義輝記 雷雨の章 その弐拾六
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【 一刀の謀 の件 】

 

? 洛陽 宮廷内 別室1  にて?

 

《 盟主、副将達 収容中 》

 

麗羽「…………天の御遣いから、一挙に謀叛人に落としてしまったのは、間違いなく、わたくしの罪ですわ! わたくしが……張譲の口車に乗ってしまったばかりに、このような扱いを………!! 

 

申し訳ありません! 『御遣い』様!!」

 

華琳「………あの麗羽がねぇ……。 一刀、どう? 今の心境は…………? 」

 

一刀「………動転している…。 天の御遣いの虚名の次が……謀叛人という実行犯。 あまりの変わりようにね……」

 

華琳、麗羽「…………………………」

 

一刀「………だけど、このまま黙って、はいそうですかって………終わらす訳にはいかないんだ! だから…足掻いてやる! 『秘策』を実行して…」

 

華琳「!?」

 

麗羽「──! 無理、無理ですわ!! この袁家の当主『袁本初』である、わたくしでも……この状況は、覆せれませんのよ………!」

 

一刀「無理と思って諦めるのは勝手! だけど、この秘策は袁本初、貴女の力も必要なんだ!! ………だから、謝罪だけではなく、手を貸してくれ!!」

 

麗羽「はぁ………はい!!」

 

華琳「………貴方達ね…。 もし、私達の会話を盗み聞きする輩が居ると、考え浮かばないかしら!? 漏れた聞こえたら……私達、こ・れ・よ! これ!!」(首筋に手刀を当てて、トントンと……)

 

一刀「あっ! ……………ゴメン!」

 

華琳「……私が探った限りは大丈夫よ。 監視の兵は動いていないし、付近に気配も感じなかった。 だけど、あの『三太夫』だとかいう『忍び』が居たら、お手上げよ?」

 

麗羽「その時はその時ですわ! 『御遣い』様! どうするおつもりですの!? この『袁本初』!! 何を言われても、実行してみせますわ!?」

 

華琳「……一刀、貴方に頼まれた件は命じておいたわ。 

 

兵達に『一刻後、槍や剣を見せ付けるように研いだり、剣戟の練習、試合をするように』と。 これが『秘策』なの?」

 

麗羽「えぇ!? わたくしには、何も御命令がありませんが!?」

 

一刀「陪臣の身で、貴女に直接頼めませんよ! 顔良さんに同じ事を行うように頼みましたから…………」

 

麗羽「………………………プゥ!」

 

華琳「ほらほら、早く打ち合わせしましょう! 刻限も無いから!」

 

一刀「で、俺の考えは────── 」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

? 別室2 にて ?

 

《 袁、曹、孫の将達 収容中 》

 

愛紗「…………御主人様……………」ギュッ!

 

春蘭「華琳しゃまぁ…………………」ギュッ!

 

桂花「………私達、軍師が集まって相談しても……この事態は好転できないじゃない!! あぁ〜、本当にどうすればぁぁ〜〜!?!?」

 

朱里「反董卓連合を指揮したのは、実質『華琳様』と『袁本初』、盟主は『一刀さん』!!  洛陽軍や董卓の将達が、全員目撃しているのは周知の事実でしゅ!!」

 

雛里「……でも………洛陽守備戦で、私達も参戦しました。 その事も減刑の一助になる筈ですよ(カム)うぅぅぅ…………」

 

冥琳「………しかし、盟主の斬首は間違いないだろう。 それに副将とて軍権を持っていたのだ。 副将は良くても流刑、悪くて……斬首………の可能性がある………!」

 

桃香「────────!」

 

李衣、流琉「「えっ──────!」」

 

雪蓮「私達を分けた理由を考えると……無くも無い話よ? 下手に何か最後の指令を残されて、災禍の元を作られたら大変じゃない?」

 

鈴々「た、大変なのだぁ!! 今すぐに、ここをぶち破って、お兄ちゃんの所に駆けつけなきゃあぁ「駄目だ!! 鈴々!」──! どうしてなのだぁ!? 星ぃ!! 早く行かなきゃ!? お兄ちゃんがぁぁぁ───────!!!」

 

星「ここは……国の中心部。 部屋に軟禁されているのは、我々の罪がそれだけ重いと見ている証! 盟主である一刀殿……いや、この際だ! 我らの『主』は、全ての罪を自分に背負いて、決済する所存だと見ている! その主の覚悟を……邪魔立てするなぁ!!」

 

鈴々「星はぁ…グス…悔しくないのかぁ!? 大好きなお兄ちゃんが……グスグス……し、死んじゃうかも……しれな「私だって、悔しい!!!」───星ぃ!?」

 

星「我が槍を捧げて忠義を誓った『主』だぞ!? 国をも敵に廻して奪還する覚悟はある!! 

 

しかし……!! この城の中に『天下無双』の『呂奉先』、その力に匹敵する『本多忠勝』、それに数多の『伏竜の軍勢』が犇めい(ひしめい)ているのだぞ───!? それに────」

 

穏「…………それにですねぇ〜、もし上手く逃げれましても〜外で待ってくれています兵士の皆さんを、見殺しにするのですか〜? 

 

万単位の人達を連れて逃げるのは〜、至難と言うか……ぶっちゃけ無理ですよぉ〜〜!!!」

 

蓮華「──それに、我々を巻き込むのなら……阻ませてもらう!」

 

明命、思春『───────────!』

 

猪々子、斗詩「……………………………………」

 

鈴々「うう………ウワアァァァーーーーーーーーン!!!!」

 

◇◆◇

 

【 一刀達は…… の件 】

 

?洛陽 宮廷内 謁見の間 にて ?

 

玉座に皇帝陛下、傍に協皇女が佇む。

 

数段下に、反董卓連合における詮議を進行する何進。 そして、相談役の天城颯馬。 並びに『虎牢関』『天水』にも駐屯していた『伏竜の軍勢』と洛陽勢、今回援軍で、洛陽に来てくれた馬孟起達も、左右に並ぶ。 

 

左右の側面には、呂奉先、本多忠勝が、他の者達より一歩前に出て、緊急の事態に備える。

 

その場所より、三丈(約7b)程離れた所に『北郷一刀』一人を前にして、後ろに『曹孟徳』、『袁本初』が並びて、頭を下げて……礼をとる。

 

そして、その更に二丈(約4.6b)下がった場所に、曹、孫、袁の各将が

事の成り行きを心配しながら、顔を伏せ……礼をとる。

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆  

 

何進「今より詮議を始める! 反董卓連合軍盟主『北郷一刀』 並びに副将『袁本初』及び『曹孟徳』よ! お主達が主導の上、皇帝陛下の禅譲を図り、洛陽を攻撃せんとした事、相違ないか!?」

 

 

麗羽「お待ち下さい! この話を持ちかけたのは張譲様です! わたくしは、《 董相国と『伏竜の軍勢』の野望、漢を憂う話 》を聞き、兵を挙げるべし諸侯に要請を行い、攻めたてたのです!!」

 

 

何進「お前は、確かに張譲より聞いた。 それは間違い無いだろう。だが……何を見て言っているのだ? 皇帝陛下か? 大将軍である儂か? それとも天城達か?

 

違うであろう! もし確認するのなら、下々の民の動作、衣装、表情を見て判断すべきだろうが!! 

 

ついでに言うとな、連合軍が兵を上げる前は、ここは平和で活気が溢れていた! 民達はキビキビ動き、衣装も清潔、表情も明るく笑顔だったぞ!

 

それが、お前達が兵を挙げた途端、民達の全てが暗くなったのだ!

 

動作は鈍く遅くなり、衣装は汚くなり、表情は無くなり下を俯く者ばかり! これで、天の御遣いを標榜して、世を平和に齎す(もたらす)だと!! 馬鹿も休み休み言うがいい!!!! 」

 

 

麗羽「……………………………………!!!」

 

 

華琳「何進大将軍閣下、発言をお許しください!「許可しよう!」 ありがとうございます。 

 

臣、曹孟徳が思いますに、張譲様は、先帝の信任厚く、長年宮廷内で重要な職務を任された人物。 その方の要請があれば、我々は固辞する事もできず、行動を起こすしかありません!!」

 

 

何進「……確かに一理ある。 だが、お前達は…張譲の言葉を鵜呑みにして信じる者達か? 

 

かの者は、確かに先帝に信任されていた。 しかも、重要な任務もこなしてきた人物だ!! ……しかし、悪名も高く…不本意たが、この何進の妹『何太后』と手を結んでいた事実もある!!

 

そのような人物の『戯言』を信じる、元『部下』では無いと、儂は信じたい!! 」

 

 

麗羽「……………………………」

 

 

華琳「発言を続けても、宜しいですか? 「うむ!」 ……張譲様は今、何処にいらっしゃいますか? 直に聞いて見れば「 あの世だが、聞けると思うか? 」……………えっ!?」

 

 

何進「 張譲は………数刻前に死んだ。 洛陽を攻めてきた軍勢の黒幕と交戦中、その黒幕を庇うように割り込み、身代わりとなったそうだぞ! 」

 

 

華琳「……………それでは!!」

 

 

何進「お前達の言葉を証明する人物を、失った訳だ!」

 

 

華琳「────────────!!」

 

 

 

      ━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

何進「…………では、判決を申し渡す。 皇帝陛下の禅譲、洛陽の攻撃を企み、水、虎牢関に損害を与え、洛陽の人民達に恐怖を与えた者共! 全員斬首刑とする!!!」

 

 

一同「 ━━━━━━━━━━━━━!! 」

 

 

何進「しかし、軍師の言を信じ、洛陽救援に赴いた功も合わせると、盟主、副将の三人は斬首! 残りの将は流刑、兵達は命令を準じたのみの事ゆえ、咎無しとする!!!」

 

 

一同「 ───────────── !!! 」

 

 

何進「これにて、詮議を終了────!」

 

 

 

  ダッダッダッダッダッダッ! バン!!

 

 

兵「詮議中、申し訳ありません! 緊急事態です!!」

 

 

何進「────何事だ。 深呼吸して落ちついて報告せよ! 陛下の御前だぞ!!」

 

 

兵「はっ!! スーハー スーハー 失礼しました!! 報告を申し上げます。 洛陽外で駐屯しています袁、曹の兵士達が、一斉に武器を研ぎ始め、剣戟の訓練を始めました!! 孫の兵士は警戒して、一触即発の状態です!!」

 

 

何進「何だと!! どういう事だ!?」

 

 

一刀「…………何進大将軍閣下、私も発言をさせて下さい!」

 

 

何進「………よかろう!」

 

 

一刀「私達の軍は、漢の事を思い、漢の為に動く事を決意した軍です。 それなのに、朝敵の汚名を着せられ、私を含む袁本初、曹孟徳の両名が斬首、もしくは率いていた将が、全員斬首になるかもしれない! 

 

この事が兵士達には、納得いかないからだと思います!!」

 

 

何進「……しかし、余りにも早い行動ではないかね? 北郷一刀!」

 

 

一刀「これは、大将軍閣下とも思えない御言葉。 一刻以上も待たされ、将より連絡が無ければ……答えは拘束状態か軟禁状態。 良い結果など……浮かぶと思う方が、可笑しい!!」

 

 

何進「───────!」

 

 

一刀「我らと生死を共にし、数々の苦難を乗り越えた兵士達。 

 

この絆を舐めてもらっては……困ります!! 

 

………私や副将両名が斬首されれば、袁、曹の兵約四万、漢を見捨て……この洛陽を攻め立てる『死兵』になりかねませんぞ!」

 

 

何進「ーーーーーーーーーーーー!!」

 

 

一刀と何進の問答に、連合軍側は……皆驚く!!!

 

 

★☆★   ★☆★   ★☆★ 

 

 

麗羽( …………御遣い様!! 素晴らしい策ですわ!!! )

 

 

華琳( 正直……貴方を……侮っていたわ。 まさか、こんな脅迫方法を大将軍に実行するなんて…………)

 

 

★☆★   ★☆★   ★☆★ 

 

 

愛紗「 御主人様…! 」 

 

鈴々( お、お兄ちゃん? )

 

桃香( 頑張れ! 御主人様!! )  

 

星( 主……貴方と言う方は…………! )

 

朱里( 御主人様……いつの間に、あんな計略を!! )

 

雛里( あ、天城様みたい…………… )

 

 

★☆★   ★☆★   ★☆★ 

 

 

春蘭( ……??…… ) 

 

秋蘭( 無理に考えなくてもいい姉者。 北郷が優勢だと分かれば、それで大丈夫だ!)

 

桂花(ふ、ふん! ほんの少し、ほんの少しだけ、認めてあげるわよ!! 天の御遣いだって事!! )

 

李衣( 兄ちゃん! かっこいい!! )

 

流琉( に、兄様!! /////// )

 

真桜( 惚れ直したでぇ 隊長! )

 

沙和( 隊長! かっこいい───なの! )

 

 

★☆★   ★☆★   ★☆★ 

 

 

雪蓮( へぇ〜、あの御遣い君もやるものね! 颯馬は、どう動くのかな? ワクワクしない!? )

 

冥琳( おいおい! 私達の軍も心配してくれ!! それにしても、北郷一刀か……。 この絶対絶命の時に、よくも、あんな策を! )

 

祭( 儂の目も……かなり曇ったな。 あの小僧に冥琳並みの策を企てる力があるとは………… )

 

穏( ───あぁ! す、凄い策が─── )クネクネ

 

明命( 穏様!! いくらなんでも、こんな場所で発情しないで下さ〜〜〜い!! )

 

蓮華( 私が彼の場合、この切羽詰まった状況をどう覆すか…… )

 

思春( ………………………… )

 

 

★☆★   ★☆★   ★☆★ 

 

 

猪々子( 斗詩────! 麗羽様……助かるのか! )

 

斗詩( 上手く……い、行けば! )

 

 

★☆★   ★☆★   ★☆★ 

 

 

颯馬「───私からも、意見を宜しいですか? 何進大将軍閣下!」

 

 

何進「──うむ。 意見を申し出よ! 」

 

 

颯馬「……確かに、北郷殿の申し出通り、危険な状態です。 それに、ここで連合軍を抑えたとしても、国元の民達が一斉蜂起を起こす可能性もあり、油断がなりません!!

 

ですので、連合軍の将達の命……全員助命を御願い致します!!」

 

 

何進「………それでは、漢王朝の威厳が………」

 

 

颯馬「洛陽外の兵士より、嘆願を受け取ったとして、罪を減刑した形を取りましょう! それから、洛陽の民達に、連合軍の兵糧を幾つか詫びとして放出するようにします。 

 

そうすれば『 漢王朝が連合軍に脅迫で助命した 』と言われる事は無いはずです。 漢王朝、連合軍、洛陽………三者三様に損得したので、問題は起きないでしょう!」

 

 

何進「それで、皇帝陛下への禅譲要請や洛陽攻めの咎が終わり………」

 

 

颯馬「それでは、片手落ちですよ。 今の事は、北郷一刀、袁本初、曹孟徳、三名の助命と他の諸将の流刑を免除したまで! 

 

本題は………これから、申し上げます!!」

 

 

◆◇◆

 

 

【 颯馬からの提案 の件 】

 

? 洛陽 宮廷内 謁見の間 にて ?

 

 

颯馬「まず………確認です。 先程の案件は、これで御許可をいただけれますか? 何進大将軍閣下?」

 

 

何進「儂には、その方法しか思いつかぬ。 皇帝陛下! 御承諾、戴きますかな!?」

 

 

金糸「コクッ」

 

 

何進「うむ、承諾を得た! 北郷一刀以下、連合諸侯よ! お前達の身命の助命は承諾。 流刑等の刑罰も不問として無しにする!! 誰ぞ外の兵士にその旨を伝え、騒動を抑えよ!!」

 

 

星「私が参って伝えてこよう!! 御前、失礼する!」ダァ!

 

 

何進「それでは、袁本初、曹孟徳、孫伯符の三名。 兵糧の施し、しかと任せたぞ!!」

 

 

麗羽、華琳、雪蓮「「「  はっ!!  」」」

 

 

何進「この通り、終わらせた。 次の罪科の罰は!?」

 

 

颯馬「何進大将軍閣下! ありがとうございます! それでは、私からの提案として、吟味して下さい」

 

 

***   ***   ***

 

☆袁本初……国元に戻り次第、月に一度『公孫伯珪』殿に鳥丸対策の費用や兵糧を送るようにする事。 三月に一度、不定期に洛陽より視察が入るとする。

 

 

★曹孟徳……エン州刺史『劉岱』、済北の相『鮑信』が戦死したため、エン州が黄巾賊残党、百万の兵数で暴れている。 速やかに、これを鎮めよ! しかも、単独で。 他の諸侯の助けを借りる事不可!

 

しかし、この争乱、見事治めたのならエン州の領有を認め、エン州刺史の地位を授ける。

 

 

☆孫伯符……袁公路及び張勲が、劉岱軍に暴行され意識が戻らない。 

そのままでは、南陽周辺の治安が悪くなるため、速やかに袁公路配下に、その旨を伝え、治安が難しい場所があれば、孫伯符が代理で治めるようにする。

 

 

***   ***   ***

 

 

颯馬「以上、これが私からの提案になります!」

 

 

何進「うむ。これで良いだろう! 

 

袁本初は、張譲に騙されていたとは故、実際洛陽攻めの副将を務め、被害も大きい。 それも考慮すれば妥当と言える。

 

曹孟徳は、旧劉備軍を預けてあったのに関わらず、この企てに乗り洛陽攻めに参加。 

 

しかし、実質的な被害も少なく、三者の中で将も多い。 それに、そのような輩を放置しておくのも、王朝の威信に関わる。 

 

それに、青州の黄巾賊は凶猛と聞く。 早めに手を打たなければ、大陸全土に広がる可能性がある。 

 

曹孟徳の天命を推し量るには、恰好の相手であろう!!

 

 

孫伯符の件は言うまでもない。 

 

袁公路の治世に民から怨嗟の声が挙がっていると聞いている。 それに孫伯符の母、孫文台は長沙の太守していたはずだ。 

 

人脈、配下の活躍、本人の器量からして、周辺を任せ、折をみて地位を授けて頂くように、陛下に進上しよう!」

 

 

颯馬「…それと、私からの意見ですが…北郷一刀以下劉備軍は、今回の争乱の思惑に積極的に乗った形跡があります。 

 

それでなくても、曹孟徳の下で『 北郷一刀こそが真の御遣いだ 』と公言していたと報告が入っています!

 

ですので、私なりに忠告を行い、後日、処罰の案件を伝えたいと思います。 もし、お気に触りましたら却下して下さい!」

 

 

★☆★   ★☆★   ★☆★ 

 

《 颯馬視点 》

 

俺は、関雲長に顔を向ける。 

 

主の命が助かり、安心していたのであろう………。 涙で濡れながら無表情な顔を………俺に向けている。 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あの関羽が、一存が興味を持つ《おなご》なんだよ………な。 

 

長慶殿と俺は、本人から直接聞いた時………顔を見合わせて、溜め息を吐いたよ……。

 

綺麗な黒髪、武に秀で謀略を嫌う、おなごらしい体型。 

頑固で融通が利かなくて……一直線の猪………ん?

 

 

あぁ、考えれば……犬猿の久秀殿と正反対だからか…成る程…。

 

だが………どう考えても拒絶されると思い、一存を傷付け無いよう言ったつもりだったのだが……………

 

 

《 一存……どうみても、将来……尻に敷かれるぞ…… 》

 

《 ば、馬鹿野郎! そんな事、成ってみないと分からないだろう……が! 》

 

《 姉の私が敷いているのだ! 説得力など皆無だぞ!! 》

 

《 いやいや! 姉さんは別格! 関羽は……!! 》

 

 

……結局、納得しなかったんだよな……………。 

 

北郷一刀と言う思い人もいるのに……やれやれだ……。

 

まぁ、身内の話は置いといて……だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ここで言っておかないと、同じ結果を齎す! だから、わざと厳しい顔を取り、大声で話をしだした!!

 

 

『 関雲長! 覚えがあろう! 水関での挑発の言葉を!

 

私だけで足りず、主君『董仲穎』様や仲間達を誹謗した罪は大きいが、お前の制裁は足利義輝の対峙で終了している!!

 

だが、これに懲りず、『 天の御遣い 』を御旗に立て、戦乱を進む事は、金輪際、許可しない!! その時の処罰は重き事と知るがいい! 』

 

 

 

……目を見開いて、怒っているな!! 隣の劉備も宥めながら、険しい顔を向けている! やれやれ……しっかり聞いて自覚してくれ!!

 

 

 

『 自分達の力が足りない事を自覚して、精進するならまだしも、《 天の知識を持つ若者 》を《 天の御遣い 》と飾り立て、さも奇跡を起こすような錯覚を齎す行為を考えてみろ!!

 

お前達の行為は、《 黄巾賊と変わりが無い事 》を!!

 

《 北郷一刀 》は、我らと時代が違う同じ人。 ただでさえ平和な時代より降りてきた身だ。 本人の意志を確認してから、同じ人として、対等な付き合いをしてくれ!! 』 

 

 

分かったな分からないような、呆然とした姿をしていたが、北郷一刀に目を向けた時、北郷殿は、両手で拝むように礼をしてくれた。

 

その真意………二人に届かせるには……まだ遠いのか?

 

 

★☆★   ★☆★   ★☆★ 

 

 

颯馬「何進大将軍! 以上で御座います!」

 

 

何進「うむ、その申し出は『天の御遣い』と言われる者にしか、分からない悩みだろう。 天城の言い分、筋が通っている! 

 

曹孟徳! 北郷一刀! 両人、しかと心得よ!! 

 

そして、後日、処罰の件を協議の上で通知する!」

 

 

華琳、一刀「「 はっ!! 」」

 

 

何進「では、これで……全部詮議は終了致しました。 皇帝陛下! これで承諾いただけますかな?」

 

 

金糸「コクッ、コクッ!」

 

 

何進「これで、詮議は終了した! 各将達は、案内人の付いて部屋に待機。 勅命とそれぞれ署名を求む物があるので、記載を頼む。 

 

後、各々の陣営に、洛陽の民達に施しの準備を行うように、申し渡すように!!!」

 

 

何進「以上持って詮議閉会とする! 皇帝陛下! 何か問いただす事はありませんか!? 」

 

 

金糸「………………………」ボソッ

 

 

銀糸「お、お姉……コホン! 皇帝陛下! その御言葉通りに…!?」

 

 

金糸「 コクッ! 」

 

 

銀糸「『朕が、国を導く事が出来ぬ《船頭》ならば、直接、朕に申し出るがいい! 多くの民草を巻き込み、土地を荒廃させてまで…玉座に固執する気なぞ有らず! 協皇女に禅譲しようぞ!!』 …と、申されて……おる! これで、良いのですね!?」

 

 

金糸「 ────コクリ!! 」

 

 

一同『 御意!! 』ザッ!

 

 

何進「 以上をもち────解散!! 」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

連合諸侯としての罰は、こんな風になりました。

 

 

後、一刀が………どうして、このような策が出来たのか? 

 

何進からのペナルティーとは、何が送り届けられるのか? 

 

と言うのは、次回の話で説明したいと思います。

 

 

洛陽の話が終われば、諸侯のその後の話を入れてから、五、六話で終わる予定の『義輝記 別伝 』青州黄巾賊の攻略を始めたいな、と考えています。

 

ちなみに、別伝では……桃香には、頑張ってもらうつもりですよ…筵(むしろ)作りに…………。

 

一刀の策に、とても『必要』且つ『重要』な物になりますので。 

 

 

外伝になると、天城達……戦極姫のキャラは、お休みになる予定ですので、御承知下さい。

 

また、よろしければ、読んで下さい。

 

 

説明
義輝記の続編です。 洛陽防衛戦後の話になります。
よろしければ、読んで下さい。
4/7、4/8に誤字、文章、加筆修正しました。
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コメント
雪風様 コメントありがとうございます! とりあえず、曹操が青州攻略へ! 孫策が呉の建国へ踏み出し! 袁紹が………未定です。(いた)
これから乱世ね・・。各国ともどのような動きを見せるか・・。(雪風)
後、二話程で次章へと移し、青州の戦いへと描写になります。 百万の黄巾賊対役一万数千の曹操軍。 閃く一刀の知謀! はためく桃香の莚が策に重要な役割をもたらす! ……と、いう話を考えています。 どうぞ、宜しくお願いします。(いた)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! コメント返した時に腹案があると書いたのですが、納得されるか心配で、何回も推敲し直した力作です。 ご指摘のとおり一刀達は、手の平で踊っただけです。 何進が兵に、わざわざ深呼吸させたりしたのは、演技である事を暗に示させてもらいました。 (いた)
必死なのは伝わった反省も後悔もしてなさそうに見えても温情と自分への言葉だけには感謝してましたね一刀君、しかしマジモンの宣戦布告を好意的に受けてはもらえまい。今後も期待して待ってます(禁玉⇒金球)
なんと見苦しく下劣で腐ったコウモリ性根なのか北郷一刀あまりの詭弁に私の称賛の心は最っ高にハイってヤツだ!!!、力のぶつかり合いですから見事です。只瓦解後の経緯を鑑みてみると御遣い軍団に踊らされているのかなとも思索したり、ええ郭嘉の献策の件です。(禁玉⇒金球)
ふかやん様 久し振りの御感想 ありがとうございます! 一刀の策は、伊達政宗が秀吉からの嫌疑を逃れたという実例をアレンジしています。 権威というものは『灯り』みたいなモノで、虫を引き寄せる『灯火』やら、道を照らす『灯篭』、導く『灯台』になるのでは……と。 一刀達の思いも颯馬達と同じ物がある事は、確かです。 (いた)
…まあ確かに一刀達が連合軍を起こしたのは張譲の謀もあるだろうが、それ以上に漢と言う国の大事を想っての事。故にこの処置は妥当と言えば妥当と言えよう。しかし私に言わせてもらえば最後の足掻きとはいえ一刀らに下された処置を覆した功績は見事としか言えないでしょう。…私から言わせてもらえば権威と言う物に固執する事は却って無用の災厄を齎すものと思っていますから。(ふかやん)
華琳達に力を付けさせる意味は、力を付けさせ颯馬達と再戦させ、颯馬達の実力を思いしらす為です。 『豚は肥らせて食え』と格言もある通りで。 一刀ベッタリは、なかなか直せませんが、揺さぶりは色々仕掛けます。(いた)
naku様 コメントありがとうございます! この策は、戦国時代で実際に行われた策をモデルにしてます。 あまりに似た境遇になったので使用しました。(いた)
h995様 御指摘 ありがとうございます! 早速、この作品だけ修正しました。 他の作品も訂正していきます! 誠にありがとうございます!(いた)
……華琳こと曹操の字は「孟徳」です。「猛徳」ではありません。変換で出ないのであれば、「もうし」全体で変換すれば「孟子」が出てきます。(h995)
Jack TIam様 コメントありがとうございます! 原作やっていて、ふと、思った事を入れてみました。 同じように考える方は、結構いましたね。 他の作品のあとがき等読みましたら………。(いた)
まあ、そりゃそうですよね…颯馬の言っていることはもっとも。皆一刀に役割を期待して押しつけ過ぎだと思います。(Jack Tlam)
mokiti1976-2010様 早速のコメントありがとうございます! 颯馬の手元に置くと、曹操方の士気が軒並み下がりますのでダメなんです。 ……実際は、颯馬の傍に置くと、一刀の活躍が無くなるものですから。 (いた)
一刀も何とも強引な手を…とりあえず一刀は皆から引き離して颯馬の手元に置いておいた方が良いのでは?(mokiti1976-2010)
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