ながら罵倒されてるには、心が痛む。

 

無論、『申し訳ないな……』と思うのは、この二人だけではなく、笑いながら涙を流す光秀、義輝、姜伯約殿、謙信殿。

 

頬を膨らませ、此方を睨む信玄殿、歳久殿、ねね。

 

素直に笑い喜んでくれている家久殿、忠勝殿、信廉殿、義久殿、郭奉孝殿、昌景殿、三太夫、霞、華雄、恋。

 

二人の名が挙がるのは、普段との落差が激しいので、印象に残ったから。 うん、それだけ……………。

 

後、凪殿が仲間に入った事に、相当な反発があるかと思えば……『陳留の武神』の名が良いように広がっていた事、俺を攻撃した事はやむを得ない事だからと納得されたらしく……文句は出なかった。

 

だが……何故、盛大な溜め息を皆で吐いたのか、是非に事情を説明願いたい!!! なぁ、三太!? むっ………逃げたられたか!

 

 

卑弥呼と華陀は、用が出来たと早々に陣から去り、礼を言う暇さえもなかった。 …………心の中で礼の言葉を呟いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺達が、兵を集めて死傷者の確認を行い指示を出していると、反董卓連合の盟主と副将二人がやって来た。

 

 

颯馬「───まだ居たのか! 洛陽が大変な事は、郭奉孝殿が伝えてくれた筈! この機を逃せば、どうなるか判断できるだろう!?」

 

 

一刀「天城様、俺の話を聞いて欲しい! 実は……グッ!」グィ!

 

麗羽「『御遣い様』、ここは華琳さんにお任せしましょう! あの軍師に対抗できるのは、残念ながら…華琳さんしか居ません。 私達は見守るしか無いのですわ…………」

 

 

華琳「その事で話があり参上した次第。 改めて紹介をさせてもらう。 我が姓は曹、名は操、字は孟徳!」

 

颯馬「存じていると思うが、『天城颯馬』と申す! 字と真名は無いため、如何様に呼ばれようが構わないので! 後、口調も普通で結構ですよ………」

 

華琳「では、天城殿! どなたか…私達に同行を求めたい! このまま行軍して、敵と見なされ攻撃されれば、私達も黙っている訳には、いかなくなるのよ!!」

 

颯馬「………ふむ、それはあり得ますね。 それでは、誰か「私達は天城颯馬を要望したい!」……私ですか?」

 

華琳「貴方なら、洛陽側にも面識があり、絶大的な影響力を及ぼしていると思われるから。 どう? この推測、間違い無いと思うけど?」

 

颯馬「…………成る程。 私を人質に取り、背後からの攻撃に備える考えですか。 抜け目がありませんね、曹孟徳殿?」

 

華琳「……拒否するなら、洛陽救出は無「良いでしょう! 同行致しますよ」あら? 返事が早くて大変助かるわ!」ニヤリ

 

颯馬「いえいえ、『彼を知り、己を知れば、百戦して殆うからず』 が実現できますからね。 強敵になりそうな将を、じっくり観察する事が出来る良い機会ですよ………」ニヤニヤ

 

華琳「………それは、負け惜しみかしら? 

 

確かに、戦では言いようにやられたけど、今のやり取りに関しては、私の方に分が有るわよ? それに、『私が、逆に貴方を知る事が出来る機会を得た』とも、言い換える事が出来るのではないの?」

 

颯馬「ふふふ、それはどうでしょう? 

 

曹孟徳殿は……私の仲間達を侮っておられないか? 

 

五万に包囲される中、洛陽と連絡を取れ合う事が可能な諜報部隊『忍び』ですよ? 仲間に頼めば、貴女方が味方だと洛陽に知らせるのは容易な事。 私を人質に取っても、脱出など朝飯前です。

 

さて、私がこんな事を申せば………貴女は考える筈。 

 

『何故、解決策が出ているのに、要望を承諾したのか?』と。

 

………如何でしょうか? 曹孟徳殿?」

 

 

華琳「…………………」

 

 

颯馬「それに、貴女が私の事を知ると言いますが、短時間で私の事をどこまでわかるのでしょうかね? 

 

……私も、北郷殿と同じ別世界の人間です。 

 

北郷殿の居た世界より、数百年前の時間の住人になりますが、この世界の事象、人物には同じように知識があります。 その事を踏まえ、今の貴女を照らし合わせれば、大方…判明するでしょう。 

 

ですが……貴女には、勿論そんな知識はないでしょう? それなのに対等と考えるのは、片腹痛いと申し上げるのです! 」

 

華琳「……………負けたわ。 

 

どう? 今からでも遅くはないわ! 私の『……誰が誰の下へ勧誘する気だぁ? 曹操!』ビクッ!!」

 

信長「この『青二才』が!! 才気ばかり走るのみで、身体が成長しておらんではないか!? 颯馬を誘惑したければ、私みたいに成長を遂げた後にしろ!! 」

 

華琳「なっ! 何ですって!? もう一度ほざいてみなさい!!」

 

信長「何度でも言うてやろう!! 貧………」

 

颯馬「おい! 信長、止めろ! 止めろって!!!」

 

一刀「華琳! 止めてくれ!! 今はそれどころじゃ無いはずだ!」

 

麗羽「華琳さん、いい加減になさい!! な、何ですの? 私の胸を睨みつけ………あぁ、羨ましいです「違うわよ!! 馬鹿!!」 キィィィ────そんな事を仰る方が馬鹿ですわぁ!!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

こんな……馬鹿げたやり取りしていた時に、三太夫が呆れた顔をしながらやって来て告げる。 

 

洛陽に居る小太郎配下の忍びが、状況確認で来たと。

 

その報告を聞き、少し考えた……………。 

 

この現状での方策を、どうするべきかと。

 

…………今から出発しても、数日はかかる。 もし、その間に洛陽が落ちてしまえば、月様や皇帝陛下、皆が危ない!! 

 

ならば、背水の陣を引いて頑張って貰おうと思い、策を練った結果が……『天城颯馬は虎牢関の戦いで戦死』との捏造報告だった。

 

『伏竜の軍勢』で皇帝陛下まで名を知られているのは、俺だけと言う単純な考え。 『やっぱり、名の知れた奴が死なないと、奮起してくれないからな……』と皆に言うと、一斉に再び溜め息が────!?

 

何? 俺じゃ知名度低過ぎて、駄目なのか!? やはり大将である義輝にしようかと、慌てふためくと………叱られた。 

 

………何故か、曹孟徳殿に……………!?

 

華琳「私達を……散々な目に合わせた策の軍師が、知名度低い!? 何戯れ言ほざいているのよ!! サッサッと実行なさい!!!」

 

…………………………orz

 

まぁ、そんな訳で報告を義輝経由で流し、俺は、反董卓連合軍と共に洛陽に向かう事になった。

 

………無論、俺一人では、襲われた時の対応ができない。 こうやって普通に話す事には問題無いのだけど。 

 

そのため、護衛として『楽文謙』、『織田信長』、『武田信玄』、『本多忠勝』、『呂奉先』、『華雄』、『百地三太夫』が付いてきてくれる事になった。

 

他の皆は、休息後、簡単に後始末をしてから、洛陽に向かってくれる事になっている。

 

☆★☆  ☆★☆  ☆★☆  ☆★☆  ☆★☆

 

幾度からのやり取りをする内に、曹孟徳の器がぼんやりと見えだす。

 

『一人の虚勢を張る女の子?』………いやいや、そんな馬鹿な……

 

俺は曹孟徳と会話を続ける。 相手を更に知るために。

 

華琳「……確かに、策としては……それが上策と言うのは分かるわ。 けど、洛陽に居る皆の『心』が納得してくれるのかしらねぇ? 」

 

颯馬「……………その時は、土下座してでも許して貰うよ。 皆が無事であれば………」

 

華琳「───あっ、一刀がよくやってる『天の国で行われる最大の謝罪姿勢』ね!?」

 

颯馬「…………連発されると、価値が暴落するんだが…………」

 

華琳「『一刀』だから、許してあげているのよ……」

 

颯馬「ふむ、『モノ自体』に価値が有るため、附属部分の価値は下がらないか………。 成る程、覚えておこう!」

 

華琳「……何となく桃香達が、貴方が一刀に似ていると言う意味、分かった気がするわ………」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最期まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

別に『4月1日』が近いから考えた…ワケではないんですが。

 

何故か、『嘘』、『馬鹿』が散りばめた話になりました。

 

ユックリするつもりが、結局いつも通りとなり作品を考案中。

 

何故か、洛陽戦じゃなくて、次の舞台の策作りに一生懸命です。

 

策の一部は、『棘(いばら)砦の計』、『牝馬の計』(本物の馬です)として使う予定です。 特に『官渡の戦い』で。

 

『青州の戦い』でも、『○夜○の計』などを用意しようかなと。

 

当分先の話ですので、予定変わるかもしれません。

 

また、よろしければ読んで下さい。

 

説明
義輝記の続編です。 また、よろしければ読んで下さい。
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コメント
お仕事お疲れ様でした。 年度の変わる季節、皆さん大変かと思いますが、お身体には、くれぐれも気を付けて!!(いた)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 華琳の会話は、『伏竜の章 その四』の桃香達の会話を元にして書いています。 華琳達は、一度の負け戦では諦める事は、しないと原作からの印象のため、もう一度戦わせたいとの判断です。(いた)
40分前に一週間ぶりに帰宅、明日はオフ、やっとマイPC使える。(禁玉⇒金球)
必死に利点を引き込もうとする曹操、逆境にあって見上げた物ですが見殺しがお家芸っぽい陣営には信用はされませんし今帰省しても意味なしの悪手では?。おいおい桃香達は颯馬を極悪人扱いしてるのにそれはないでしょう。(禁玉⇒金球)
naku様 コメントありがとうございます! まぁ、この時代に無い『モノ』を献策するだけです。 教科書に書いてある墨俣○夜○とか? それを実現させるのが軍師3人の知力ですね。(いた)
naku様 コメントありがとうございます! 今回、一刀は……頑張れるのかな? 次章では獅子奮迅の活躍を見せてくれる(主に策発案で)予定ですのでお楽しみに。(いた)
雪風様 久し振りのコメントありがとうございます! 普通なら……そうですが、あの姫武将が動き始めます。 陽動で守備が薄くなれば……と、攻めるのは一カ所ですね。(いた)
一時の劇薬にも似たこの策・・洛陽側の士気は一時上昇・高揚しますが・・時が経つにつれやはり天城の死の方は真実であった。そうなると士気は低下下手したら天城の元へと行きたがり特攻をしかけてもおかしくはない状況が生まれるでしょう(雪風)
ふかやん様 コメントありがとうございます! 悪手…かもしれませんね。 でも、洛陽が落ちると、もう一つの策が発動しないので……。 実は、一人だけ戦に参加していない人物が居るんです。 参加者の表記にも記載をワザと省いてある人が。(いた)
『敵を欺くにはまず味方から』とは言うが・・・やはり颯馬の今回の献策は悪手としかいえないのではないのでしょうか?(ふかやん)
mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! さて、どうなるか…… 何人かの逆鱗には触れるのは、間違いないですけど。 (いた)
そんな嘘ついて土下座位で済めば良いですが…。(mokiti1976-2010)
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