もしも冥琳が…ゆるキャラだったら。
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もしも……、冥琳がゆるキャラだったら。

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「……北郷、起きてくれ」

 

 

外が闇夜に閉ざされている中、北郷の部屋に起床を促す冥琳の声が響く。

 

 

「……んっ、……あっ、ああ、おはよう冥琳」

 

 

目を覚ますには早すぎる時刻であったが、北郷はさして不快感も見せず、その言葉に従って身を布団から離す。

 

 

「ああ、おはよう北郷」

 

 

北郷の前でメイド姿をした冥琳が微笑んでいる……はずなのだが。蝋燭の揺れるささやかな光だけでは暗闇にかき消され、その表情は北郷には見えない。

 

 

「今日も夜遅くありがとうね、冥琳」

「かまわんさ、お前を起こす事がメイド長たる私の仕事だ」

 

 

とはいえ、見えない笑顔にも北郷は冥琳に笑みを向ける、自らのメイド長である冥琳に対する労いを見せるために。

 

 

「……今日は昼から祭事があるから天の象徴、まあ、学園の制服を着とくんだよね」

「ああ、今日も忙しい。着替える暇が無いから今から着替えておいてくれ」

 

 

北郷は冥琳に身だしなみを整えて貰いながら、今日の確認を取り。

冥琳も用意した制服を北郷に羽織らせる。

 

「あの……冥琳」

「んっ、なんだ」

 

 

のだが……。

 

 

「逆」

「逆?」

 

 

冥琳は頭を少し、斜めに向ける。

 

 

「いやっだから、逆」

「ギャク??面白い事でもあったのか」

 

 

冥琳の頭が更に傾く。

 

 

「いやっ、制服の裏表が逆なんだよ冥琳」

「なっ!」

 

 

確かに、制服を見るとボタンが裏返っていた。

 

 

「……すまん」

「だ、大丈夫だよ冥琳」

 

 

顔を下向けシュンとする冥琳の頭を、北郷は軽くなでる。

……週一で裏向きに服を着させちゃう自分のメイド長を。

 

 

 

「……」

「いいよ、いいよ」

 

 

生真面目な為、朱里等に比べればちょっと撫でられたぐらいでは気が治まらず。一分ぐらいなで続けないと気を持ちなおさないメイド長を。

 

 

「……本当にすまん」

 

 

ようやく気を取り戻しだ 冥琳は、しっかりしようとその目じりに力を入れ直す。

ただ……、キリッとした見た目なのに、瞳には涙を潤ませてる姿を見て。

 

 

「ごめん!冥琳!!」

「なっ、北郷! ちょっと待て、お前にはしごとがっ……」

 

 

「なんなんだろ、この可愛過ぎる生物」っと、思って北郷が暴走したのも理解してあげよう。

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「「……」」

 

 

皇帝北郷と、元呉王で司空(行政を司る長官)雪蓮は鶏が鳴き出す前より、黙々と机に?付いていた。

時間にすれば、かれこれ10時間程の時間がたっている

 

 

「……あはっ、あはっ、竹簡なんてみんな焼いちゃえばいいのよ。そうよ、そうなのよ」

 

 

雪蓮が気が狂った様に呆けた笑い声を吐きながら、目の前の竹簡に目を通していた。

アレな娘だった冥琳の代わりに、この外史においては雪蓮は元呉王として北郷と共に冥琳の仕事分をなりかわり続けいた。その為、本来グータラ振りは何処かに吹っ飛び、一分一秒仕事に追われた心身とも疲弊しつくした枯れたような存在になっていた。しかも。

 

 

「一刀、お茶を置いておくぞ」

「えっ、ちょ、ちょっと、冥琳……あ、ああ……」

 

 

北郷が採決したばかりの、墨が乗り切っていない竹簡の上に冥琳がお茶をおいてしまい文字が滲んでしまった。

 

 

「・・・・・・すまん」

「いいよ、いいよ」

 

 

生真面目な為、月に比べればちょっと撫でられたぐらいでは気が治まらず、「へうう〜」とも漏らさず。

以下省略

 

 

「……本当にすまん」

 

 

しっかりし直そうと、その目じりに力を入れ直す。

ただ・・・…、キリッとした装いに、潤ませた目を見て。

また省略

 

 

「ごめん!冥琳!!」

「なっ、北郷! ちょっと待て、お前にはしごとがっ……」

 

 

こちらは自主規制となります。

 

 

「……あはっ、あはっ……ねえ、お母様、可笑しいの、いくらやっても竹巻がなくらないのよ」

 

こんな流れで北郷と冥琳の二人がちょくちょく桃色世界に飛び去るため。

余計仕事が増えている雪蓮は、本当に「おかしい」らしく、虚空を見ながら天に旅立った母に呼びかけていた。

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「はぁ〜……、やっとお昼か」

「ああ、ご苦労だったな北郷」

「冥琳もご苦労様」

「構わんさ。というより、毎回同じ事を言って済まないが、私はずっとお前の横に立っているだけで、労われるような事はなにもしていない」

「いいんだよ、冥琳が横にいるだけで俺は仕事が捗るんだ」

 

北郷の言葉はあながち嘘ではなく、中身が「アレな娘」でも、冥琳は冥琳なので見た目背をすっと伸ばしている姿は凛としており、そんな姿を見るだけで北郷の気は引き締まり、仕事に集中できる。

 

 

「そ、そうかならいいが」

「め、めいり……」

 

しかも、その凛とした姿の後に、こんなデレテレ顔みせられたら業界の人大喜びで。

北郷は、又冥琳と共に桃色世界に飛びかけそうになるが。

 

 

「ご主人様、失礼してよろしいですか」

 

 

メイド「頭」、月の「ノック」でなんか押しとどまった。

 

 

「あっ!ああ…、月入っていいよ」

「はい、失礼します」

「あっ、ご飯もってきてくれたの」

「はい、忙しそうだったので」

「いや、本当に助かるよ、月」

「へうう〜、メイド「頭」として当然です」

 

 

お気づきであろうが、冥琳は自らをメイド「長」と呼び、月はメイド「頭」と自分を呼んでいる。

実は北郷の身の回りの世話をするメイド集団にはトップが二人いるのだ。というより、正確にはメイド集団そのものが二つ存在している。

一つ目が月がメイド頭(がしら)として率いる集団であり、詠(若頭と呼ばれる)と共に、「ワカイヤツ」と呼ばれる優秀な少女達をまとめあげ、北郷の身の回りの世話を実質的に取り仕切っている。

そして、もう一方の集団が冥琳がメイド長(ちょう)とし率いる集団である。だが、集団とはいっても、非常時に呂蒙、甘寧が加わるだけで常勤は冥琳一人である。

なぜ、二つの集団が存在するのかというとさっしののいい方は直ぐに思い浮かんだであろう、……その通り、冥琳のせいであった。

 

北郷が皇帝の座に着く前、いやっ、北郷が降りる前の孫家で『冥琳』という存在は特別な存在であった。

アレな娘で、なにかをすれば人に迷惑を掛け「歩く迷惑製造工業」と評され、主君孫策の友人という点さえなければすぐさま追放されるべき有害な人物、それが孫家の中級以下の身分の者たちの評価であった。

 

だが、孫家の上層部、特に冥琳のすぐ近くにいる人間になればなるほど評価は「孫家に外せない人材」と逆転した。

理由は、冥琳がアレな娘になっても持ち続けた、人一倍強い「責任感」、そして不器用ながら誰よりも「世話焼き」な人間性、……そしてなによりも、どんなに頑張ろうとも結果に結びつかないのに、諦めず努力を続けるその姿に心を打たれたからであり。もっと平に言えば、上層部にとっての冥琳とは『ダメダメだけと可愛い(見てて癒される)』=孫家の「ゆるキャラ」となり、中級士官から何度も上がる冥琳排斥の話は『ゆるキャラいじめる奴死ね』という、雪蓮以下の幹部勢の暗躍により潰された。

その為、対外的には冥琳は孫家のNo.2の地位を維持していた。

だが、冥琳本人がよせばいいのに、高い地位にあるかぎりは頑張らねばとやる気を出して仕事を頑張り、逆に仕事を増やす始末に陥り。孫家は混乱、いや、仕事量がさらに増えた雪蓮は天に旅立った母に5分に一回は助けを求めるほどパンク仕掛けていたのだが。

 

そこに、天の御使いが舞い降りた。

つまり、北郷が孫家に飛来したのである。

 

 

「……お母様ありがとう、この子(北郷)はお母様からの贈り物なのね」

 

 

そして、飛来した北郷と初顔合わせした雪蓮が、北郷の人の良さそうな顔を見た瞬間漏らした言葉がコレだった。すなわち、三国の世界に降りたばかりで、何も知らない(冥琳がアレな事を)お人好し(北郷)に、補佐役として冥琳を押し付けることを思いついた故のセリフだ。

そして冥琳自身も補佐役を打診され、「天の御使い」というなんか偉い人を補佐するというのは「すごい仕事なのかなーって」ぼんやりと思い、なにより周りからもパチパチ拍手されながら「すごいすごい」言われたので、嬉しそうに補佐役の任を受諾した。……もちろん、補佐役といっても実質は北郷の世話役(メイド)である。

そして結果、北郷が冥琳のせいで散々な目にあったのは当然な事であった。

ただ、そんな散々な目にあいつつも、北郷は見事に天の御使いとの役割を果たし三国をまとめ、また三国平和の象徴として皇帝として戴冠した。

 

とはいえ、流石に皇帝となるとその身の世話をアレな冥琳に任せるわけにいかず。

董卓の名を捨て、蜀に身を寄せていた月が北郷に助けてもらった恩を返したいと言い出した事により、メイド頭に就任、冥琳になり代わり北郷の世話の実務を執り行った。

つまり、冥琳がアレなせいで、月率いるメイド集団が出来、とはいえ、アレなせいで他の仕事をさせるわけに行かない冥琳のせいで、常勤一人という追い出し部屋みたいな部署、冥琳が率いるメイド集団は形骸化しているが残り続け、二つのメイド集団、メイド「長」、メイド「頭」という二つのトップが存在する。

 

 

「へうう〜、あ、ありがとうございます」

 

 

 

北郷に褒められ頬を染める月であったが。

一瞬、北郷の世話という本来同じ役割を担う集団を率いるライバルである冥琳を月はチラリと見つめる。

純粋な月にも少しは「嫉妬」という感情、そして相手に「勝ちたい」との思いあるのは当然だ。

 

 

「……(ぐぅ〜)」

 

 

だが、冥琳の目は、月が持ってきた目の前の食事に一直線だ、てか、指を一本口にくわえてる、てか、お腹をならしている。

当然、そんな様子を北郷が見逃す訳もなく。

 

 

「冥琳も一緒に食べようか」

「あっ、いやしかし、それはお前の分で……」

以下略

 

 

こんな感じでゆるキャラの冥琳が月をライバルとはとんと思ってない為。

てか、以下略後月を無視して進むいちゃいちゃとする北郷と冥琳の姿からして勝負になっていなかった。

 

 

「……」

 

いちゃいちゃを笑顔?で「微笑ましいですね?」と見つめる董卓の視線の先にいるメイド「長」の冥琳の仕事内容は、「おはよう」「おやすみ」「やか」の三種だけで、あとはずっと北郷の隣にいるという、一部よだれ漏れ、凪とか月とか月とか、ちょっと華琳である。

 

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北郷は事務仕事に追われているが、健康の為にと武官達指導の元の鍛錬の時間が用意されている。

そして、今日の指導役である恋は北郷の指導を終えて、用意した肉まんを食べている

 

 

「……」

 

 

北郷はほほが落ちそうなほどにやけた顔をする。

 

 

「も、もんだ、もんにゃにもにな…(な、なんだ、そんなに見るな)」

「冥琳は食べてる姿も可愛いな〜」

 

ゆるキャラなので、自分が一口食べきれる量以上に肉まんを詰め込みほほを膨らませる冥琳を見ながら。

……ちなみに、冥琳は米を食べると鼻か頬にお弁当確実な安心設計である。

 

 

「……」

 

 

そんな二人を横目で見つめながら。

恋が口の中で噛み締める肉まんの味はちょっと塩辛かった。恋自身はよくわからなかったが「個性」という物に横からかき食われた……そんな思いに支配されたからであろう。

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今日の晩ご飯の支度は冥琳が行った、当然塩と砂糖が間違えた。といより全体的に間違えた。

会食を共にした愛紗は……以下略

 

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そして夜

冥琳と北郷は桃色世界に旅立っている毎日のように……てか、ほぼ週7冥琳なのだ(「ほぼ」なのは数ヶ月に一回断金の片割れが入る)

 

 

『冥琳』

 

 

このゆるキャラに、北郷はハマりにハマって、もう抜け出せない状態なのだ。

 

だが…恐るべきは「種馬スキルは牙を隠さず」である。

二人が桃色世界に旅立っている最中、『週2、いえ、週3、ううん、無理言わないわ、週5にゆるキャラの枠減らそう会』と呼ばれる会(会長k琳様)が暗がりの中密談をしていた。

 

この外史(種馬がほぼ冥琳専属な)は他の武将たちにかなりしわ寄せが来ているのだ。

とはいえ、彼女らには将来がある、ガンバレは週6ぐらいの未来はあろう?。

 

 

しかし……。

 

 

「あは、あは、おかしいわよ、外は朝・昼・晩と、変わってるのに、竹簡の量が変わってないわよ」

 

 

一番の被害者、断金のもう一人の仕事地獄は未来といえど変わりそうになかった……。

 

 

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あとがき

よく考えたら、冥琳じゃなく「メイド春蘭」とか題してにやらせりゃいいんじゃないか?という内容でした。

※ご指摘ありがとうございます、修正いたしました。

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コメント
ヤバい・・・冥琳への愛が鼻から溢れてしまう・・・[壁]ii ̄)(海平?)
天の御使いってある意味、中二病っぽいww(正宗サン)
まあ、他はともかくとして、閨の当番には不公平がないようにしなければ乱世に復帰する可能性があるからヤバイwww(TAPEt)
ありかと(○´∀`○)(R田中一郎)
竹巻じゃなくて竹簡ですよ(アルヤ)
これは……これで、ありかなヾ(´ー`)ノ(リョウト)
こんなキャラだったら、皆が愛の雫の河を建設してるよ!!Σb(黄昏☆ハリマエ)
ゆるキャラっていうから、クマモンとかフナッシーみたいな感じをイメージしてたんだけど・・・騙された・・・でもなんか新鮮かも(皇撫)
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ギャグ  ゆるキャラ 恋姫†無双 冥琳 

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