模型戦士ガンプラビルダーズI・B 第18話
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――その日のバトル、俺はゼクで宇宙のフィールドを飛び回っていた。対戦相手の姿はすぐに見つかった。

ガンダムAGEに登場したピンク色の丸みを帯びた機体『ファルシア』だ。

俺はすぐさまライフルの射程まで近づこうとするがそれは阻止された。あらぬ方向から細いビームが俺のゼクを襲ったからだ。

 

「!?」

 

俺は急停止しビームの直撃は免れた。そのビームを撃ってきたのはファルシアの持つ自立砲台『ビット』だ。

五弁の花を思わせるビットは容赦なくこちらを撃ちまくってくる。

 

「わたしのビットからは逃げられません。これら一つ一つがわたしの手、わたしの目、わたしの指揮する演奏なんですから」

 

ビットと使用ガンプラを操るビルダーが呟く。そんな言葉も耳に入らず俺がビットを撃ち落そうとすれば、

別のビットが狙ったビットを守るようにこちらを撃ってくる。俺が後退しようとすれば退路を塞ぐように別のビットが撃ってくる。

統率のとれた鮮やかな動き、それはそれぞれが意志を持っているかのようだ。だが驚くべきはそれら全てのビットを一人のビルダーが操っているということだった……。

 

俺がそんな相手に敬意を持った瞬間、俺のゼクは背中を撃たれた。それに続くように全てのビットが俺のゼクを撃ち抜いた。

俺は破壊する間際、相手を見る。相手は勝利を確信しながらも、油断せず俺をただジッと見つめていた。――

 

 

 

「その全てのビットを操っていたのが『フジミヤ・レム』さんというわけですか……」

 

マスミ達が帰った後、コンドウはアイ達にレムがどういうビルダーだったか話す。

 

「そう、彼女はビット系の扱いが十八番だ。相手はたった一体だったにも関わらずまるで大部隊を相手にしているようだったよ」

 

「それがアタシが瞬殺する位弱っちゃったなんてね……」

 

ナナが『本調子のレムだったら勝ち目はなかった』と噛みしめながら呟く。

そう、レムは重度のスランプに陥っていた。前回ナナと戦った際には得意のビットも使おうとせずあっさり斬られ倒されたのだ。

 

「いつかバトルしてみたいな。本調子のレムさんと」

 

「あぁ、スランプなんてのはいつ克服するかわからないものさ。その日の為にもっと実力をつけておかないとな」

 

レムは、ヒロがアイのバトルを聞いた時喜んでいたと言った。それだけレム自身がスランプから脱しようと本気だという事だ。

アイもそう言った名のあるビルダーに戦いたいと言われて答えないつもりはない。

 

「その為にはもっとチームの人数を増やしておく必要があるだろう。コンドウさん」

 

そんな三人の会話にツチヤが割って入る。

 

「そうだな……。ヤタテ、今の状況だとチーム三人が当たり前になってくる。しかしお前とハジメでは二人だけだ。相手が三人となるとやり辛いだろう

そこでだ。俺達を使ってくれないか?」

 

コンドウがツチヤとソウイチを交互にみた後、アイに告げる。

 

「使うって……チームに誘っていいって事ですか?」

 

「別地域のビルダーと戦うってんなら、勝ってもらわなきゃ困るんスよ。それが二人だけなんて話にならないッス」

 

「ソウイチ、お前こういう時位そういう事言うなよ」

 

ソウイチがいつもの様に憎まれ口を叩き、ツチヤがソウイチに突っ込みをいれる。

 

「そりゃ心強いですけど。いいんですか?私『ウルフ』と関係ないし」

 

「もちろんだ。一度本気でバトルした以上、仲間だと俺達は思っているからな。ビルダーの基本だろう?」

 

恥ずかしげもなく言うコンドウ。だがそれはアイも思っていた事だった。

 

「あはは……そう堂々と言われるとちょっと恥ずかしいかな。そう思われてるなんて……でもそれは私も同じですよ。有難うございます」

 

アイとコンドウ、握手をしながら

「いつでも俺達の力が必要な時はいつでも言ってくれ」と結束を高める。それを見守るツチヤとソウイチ

 

「オッサン達が味方についたんだ。これならもっとアタシ達強くなれるね……」

 

ナナも戦力増強に安心する。だが……ナナは自分の心に芽生えたある気持ちに、まだ自覚がなかった。

 

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――そして数日後――

 

「やったよナナちゃん!テスト全部70点越え!」

 

「あたしもあたしも〜!」

 

下校時刻、校庭でアイとタカコは返された実力テストの答案の束を持ちながら満面の笑みを浮かべていた。

今日も四人で下校だ。

 

「嬉しいのわかったからそんな見せびらかすような真似しないの」

 

「それにしても恐ろしいね二人とも……。どこまで持つかと思ったけど見事ここまで食い下がったよ……」

 

「ま、あたし達が本気だせばこんなもんだよね〜」

 

「……そう言ったって次もまたボクを頼るんでしょタカコ……?」

 

「む〜言ったねムツミ。今回のテストで勉強に目覚めちゃった気がするあたしにはもうそんな心配は無用だよ!」

 

「随分強気になったねタカコちゃん」

 

「特に英語は快心の出来だったからね!英検だろうと外人相手の会話だろうと出来そうな気がするよ〜!」

 

苦笑するアイとナナに『へ〜』と信じてないと反応するムツミ。そんな時だった。

 

「あれ?校門に誰かいる」

 

アイが校門の入口付近に一人の男が立っているのが見えた。ソフトモヒカンの金髪に青い瞳。

ガッシリした体型の白人の男だ。周りが日本人だらけな為か妙に目立って見える。

 

「あ、外国人だ。待ち合わせかな?あんな所に立って」

 

「誰か探してるんじゃない?あんまりジロジロ見ちゃ悪いでしょ。速く行こうよ」

 

が、アイとナナが言葉を交わした時だった。こっちを見るや否やパァッと目を輝かせ凄い勢いで走ってきたのだ。

明らかにこっちを見ている。

 

「?!うわ!こっち来た!!」

 

「タカコ……会話は君に任せる……」

 

「え?!」

 

突然ムツミの指名にうろたえるタカコ

 

「さっき言ってたでしょ英検だろうと外人と会話だろうと出来そうって……」

 

「ぇ!いや待ってあたし心の準備が!」

 

「よぉ御二方!!会いたかったぜ!!」

 

「あ!あいむのっとすぴーくいんぐりっしゅ!!」

 

ビビりすぎて唐突にヘタな英語で返すタカコ。男が流暢な日本語で喋ってる事、話している相手がアイとナナだという事を理解していない。

 

「えと……言葉は大丈夫みたいですね。どこかでお会いしましたっけ?」

 

「あーわりぃわりぃ!俺はゼデル・マッケイン!前に俺の友達が世話になったってんでさ!俺も相手してほしいって思って来たわけ!」

 

よく通る大きな声で喋るゼデルと名乗った男。

 

「ゼデル!皆来るまで待とうって言ったじゃない!何勝手に入ってんのよ!」

 

その後ろからもう一人が走ってきた。今度は女性だ。栗色の髪を一本に纏め右側から前に垂らしている。見た感じ大学生位だろうか。

 

「おっと!すまねぇヨウコ、あいつを負かした奴だからいてもたってもいられなくてさ!」

 

「だからってああいう警戒促す様な対応はご法度でしょ?ゴメンね。家のメンバー頭のネジが緩んでるの多いから、あたしはヨウコ、アズマ・ヨウコ」

 

「あ、どうも、えっと……いまいち話が見えてこないんですけど」

 

「す・すとまっくえいく!」

 

「タカコ……この人日本語喋ってるよ……」

 

「僕のチーム『エデン』のメンバーという事だよ。ヤタテさん」

 

聞き覚えのある声がした。見覚えのある男が二人現れる。一人はコンドウ、そしてもう一人は……

 

「ヒロさん!」

 

「君と戦いたいって言ってたのはレムだけじゃなくてね。前回は都合がつかなかったんだけど今回はこの二人を連れてきたわけだよ」

 

「それでいてもたってもいられないでコンドウさんにあなた達の学校までの道を教えてもらったってわけ」

 

「そういう事。いきなりで悪いけれど一戦交えてくれるかい?」

 

ヒロ達の申し出にアイは快く受ける。

 

「もちろん、やろうよナナちゃん!」

 

カバンからユニコーンデストロイ(以下D)を取り出す。だがナナは乗り気ではなかった。

 

「うーん、アタシは今回はいいかな?」

 

「え?どうして?」

 

予期せぬナナの反応に驚きを隠せないアイ。

 

「いや、だってさ。オッサン達のチームいるじゃない?そのメンバー入れた方が……」

 

「ん?あいにくだが今日は俺意外いないぞ、トシは仕事でソウイチはテストだ」

 

「アイツも今試験中ってわけね」

 

「そういう事だよ、やろうよ」

 

「うん……、仕方ないか」

 

「おっけーべいびー!」

 

「しつこい……」

 

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そして全員は場所を模型店『ガリア大陸』に移す。

ギャラリーの沸く中、緊張感に包まれたビルダー六人はバトルへと突入した。六機のガンプラが戦場に降り立つ。

 

「あれ?今回のステージはガンダム本編で出たステージじゃないんだ」

 

アイのユニコーンから離れた位置。ストライクI.W.S.P.に乗ったナナがモニター表示を見て呟いた。今回のステージは『山回町』だ。

アニメ本編でのステージが数多く再現されている中当然オリジナルステージもある。

周りは大きさのまばらなビルだらけの一方、畑や田んぼ等、このステージはアイ達の住む街山回町を忠実に再現したステージだった。

 

「まさか地元をモデルにしたステージがあるなんてね」

 

「そうだねナナちゃん。ガンダムに乗りながら日本語の看板を見るのってなんか新鮮に感じるよ」

 

数あるガンダムシリーズでも日本を舞台になった事はあまりない。ユニコーンに乗ったアイがビルの上の看板を見てるその瞬間、ポッドに警告が走る。

ナナのストライク目掛け上空から散弾が雨の様に降ってきた。

 

「うわ!」

 

シールドを構えしのぐナナ。撃ってきたのはヨウコのバスターガンダムだ。ガンダムSEEDに登場した遠距離用の機体だ。

 

「よっと!」

 

バスターは上空から道路に着地、その横を一機の機体が突っ切る。目指すはナナのストライク

 

「援護は任せたぜ!ヨウコ!」

 

「あーはいはい!皆のフォローはいつもの事!いってらっしゃい!」

 

 

ストライクめがけ突っ込んできたのは、ゼデルのデュエルガンダムAS、こちらもSEEDに登場した機体でバランスの良い汎用機だ。

ゼデルの乗ったデュエルは『アサルトシュラウド(AS)』というスラスターや火器を内蔵したアーマーを装着していた。

 

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「おぉりゃああ!!」

 

ゼデルは雄々しく叫び、デュエルのビームサーベルを振りまわし襲ってくる。

 

「くっ!」

 

ストライクの対艦刀で応戦するナナ、だがその隙を付き、ストライクめがけバスターの長距離ビームが向けられている。

 

「甘いわね!これで!」

 

「まずい!ナナちゃん!」

 

バスターの一撃を防ごうとナナのストライクの前に出ようとするアイ、だが……

 

「心配する必要はない!ヤタテ!」

 

「!?」

 

コンドウの声だ。声と同時に一機の機体がバスターガンダムに横から斬りかかる。バスターガンダムは横に回避、

機体はその場に着地し姿を現す。二頭身の体型に西洋甲冑の様な姿。それは……

 

「二頭身……あれって……」

 

「騎士(ナイト)ガンダムだ!」

 

騎士ガンダム 、二頭身のガンダム『SDガンダム』のバリエーションのひとつでファンタジーを模した作品の主人公だ。

異世界『スダ・ドアカワールド』に降り立った勇者、それがコンドウの機体だった。

 

「コンドウか!戦ってみてぇな!」

 

ゼデルのデュエルは鍔迫り合いのストライクを弾き飛ばすとコンドウに真っ直ぐ向っていった。

 

「来るか!ヤタテ!デュエルは俺に任せろ!お前はバスターを!」

 

コンドウの声が聞こえる。そのままコンドウは機体をデュエルに向け飛ばす、否、ジャンプする。

 

「レジェンドBB!まさか騎士ガンダムが相手とはな!相手に取って不足なぁぁし!!」

 

「鎧を着込んだ者同士!尋常に勝負!!」

 

デュエルのゼデルもビームサーベルで迎え撃つ。電磁ランスとビームサーベルの激しい応酬が始まった。

そしてアイはユニコーンでバスターに向き直り、ビームトンファーを構え突撃する。接近戦装備のないバスターではこれを防ぐ手だてはない。

 

「ビームトンファーか!あたしはちょっと部が悪いかな?」

 

「ヨウコ!なら僕が!」

 

後方から一体の機体が突っ込み、バスターの隣を通り抜けた。HGCEのストライクガンダム、それもエールストライカーにソード、ランチャーを全部乗せした機体、

パーフェクトストライクだ。対戦艦刀を構えユニコーンに迫る。ユニコーンはビームトンファーで受け止める。

 

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「パーフェクトストライク!?」

 

「そう!再戦の為に用意した自信作だ!」

 

その勢いはパワーの高いユニコーンでも押される。しかしそのパーフェクトストライクを横から一体の機体が体当たりをかます。

派手に吹っ飛ぶパーフェクトストライク。

 

「アイ!大丈夫!?」

 

「ナナちゃん!」

 

「アイと戦う前にアタシと戦いなさいよ!」

 

 

ナナはI.W.S.P.の対艦刀を振るう。ヒロもパーフェクトストライクの対艦刀でそれを受け止めた。

声からしてナナの必死な気迫が伝わる。

 

「ストライクVSストライクか!」

 

「アタシだってやってみせる!アイ!ここはアタシに任せて!」

 

そう言うと二機のストライクは飛び去る。HGストライクは二振りの対艦刀、HGCCストライクは一本の対艦刀で飛びながら斬りかかっていった。

 

「くぅっ!基本性能だったら負けて無いはず!」

 

「スランプとはいえレムを倒した相手!油断は出来ない!」

 

その場で残ったのはユニコーンとバスターの二機だ。

 

「ったく……皆好き勝手なんだから……」

 

ヨウコはポッドで呆れたように言う。皆のフォローをするとは言ったが正直皆好き勝手に動きすぎる。こういう場合ヨウコが必ずしわ寄せを食うわけだ。

 

「まぁ……、予想の相手とは違っちゃったいましたが……こちらも全力はつくしますからね」

 

「そうしてくれるとありがたいわ、接近戦装備がなくとも……」

 

ユニコーンDはビームマグナムを構える。バスターもまた両腰の銃を構えた。

 

「やられるつもりはない!」

 

アイがビームマグナムを撃つ間際、バスターは左腰の火線ライフルを撃つ、ライフルはユニコーンのすぐ右にあるビルに当たりユニコーンDの目線で小規模の爆発を起こす。

 

「わっ!」

 

「スキありっ!」

 

その隙を付きバスターはライフルを連結。散弾砲を撃った。

 

「くぅっ!」

 

右腕のシールドで防ぐアイのユニコーンD、負けるものかとアイも右腕のビームキャノンで撃ち返す。しかし一定の距離を保ちつつバスターはかわす。

 

「射撃武器だけでも手ごわい!」

 

「当然!せっかく一対一なんだもの!楽しみましょ!」

 

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アイ達が戦ってる一方、コンドウ達もビルの並ぶ大通りで激しく斬り合っていた。

 

「やっぱ強ぇぇなアンタ!」

 

騎士ガンダムと斬り合うデュエル、ゼデルは接近戦だけではラチがあかないと一度距離を置く。そしてアサルトシュラウド右肩のレールガン『シヴァ』とビームライフルを撃ち込む。

騎士ガンダムは着弾地点から素早く前転しそれをかわす。

 

「お前さんこそ!」

 

コンドウは騎士ガンダムの剣をフリスビーの様に投げた。回転しながら剣はアサルトシュラウドのシヴァの根元を切り裂く。

 

「うぉっ!そうかい!そうかい!!そう来るかい!!!だったら!!」

 

最高に楽しそうに叫ぶゼデル、直後デュエルは上空に飛び上がりアサルトシュラウドをパージする。

騎士ガンダム目掛け落ちるアサルトシュラウド。更にデュエルはビームライフルとグレネードでパージしたアサルトシュラウドを撃った。起こる爆発。

 

「ぬぅっ!」

 

爆風で見えなくなるコンドウのモニター、

 

「こいつで!!どうだぁぁ!!!!」

 

デュエルはそれにビームサーベル二刀流で斬りかかった。爆炎の中に騎士ガンダムの盾が見える。そのまま二振りのビームサーベルが盾を貫いた。

だがそこに騎士ガンダムの姿は見えなかった。

 

「何!?どこだ!!」

 

「ここだ!!」

 

「!?あの姿は!?」

 

デュエルの後ろに騎士ガンダムはいた。ただし四本足のケンタウロスモードになっていた。この高機動の形態で爆風を利用し、デュエルの後ろに回っていたのだ。

 

「見えなかったのは!俺の方って事か!」

 

「そういう……事だぁ!!」

 

騎士ガンダムは背中にマウントしていた電磁ランスでデュエルの背中を貫いた。

 

「面白かった……ぜぇぇっ!!!」

 

デュエルは敗北し爆散。悔しそうな、だが楽しそうなゼデルの叫びが響いた。

 

 

「凄い凄い!やっぱコンドウさん強いよ〜!」

 

外のモニターで観戦していたタカコが叫ぶ。コンドウの実力はアイがコンドウと戦った際に良く知っていた。

 

「この調子なら楽勝みたいだね〜」

 

「そうでもないよ……」

 

ムツミは冷静にナナとヒロのバトルしているモニターを見ながら呟いた。

 

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コンドウとゼデルが戦っていた場所から少し離れた場所、空中戦をしていたストライクも勝負はつきそうだった。

 

「どうだぁぁ!!」

 

ヒロが横に対艦刀を大きく振るう。ナナは受け止めようと二本の対艦刀で受ける。

 

「くっ!うぅぅぅ!!!」

 

お互い渾身の力を込める。が、勝負はじきについた。二本持っていた対艦刀は弾き飛ばされストライクは腹部を両断、と言いたいところだが対艦刀を弾いた勢いで

ナナのストライクの場所もずれてしまった。ナナのストライクは両ももを切り落とされた。

 

「そんなっ!」

 

「駄目押しだ!」

 

そのままヒロのストライクはランチャー、アグニを構えナナのストライクに撃つ。

 

 

「くっ!」

 

ナナは回避できないと悟ると右腕のシールドで防ごうとする。しかしアグニはシールドを貫通。

 

「うあぁっっ!!」

 

撃ち抜かれたナナのストライクは黒煙を上げ

パーツをばらまきながら落ちていった。墜落はしたがまだ撃墜扱いになってはいないようだ。

 

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「ナナちゃん!」

 

ナナが撃墜寸前なのはアイも理解できた。

 

「こうなったら速くナナちゃんを助けにいかなきゃ!」

 

ユニコーンは左腕の巨大な爪、アームドアーマーVNを構え正面のバスターに突撃した。

 

「近づかせるもんですか!」

 

左右はビル、ヨウコはバスターにユニコーンを近づかせまいと後退する。だが突然後ろにあった何かにぶつかった。

 

「え?!」

 

勢い余ってその場に尻もちをついてしまうヨウコのバスター。

 

「何!?さっきまでなかったのに!」

 

自分のつまづいたものを確認するヨウコ、そこに突き刺さっていたのはさっきストライクのばらまいた対艦刀だった。

 

「嘘ぉ!」

 

「隙あり!!」

 

その隙を付き、ユニコーンのアームドアーマーVNはバスターを貫く、高振動の爪はバスターの体を容易く引き裂いた。

 

「こんな情けない形で負けるとはね……」

 

爆発するバスター、そのままアイはユニコーンをナナの所に向かわせる。

 

「ハジメさん!覚悟!」

 

墜落したストライクI.W.S.P.にアグニを撃ち込もうとするパーフェクトストライク、だがそれはビームキャノンに阻まれる。

 

「ヒロさん!」

 

「ヤタテさんか!」

 

ヒロはナナに眼もくれずアイのユニコーンへと飛び去ってしまった。

 

「とどめをささない?!眼中にないってわけ!?」

 

ヒロのストライクはアグニを撃ち込むと同時にアイもユニコーンDのビームマグナムを撃ち込んだ。ビームはぶつかりまばゆい閃光が戦場を染める、

 

「くっ!眩しいな!」

 

「これだけじゃないぞ!」

 

対艦刀でユニコーンで迫るパーフェクトストライク、ビームトンファーで迎え撃つユニコーンD、だがヒロは休む暇のない程対艦刀を連続でたたき込む、

 

「くっ!なんて猛攻!」

 

「間接強化でパワーは上げてある!ユニコーンにだって負けていないさ!」

 

ヒロはそう叫ぶと一際大きい一撃をユニコーンに叩き込んだ。ユニコーンはその力強さにひるむ。前回からかなりヒロは鍛えているようだ。

 

「このままじゃジリ貧!」

 

アイに緊張感が走る。だがその瞬間、パーフェクトストライクの背中に爆発が起こった。何かがパーフェクトストライクの背中に撃ちこまれたのだ。

 

「なんだ!」

 

撃ったのは後方で倒れたままのストライクI.W.S.P.、それの115mmレールガンだった。まだ一門だけそれが使用可能だったわけだ。

 

「今よ!アイ!」

 

「ぅおおっ!!」

 

その隙をいついてアイはアームドアーマーVNでパーフェクトストライクの腹部を両断した。

 

「アンタの相手はアタシでしょうが!!」

 

「……因果応報……か。……すまない……」

 

ヒロは邪険にされたナナの悔しそうな声を聞き、そのままパーフェクトストライクは倒れ込み爆発。これにより勝負はついた。

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「いや〜!面白かったぜ!またバトルしようぜ!!な!な!」

 

バトルが終わるや否や、ゼデルは満ち足りた笑顔でアイ達にかけ寄る。その笑顔は邪心の無い子供の様だった。

 

「いやぁ、そこまで喜んで頂けるなんて……」

 

「ゼデルは前、僕がヤタテさんとバトルした時に都合がつかなかったからね。今日の日を楽しみにしていたんだよ」

 

ゼデルのテンションをヒロが説明する。

 

「そういえば……、マスミさんも含めたらチーム全員になるんですか?」

 

「そうね。マスミとレムを含めた五人があたし達チーム『エデン』ってわけ」

 

アイの疑問にヨウコが答える。

 

「今度はマスミの奴が都合つかなかったんだけどな。残念だぜ」

 

「あ、その事だったらマスミが何か『克服するいい物が見つかった』とか言ってたわよ」

 

「克服ですか?」

 

「うん、『レムに渡す』って言ってた。とはいえ結構頑固なスランプだし効果が出るかはわからないけれど」

 

「アズマ、フジミヤ・レムの調子も相変わらずなのか?」

 

レムのスランプを心配したのかコンドウがヨウコに問う。

 

「まぁね、色々試して入るんだけど……」

 

「さっき言ってたそれがいい結果を出してくれるといいな。そしていつか全員でバトルしたいものだ」

 

……

 

「またな!今度はもっと腕上げてくるぜ!」

 

「チーム戦でも実に充実したバトルだったよ。悔いがないわけじゃないけどね。また勝負しよう」

 

「あ〜あ、こいつらに粘着されちゃったわねあなた達、ま、あたしも楽しかったしまた戦ってくれると嬉しいな」

 

挨拶をそれぞれかわし、チーム『エデン』は帰って行った。

 

 

 

「いや〜復帰初日から濃い人たちだったね〜」

 

「うん……でもちゃんと勝てて良かったよ……」

 

「でも山回町でバトルしたって事は外でたらバトルの通り町が壊れてたりして〜」

 

「ライトノベルじゃあるまいし……」

 

タカコとムツミが勝利に安堵する中、ナナは自分の戦績に納得がいかなかった。

 

「アタシ、あんまり活躍できなかったな……」

 

結果を気にしてるというのはアイも解った。ナナがさっきの会話に全然入ってこなかったからだ。

 

「そんな事ないよ。ナナちゃんいなかったら恐らく負けていたし」

 

「でもさ、あそこでハガネさんを止められればあんなにヒヤヒヤする事もなかったんじゃない?アタシとしてはさ。もっとアンタと並んで戦える位に実力つけたいよ」

 

「そんな事はないさ。お前はきちんと自分の出来る精いっぱいをやっていたよ」

 

コンドウがナナにフォローをいれる。きちんとナナの実力を認めた言い方だった。

 

「コンドウさんもありがとうございます。今日のバトル、助かりました」

 

「いやいや、気にするなヤタテ。また俺達の力が必要になった時は言ってくれ。俺達ウルフ、いつでも力を貸そう」

 

「ありがとうございます!」

 

アイは心強い味方が増えた事、そして自分たちが仲間なんだと改めて認識した。そしてそれが嬉しかった。

 

――じゃあ……アタシの居場所は……?――

 

……だがナナの心に小さな焦りが浮き彫りになっていた事、それをアイはもちろん、ナナ自身もまだ知らなかった……

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遅くなりました。コマネチです。今回はエデンメンバー全員の紹介となります。

エデンのメンバーは昔友達と作ったオリジナルキャラを流用してます。黒歴史とは言わせませぬ。

次回はちょっとエデンとは離れた話になりますが、ナナにとって大事な話になります。次も見て頂ければ幸いです。

 

※今回のガンプラと一部ジオラマは友達が作ってくれたものです。ありがとー!

説明
第18話「ヒロ、再び」

チーム『エデン』の『フクオウジ・マスミ』、アイは大敗を喫し、再戦を誓うのであった。
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コメント
mokiti1976-2010さん 有難うございます。次回はナナにとっての山場になります。少し暗めの話になっちゃうかも…(コマネチ)
ナナの心の焦りが悪い方向に出なければ良いですが…続きに期待します。(mokiti1976-2010)
飛鳥さん 読んで頂きありがとうございます。次回もあるSEED系ガンプラが登場しますよ。中ボス扱いで。(コマネチ)
パーフェクトストライクにデュエル、バスターと今回は自分の好きな機体ばかりで面白かったですな〜。次も楽しみにしてます!!(飛鳥)
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