魔法少女リリカルなのはStrikers ダメ人間の覚悟
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クロノ Side

 

 

クロノ「まったく、大人になって少しは落ち着いてきたかと思ったら・・・・変わってないじゃないかアイツ等は・・・」タッタッタッ

 

ユーノ「まぁまぁ」タッタッタッ

 

現在僕達は、先に突っ走って行ったなのは達の後を追うように駐車場から医療院に向かっていた。

 

ユーノ「・・・・と言いつつも、僕達も急ぎ過ぎてるんだけどね」

 

クロノ「ぬぐっ・・・・」

 

ゼスト「だがまぁ、逸る気持ちもわからないでもないがな」

 

ユーノ「すいません・・・・って、カリムさん達は?」

 

クロノ「彼女なら、院長に挨拶してからくるそうだ・・・・まぁ無理を言ってしまってたからな」

 

ゲンヤ「しかし、今更なんだが本当に大丈夫なのか?公安の連中に見つかるのは時間の問題じゃぁねぇのか?」

 

クロノ「いや、おそらく連中の事でしょうから勘付いてはいるかもしれません・・・・・しかし、ここは聖王医療院、『聖王教会』の自治区です」

 

ユーノ「聖王教会は管理局を見限り独立しちゃいましたから、完全に治外法権・・・・管理局はこの医療院へは政治的にも武力的にも押しかけるのは無理ですよ・・・患者としてこない限りは」

 

クロノ「まぁそうなった時は色々と覚悟しなければならないな、なんせ『機動六課』のトップ達がいる他に、聖王教会のトップもいる、更には元でテロリストとしてだがその名は管理局の至る所にまで轟かせ、しかも実力者達を薙ぎ倒している透やその仲間達がいるんです・・・やってくる奴らは自殺志願者としか言えないでしょうね」

 

ゲンヤ「あ〜そりゃぁ俺も入りたくねぇわな」

 

ユーノ「まぁなのは達や透を怒らせない方がいいという事だけ覚えておいてください、どちらも怒らせると怖いですし・・・・・色んな意味で」

 

クロノ「あー・・・・そういえばアイツ等を怒らせた時は最悪手が付けられないくらいだったしなぁ」

 

クイント「何?なんか違いでもあるの?」

 

ユーノ「えぇーっと・・・・なのは達が怒った時は静かに怒ってきて、延々『O☆HA☆NA☆SHI』されるか問答無用で一番強力な砲撃魔法を撃ち込んでくるんですよ・・・・それも1発や2発じゃなくて」

 

クイント「やだなにその拷問・・・・」

 

クロノ「透に至っては表面的にもわかりやすく基本喧嘩腰のような感じで、怒鳴り気味にツッコミの感じにしてきたり男女関係無く顔にアイアンクローをするんですが・・・・・」

 

ゼスト「・・・どうした?」

 

クロノ「あ、いえ・・・・ただ透が多少『本気で』キレた時は、無表情で・・・しかも『写輪眼』発動に魔力などで威圧してくるんですよ・・・・・こっちの心が折れるまで・・・(遠い目)」

 

ユーノ「アレ場合によっては『須佐能乎(スサノオ)』も出る勢いだったよね?」

 

クロノ「・・・・・・・・・・だな」

 

ユーノ「まぁ透は理詰めが出来るような奴じゃないんで、だから肉体言語って感じでしてくるだけといったやり方をしてくるんです」

 

僕は一度も受けたことが無かったが・・・受けてるなのは達を遠くで見てた限りだと、アレは拷問にも等しいような・・・・・軽くなのは達が痙攣していたような気がしたんだが・・・。

 

ユーノ「・・・・・・」

 

ふと、ユーノが黙り込んでしまった。

 

クロノ「どうしたユーノ?」

 

ユーノ「あ・・・うん、戻ってきたんだよね・・・・・透は」

 

クロノ「・・・・・・・あぁ、戻ってきたんだ」

 

ユーノも、本当は物凄く嬉しいはずだ、親しい男の友人というのは僕もあまりいなかったからな・・・・それに透のようなタイプは初めてだったからな・・・・言動も含めて。

 

その友人が帰ってきたんだ・・・・やはりここは一発殴らないと気が済まないな。

 

ユーノ「しかし、今頃なのは達は何を話しているんだろ?」

 

クロノ「意外にもいきなり透に殴りかかりそうな状況だったりな?・・・というか殴ってるんじゃないか?あそこまで心配かけたんだ、それくらいしそうだろ」

 

ユーノ「・・・・・敢えて何も言わないよ、あとこの事はなのは達に言っておくよ」

 

クロノ「おまっ!?・・・・そういうことするか・・・頼むから止めてくれ」

 

ゲンヤ「そんなら、あんまり空気が読めねぇことするんじゃねぇぜ?」

 

ユーノ「・・・・・・・・・・・・(慰めて、それでいてかわいそうな子を見るような目)」

 

クロノ「何だそのかわいそうな子を見るような目は!?・・・・っと、あそこだな」

 

そんな言い合いをしながら、遅れてきた僕たちは透の病室に入った。

 

しかし、室内は異様な空気によって支配されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

透「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

透以外「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

病室内では両者共に一言も声を発さず、そして透に至っては下を向いて、しかも透の髪がかなり長い為少々不気味に感じ、その所為か空気が物凄く悪く感じ遅れてきた僕達もその空気にのまれてしまった。

 

普段ならば、僕はここで一言何かを言うんだが・・・・流石に何も言えない・・・・・・・・・しいて(頭の中で)言うとしたら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロノ ユーノ((何この状況ぉぉぉぉ!!!!!))

 

 

 

 

Side Out

 

 

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透 Side

 

 

俺は今、病院に居る。

 

何で病院に居るんかって?そらぁお前、起きたと思ったら口に病院で見る酸素マスクのようなモンを付けられとるし、病院着とか着ちょるし、なによりベッドに寝かされとるんやぜ?

 

んで目ぇ覚ましたら、看護婦?看護師?まぁどっちでもええけど、その人らがイソイソとしとって俺に色々検査をしてきよった。

 

あっ、一つだけ何?って思ったことがあったんじゃったわ、目ぇ開けて起き上がろうとして、脚を少し動かそうとしたら、脚に若干の痛みを受けた。

 

脚の方に目を向けると、なんと俺の両脚・・・・膝から足にかけて頑丈にギプスをされてしもぉとった。

 

あとは自分で斬り捨てた左腕があったことには一瞬ビビったけど、ハルカに頼んどった事を思い出してすぐに落ち着いた。

 

まぁそこはなんとなく予想は付くんじゃけど・・・それよか看護師さんたちに脳、呼吸器といった検査をして今じゃぁ病室に戻って検温や血圧を計っちょる。

 

・・・・なんじゃけど・・・検温とかをしとったらなのは達が俺がおる病室に駆け込んで来おった・・・・こりゃ、病院内を走んなや。

 

肩で激しく息をしとる・・・相当走ってきたっぽいのぉ・・・・・じゃけど、あのガキ共もおるのは何で?あれか?俺が目ぇ覚まして逃げんかどうかを心配してか?

 

ていうか、俺何でこんなに冷静なんかって?いや別に冷静じゃないで?ただアイツ等に会わす顔が無ぇなってだけで、いい感じに前髪で視線は隠れちょるんじゃけど・・・・・・・。

 

あ、やべ・・・・・そう考えると段々ネガティブになってきたわ・・・・・・・・・・マジでなのは達に会わす顔が無いわぁ・・・・・・どうしよぅ・・・・。

 

後から入ってきたクロノ達も、この空気に圧倒されて何も言葉を発さんしよぉ・・・・てかアイツ等も久しぶりじゃな・・・前に戦ったけど。

 

透「・・・・・・・・・・」

 

なのは「・・・・・・・・・・・」

 

ハルカ「・・・・・・・・・・・」

 

看護師「・・・ぁぁ・・・・えぇ〜っと・・・とりあえず今のところは異常はありませんので、何かありましたらお呼びしてくださいね・・・・ぁ・・では失礼します」

 

透「あ・・・あざっす」ペコッ

 

ハルカ「・・・・・ありがとうございます」ペコッ

 

看護師「いえ・・・・ではごゆっくりぃ〜・・・・・・・あ、塚原先生・・・後で報告しますんで、急がなくていいですよ」

 

響「・・・すみません」

 

そう言ってそそくさと出て行った看護師、まぁこんだけ空気が重かったら逃げたくもなるわなぁ・・・・・つってもそうしたのは俺の所為なんじゃけどさ。

 

透「・・・・・・・」

 

なのは「・・・・・・・・」

 

そんでまた沈黙の空間に逆戻り、当然っちゃぁ当然じゃけどな。

 

でもなぁ・・・・流石にいつまぁ〜でもこんな状態は色んな意味で無理じゃけぇなぁ、そろっそろ何か言わんとなぁ・・・・・とりあえず。

 

透「・・・・・ぁ「とりあえず」え?」

 

俺が「あぁ〜っと」って言い出そうとした瞬間、ハルカが先手を打ってきた。

 

ハルカ「・・・・とりあえず・・・・さ、『久しぶり』・・・透」

 

透「・・・・・・」

 

 

 

『久しぶり』

 

 

 

 

そう、コイツ等にとって俺はもう完全に『マダラ』としてじゃなく、『井上 透』として見るようになっちょる・・・まぁわかっとったことじゃけどの。

 

透「・・・・ん・・・・久しぶり」

 

俺はハルカに簡単にじゃけど返答しといた。

 

なのは「ぁ・・・・透・・・君?」

 

透「ん?・・・・何?なのは」

 

なのは「っ〜〜〜〜〜!!」

 

いきなり俺の名前を呼んできたなのは、俺はそれに答えるとこれまたいきなり感極まったんか知らんけど・・・・いや、知らんわけじゃねぇ、俺はコイツ等や他の人等に心配や迷惑をかけてしもぉたんじゃけぇな。

 

両手で口を覆い目を潤ませ、そして俯いたなのはにすずかがそっとなのはの肩を抱いた。

 

なのはだけじゃねぇ、俺の知っとるほとんどの奴等・・・・つっても地球組の連中じゃけど、皆が泣きそうになっとったりホッとしとったりしとった・・・・・あと、何故か新人たちも同様な状態じゃった。

 

本来なら俺も何かしらのリアクションをせんといけんのんじゃろぉけど、何でか知らんけどまったく泣きそうになったりせん・・・・ほんっと俺ってば中途半端に感情に欠陥っぽい事が起きちょるんじゃけぇ・・・・。

 

はやて「〜〜〜っ・・・・透君、私等から一つ・・・言わんとアカン事があんねん」

 

透「?」

 

たぶん泣いとったであろうはやてが急に話を振ってきた、俺に何かを言うらしいんじゃけど・・・・・どれのこと?

 

俺に対する罵倒というかお叱りの言葉?それとも俺の置かれとる状況?あとは何か俺の身体に関してのヤバい事とか?

 

一体何じゃぁ?とアレコレと変に予想しとった俺にはやてが喋りだした。

 

はやて「・・・・g”コンッコンッコンッ”・・・っと」

 

はやてが何を言おうとしとったかは分からんけど、言う瞬間に病室の扉をノックする音が聞こえてきた。

 

ノック音に反応してはやては喋ろうとするのを止めた、そしてノック音に対して扉のすぐ近くに居ったクロノが扉を開けた。

 

カリム「失礼します」

 

シャッハ「失礼します」

 

そう言って入って来たのは聖王教会のカリム・グラシアさんとシャッハ・ヌエラさんじゃった。

 

カリム「・・・・お久しぶり・・・じゃないわね、初めまして・・・ですね、こうして仮面無しで素顔で面と向かって話すのは2度目ですけど」

 

透「・・・そうなりますね」

 

シャッハ「具合は・・・どうですか?」

 

透「あ・・・・・意外にも頑丈なんで・・・つってもハルカやシャマル、それに響先輩が治療してくれましたから・・・・まぁ軽く貧血気味なだけっすね」

 

シャッハ「・・そう・・・ですか」

 

ハリベル「透様、あの・・・・」

 

いきなりハリベルが俺に耳打ちをしてきた、俺は素直に従って耳を貸すとハリベルがハル達がグラシアさん達によって助け出されたことについてを聞いた。

 

それを聞いた俺は一瞬驚いたんじゃけど、俺はすぐにベッドから降りようとして両足を床に付けた・・・・じゃけど脚に体重を乗せようとすると激痛が走りすぐに倒れてしもぉた。

 

カリム「!?」

 

響子「透さん?!」

 

ハルカ「ちょっ!?アンタ何してんのよ!?」

 

響「そんな足で立とうとして・・・・」

 

ユーリ「無茶しないでください!」

 

皆俺に色んな言葉を言うてきた、そらそうじゃなぁ・・・・怪我人が怪我しとる所を庇いもせず立ち上がろうとしとるんじゃけぇな。

 

倒れとる俺を男2人が立たせようと俺の両肩に手を差し伸べてきた・・・・・じゃけど俺はそれを・・・・・断った。

 

透「俺に・・・触らんでください!!」

 

ティーダ「!!」

 

ヴァイス「!!・・って、んなこと言ったってオメェ、そんなナリで無茶すんなよ・・・」

 

透「・・・・・俺のケジメ・・・なんで・・・・」

 

俺はそれだけを言うと拳を思いっきり作り地面に付け、必死に状態を起こしながら激痛に耐え脂汗を掻きながら両膝を曲げ、なんとか正座をし、そんで肩幅くらいの位置に両手をついて頭を地面に付ける勢いで下げた。

 

そう、俺がどんなポーズをしとるかっていうのは・・・・・俗に言う『土下座』。

 

なのは達以外の人等が土下座の意味を知っとるか知らんけど、とにかく俺はグラシアさんとヌエラさんに向け、土下座をした。

 

脚のギプスの所為で不格好な土下座になってしもぉたけど、簡単に言やぁorzみたいな恰好じゃけど・・・それでも俺は不格好なりに必死で土下座をした。

 

透「・・・ありがとう・・・・ございます」

 

カリム「え?」

 

透「・・・・俺口下手なんで、うまく言えないんっスけど・・・・アイツ等助けてもろぉて・・・・本当に・・・ありがとうございます、この恩は一生忘れないッス」

 

フェイト「透・・・・」

 

シャッハ「井上さん・・・」

 

ギンガ「・・・・・・」

 

俺のいきなりの土下座にしばらくまた室内がシンッとしたと思った・・・んじゃけど、すぐにそれは破られた。

 

カリム「・・・・顔を上げてください」スッ・・・

 

グラシアさんが俺の肩を触れながら優しく言った、俺は恐る恐る顔を上げた。

 

すると、目の前には膝を曲げて俺の肩に手を置いて優しい微笑みを浮かべたグラシアさんがおった。

 

カリム「お礼を言うのは寧ろこちらの方ですよ、以前貴方が私とルーテシアさん、それにヴィヴィオを助けてくれなければ私は今こうして貴方と話せてはいませんでしたし、それに・・・・・とにかく顔を上げてください」

 

不覚にも、その顔と言葉に一瞬ドキッとしてしもぉた・・・・あ〜やべ、これぜってー俺の顔赤いわぁ。

 

じゃけど、それ以上に俺は嬉しいと思ったし、同時に肩の荷が若干じゃけど降りた気がした。

 

あの戦いの時、シュテル達からハル達の状況を聞いとったけぇ、かなり気がかりじゃったんよなぁ。

 

俺は何も言わず頭だけ下げた、そんで今度は男2人が俺を抱えてベッド移した。

 

響「まったく・・・・透君、医者の目の前で堂々と怪我が悪化するような事しないでちょうだい」

 

透「ぅっ・・・・・すんませんッス」ペコッ

 

俺はベッドの上でじゃけど、首だけを倒して謝罪した。

 

アリサ「・・・・さてと、一つ聞きたいことがあるんだけどさぁ透」

 

透「ん?・・・・・何?」

 

 

 

 

 

 

 

 

アリサ「アンタ・・・いつまで下向いてるつもりなのよ」

 

 

 

 

 

 

 

透「・・・・・」

 

アリサの指摘に室内はまた沈黙が支配した。

 

そう・・・・俺はずっと・・・なのは達が入ってきてからずっと・・・・なのは達に『顔を見せて無い』。

 

アリサ「ねぇ、何でなの?」

 

透「・・・・・・・そんなん当たり前じゃろぉが」

 

フェイト「え?」

 

透「今までずっと何の音沙汰も無しに犯罪行為しまくって、挙句にお前等に向けて刃ぁ向けてしもぉたんやぞ?今更どんな顔せぇっちゅーんじゃ!!」

 

俺は言っていくうちに段々と声を荒げてしもぉて、しまいにゃぁ手をメッチャ握り込んどった。

 

ハルカ「・・・・・・こうなる事を覚悟してたんじゃないの?」

 

透「しとらんかったわけじゃねぇ・・・・じゃけど、一度こういう経験をしちまうとさぁ・・・・・・・・やっぱ・・・お前等の顔を見ることが出来んのんじゃって・・・」

 

俺はより一層顔を下に向けてしもぉた・・・・。

 

正直、なのは達にまた会えたことはマジで嬉しい・・・・嬉しいけど、今迄自分がしてきたことを今更チャラには出来んし、するつもりもない・・・・じゃけどそれは決して胸張って言える事じゃねぇ。

 

そんな後ろめたさからか、俺はなのは達を直に見ることが出来ん・・・・精々首から下辺りが限界。

 

透「・・・フゥ・・・・フゥ・・・・フゥ・・・・・・っ・・・・悪ぃ事したら・・・顔を上げられんじゃろうが・・・」

 

ハルカ「(・・・・)・・・ハァ、分かったわ」

 

そう言うとハルカは両手を顔の近くまで上げて『お手上げ』のポーズを取った。

 

ハルカ「でも、はやてが言いかけたのは続けるわよ?・・・はやて」

 

カリム「(あら、そうだったの?・・・ゴメンなさい)」

 

はやて「(ええよ)うん」

 

ハルカに呼ばれたはやては半歩ほど前に出てきた、そして・・・・・。

 

 

 

 

はやて「スゥ・・・・ハァ・・・・透君!ゴメン!!」バッ!

 

全員「ゴメン!(スマン!)(っ!)」バッ!

 

 

 

 

透「!?」

 

何を言い出すんかと若干じゃけど気になっとったら、いきなりはやてが謝罪の言葉を言った途端頭を下げてきた・・・・かと思ったら、俺以外の全員もはやてにならって俺に頭を下げてきた・・・・全くの無関係の『機動六課』の面々も、さらにはゼストやグラシアさん達までも。

 

俺は突然の事にビビッてついつい顔を上げてしもぉた、じゃけど頭を下げた状態のままはやては話を続けてきた。

 

はやて「私等透君の過去の事を何も知らんで、普通に暮らしとった」

 

はやては頭を下げたまま喋り始めた、まるで懺悔のような感じで。

 

アリシア「透が私達や私達の家族を護ってくれていた事も全然気づいてなくて・・・・しかも知らなかったとはいえ私達もそれに甘えてて・・・」

 

ハリベル「更に、関係の無い我々にまで手を差し伸べてもらい・・・・」

 

響子「その所為で透さんが私たちの知らない所で傷付いて・・・・・私達の所為でもあるのに・・・・」

 

ゼスト「君のような若い者に、しかも被害者である君にそんなことをさせてしまうとは・・・・・・年長者の一人として情けなく思うよ」

 

なのは「透君の『痛み』や『悲しみ』、今になって少しは理解できるよ・・・・・透君じゃなくてもああする人はいるよね」

 

ハルカ「まったく・・・・今となっちゃぁアンタに説教できる程、偉くも無いのにね・・・・・」

 

はやて「とにかくやっ!・・・・謝らんといけんのは透君やのぉて私等の方なんや・・・ホンマ、ゴメンな」

 

透「・・・は?ややや、お前等が謝る必要なんぞ無いやんけ・・・・・ほいじゃけぇ頭ぁ・・・」

 

はやて「だから・・・だから!」

 

 

 

 

 

はやて「だから、もう悲しまんで・・・・ええんよ?」

 

 

 

 

 

 

透「・・・・・・・・・は?」

 

俺は一瞬、はやてが何のことを言うとるんかわからんかった・・・・その所為で俺の身体はまるで時間を止められたかのようにフリーズした。

 

透「いや・・・・ちょおま・・・何言うて・・・」

 

ハルカ「私達はね、アンタの過去をヤクモ達から聞いたし見せてもらったのよ」

 

透「!」

 

俺の過去って〜とぉ・・・・まぁ出生とかか・・・・・。

 

アルフ「それで透はこれまでも散っっ々辛い目にあって来たじゃないか・・・・・それのほとんどが、実質アンタには関係ないモノばかりだしさぁ」

 

シュテル「その所為で先生はずっと気に病んでしまって・・・・・そして・・・・・・・」

 

すずか「・・・・あなたが傷付いてしまった、私達にとって・・・・それが何より・・・『痛い』」

 

透「っ」ズキッ

 

すずかの言葉に俺の胸は一瞬痛み、そして若干血の気が引いたような感じがした。

 

透「・・・・・」

 

やぁ〜・・・・・出来りゃぁもう止めてくれんかなぁ・・・・。

 

なのは「私達はもう・・・これ以上透君に苦しんでほしくない・・・・・・ううん、『透君にだけ』苦しんでほしくないの」

 

俺だけ・・・・かぁ・・・・・・そんなに苦しんど・・・・・たんかなぁ・・・。

 

フェイト「透の持ってる『痛み』や『悲しみ』、私達にも分けてほしいし・・・・・もっと理解したい」

 

お前等にまで・・・・そんなもん背負わせたかねぇってのに・・・・・。

 

スバル「井上さんだけが、苦しむ必要なんかどこにもないんです!」

 

俺が自分からしとったことなんじゃけぇ・・・・・・。

 

てかお前等まで言うんか・・・・。

 

ティアナ「あなた自身も充分罪を背負い・・・償っています・・・・」

 

お前さんまで・・・・・・俺結構ヒデェ事言ったのに・・・。

 

ギンガ「彼等がやってきたことが罪なら、それを知りもしないで平々凡々とした生活や任務をしていた私達も・・・・同罪です」

 

透「・・・・っ」

 

あぁ〜〜・・・もう止めてくれんかのぉ・・・そろっそろ俺の涙腺が・・・・限界なんじゃけど・・・・。

 

ハルカ「だから、もう『一人』で戦い続けなくていいの!」

 

なのは「もう透君一人で無理や無茶をしなくていいんだよ?」

 

フェイト「だってこれからは、私達がいる!」

 

アリシア「クロノやユーノ、それにカリムやゲンヤおじさん達もいる!」

 

アリサ「もちろん私達も入ってるわよ」

 

シグナム「無論我等も同じだ!」

 

ハリベル「私達はもとより・・・貴方様の下に・・・・」

 

ゼスト「ここにいる全員が、君に協力しようとしてくれている」

 

カリム「あなたを助けたいと護りたいと思っている」

 

シャッハ「あなたの実力に比べれば劣りますが、それでも精一杯やり遂げるつもりです!」

 

アンタらまで・・・・・・・言わんでいい事を・・・。

 

それに、コイツ等が今言ったのって明らかに管理局を脱する・・・というか、クーデター的な事を起こすような感じなんじゃけど。

 

はやて「・・・それとな?もう一個透君に言わなあかん事があるんよ」

 

まだあるんか、これ以上何を?

 

 

 

 

なのは「・・・今まで、私達と私達の家族を護ってくれて・・・・・『ありがとう』」

 

 

 

 

なのはの言葉と同時にまた俺以外の全員が頭を下げた、そして俺の中でも一気にこみ上げてくるものがあった。

 

そして、それはすぐに形となって表れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

透「―――――――――――――――――――」ツゥー・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の目から何かが流れるのを感じられた、まぁ触れて確かめる必要は無かった・・・・何故ならそれは俺の『涙』じゃってことは分かりきっとったから。

 

そう、この世界に来て初めて流した・・・・・『本気の涙』じゃった。

 

なのは「・・・!!透君!?」

 

透「あぁ〜あぁ〜わかっとるわかっとるって・・・・・っっあーやべ」

 

俺は下を向かず、逆に上を向いて両手で顔を覆った。

 

透「っ・・・っ・・・・くっそ・・・マジ・・・止まんねぇ・・・・」

 

俺は耐えきれず顔を再び下に向け、そして恥ずかしながら・・・・マジ泣きしてしもうた。

 

引き金となったんは、もちろん皆の『謝罪』と『感謝』。

 

今まで何に対しても涙を流したことは無かった、両親が目の前で死んだ時、ミュウを助けれんかった時、そしてなのは達に攻撃した時・・・それらの時は確かに辛かった、胸が超痛かった・・・・・けど涙は出んかった。

 

まぁ映画とかちょっとした泣けるようなモノとかは除外しても、こんな風に誰かの目の前で、しかも俺の好きな奴等に面と向かって感謝されるなんぞ、流石に予想出来んかった。

 

透「礼なんぞ・・・・・ぐすっ・・せんでええのによぉ・・・・・ぐすっ・・・・」

 

すずか「・・・・・・私達だけじゃないんだよ、今のは私達『家族の分』だからね」

 

なのは「お父さん達も透君には感謝してたんだよ、今の言葉もお父さん達の伝言でもあるんだから」

 

ハルカ「アンタは・・・『ヒーロー』、しかも・・・とびっきり下手な『ダークヒーロー』、周りがいくらアンタをメチャクチャ非難してもさ、私達にとってアンタは『ヒーロー』なわけよ・・・・本当にありがとう」

 

透「!〜〜〜っ、何がヒーローじゃ・・・・俺みたいなダメな野郎が・・・・ヒーローなわけあるかぃ・・・・・アホォが・・・ぐすっ・・・・・・ちょっ・・・マジで止まんねぇ」

 

シャマル「・・・・・泣いていいよ」

 

アインス「泣きたいだけ、泣くといいさ」

 

ザフィーラ「いや、寧ろ泣いた方がいい、お前は無理をし過ぎたのだからな」

 

透「っ〜〜〜〜〜」

 

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・

 

 

 

 

それからしばらく・・・つっても4,5分程度なんじゃけど、俺は泣き続けた。

 

この世界に来て初めて、しかも幼馴染のなのは達の目の前で号泣してしもぉた・・・・・まぁ号泣って言っても声は押し殺しとるんじゃけどね。

 

透「っっあ゛ぁ゛〜〜、なんか恥ずいし脚痛いし、もぉ色んな事が今はどうでもええ感じじゃぁ〜〜・・・・でも超恥ずかしい」///////////////

 

俺は泣いた後、顔を上げては見たものの、またさっきとは別の意味で両手で顔を覆ってしまったって単に恥ずかしかっただけなんじゃけど。

 

ユーノ「あ、あれ?一気にシリアスな空気やキャラが一変したんだけど」

 

透「ぁぁ〜・・・・・だりぃ〜・・・なんかもう色々メンドイ」

 

はやて「いや、変わり過ぎやろ?!」

 

クイント「すごい変わり身ね、ギャップがあり過ぎて逆にこっちが戸惑うわ」

 

フェイト「まぁ・・・これが普段の透ですし・・・・・」

 

アリシア「私達はもう慣れちゃってるからねぇ・・・・というか本当に久しぶりなんだけど」

 

アリサ「にしてもアンタ、ホント髪伸びまくってるわね・・・・かるく『貞○』よ?それ」

 

透「ぬ・・・まぁ下手に噛み切って顔がバレるよりっていうね?要は変装の一種っちゅーことで」

 

響子「ならもう前隠さなくていいじゃないですか、前髪上げないんですか?っていうか上げてくださいお願いします」バッ

 

響子は素晴らしい角度で頭を下げて頼んできた。

 

透「お願いする程って・・・どんだけ?まぁ別にええんじゃけどさ”クィッ”ほれぃ、こんなんでええんか?・・・って、お前等・・・何で固まるかね」

 

俺が前髪を上げるとなのは達が黙りだし俺の顔をジッと見つめてきた、そしてなのは達の顔は一気に赤くなりだした。

 

透「何?俺の顔見るのが久しぶりじゃけぇ・・・・って感じじゃあなさそうじゃな」

 

なのは「い、いやいやいやいや!まったくもってその通りだよ!?ホンッッッットォーに久しぶりだからだよ!?(右目の傷の事触れないでおこうと思ったけど・・・・・凄くカッコいい)」////////////////

 

透「いや、んな声張らんでも・・・・逆に怪しいっつーか変なんじゃけど」

 

フェイト「怪しくない!変じゃないよ!至って普通だよ!?(うぅぅ〜・・・これじゃ透の顔をまともに見れないよぉ)」//////////////

 

アリシア「そうそう!普通普通!!(中学の時以上にカッコ良くなってる)」///////////////

 

はやて「全然普通!!(エライ男前になっててビックリやわぁ)」////////////////

 

透「・・・それのどこが普通っちゅーんじゃ」

 

アリサ「こここ、これがアタシ達の普通よ!悪い!?(もう!こっちが恥ずかしくて見られないじゃない!)」//////////////

 

すずか「ど、どこからどう見ても普通だと思うなぁ〜(カッコ良くなり過ぎて、逆にコッチが恥ずかしいよぉ)」////////////////

 

スバル「わわわ私達、どこも変じゃないよね?!ティア?!(ほぇ〜、井上さんの仮面の下ってあんな感じなんだぁ)」//////////////

 

ティアナ「えっ!?え、ええ!そうじゃないかしら!ですよね!?ギンガさん!(ちょっ!コッチに振らないでよ馬鹿スバル!・・・・・でも、あれが井上さんの素顔・・・)」//////////////

 

ギンガ「ぇええ?!私!?そ、そうね・・・変じゃないわね!(あの人が・・・・あの空港事件の時に、私とスバルを助けてくれた人)」//////////////

 

コイツ等・・・・・そんなんで誤魔化せとるってホンマに思っとるんか?『寧ろなんかありますぅ』って簡単に見て取れるわ。

 

ハルカ「まぁこの子たちの本音を代わりに言わせてもらえば、約5年ぶりのアンタの素顔を拝めて嬉しいのと、更にその目の傷がメチャクチャマッチしてて、より一層カッコ良くなって逆になのは達が恥ずかしくなったってとこよ・・・・かく言う私もなんだけどね(ホント、ここまでカッコよく見えるなんて・・・・・漫画やアニメだけかと思った)」//////////////

 

透「・・・・はぁ・・・えっと・・・・・それは・・・・どうもって言やぁええんか「透さぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」”ギュッ”なぁっ!?!?!?!?」ドゴォッッ!

 

ハルカの代弁に俺は恥ずかしくなってしもぉて、とりあえず疑問系の『ありがとう?』的な事を言おうとしたんじゃけど、その瞬間『瞬歩』か『剃』並の速さで響子が俺の首に抱き着いて・・・・基(もとい)、タックルしてきた。

 

『瞬歩』や『剃』並の速さでのタックルを俺は首に受けた、その所為で俺の頸動脈は一瞬潰され、しかも首全体にダメージを受けてしもぉた・・・・・・・しかも、皆さんお忘れかもしれんけど、響子ってば・・・・他の女性よりも・・・お胸が・・・デカいんですよねぇ〜。

 

響子「スゥ〜ハァ〜!スゥ〜ハァ〜!・・・ハァ、久々の透さんの匂い・・・・あぁ・・・・イイ(目の傷で更にカッコよくなって、もう♪どこまで私を惚れさせる気ですか?)」/////////////

 

じゃけど残念なことに響子様のお胸を堪能しようにも、響子のいつも通りの変態行為っぽいことに楽しめることが出来んかった。

 

しかも、それ以上に大変なことが起きた、大変な事って言っても響子を引き剥がそうと身体を動かした時に俺の両脚がスッゲー痛んだことなんじゃけど。

 

透「ちょっ!?お前はまた変な事をし”ビキィィッ!”ってぇぇ?!?!」

 

響子を引き剥がす瞬間、身体を動かそうとした・・・・その時若干両足を動かしたんじゃけど・・・それがいけんかったようじゃった。

 

シグナム「コラッ響子!透は怪我人なんだぞ!?少しは自重しないか!!(透に抱き着くなんて、なんて羨ましいことを!)」

 

透「〜〜〜〜〜っ!」

 

シャマル「だ、大丈夫?透君?(でも、透君も透君よね?響子ちゃんに鼻の下伸ばして)」

 

透「イッテ〜、そういやぁ何で俺の両脚にギプスなんかしとるん?」

 

俺は今になって両脚に固定されとったギプスについて聞いてみた。

 

ヴィータ「そう言えば脚以外の傷は治ってるのにな(響子の奴・・・一人だけズリィんだよ)」

 

響「あぁ、それはハルカちゃんの指示なのよ(良かった、何の異常もないわね)」

 

透「ハルカの??」

 

俺はその指示を出したハルカに目を向けた。

 

ハルカ「あ〜それね、まぁ確かに私が響さんにお願いしてギプスにしてもらったのよ、アンタの脚・・・両方とも折れてたのよ、しかも膝から下・・・・・それに足もね」

 

透「マジで!?折れとん!?」

 

響「えぇ、それもかなり複雑にね、最初は『疲労骨折』程度だったんだけれども・・・その後また更に無理させたり、それに脚を刺されたり連中に無理矢理動かされたりした所為で脚に限界が来てしまってたのよ」

 

透「・・・・・マジっすか・・・」

 

響「と言っても、流石に刺されていた箇所や斬られた箇所は私達が治療したんだけど・・・・骨の方は自然治癒が一番だからギプスしてあるの」

 

透「あ〜なるほど」

 

確かにここ最近は戦いっぱなしで碌に休めずにおれんかった・・・・つっても、たんに俺が休まんかったってだけの話なんじゃけどね。

 

ハルカ「まぁ骨折以外の身体中の傷は、治しといたんだけど」

 

透「治しとんかぃ!!・・・って何で骨折以外!?全部治してぇや!!」

 

ハルカ「・・・・・アンタ、骨折も全部治したらどうするの?」

 

透「・・・・・・・・・・・・・・・・・即行動きますデスハイ」

 

ハルカ「そういう事、だから私もシャマルに頼んで脚だけ完治させなかったんだから・・・それにアンタには休息が必要でしょ?だから!アンタはしばらくそこでジッとしてなさい・・・・・『後の事は私達に任せてね』」

 

俺はハルカの最後の部分の言葉や、あと他にも気になることを言っとったことに気が付いた。

 

透「おい、そういやぁさっきから任せろだの何だのって言うとるけど、お前等・・・・まさかとは思うんじゃけど・・・」

 

なのは「・・・・透君の想像通りだよ」

 

アリシア「私達は透達に協力する」

 

はやて「遅すぎるんやろうけど、流石に違法な研究をしとるようなところを見過ごすわけにはいかへんやろ?」

 

ヴィータ「それにオメェが困ってんだったら、協力してやんねぇとダメだろ?」

 

透「・・・じゃけど、ソレするとお前等管理局に居れんのんじゃないんか?反逆罪的なモンになるんじゃないんか?」

 

ゲンヤ「あ〜実を言うとな?お前さんのお陰で管理局自体も今じゃぁ結構ガタガタでな?大体2つの勢力に分かれちまってんだよ」

 

透「2つの勢力?」

 

ゲンヤ「あぁ、一つはレジアス元中将の告発を受け不正に不正を重ね、非人道的行為をし市民を裏切り続けてきた奴等を締め上げようとする決起した局員達が集まった派閥、そんで片方は最高評議会を筆頭に自分達こそが市民や局員を導けるって豪語してる派閥・・・この2つだな」

 

要は最高評議会とそれに対抗しようとしとる連中ってとこか、てゆーかこの中年のオッサン誰?

 

ゲンヤ「最高評議会は元より影響力が半端じゃないし、そっちに靡いちまう局員も少なくねぇ・・・だがもう一つの方は小さい勢力ながらも影響力や発言力は負けてねぇ、なんてったってあの『伝説の三提督』が率いてんだからよ」

 

『伝説の三提督』、管理局の歴史上で結構な功労者として有名で今じゃどっかの部署の長的ポジションになっちょるだけのジジィとババァ達のことじゃな。

 

ゲンヤ「あの御三方がいるから、結構バランスが取れてるんだ・・・・だがその2つの勢力の所為で管理局自体もガタついちまってなぁ・・・さっきも言ったが、お前さんの所為でなぁ」

 

透「ま、それが狙いの一つでしたしね」

 

ゲンヤ「スゲェ奴だなお前・・・・まぁそのことは今はどうでもいいんだけどよ、とにかくお前さんに提案なんだがぁ」

 

透「何スか?」

 

中年のオッサンが俺に提案を持ちかけてきた。

 

ゲンヤ「お前さん、俺ンとこか八神の嬢ちゃんの部隊に入らねぇか?」

 

ピクッ

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ナニ?

 

クイント「ちょっと、あなた」

 

ギンガ「お父さん!何言ってるの!?」

 

ゲンヤ「いやぁ分かってるって!けどよぉ、このままじゃお前さんどの道管理局に身柄を拘束されちまうぞ?最高評議会の所に捕まっちまったらそれこそアウトだ、だったら俺か嬢ちゃんの部隊に所属しとけば、奴さんも手ぇ出しにくいしだろうし何より安全だろ?もちろんそっちのお前さんの部下もな」

 

ハリベル「」ピクッ

 

ゼスト「確かに、今では彼をこのまま奴等に渡すことなんて出来はしないし、最悪三提督に助力を乞えば・・・・」

 

透「・・・・っはっはっは」

 

俺はあまりの面白さに若干ウケてしもぉた。

 

薫子「・・・・透君?」

 

透「そりゃ確かにそうっすね!はやてん所かそっちの名前の知らんオッサンの所に行きゃぁ確かに安全かもしれないッスねぇ」

 

ゲンヤ「だろぉ?だったら「じゃけど」?」

 

そらぁ確かに安全かもしれん、しれんけど・・・・・・・マァソレハ。

 

 

 

 

透「ソレハ・・・・・ナイッスネ」ギンッ

 

 

 

 

全員「!!!」

 

俺の威圧と言葉に、なのは達全員が驚いた顔をしとった。

 

透「俺ガ『管理局ニ入ル』??ハッ!何ノ冗談ッスカ?アリエネェ、全ッッ然アリエネェ!何デ俺ガ、アンナ糞ミテェナトコニ所属セニャナランノッスカ?アンナトコニ行ククライナラ・・・・・・・・・・死ニマスヨ」

 

ハリベル「当然・・・・・我々モ同ジダ」

 

ディア「行ク気ナド毛頭無イ」

 

レヴィ「誰ガアンナ所ニナンカ」

 

レン「絶対ヤダ」

 

エリオ「・・・・」

 

メガーヌ「・・・・・」

 

俺は心の底から管理局に入ることを拒否した、その時ハリベルやシュテル達は俺の方へと寄りなのは達を睨みつけとった・・・・・とびっきりの殺意を込めながら。

 

ハルカ(怒り・・・なんてもんじゃじゃいわね、かなりの憎しみが込められてるようだわ・・・その証拠に『虚化』の仮面が勝手に出てきてるし、それに片目だけだけど『万華鏡写輪眼』だし、無意識で出してるとしたら・・・・それ程まで憎んでるってこと?まるで『イタチ』を倒した後の『サスケ』じゃない)

 

カリム(彼とそして他の人達の目も同じように光が無い・・・・・まるで闇に沈みきったような感じだわ、それほど管理局に対しての憎しみが?)

 

ザフィーラ(偶に主達がこういう『目』をするが・・・・・これは主達以上に『深く重い』な)

 

ティアナ(この感じ、最初に会った時に感じた時よりもかなりキツイ)

 

ギンガ(まるで何かに押し潰されているような感覚だわ・・・・・息苦しい)

 

はやて「(こらかなり『深い』わ、恨みや憎しみが)・・・ま、まぁまぁ透君!ナカジマ三佐は例えっちゅーか、一つの案みたいなモンで言うてるだけやから、別に強制せぇへんしするつもりもハナッからあらへんよ?それに仮に私等のトコに来ても安全って保障は何処にも無いんやし、気にせんでええんよ?な?そうですよね?ナカジマ三佐?」

 

ゲンヤ「お、おう!悪かったな・・・俺もお前さん等を無理に引き入れるつもりなんかねぇんだ・・・・ただお前さん等をどうにか護れねぇかとな・・・・・」

 

透「・・・・・いや、わかっちょります。俺もそのぉ・・・キレてしもぉて・・・・・・スンマセンっした」ペコッ

 

俺は静かに、そんでもって小さく深呼吸をして落ち着かせてナカジマ三佐って言われとったオッサンの話を冷静に思い返した。

 

そして俺は普段からちゃんとしたお礼とか謝ったりとかしたこと無いけぇ、いざやろうとすると変に恥ずかしくなってしもぉて、適当とも取れる謝罪になってしまう。

 

あとこん時に何でか知らんけど勝手に出た『虚化』の仮面も一緒になって消えた・・・・・・勝手に出るって、相当俺・・・・憎んどるってことかのぉ。

 

アリシア「と、とりあえずさっ!皆でお見舞いのリンゴでも食べない?」

 

スバル「そ、そうですね!それがいいですね!」

 

なのは「じゃあ皮を剥かないと・・・・って、ナイフは・・・・・っと」

 

いきなり話を変えようと不自然ながらも空気を変えようとしたアリシアにハチマキ娘となのはが乗っかりだした。

 

そんな姿を見て俺もなんとか協力しようと横に置いてあった果物ナイフに手を伸ばした・・・・てゆーか何で都合よく置いてあるん?

 

とにかく俺は果物ナイフを刃の平面部分を指で摘まみながらなのはに渡そうとした。

 

透「これじゃねぇん?」

 

なのは「あ、ありがとう!そこにあったんだ・・ってなんであるの?」

 

なのはも俺と同じように思っとったらしく、ついつい口に出してはおったけど、まぁ気にしてもしゃーないけぇそのまま渡すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

透「っ・・・・・・っ・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポトッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはが丁度ナイフの柄の部分の触れようとした時に俺は渡せず、俺のベッドの上に落してしもぉた。

 

この時、俺は何かよぉ分からんけど、メッチャ不安になったというか・・・・・怖くなった。

 

なのは「あ・・・・」

 

響「・・・・」

 

俺がナイフを落としてしまったことになのはが不意に声を出した。

 

やべぇやべぇ、変に不安を煽ってやるこたぁないわなぁ・・・・・・・じゃけど・・・。

 

透「(コレって・・・・・もしかして、『アレ』的な?)っとぃ、悪ぃ悪ぃ!あんな風に持ったけぇ滑ってしもぉたわ」

 

俺はとりあえず滑って落としたっていう風に装った、若干無理があったかもしれんのんじゃけど・・・・・・どうよ?

 

なのは「あ、そうなんだ」

 

アリサ「ちょっと、アンタ仮にも怪我人なんだから、あまり無茶しなくても・・・そんなことまでしなくてもいいんだから」

 

透「まぁつっても俺の近くにあったんじゃけぇ、取れわけじゃねぇし無理でもねぇんよ・・・・・・心配してくれてスマンね」

 

アリサ「!ふ、ふんっ!そそそこは『ありがとう』でしょう!感謝くらいちゃんと言いなさいよ馬鹿!」//////////////

 

透「いやそこでキレられても(まぁ気のせいかもしれんのんじゃけど・・・もう一回)、ほれぃ・・・コレの」

 

俺はもう一回ナイフをなのはの方に差し出した。

 

なのは「いや、別に渡さなくても私が「待って!!」っ!・・・・・響さん?」

 

いきなり室内に響先輩の声が響いた、どうやら響先輩にはバレたようじゃ・・・・・それに、俺もこれで確信っちゅーか予感的中してしもぉたし。

 

俺がそう思ったのは・・・・・俺の今の『状態』のこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

透「・・・・ハッハッハッ・・・ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!・・・ぅぅぅあぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」ブンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は・・・・・・・・・・・『震えた』・・・・いや、『怯えた』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は渡そうとしたナイフをとにかく早く離したいって思い、無我夢中でナイフを投げてしまった。

 

幸いなことに投げた先には誰もおらんかった為、誰も怪我はしてはいなかった。

 

何故俺が震えたんか・・・・・いや、怯えてしまったんか・・・・・・それはナイフを持った瞬間、俺の脳裏に『なのは達に刃を向けていた時の映像』や『ミュウやガージェス』が蘇ったからじゃった、このことからあることが予測されるんじゃけど・・・・・。

 

今の俺には若干その予測を立てることが出来んかった、今の俺は呼吸や色んなんが不安定でそれどころじゃなかったけぇ。

 

透「ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!」

 

なのは「透君!?ねぇどうしたの!?しっかり!!」

 

フェイト「透!透!!」

 

レン「先生!!」

 

響「皆退いて!今は彼に近づいちゃダメよ、それから誰か『精神科』の先生を呼んできてもらえないかしら?看護師に言えばいいから!」

 

カリム「じゃぁ私が!行きましょ?シャッハ」

 

シャッハ「ハ、ハイ!」

 

ヴィータ「オ、オイッ!どうしたんだよ透は?!」

 

響「・・・・断言はできないけど、今ちょっと発作のようなことが起きてるわ」

 

はやて「発作て・・・まさか私の時みたいに・・・・・・・・」

 

響「詳しい事は『精神科』の先生が来てからね、とにかく皆一旦この病室から出て!終わったら教えるから!」

 

そう言って慌ただしくしちょる響先輩に、俺の突然のパニック衝動に驚いちょるなのは達。

 

俺はなんとかなのは達に心配を掛けまいと頭ん中でどうすりゃぁいいかを考えた。

 

響「透君!落ち着いて、ゆっくりと深呼吸・・・・って・・・何?」

 

俺を心配し尚且つ医者として出来る対処をしようとした響先輩に俺は呼吸がままならん状態でじゃけど手で制した。

 

透「ハッ!・・ハッ!・・ハッ!・・ハッ!」スッ

 

色々考えた結果俺が取った行動は・・・・・・・・呼吸のリズムを整えることじゃった、しかも『無理矢理』。

 

 

 

ドンッ!

 

 

 

透「うっぐっ!?ゲッホッ!エッホッ!ッッオッホッ!」

 

俺は右手を握りしめてそのまま胸に打ち付けた、俺なりの解釈でやったけぇ、いい方法かどうかも知らんし、なにより合っとるかどうかもわからんけど。

 

俺がなっとったのは所謂『過呼吸』ってやつなんじゃと思う、要は上手く呼吸が出来ん状態・・・のはず、確か酸素やら二酸化炭素やらがど〜たこ〜たらとか前の人生の時にニュースで見たんじゃけど・・・・よう知らん、てか忘れた。

 

とにかくその『過呼吸』を治すとまではいかんけど、呼吸を整えようとすることは出来ると思って俺は自分の胸を叩いた。

 

胸に衝撃を与えることで無理矢理呼吸のリズムをリセットしてやった、人は咳き込み過ぎると自然と深呼吸をしようとする・・・・その理屈でいけると思ってやってみた・・・なじゃけど。

 

透「ゲッホッ!ゲッホッ!」

 

無駄に咳き込んだだけで終わってしもぉた。

 

響「ちょっと何してるの!?そんなことしても意味無いわよ!大人しく『精神科』の先生が来るまでジッとしてなさい!」

 

心配する響先輩、じゃけど咳き込んだおかげで割と持ち直したのは事実じゃった。

 

透「っ・・・・スゥ・・・ハァ・・・スゥ・・・ハァ、いやでも若干落ち着きましたよ」

 

響「それは気のせいよ!いいから大人しくしときなさい!」

 

透「ウ、ウッス・・・・・・フゥ」

 

俺は左手を顔に押し当て、自嘲気味に笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

透「・・・・ハハハハ、マジかコレ・・・」

 

 

 

-3ページ-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

 

えぇっと・・・・ホント申し訳ないです。

 

今回で透がスバル達に『写輪眼』や『輪廻眼』をどうやって?っというのをやる予定だったんですが、思いの外透が泣く所で段落を取ってしまい・・・今回は外させてもらいました。

 

今回でその謎が解明するのを期待された方々には深くお詫びいたします!

 

しかし、透はこの世界に来てからというものの、『本気』で泣いたことがなかったというのは意外だったのではないかと思われます。なにせ両親が死んだ時でさえ涙を流さなかったんですから・・・。

 

そして透は全快していたのかと思いきや、なんと脚だけ治療されてなかったようですね。

 

まぁハルカのレアスキルでということで響や他の医者が治療してはくれていたようですが・・・・・脚だけ放置とは・・・流石ハルカといったところでしょうか。

 

それにしても、折れている脚で土下座をするとは・・・・透はカリムとシャッハに対し相当な借りを作ってしまいましたね、ハル達や子供たちを匿ってもらっているとはいえ相当の恩義を持っていますね。

 

あと、透とハリベル達の管理局への憎しみも相当ですね・・・・・・目に光がないレベルです。

 

響子は・・・・・・まぁいつも通り(汗)

 

あと、『疲労骨折』や『過呼吸』での医療関係の専門用語を出し透が対処をしてましたが、私には医療知識は無く実際どうすれば良いのか分かりません・・・・じゃぁすんなよって話なんですが・・・・・・まぁスルーしてください。

 

 

 

 

 

さて次回は!突如呼吸が乱れた透、何故呼吸が乱れたのか!?そして先程も申しました、スバル達の眼の事も明かされます!

 

そしてそして、お詫びというわけではありませんが!次回には『ある人物』を登場させちゃいます!

 

 

ヒントは、最近の話でチラッと出てましたし、ヤクモ達もチラッとソレらしいことを言ってました。

 

これ以上に更なる・・・・大ヒントが欲しい方は、是非私の方にまで・・・・・ってそこまで知りたくはありませんよね?すみません。

 

 

ではでは皆さん!次回をお楽しみにぃ〜!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
第42話 謝罪と心傷
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コメント
頑張れよ(nekusuto)
透はんスゲー!!(渡部一刀)
そして、ハイライトが消えて虚の仮面が無意識に発現する程に透が管理局を憎んでるのは管理局の自業自得でしょうね。(俊)
透、転生して初めて本気で泣いたんですか。泣きたい時に泣けないのは悲しいですが、こう言う感謝を伝えられて流す涙は尊いですよね。(俊)
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