英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク |
〜遊撃士協会・グランセル支部〜
「あ……!」
「ケビン神父。それにシスターイオン達も。お待ちしていましたよ。」
ケビンの登場にエステルは驚き、エルナンは笑顔で出迎えた。
「やー、遅れてスンマセン。今までカラント大司教にこっぴどく説教されてましてなぁ。それで遅れてしまったんですわ。」
「ケビンのせいで、アリエッタ達まで、説教されました。」
「まあまあ。”オルグイユ”を止める為の緊急措置だったのだから仕方ありませんよ。」
(この人達がヨシュアがお世話になっていた………)
苦笑しながら説明するケビンをジト目で睨むアリエッタをイオンが諌め、カリンはエステル達を見回していた。
「………………………………」
「どした?オレの顔に何かついとる?」
エステルにジッと見つめられたケビンは目を丸くして尋ねた。
「あのー、今更といえば今更な質問なんですけど……。結局ケビンさんって何者なの?やっぱりアリエッタさん達と同じ”星杯騎士”なの?アリエッタさん達と顔見知りのようだし。」
「ええ、それがあったわね。あたしたちも結局、はぐらかされたままだわ。」
「もちろん普通の神父さんじゃないんですよね?」
ジト目のエステルの質問に続くようにシェラザードとアネラスもそれぞれケビンを見つめて尋ね
「そやな……。改めて自己紹介しようかな。―――七耀教会『星杯騎士団』に所属するケビン・グラハム神父や。以後、よろしく頼みますわ。」
尋ねられたケビンは頷いて自己紹介をした。
「―――では、僕も自己紹介を。―――七耀教会『星杯騎士団』所属『守護騎士(ドミニオン)』のイオン・ジュエと申します。以後、よろしくお願いします。」
「イオン様の”従騎士”、アリエッタ・タトリン、です。」
「”守護騎士”………?」
「ふむ、聞いたことがある。”星杯騎士団”を統率する十二名の特別な騎士たち。噂では、一人一人が恐るべき異能を持つという。」
「!…………………」
イオンの自己紹介を聞いて首を傾げるエステルにオリビエが説明し、説明を聞いたアーシアは驚いた後真剣な表情でオリビエを見つめていた。
「い、異能………」
「……要は”星杯騎士団”の幹部って奴か。」
「まさか”星杯騎士団”にそのような存在がいるとは……」
オリビエの説明を聞いたエステルは呆け、アガットは真剣な表情でイオンを見つめ、エルナンは驚き
「へ〜、よく知ってますやん。正直、驚きましたわ。」
「ハッハッハッ。そう褒めないでくれよ。照れちゃうじゃないか♪」
「誰も褒めていないわよ……一体どこでそんな情報を仕入れてくるんだか。」
ケビンに感心されて笑っているオリビエを見たシェラザードは呆れた表情で溜息を吐いた後意味ありげな視線でオリビエを見つめた。
「それで気になっていたんですけど、そんな教会の裏組織の偉い人がどうしてリベールに?」
「オレらがリベールに来たのは『結社』の調査のためやからね。正確に言うと……連中が手に入れようとしとる『輝く環』の調査なんやけど。」
「!!!」
「『輝く環』……!」
アネラスの疑問に答えたケビンの話を聞いたエステルとクロ―ゼは驚いた。
「ええ、そうですわ。どうもここ最近、大陸各地で『七の至宝』に関する情報を集めとる連中がいるらしくて……。教会としても、その動向にはかなり目を光らせていたんですわ。そんな折、別の任務の関係でリベールに滞在していて、ジュエ卿の指示でクーデター解決に力を貸していたアリエッタさんから『輝く環』の情報が入ってきた。そこで、真偽を確かめるべく新米のオレが、別の任務を終えてそのまま『輝く環』を調べる事になったジュエ卿とアリエッタさんを手伝う為に派遣されたわけです。」
「そうだったんですか……」
「それじゃあ『輝く環』って本当にリベールにあるわけ?封印区画に無かったってことはただの伝説だと思ってたけど……」
「そもそも、どういう物かも判ってねえそうじゃねえか?」
「ま、そのあたりの真偽を調べるのもオレらの仕事なわけや。今日来たのは、こちらの事情を説明してもらおと思ってな……。つまり、また何かあった時はお互い協力しようってこっちゃ。」
「なるほどね……。うん、こちらも望むところよ。」
「そうだな。こちらとしても助かるぜ。」
「これも何かの縁だし、困ったことがあったら連絡して。」
「おおきに!ほな、オレは今日のところはこれで失礼させてもらいますわ。またな〜、みなさん!」
そしてケビンはギルドを去った。
「それでそっちの方はまだ行かなくていいのか?」
未だギルドから去らないイオンたちが気になったフレンはイオンたちを見つめて尋ね
「ええ。彼女―――カリンが皆さんにまだ挨拶をしていないので。」
尋ねられたイオンは頷いてカリンに視線を向けた。
「挨拶??」
イオンの話を聞いたエステルが首を傾げたその時
「!そう言えば他の件で忙しくてカリンさんの事を伝えるのをすっかり忘れていたわ!」
「エステルちゃん!その人、ヨシュア君のお姉さんだよ!」
ある事に気付き、シェラザードとアネラスが血相を変えて言った。
「え―――――」
二人の話を聞いたエステルが呆けたその時カリンがヴェールを取り
「―――ヨシュア・ブライトの姉、カリン・アストレイと言います。ふふ、ようやくヨシュアの姉として皆さんに会う事ができましたね。」
自己紹介をした後微笑みながらエステル達を見回した。
「ヨ、ヨシュアおにいちゃんのおねえちゃん!?」
「おいおいおいおいっ!一体どうなってんだ!?」
「ほう……これはまた別嬪な娘さんだな。」
「おおっ!まさかあのヨシュア君に姉君がいるとは!しかもヨシュア君似という完璧さ!ああっ!是非ともヨシュア君と並んでいる姿を見てみたいよ!」
「た、確かにお芝居の時に女装したヨシュアさんとそっくりですね……」
「………………………」
ヨシュアの姉の存在に仲間達が驚いたりそれぞれの感想を言い合っている中、エステルは口をパクパクさせてカリンを見つめ
「えええええええええええええええっ!?」
やがて我に返ると大声を上げた!
「驚きすぎよ、エステル。」
「そんなに驚く事か?」
エステルの驚きようにアーシアは呆れ、フレンは首を傾げ
「アハハ、予想通りの反応ですねえ。」
「まあ、あたし達でさえも驚いたんだからね。」
アネラスとシェラザードはそれぞれ苦笑していた。
「当たり前でしょう!?ヨ、ヨシュアにお姉さんがいるなんて初耳だし!あ〜、もう!レンといい、何で家の養子になった人達はみんな、”今の家族”のあたし達に血が繋がっている姉妹(きょうだい)の存在を黙っているのよ〜〜!?」
(ふふ、厳密に言えばルークにも血が繋がっている兄と思われる存在はいますけどね。)
(確かに、オリジナルルークのアッシュ、レプリカルークの年齢考えると、レプリカルークの実の兄、ですね。)
驚愕してカリンを見つめるエステルの反応を苦笑しながら見守るイオンの言葉にアリエッタは同意した。
「クスクス、何度か遠目で見た事はありますけど、こうして近くで見ると本当に明るくて可愛らしい方ですね。」
「へっ!?も、もしかしてあたしを見た事あるの??」
「ええ。幼い頃のヨシュアと一緒に遊び廻っている風景を稀に遠目で見た事がありますので。」
「え、えっと……カリンさん、だっけ?その……ヨシュアの事なんだけど……ヨシュアのお姉さんのカリンさんなら、ヨシュアがどこにいるとか……知らないの?」
微笑みながら自分を見つめるカリンをエステルは嘆願するような表情で見つめて尋ねた。
「―――申し訳ないですが、私もあの子の行方に関してはわかりません。私を保護して頂いたイオン様達に無理を言ってあの子を探す為にこうしてイオン様達に同行しているので……」
「へ……」
「”星杯騎士”―――それも”星杯騎士”達を統べる立場の方が一般市民を”保護”、ですか?一体何の為に……」
カリンの説明を聞いたエステルは呆け、エルナンは目を丸くしてイオン達を見つめた。
「すみませんが彼女の事情に関しては黙秘させて頂きます。彼女が生きている事がわかると様々な複雑な問題が発生し、彼女の身が危険に晒される可能性がでてきますので。」
「カリンが生きている事は、リベールとエレボニアの国家間の問題にも絡みますので、カリンの存在は秘密にして、下さい。」
「ええっ!?リ、リベールとエレボニアの!?」
「……………………………(フム、ヨシュア君の姉君という事は彼女も”ハーメル”の生き残りなのか………?)」
イオンとアリエッタの口から出た予想外の話にクローゼは驚き、オリビエは真剣な表情でカリンを見つめていた。
「えっと事情はよくわからないけど、今までヨシュアの前に姿を現さなかった事はその事も関係しているの?」
「……ええ。それにヨシュアは記憶を失っていたとの事でしたので……私と出会ったら辛い記憶を思い出させると思い……辛い記憶を忘れたまま幸せになってくれる方がよっぽどいいと思いましたので、今までヨシュアに会わないにしていたんです。」
「あ……………」
カリンの説明を聞き、ヨシュアの壮絶な過去を思い出したエステルは複雑そうな表情をし
「で、今になって俺達の前に姿を現したという事はそっちもヨシュアに会う気なんだな?」
今まで姿を消していたカリンが自分達の前に現れた意味を考えたフレンは真剣な表情でカリンを見つめて尋ねた。
「はい。私は私でイオン様達と共にヨシュアの手掛かりを探すつもりですので。ヨシュアを探すエステルさんや、エステルさんと共にヨシュアを探している皆さんに一度ご挨拶をしておこうと思いまして。」
「そうなんだ………え、えっとカリンさん。その、あたし……」
カリンの説明を聞いて納得した様子で頷いたエステルは目の前の女性が好きな男の子の姉である事に今頃気付いて顔を真っ赤にして口ごもり
「フフ、私はエステルさんのような明るくて可愛らしい女の子がヨシュアの恋人になってくれるのなら、嬉しいですよ。むしろヨシュアには勿体ないくらいです。」
「あう………」
カリンに微笑まれると真っ赤にした顔を俯かせ
「フフ……では僕達もこれで失礼します。」
エステルの様子を見て微笑んだイオンはアリエッタとフードを被り直したカリンと共にその場から去って行った。
「よかったわね〜。実の姉からヨシュアの恋人になる事の許可をもらって♪」
「うぐっ……」
イオン達が去った後シェラザードにからかわれたエステルは真っ赤にした顔で唸り
「カリンさん、素敵な方でしたね……」
「えとえと……すっごくキレイな人でした!」
クローゼとティータはそれぞれ憧れの表情でカリンが去った後を見つめ
「フッ、次に会った時は必ずボクの愛を奉げ、デートに誘わないとね。」
「んなこと、弟(ヨシュア)に知られでもしたら殺されるんじゃねえか?」
髪をかきあげ、酔いしれた表情で呟いたオリビエの言葉を聞いたアガットは呆れた表情で呟いたその時、通信器が鳴り、エルナンは通信を始めた。
説明 | ||
第64話 | ||
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コメント | ||
感想ありがとうございます Kyogo2012様 原作だと本来なら既に死んだ存在けどね……というか光と闇の軌跡の際にも登場していますが………(sorano) ・・・・・・・・な、なんだと。ヨシュアに姉がいる?マジか?(Kyogo2012) |
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