秋蘭「楽進は魏の中で一番一刀に忠義の強い者だ。何かあった時は、命は無いと思え」

はやて「十分判りました」

なのは「ありがとう御座います。えーと・・・」

秋蘭「夏候淵。夏候淵妙才だ」

なのは「ありがとう御座います。夏候淵さん」

秋蘭「勘違いするな、貴様らが奇妙な行動を取れば、私は直ぐに貴様らを殺す。覚えておけ」

なのは「それでも、ありがとう御座います」

秋蘭「ふん、一刀みたいな奴だな」

秋蘭が視線を戻すと、一刀が戦闘を再開していた

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一刀「何だ、このどす黒いエゴは、あれがあいつの正体か、って事は・・・」

フェイト「・・・」

一刀「こいつに取り付いてる影、これがあれの力の源！」

フェイト（影）「さあ、楽にさせて上げる！」

一刀「ッ！？」

バッ！ズサアアア！！！

一刀はフェイトを抱き抱え、後ろに下がる

一刀「おいテスタロッサ！確りしろ！！」

フェイト（影）「また殻に篭るの？それしか出来ないよね、辛い事から目を背ける時はいつも黙ったまんま。貴方は辛い事を忘れたいからそんな行動にでる」

一刀「くっ！赤龍牙！！」

フェイト（影）「邪魔！！」

一刀は赤龍牙で足止めをする、その間も言葉をかける

一刀「目を開けろテスタロッサ！まぶた閉じても何にも変わらないぞ！！」

フェイト「・・・」

フェイト（影）「無駄よ！！私は貴方がどれだけ出来損ないで失敗作かを知っている！！」

一刀「失敗作だと！？」

フェイト（影）「そう、失敗作以外の結果は無い！母さんはだから私に暴力を続けた！！私がアリシアになりきれないから、完璧にアリシアになりきれないから！！」

フェイト「失敗作・・・」

一刀「・・・ざけるな」

フェイト（影）「えっ？」

一刀「ふざけるなぁぁぁぁぁぁ！！！！！！」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ！！！！！！！！

フェイト（影）「！？」

一刀の放った気迫に、フェイト（影）が圧倒される

一刀「さっきから黙って聞いてれば、くだらない事ベラベラ喋りやがって！！」

フェイト（影）「くだらない！？」

一刀「お前にどんな家庭事情があるか知らねえがなあ！！お前が行ってる事の方が無駄だろうが！！」

フェイト（影）「！？」

一刀「人はどんなに時間が経とうが一人だ！どんだけ御託を並べようが、どんだけ真似しようが、その人の代わりの存在なんかには絶対になれない！！」

フェイト「！？」

一刀「その人はその人！自分は自分でしかない！」

フェイト（影）「じゃあ私は何！？アリシアのクローンである私は何だって言うの！？」

一刀「同じだ！あんたはフェイト・T・ハラオウンて言う人間だ！それ以外の答えは無い！！」

フェイト「自分は・・・自分でしかない・・・」

一刀「テスタロッサ！」

フェイト「私は・・・アリシア・テスタロッサのDNAを元に作られたクローンだった。その事を知った時、私は心の何処かで思ってた。私は本来存在しないんだって、だから母さんは、私を人形だと言った」

一刀「・・・」

フェイト「母さんが欲しかったのはアリシアと一緒にいる時間だったんだって判った時、私は自分が判らなかった。判らなくなったんです。だから私は」

一刀「此処で死んでも良いなんて思うなよ」

フェイト「！？」

一刀「誰だってなあ、死にたくなる位辛い事が有る。それは自分と、自分の事と向かい合う時だ。如何しようも出来ない事は諦める事もある、でもなあ！」

大声を出すのと同時にフェイトの右手を握る。そしてフェイトの手が蒼色に光る

一刀「そのどうしようもない気持ち背負って、進まないといけないんだよ、俺達今を生きる人間はな！！」

ギーン！！

フェイト（影）「うっ！うわああああああああ！？」

一刀「過去の傷を癒せるのは時間しかないのかもしれない、その時間の中で、背負え切れないと感じたら、一緒に支えてくれる仲間を頼ればいい。当たり前の事だろ」

一刀の言葉と蒼の光。その二つがフェイトの心に届く。その直後フェイト（影）が苦しみだす

一刀「あれも助ける」

フェイト「・・・あれは、私が向き合わなければいけない過去」

一刀「テスタロッサ。今でも自分の母さんは好きか？」

フェイト「うん。今でも、母さんの事は大好き」

一刀「判った。今はっきりした事は、お前は人形なんかじゃない。立派な人間だ」

フェイト「！？・・・ありがとう、一刀。助けて、あの子を」

一刀「それが今のお前の気持ちだなフェイト、・・・今助ける！」

口元を押さえて泣き出したフェイトに背を向けて、一刀は蒼龍眼を抜いて、走り出す

フェイト（影）「ッ！ああああああ！！！！」

一刀「自分のいる場所に帰れ！！」

スパーン！！

フェイト（影）「があ！？」

一刀「北郷流は、殺しの剣ではない。切る物は、心に巣くう邪気！」

キン！

フェイト（影）「・・・」（ドサッ！）

フェイト「・・・」

フェイト大粒の涙を流しながら黒い影に近づく、そして優しく抱きしめる

フェイト「ゴメンね、貴方にだけ全部背負わせて。何時の間にか私は、貴方だけに押し付けていたんだね・・・私が弱かったから、私は母さんに私を見てほしかった。アリシアじゃなくて、私を見て欲しかったんだって、判ってたのにね」

フェイト（影）「私は、寂しかった」

フェイト「そう、ずっと寂しかったんだよね・・・気付いて上げられなくて、ゴメンね」

スッ！

フェイト「一刀？」

ギーン！

一刀「君達は自分と向かい合う事が出来た。今はその事実だけが有れば良いと思う・・・目の前にいるのは、間違いなく自分だ」

一刀がフェイトとフェイト（影）に蒼の氣を流し、心を通じ合わせる

フェイト「ぐすっ！・・・そうだね、貴方は、私だよ」

フェイト（影）「ありがとう」

スゥゥゥゥゥゥ！

フェイト（影）が光になってフェイトと一つになる。それと同時に結界が解除される

フェイト（ふらっ！）

一刀「おっと！」

秋蘭・春蘭・凪「「「ああぁ！？」」

なのは達「「「フェイト（ちゃん）（さん）！」

シグナム「テスタロッサ！」

倒れそうになったフェイトを抱き締めると、春蘭達が大声を上げる。なのは達はそれを無視して駆け寄る

一刀「大丈夫。疲れてるだけだよ」

なのは「良かった〜」

一刀「後頼むよ」

春蘭「一刀ぉぉぉぉぉぉ！！！！」

ガキーン！！

一刀「落ち着けよ元譲」

春蘭「喧しい！！これが落ち着いていれるか！！」

秋蘭「そうだな、人が散々心配したのに、他の女と触れ合っていたんだからな」

凪「隊長、弁解の余地は有りませんよ」

一刀「普通有るもんだろそこ」

はやて「北郷さん」

一刀「うん？」

一刀が振り返ると、はやてが深々と頭を下げていた

はやて「フェイト隊長を助けていただいて、ありがとう御座います」

一刀「別に良いですよ、自分の好敵手が、自分以外の奴にやられるのを見たくないだけですから」

はやて「それと、あの管輅は？」

一刀「ありゃ管輅の偽者だ。本人じゃない」

はやて「偽者・・・てっ事ですか？」

一刀「ああ」

華琳「一刀」

一刀「曹操様。ご心配をお掛けしました。如何様の処罰でも」

華琳「ふざけた事言わないでちょうだい、貴方を失ったら我が国は終わりよ」

一刀「勿体無いお言葉」

華琳「一刀。貴方、今回の件で何か考えているんでしょう？」

一刀「はい、曹操様」

一刀「時空管理局と、共闘しましょう」