ジョシュア |
「やったな!アレックス!」
「まさか、本当にアマジーグを撃破するとはな!」
「さすがは伝説だ!」
アマジーグを撃破し、アナトリアに帰還したアレックスに整備班とアナトリアの幹部たちの盛大な歓声が待っていた。
「ちょ、お前ら少し落ち着け…うぉ!」
「そんなことを言って、られるか!」
「そうだ!お前のお蔭でアナトリアは救われたんだ!これくらいさせてくれ!」
多くの人たちがアレックスを囲み、そして胴上げを始めた。
「うぉ!ちょ、待って!」
「ふふふ」
突然の胴上げだったためアレックスはかなに動揺していた。
それを見ていたフィオナは笑っていた。
「フィオナ!うぉ!笑ってないで!みんなを止めてくれ!」
「何が起きている。これは…」
そこに、エミールとアレックスを治療したドクターが入って来て、アレックスが胴上げされている状況を見て少し唖然とした。
「エミール。ちょうどい所に!皆を止めてくれ!」
「そこまでだ。嬉しいのが分かるが、アレックスをおろしてやれ」
エミールがそう言うと皆は胴上げをやめ、アレックスを降ろした。
「助かった。エミール」
「アレックス。今すぐこっちにこい」
降ろされた、アレックスであったが、今度はエミールとドクターがもの凄い真顔でアレックスに近付いて来た。
「エ、エミール、ドクター?どうしたんだ?」
「とにかくこっちにこい!」
エミールはアレックスの腕を握り、引っ張り、ドクターと一緒に何処かに連れて行かれた。
「えっ、エミールどうしたの?待ってください!私も行きます!」
エミールたちの後を追うために走り出す。
残された、人たちはただポカーンとしていた。
アレックスはエミールによって半強制的に病院に連れて行かれ、精密検査が行われた。
何故帰還したばかりのアレックスをすぐさま検査したのか?それは、アマジーグ戦でやった二段QBのせいである。
本来、高いAMSと技量が無ければできないはずなのに、AMS適性が低いはずのアレックスが二段QBをしたのである。
それを、アマジーグ戦をリアルタイムで見ていたエミールは、アレックスが精神負荷を受け容れたかと思い、すぐさま、ドクターにこのことを伝え、アレックスを検査することにし、今に至る。
そして、その精密検査が終わり、ドクター、エミール、フィオナは精密検査の結果を見ていた。
「何も異常はない。信じられんが、AMS適性も変わっていないし、精神負荷を受け容れた痕跡もなかった」
「本当に異常はなかったのか?」
「私も、AMSの状態はリアルタイムで見ていたけど特に異常はなかったわ」
何も異常はなかったのだ。低いAMS適性で二段QBをしたアレックスには何も異常がないのだ。
AMS適性も変化が無く、また、精神負荷を受け容れた痕跡もなかったのだ。
エミールはアレックスの両肩を掴み、思い切り、揺らしながら、二段QBのことを聞く。
「アレックス!どうやったら精神負荷を受け容れずに二段QBをした!言え!言うんだ!君の体のためにも!」
「わかった!言うから!手を放してくれ!そろそろ気分が…」
「エミール。揺らし過ぎよ。気のせいか、アレックスさんの顔色が悪くなっているわ」
「いや、気のせいではないな。間違いなく顔色が悪くなっている。エミール君。これ以上やるとアレックス君が本当にヤバいぞ」
「はっ!すまない。俺としたことが」
エミールに揺らされている、アレックスの顔色がどんどん悪くなっていることに、気付いた、フィオナとドクターはエミールを止めさせて、エミールはアレックスを解放した。
「戦闘機動じゃないのに、ここまで酔ったのは初めてだ」
解放されたアレックスであったが、あと一歩遅ければ吐いていた。どうにかして、吐き気を治め、3人に二段QBのことを話し始める。
「二段QBのことだが、ある意味簡単であり、ある意味で難しいことをやった」
「簡単であり…難しい…」
「そうだ。そもそも、AMSは脳と直接リンクし、機械を自分が思うままに動かせるものだ。この事は、お前たちの方が分かるだろう?」
3人は頷く。元々、AMS技術はフィオナの父、クルト教授が作ったものであるため、クルト教授の関係者である3人はAMS技術のことはよくわかっている。
「そのAMSをネクストに搭載し、機体と脳を直接リンクすることによってあれほどの反応速度、機動力が手に入る。だが、脳に掛かる負荷が大きくAMS適性が無ければ植物人間になるレベルだ。だが、なぜこれ程の負荷が脳に掛かる?」
「ネクストの全ての操作をAMSでやっているのと、元々、ネクストの操縦自体が複雑だから」
ドクターがそう言うとアレックスは頷く。
「その通りだ。ドクターが言った通り、全ての操作をAMSに任せているのと、ネクストの操作が元々複雑のせいで、脳に掛かる負荷が大きい」
元々、ネクストの運用で問題はコジマ汚染と操縦の難しさである。特に操縦はQBが難しく、まともに操縦するには息ピッタリの10人のチームを作らないと無理だと言われていた。
そこにで、脳と直接リンクできるAMSを搭載することによって問題を解決させた。だが、操縦の難しさの分、AMSの負荷が大きく、AMS適性がないと植物人間なってしまう。
また、全ての操作をAMSに任せているため、さらに負荷が増加させている。
「だが、言い方を変えれば、一部の操作を手動にすれば掛かる負荷が減らすことができる。それを応用したのがレイヴンに搭載されている低負荷AMSだ」
ネクストの一部の操作は従来のACより少し難しいものであり、ベテランのレイヴン、ノーマルのパイロットであればマニュアルでも操作は出来る。それらを、全てマニュアルすることによって負荷を軽くさせることも可能である。
レイヴンに搭載されている低負荷AMSもそれを応用して負荷を軽くしている。
「それも、よくわかっている。それが、二段QBと…まさか」
エミールはやっと理解した。ある方法を取れば、二段QBが可能になると。
「エミール。わかったの?」
フィオナの問いにエミールは頷く。
「QBとブースター以外の操作を全てマニュアルし、負荷を極限まで軽くし、その軽くした分の負荷を全て二段QB回したのか?」
「正解だ。エミール」
エミールが言った推測にアレックスはそう言い頷く。
それを聞いたドクター、フィオナは驚く。また、推測を言い当てたエミールさえも驚く。
「二段QB使うと、ネクスト2機分の負荷が掛かる。だから、高いAMS適性が必要だ。だが、言い方を変えれば、二段QBに掛かる負荷をどうにかすれば、低いAMS適性でも二段QBはできる。アマジーグの場合は精神負荷を受け容れることによって二段QBを可能にしていた。だが、俺の場合はQB以外の操作をマニュアルにして負荷を減らす。そして減らした分の負荷を全て二段QBに回せば、二段QBに来る負荷に耐えられる。これで、二段QBは可能になる」
二段QBを使用した時、パイロットにはネクスト2機分の負荷が掛かるため、高いAMS適性がないと耐えられない。だが、負荷が異常に高いだけであって、その負荷をどうにかすれば低いAMS適性でもできる。
そこで、アレックスはQB以外の操作をマニュアルにし、負荷を出来る限り、減らし、負荷を二段QBだけにしたのだ。
「そんな無茶を…」
「信じられん。そんな状態で二段QBしてバランスを崩さないとは」
しかし、ネクストの機体制御はマニュアルだとすぐにバランスを崩し機体が転倒してしまう。だが、伝説のレイヴンは違った。
アレックスは自らの操作で機体を制御し、バランスを崩さずに二段QB成功させたのだ。
「まぁ、さすがにアマジーグのようには動けん。今日やってみた感覚で、連続は2、3回が限界だ。これ以上やるとさすがにバランスを崩す」
アレックスも、さすがに機体制御のマニュアル操作を長時間やることはできず、二段QBの連続使用は2、3回が限界であった。
「それでも、低いAMS適性で精神負荷を受け容れずに二段QBをやったのはお前が初だ。そして、アマジーグも倒した。これから、間違いなく、さらに忙しくなるぞ」
低いAMS適性で精神負荷を受け容れずに、二段QBをやったことを加えて、砂漠の狼、アマジーグの撃破。
その他にも、2機のネクストを撃破しているため、間違いなく、企業はアナトリアの傭兵の戦力的な価値がることに気付き、依頼が増えるだろうと、エミールは予測していた。
「だろうな…あっ、そうだ。一つ聞きたいことがあった」
「なんだ?」
ここで、アレックスはジョシュア・O・ライデンのことを思い出し、エミールにそのことを聞く。
「アマジーグを撃破後、ジョシュア・O・ライデンというリンクスが現れたが…何か知っているか?」
「なっ!ジョシュアだって!」
「それは本当か?アレックス、フィオナ!」
ジョシュアの名を聞いた、ドクターとエミールは驚く。
「えぇ、本当よ。作戦完了後に、彼、救援として現れたの」
「その感じだと、何か知っているな。エミール」
二人の反応を見た、アレックスはエミールたちがジョシュアについて何か知っていると、確信した。
「そうか…ジョシュアがリンクスか」
エミールは立ち上がり、スーツの内ポケットから一枚の写真を取り出し、アレックスに渡す。
写真にはまだ、若いころのイェルネフェルト一家と、エミール、ドクター。そして、アレックスが知らない白髪で少し髪が長い男がいた。
「その白髪の男が、ジョシュアだ」
「この男が。何故、アナトリアに?」
「ジョシュアは、今から8年前に研修目的でアスピナから派遣された研究員の1人だった。まだ、当時はアスピナとの関係は良好で、お互いに研究員を派遣していた」
アスピナとアナトリアの関係は最初から悪かったわけではない。
AMS技術が出来る前は、関係は良好で、研修目的で、研究員を派遣するほどであった。
「当時、俺はまだ、一人の研究員としてクルト教授の下で働いていた。そんな中、俺はクルト教授から、アスピナの派遣研究員を一人預かることになった。それが、ジョシュアだった」
エミールは窓から空を見上げ、懐かしそうに、話を続ける
「最初は中々、仲良くなることは出来なかった。だが、ある時にクルト教授たちと一緒に食事した時、あいつは少し酔って、自分の故郷である、アスピナを熱く語り始めた。その時に気付いた。ジョシュアは故郷、思いのいい奴だって」
「あの時ね…私も、そこで、ジョシュアと出会わ」
「それ以降、ジョシュアと仲良くやっていけるようになった。だが、AMS技術が出来あがって、からアスピナとの関係が急激に悪化し、ジョシュアはアスピナに帰ることになった。その写真はジョシュアが帰る直前に、撮った物だ」
「そうか…すまない。俺は先に部屋に戻る。今日は流石に疲れた」
「わかった。これからさらに忙しくなる。今日はゆっくり休んでくれ」
「すまない」
アレックスは部屋から出て行き、自分の部屋に向かうのであった。
「そうだわ、エミール」
「なんだ?フィオナ」
「ジョシュアが離脱する直前に、エミールによろしくって」
「そうか。変わらないな。あいつは」
「えぇ。本当に強い人。昔も、そして、今も」
「ジョシュア…お前は…何のために戦っている?」
エミールは再び、空を見上げ、友のことを思うのであった。
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