『真・恋姫†無双 〜時の外史〜』 第3話
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兵士「なんだお前たちは!?」

 

 トルースの村のそばにある”ガルディアの森”を抜け、城へと着いた俺とクロノ。

 扉を開け、中に入った矢先に受けたのが、入口に立つガルディア兵士の怒声だった。

 

クロノ「あ、いや俺たちは・・・。」

 

兵士「村では見かけん顔だな。そっちの奴も妙な格好をしているし、まさか魔王軍の手先か!?」

 

一刀「ええっ!?ち、違いますよ!」

 

 うかつだった。何も考えずに入ったらこうなるのは当たり前だ。というか、どう入るかクロノに声をかけようとしたときには、クロノは既に扉を開けちゃってたから仕方ないんだけど。

 兵士の疑いの眼差しに、俺たちは慌てて弁解しようとするが。

 

兵士「ま、そうだろうな。こんな弱々しい奴らが魔王軍てことはあるまい。」

 

 兵士は失笑といった感じで勝手に納得していた。

 

クロノ「ん〜なんか腹が立つなコイツ。」

 

一刀「まあまあ、疑いも晴れたんだし、いいじゃないか。」

 

兵士「勝手に入ってきたのは見逃してやるから、さっさと出てった出てった。あんまりウロウロしてるとひっとらえるぞ?」

 

一刀「ああ、あの実は・・・。」

 

 兵士に扉へと押されながら、俺が事情を説明しようとしたとき。

 

??「おやめなさい。」

 

 城の入口、玄関ホールにある階段の上から声がかかった。

 

??「その方たちも、先ほどの彼女たち同様、私がお世話になった方々。客人として丁重にもてなしなさい。」

 

一刀「あ、あれってまさか・・・クロノ?」

 

クロノ「ああ、間違いない。」

 

 

 

 ―――――マールだ。

 

 

 

 

 

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真・恋姫†無双 × クロノトリガー

 

『真・恋姫†無双 〜時の外史〜』

 

 

 

 

 

第3話「王国歴600年!王妃の行方」

 

 

 

 

 

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兵士「しかし王妃様、こんな怪しい奴・・・。」

 

 キッ・・・!

 

兵士「!!(ゾクン・・・!)」

 

マール「私の命が、聞けないと・・・?」

 

兵士「め・・・滅相もありません!さ、お二人とも、どうぞお通りください!」

 

マール「フフ・・・。」

 

 兵士は異議を唱えようとしたが、そのあとのマールの言葉で姿勢を正し、俺たちに通るよう促した。

 マールは城の中へと戻っていく。

 さっきマールが兵士をものすごい目で見た気がするんだが。なんだろう、あれに似た感じを俺は知っている気がする。

 

クロノ「ふう、助かった。行こうぜ一刀?」

 

一刀「あ、ああ。」

 

 

 

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ガルディア王(以下:王、iv:大木民夫)「おお、そなたらか。リーネが外で世話になったというのは。心から礼を言わせてもらう。」

 

クロノ「(リーネ?)」

 

一刀「(たぶん本物の王妃様の名前だろう。とりあえずそのことは後だ。)」

 

王「しかし、外で一体なにがあったのだ?」

 

一刀「え?と、いいますと?」

 

 ガルディア王の突然の疑問に、俺は問い返した。

 

王「うむ、どうも戻ってからのリーネは様子がおかしいような感じがするのだ。いつも身につけていた”サンゴの髪飾り”も失くしていたようだし・・・あれほど大事にしていたというに。」

 

クロノ「あ〜えっと〜。」

 

一刀「申し訳ありません。僕たちも王妃様を前に緊張してしまっていて、それには気付きませんでしたもので。」

 

クロノ「(おお一刀!ナイスフォロー!)」

 

王「ふむ、そうか。ああいや、すまない。お前たちにこんなことを聞いても仕方がなかったな。そういえば、リーネを見つけたときに一緒にいた者たち、彼女たちはリーネの部屋に招かれている。お前たちも行ってよいぞ。」

 

クロノ「ホントですか!?はぁ〜よかった〜。」

 

一刀「ありがとうございます。では失礼します。」

 

 そうして俺たちは、王様の許可を得て、王妃の部屋に向かった。

 

 

 

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桃香「ご主人さまぁっ!」

 

鈴々「お兄ちゃあんっ!」

 

 ボヨン、ゴッ!

 

一刀「ほぐぅっ!」

 

 王妃の部屋に入った最初の記憶は、顔を覆う柔らかな感触と・・・みぞおちの激痛だった。

 

愛紗「ご主人さま!?」

 

桃香「あ!ごめんなさいご主人さま!」

 

鈴々「大丈夫かお兄ちゃん!?」

 

一刀「うぐぐ、な、なんとか。」

 

愛紗「桃香さまも鈴々も、もう少し加減というものを覚えてください!」

 

桃香「あはは・・・ご主人さまにやっと会えたから、つい。」

 

鈴々「ごめんなのだ。」

 

 愛紗に介抱されながら、痛む腹部を押さえてなんとか立ち上がった。

 

クロノ「・・・マール、だよな?」

 

 そんな中、クロノは愛紗たちより後ろに立つ人物に声をかけていた。

 

マール「うん。来てくれたんだね、クロノ」

 

クロノ「当たり前だろ?『どこにも行くな』ってマールが言ったんじゃないか。」

 

マール「だって、お祭りで、ほんの少し一緒にいただけなのに・・・。」

 

クロノ「そんなの関係ないさ。少しでもなんでも、一緒に遊んだなら俺たちは”友達”。だろ?」

 

マール「クロノ・・・うん、嬉しい。ありがと、クロノ!」

 

クロノ「マール・・・。」

 

 クロノとマールは互いに見つめあっている・・・のはいいんだけど。

 

一刀「俺たちがいること、忘れないでくれよ?」

 

クロノ「あ。」

マール「あ。」

 

桃香「ふふ、よかったねマール。クロノ君と会えて。」

 

マール「うん、ありがとう桃香。」

 

 おや?マールが桃香のことを真名で呼んでる。

 

一刀「桃香、真名を教えたんだ?」

 

桃香「うん、そうだよ。」

 

 一刀の質問に笑顔で答える桃香。

 

鈴々「鈴々も教えたのだ!」

 

愛紗「私もです、ご主人さま。」

 

クロノ「なんだその真名って?」

 

一刀「ああ、実は・・・。」

 

 俺はクロノに、真名のことを始め、俺たちのことを話した。一応、”違う世界”からやってきたってとこは省いたが。

 ついでに桃香たちは、クロノにも真名を預けた。

 

クロノ「へぇ・・・一刀が皇帝。」

 

一刀「まあ、一応。あんまりそれらしくはないけどね。」

 

 俺の正体に心底驚いた様子のクロノに、俺は苦笑しながら言う。

 

マール「で、桃香も愛紗も鈴々ちゃんも、一刀くんの家来なんだ?」

 

桃香「まあ、そんなとこかな?」

 

愛紗「正確には、桃香さまも私と鈴々にとっては主君ですがね。」

 

鈴々「お兄ちゃんとお姉ちゃんはエライのだ!えっへん!」

 

愛紗「お前が威張ってどうする。」

 

一刀「そういえばマール、さっき城の入り口でやったのって・・・。」

 

マール「え?ああ、あれね。二人が来る前に愛紗に教えてもらったの♪」

 

愛紗「え?あれをやったのかマール?」

 

マール「うん♪初めてだったけど上手くできたみたいだよ?」

 

愛紗「うむ、なかなかの素質だな。」

 

一刀「あー・・・やっぱり。」

 

 さっきマールが兵士を睨んだ”アレ”。いわゆるひとつの”気迫飛ばし”というやつだ。

 剣道なんかでも、とにかく大きい声を出し、相手に見せる気迫、それの最たるやつが、愛紗などの武人が使う”気迫飛ばし”。”剣気””とか”覇気なんて呼ばれるのもある。

 

愛紗「やはり女子といえど、気合いを入れねばならぬときもありますからな。特に、”女性にだらしない主君”相手には、ね?」

 

一刀「あはは〜・・・えっと、ところで桃香たちはなんでここに?」

 

 愛紗のジト目に、俺は愛想笑いしながら無理やり話題を変えた。

 

桃香「それがね、私たちがあの裏山に着いたあと、山を下りたらこの城の兵士さん達に出会ってね。」

 

マール「私のことを見るなり”リーネ様”って呼ぶの。」

 

クロノ「リーネ様って、この時代の王妃様のことだったよな?」

 

一刀「ああ、さっき王様が言っていたな。」

 

マール「それで私が、違うって言おうとしたら、一緒にいた桃香たちを誘拐犯かって疑ったの。だから私はとっさに止めるように言って、桃香たちは私が世話になった人だってことにしたの・・・王妃様のフリをして。」

 

クロノ「なるほどな。しかし、そうなると本物の王妃様は一体どこにいるんだろうな?」

 

愛紗「たしかにそうだな。王妃様だから、探すにしても範囲は限られるだろうしな。」

 

一刀「・・・もしかしたら。」

 

 と、俺がふと思ったことを言おうとした、その時。

 

愛紗「! なんだ、この感じは?」

 

鈴々「ん〜なんか変な感じがするのだ。」

 

 突然、愛紗と鈴々の顔が険しいものになる。二人以外は何も感じてはいないようだが。

 

一刀「どうしたんだ?二人とも。」

 

愛紗「わかりません。ただ、この部屋の空気が変わったような気が・・・。」

 

 だんだんと緊迫した表情になる愛紗。さらに――。

 

マール「な・・・何?なにこれ?うっ・・・!」

 

 マールが苦悶の表情を浮かべ、手で頭を押さえだした。

 

クロノ「どうしたマール!?しっかりしろ!」

 

 クロノがマールの肩を掴み、声をかける。しかし――。

 

マール「わからない・・・なにこれ、心が・・・心がバラバラになってくような・・・!ああっ!」

 

 マールは一層苦しみを増し、ついには立ち上がった。

 

クロノ「マール!マール!?」

 

マール「こ、怖いよ!私が無くなってしまうみたい・・・助けて、クロノ!クロ・・・!」

 

 そして次の瞬間―――。

 

 

 

 シュイイイィ・・・ン、パキィ・・・ン!

 

 

 

 マールの体から光が放たれ、同時にマールは光の粒となって四散した。

 

クロノ「マー・・・ル?」

 

桃香「そんな・・・。」

 

愛紗「これは、一体・・・。」

 

鈴々「お姉ちゃんが・・・消えちゃったのだ。」

 

一刀「なにが、どうなってるんだ・・・?」

 

 その場に立ちつくし、茫然としていると。

 

??「・・・遅かったようね。」

 

クロノ「え?」

 

 今までしなかった声に、全員が部屋の扉の方を向く、そこに居たのは―――。

 

クロノ「ルッカ!?」

 

 千年祭で俺たちを送ったルッカが立っていた。

 

ルッカ「ごめんね、こっちにくる準備に手間取ってたの。それよりあのコは・・・。」

 

クロノ「なあルッカ!マールはどこに行ったんだ!?急に光に包まれて消えたんだ!」

 

ルッカ「落ち着いてクロノ。いまそれを説明するわ。」

 

一刀「なにか知ってるのか?」

 

ルッカ「ええ。といっても推測の域を出ないけどね。でもこれが一番高い可能性だと思うから、それを今から説明するわ。」 

 

 ルッカは、俺たちが落ち着き、話が出来る状態になったのを見計らって説明を始めた。

 

ルッカ「ここは王国は王国でも、随分昔の王国みたいね。」

 

クロノ「ああ、どうやら俺たちは王国歴600年に来ちまったみたいなんだ。」

 

ルッカ「そうみたいね。しかもあのコ、この国の王妃様に間違われたでしょ?」

 

クロノ「ああ、よくわかったな。」

 

ルッカ「そりゃそうよ。あのコは多分、本物の王妃様、”リーネ様の子孫”だもの。」

 

「・・・・・・へ?」

 

 その場の全員が、目を丸くする。

 

一刀「子孫って、どういうことなんだ?」

 

ルッカ「千年祭であのコが消えたとき、どっかで見た顔だと思ったのよ。あのコは、私たちの時代でもお姫様・・・ガルディア王国の”マールディア王女”だったのよ!」

 

「「「な、なんだってぇーーーっ!?」」」

 

ルッカ「だから先祖である王妃様に間違われたってワケ。でも、問題はここからよ?」

 

 驚愕の事実に困惑を隠せない俺たちに構わず、ルッカは説明を続ける。

 

ルッカ「この時代の王国は、魔王軍との戦いを続けているのは聞いてるとは思うけど、マールディア様が消えた理由はおそらく、そこに関係してることにあるわ。」

 

鈴々「どういうことなのだ?」

 

ルッカ「兵士たちが王妃様を探していたでしょ?あれは多分、王妃様が突然いなくなってしまったから・・・”誘拐”されたからよ。」

 

桃香「ゆ、誘拐!?」

 

愛紗「まさか魔王軍とやらに!?」

 

ルッカ「ええ。そして誰かが助けるはずだった。でも今、歴史は変わってしまった・・・。」

 

一刀「マールが王妃様に間違われたから、か。」

 

ルッカ「そう。マールがこの時代に現れ、王妃様と間違われたために、本物の王妃様の捜索が打ち切られてしまった。そしてこの後、もし殺されてしまったなら・・・。」

 

クロノ「ど、どうなるんだ?」

 

ルッカ「マールの存在が消えてしまう・・・いえ、現に消えてしまったのよね。」

 

鈴々「どうするのだ!?マールお姉ちゃんはもう戻ってこないのか!?」

 

ルッカ「落ち着いて!まだ間に合うわ!今からでも王妃様を助け出すことができれば、歴史は元に戻るはず!」

 

桃香「じゃあすぐ助けに行こう!?」

 

愛紗「いえ桃香さま、王妃様がどこに居られるのかわからないのでは助けようもありませんよ?」

 

桃香「あ、そうか・・・どうしよう。」

 

ルッカ「とりあえず城の中ってことはまず無いだろうから、一旦外へ出て情報を集めましょう?」

 

一刀「そうだな・・・あ、だけど探す間ここはどうする?誰かが来たらすぐにバレちゃうぞ?」

 

クロノ「それもそうだ。ここに来るとき階段に兵士もいたし。」

 

ルッカ「・・・この中の”非戦闘員”を誰か身代わりになるしかないわね。」

 

一刀「と、なると・・・。」

 

愛紗「うむ、そうだな。」

 

鈴々「なのだ♪」

 

 ルッカの提案に俺と愛紗と鈴々の視線が一人に集中する。

 

桃香「・・・私?」

 

一刀「この中で非戦闘員っていったら桃香しかいないだろ?」

 

愛紗「しかもどことなくマールに似ているような気がしないでもありません。性格が、ですが。」

 

鈴々「髪の色とかおっぱいは似ても似つかないのだ。」

 

クロノ「おっぱい・・・。」

 

ルッカ「クロノ?」

 

クロノ「いででで!」

 

 鈴々の指摘に、クロノは思わず桃香の胸に視線がいくが、ルッカに耳を引っ張られた。

 

桃香「む、胸はどうだっていいでしょ〜!うん、でもわかった。私、頑張って身代わりやっちゃいます!だから早く王妃様を助け出して戻ってきてね、みんな?」

 

一刀「ああ。」

 

愛紗「お任せください。」

 

鈴々「おーなのだー!」

 

クロノ「身代わり頼んだぜ!」

 

ルッカ「サイエンスの前に敵はないわ!」

 

 俺たちは、ガルディア王妃様を助け出すべく、消えたマールの身代わりに桃香を残し、部屋を後にした―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...Continued to the next time⇒

説明
いらっしゃいませ。七詩名です。

なかなかテンポよく話が進まず申し訳ないです。

今のとこ1話につき1場所みたいな感じになってしまってますね^^;

話を進めたい気持ちと、早く投稿したい気持ちがせめぎ合っている今日このごろですw

ご意見・ご感想お待ちしておりますm(_ _)m

では、第3話どうぞ。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2012 1931 5
コメント
noelさん>武人としてでしょうね^^嫌な予感・不気味な気配・空気の変化、達人としての第六感のようなものが働いたということです。(七詩名)
愛紗と鈴々だけ何かに反応してるけど武人としてなのか?はたまた何かあるのか?(noel)
桃香が身代わり?何だかすぐにボロが出そうな気が…とりあえずリーネ様の救出を急げ!(mokiti1976-2010)
kiyuonaさん>真改造は魔改造のことですかね?実はよく知らないんですがね^^;どういったものなんでしょうか?今後の恋姫の参戦武将に関しては、誰が出てくるかは言えませんが、次回、"あの方"がいい感じの登場をします!それだけお伝えしておきますb(七詩名)
他の恋姫達は出ないのでしょうか?全員は無理でも各ステージや実は千年祭で出し物しているとかミニゲームの主催をしているとか?ギャグ的な感じでもだしてほしいです。あとやっぱり真改造はあるんですよね???!!!(kiyuona)
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ルッカ クロノ 張飛 関羽 劉備 北郷一刀 クロスオーバー クロノトリガー 真・恋姫†無双 

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