桜の咲くあの場所で・・・[翔鶴]
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4月に入り、桜が咲き始めたころ、ある鎮守府で1人の艦娘と提督が話をしていた

 

「提督、そろそろお茶にしませんか?」

「ん?そうだな、あんまり根をつめても仕事が捗るわけではないからな」

「お茶いれますね」

「あぁ、頼むよ」

 

翔鶴は自分と提督2人分のお茶をもってきた

 

「それにしても綺麗に咲いたな桜」

「そうですね、春はやはり桜で来たと感じることができます」

「うむ、それには同意だな」

 

この鎮守府には桜の木が多い、中でも執務室から見える大きな桜の木はこの鎮守府のシンボルでもある

 

「明日は確か全員鎮守府にいるんだよな?」

「はい、そのはずですけど・・・」

「それじゃあ明日はお花見をしよう、散ってしまう前にな」

「いいですね、お花見、きっとみんなも喜びますよ。」

「さっそく間宮に明日のお花見の料理の手配をしてもらおう、翔鶴頼めるか?」

「はい、おまかせください」

「よし、それじゃ明日朝一でみんなを集めてお花見だ!!」

 

提督がお花見をしようと張り切っているところを翔鶴は微笑みながら見ていた。

 

「よ〜し明日やることも決まったし、さっさと仕事を終わらせるぞ」

「はい、お手伝いしますね」

 

翔鶴と提督は手際よく仕事を片付けていくのであった。

 

 

次の日・・・

 

提督は鎮守府にいるすべての艦娘を集めた

 

「えー今日はお日柄もよく・・・」

「提督・・・」

「おっほん、えー今日は鎮守府全体を休みにしてお花見をする!」

 

提督の一言でざわざわしはじめた

 

「た・だ・し!!あまりハメをはずさないこと!!いいな?」

「「「「「はーい!!」」」」」

「よ〜し、では総員お花見だー!!」

 

提督の一言でみんなは広場の桜の木の下へと向かった

 

「さて、翔鶴お前もしっかり楽しむんだぞ?」

「はい、もちろんですよ」

 

提督と翔鶴は他愛もない話を交わしながらお花見会場に向かった

 

提督は桜の木にもたれかかりながらお酒を飲んでいた

 

「この光景を見ているとまるで深海棲艦と戦争しているのが嘘のようだな」

「あまりハメを外すなと入ったが、たまにはいいかもしれないな」

 

少しずつお酒を飲みながら提督は思った

翔鶴は提督を見つけたのかこちらに向かっていたが

 

「そろそろ〜〜するべきかもしれないな・・・」

「え・・・」

 

提督の言った言葉を聞いて翔鶴は走り出した

走り去った翔鶴の目には涙が浮かんでいたのだった・・・

 

 

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提督は翔鶴を慌てながら探していた、何かを勘違いしていると、誤解していると伝えるために

 

「残っているのは・・・あの桜の木だけか・・・」

 

提督は執務室から見えた大きな桜の木へと向かった

 

大きな桜の木の前のたどり着くと・・・

 

「あ・・・見つけた・・・」

 

提督は翔鶴を見つけたが声をかけずに桜の木に身を預けた

その反対側には翔鶴が顔を伏せて泣いていた

 

「昔あるところに1人の少年がいました」

「え・・・」

 

提督が昔話をはじめ翔鶴は驚いたがすぐにその話に耳を傾けた

 

「少年の家は貧しく、生きるのがとてもつらい人生を送っていました」

「・・・」

「しかしあるとき、少年に転機が訪れるのです」

「それは深海棲艦という敵の出現でした、少年の住んでいた村は焼き払われその村で残ったのは少年と1本の大きな桜の木でした」

「桜の木・・・?」

「その桜の木を見て少年は決意しました[俺が深海棲艦を倒して平和を取り戻す!]と」

 

提督は一呼吸を置いて

 

「その少年は大人になって提督となりあのときの桜があった場所に鎮守府を築きましたとさ」

「・・・その少年が提督なんですね・・・」

「あぁ、正直深海棲艦が現れなかったら俺は遠からず死んでいただろうな」

「だけど今はこうして・・・一時でも平和を噛みしめることができている。」

「私は・・・」

「翔鶴・・・さっきの話なんだが」

「っ!!」

「お前を秘書から外すという話じゃない」

 

その言葉を聞いて翔鶴は提督のほうに振り向いた

 

「どういう・・・ことですか・・・?」

 

提督はポケットから小さな四角い箱を取り出した

 

「翔鶴、嫌だったら断ってもらってもかまわない」

 

その四角い箱を開けると中には指輪が入っていた

 

「俺とケッコンカッコカリをしてください!」

 

提督はそういうと翔鶴に指輪を差し出した

 

「私でいいんですか?」

「お前じゃないとダメなんだ翔鶴」

 

すると翔鶴は・・・

 

「ふつつかものですが、よろしくお願いします。」

 

そのときの翔鶴が桜の花びらが舞う場所で微笑んだのを提督は目に焼き付け抱きしめた

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