魔法少女リリカルなのは〜原作介入する気は無かったのに〜 超・番外編 別作品とのコラボ(その4) |
「4回目のコラボ…」
「今日は誰とコラボだろう?」
「カルピスウォーターに聞いてみれば?」
「多分『自分で確認しろ』って言われますよ」
俺、亮太、椿姫、澪の順に口を開く。
「「「「今度こそあの男(アイツ)(塵芥)が来ません様に来ません様に来ません様に…」」」」
シュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリは一心不乱に祈っている。
無駄だと思うんだけどなぁ。西条はもうコラボにおいての『名ヤラレ役』だし。
カルピスウォーターの事だからどこかで出してくると思うんだ。
「しかし例によって僕達の方が来るのは早いんだね」
「ゲストさんを待たせてはいけないからな」
うん。それは良い心掛けだと思う。
俺達は前回同様、容姿が小学生になっている。という事はコラボ先の作品は『なのは』〜『なのはGOD』の時間軸の作品なのだろう。
相手側が来るであろう扉を眺めながら思案していると
「ユウキ、扉から来るとは限らないですよ。前回のコラボの時を思い出して下さい」
「ん?………ああ、確かに」
前回は空から降って来たもんな。
て事は今回も?
思わず見上げてしまうが特に人影なんかは見当たらない。
「突然転移してくる可能性とかは無いかな?」
む?亮太の意見にも一理あるな。
先方の中に転移魔法を使える者がいるのかは知らんが、いたら転移して来る可能性もあるか。
「てか早く来ーーーい!!僕は料理が食べたいぞーーーー!!!」
食い意地の張っている我が家の((水色|レヴィ))さんが空に向かって叫ぶ。
ザパアアアアァァァァァンンンンンッッッッッ!!!!!
「「「「「「「「!!?」」」」」」」」
中庭にある噴水から突然何かが出て来た。
「「「「「「「冷たああああああいいいいいいっっっっっっ!!!!!」」」」」」」
出て来たのは俺達と同い年ぐらいの男女の組み合わせ。
見知らぬ子達と原作キャラとの組み合わせだった。
見知らぬ男の子2人に女の子1人。原作キャラでいるのはなのは、アリサ、すずか、はやての4人。合計7人だ。
ていうかさぁ……
「「「「「「「「(何で全員裸!?)」」」」」」」」
噴水から飛び出してきた連中全員が全裸だったのだ。
ホントどういう事なのさ?
〜〜???視点〜〜
「何だよあの温泉は!!?」
俺は温泉について愚痴る。
今日は高町家、バニングス家、月村家の3家族と俺の友人達で温泉旅行に来ていた。
温泉からは湯気が出ており、湯加減が凄く良さそうだったので思わず飛び込んだのだが、いざ入ってみたら水風呂とかホント何なんだよ!!?
水風呂なのに湯気なんか出すなよ!!!てかどうやったら水から湯気出るんだよ!?
「おい輝!!コレは俺に対する嫌がらせか!!?」
「んな訳ねーだろ!!」
「じゃあ何だ!!?水風呂に無理矢理ダイブさせるのがお前の入浴時のマナーなのか!?」
「そんなマナーなんか無いわ!!てか俺だって湯気が出てるのにまさか水風呂だとは思わなかったんだよ!!!」
俺の親友、北風李朔が射殺す様な殺気をぶつけてくる。
「何!!?何で水風呂!!?新手の嫌がらせ!!?」
「「「「さささ、寒い〜〜……」」」」
「「……………………」」
俺達のすぐ横には俺達同様、マッパ姿のなのは、アリサ、すずか、はやて、茜の姿があった。
……何だ!?何がどうなった!?
ここの温泉は確かに男子風呂、女子風呂と分かれていた筈だ!!決して混浴などでは無かった筈!!
現に風呂に入る直前の俺達はそれぞれ『男湯』『女湯』と書かれた暖簾をくぐった筈だし。
俺と李朔はガタガタと震えながら、同じくガタガタ震えているなのは達を見る。
「「「「「ひいえええぇぇぇぇぇ〜〜〜………あ」」」」」
「「……………………」」
……ドウシマショウ?メガアッチャイマシタヨ?
俺達の方を見たなのは達はゆっくりと顔を上から下に向け、また上に戻って来た。
もしかして、俺達の裸に興味が!?
「「「「「……………………」」」」」
し・か・も!!上に戻って来た時の彼女達の表情は無表情ですよ無表情。瞳から光も消えていて威圧感と怖さが倍プッシュだ、やったね!!
「「……良くねーよ!!!」」
んな事言ってる場合じゃねえ!!
「あはははは…こんな堂々と女子風呂に来てるやなんて思わんかったわー」
はやてさん!笑うなら目も!目も笑って下さいお願いします!!
「ねぇ?そんなに見たかったのかな?女の子の裸見たかったのかな?」
ゆっくりと詰め寄ってくるなのはさん。
「誰の裸を見るつもりだったのよ?正直に答えなさい」
目元が吊り上ってるアリサさん。
「「……………………」」
無言で近付いてくるすずかさんと茜さん。
「「お…落ち着け!話せばわかる!!まずは話し合おう!!」」
暴力はいけない。人間には『言葉』というものがあるのだ。
「「「「「問答無用」」」」」
…アカン、詰んだ。
俺は何かこの状況を脱出できる方法が無いか、周囲を見渡すと
「「「「「「「「……………………」」」」」」」」
何か見知らぬ連中がいた。
いや、よく見たらなのはとフェイト、はやてがいるじゃん!?髪形や髪の色違うけど。
どうなってんの!?
相手の方は特に何かするでもなく俺達から視線を逸らしている。
「(…あ、俺達マッパだもんな)」
そりゃ視線を合わせてくれる訳無いか。
「「「「「「……………………」」」」」」
どうやら俺以外の奴等も今気付いたみたいだな。他の連中がいる事に。
けど、その事を知った途端に皆固まっちまった。
「(何にせよボコられずに済みそうだ)」
「(ラッキー)」
俺と李朔はホッと胸を撫で下ろした。見知らぬ連中に感謝感謝。
その後、硬直が解けた女性陣が大きな声で悲鳴を上げたのは言うまでもない………。
〜〜???視点終了〜〜
「今回のコラボ先の一同さんだな、よろしく。『原作介入』で主人公やってる長谷川勇紀だ」
「こちらこそよろしく。『魔法少女リリカルなのは〜剣と魔法とゆっくりと〜』の主人公の1人、秋雨輝だ」
「俺は北風李朔。輝と同じで主人公の1人を任されてる。短い間だがよろしく頼む」
マッパで噴水から出て来た連中に宝物庫の中から取り出した着替えを手渡し、お互いに自己紹介する。
女性陣には男物の服で申し訳ないが全裸よりはマシだろう。
「ていうか俺達を呼ぶにしてももうちょっとマシなやり方なかったのか?」
「……だ、そうだぞカルピスウォーター。何か言い分は?」
「『僕は悪くない』」
いや、球磨川君の口癖で謝られても……。
ていうかアンタの呼称は『自分』だろうが。
「というのは冗談として自分は何かした訳じゃないぞ」
じゃあ何で?
「知らん」
……どうやら本当に知らない様だ。
「そんな事よりコラボだコラボ。早く交流深めろや」
何か偉そうに言う我が作品の作者。
「ソッチの私は髪が短いんだね」
「いえ、私は『高町なのは』本人ではありませんよ」
「にゃ!?そうなの!?」
「はい。私はシュテルといいます」
「シュテルかぁ。良い名前だね」
「ありがとうございます」
シュテルと向こうのなのはは早くも仲良くなってる様だ。
「わたしのソックリさんは何ていう名前なんや?」
「貴様に教える義理など無いわ」
「うわ!生意気な子やな〜。アンタ友達おらんやろ?」
ゴツンッ!!
「みぎゃーーー!!!?」
ディアーチェの拳骨が容赦なくはやての頭を捉える。
「痛い!!いきなり殴る事ないやん!!」
「やかましい!!我に友と呼べる者ぐらい大勢おるわ!!」
「嘘や!!初対面の子殴る様な野蛮な子に友達なんておるわけないわ!!」
『ガルルルル!!』と威嚇し合うディアーチェとはやて。
意外だ。何だかんだ言いつつも仲良くなるんじゃないかと思っていたんだが。
「ん〜?フェイトはいないのか〜」
レヴィはキョロキョロと辺りを見回すが、向こう側の面子にフェイトの姿は無い。
「ああ、フェイトは今回の温泉旅行には誘われてないしな」
「てかまだ『剣と魔法』側の世界は無印の温泉旅行編までしか話進んでないからなぁ」
ああ、原作だとユーノが女子風呂に拉致されて美味しい思いをするというあの話か。
「既に俺と輝はフェイトと接触済みだけどな」
「アイツは凄く良い子だぞ。何せシンの良さについて理解してくれている」
「シン?」
誰の事?
「『ガンダムSEED DESTINY』の『シン・アスカ』の事だよ」
あ、アニメキャラの事ね。ここに来ていないオリキャラの事かと思ったぜ。
ていうか輝の容姿がシン・アスカまんまだもんな。
「えっと…『原作介入』側で小学生の運動会の時、騎馬戦に出てませんでしたか?」
ユーリが遠慮がちに聞いている。
確かに『原作介入』第三十七話の騎馬戦で『アンタ達はあああああっっっ!!!』って叫んでる子がいたもんね。
この作品が小説だから読者の皆さんには声自体聞こえないだろうが、あの時叫んでたのはスズケンこと鈴村さんの声だった。
「出てないぞ」
輝は当然の如く否定する。
まあ、そんな頃から『原作介入』とコラボしてる訳無いよな。
それによく見ろユーリ。あの時声出してたのがこんなシンそっくりさんじゃなかっただろ?
もし輝みたいに容姿がシンだったら俺が普通に気付くから。
「ところでその子誰?オリキャラ?」
向こうのオリキャラ、東茜はユーリを見ながら尋ねてくる。
「違いますよ。私も立派な原作キャラです」
「ユーリが出るのは『砕け得ぬ闇事件』からだしな」
まだ温泉旅行までしか話が進んでないんだったら『剣と魔法』の世界でユーリが出るのは先の話だろう。もっともソッチの作品が『なのはGOD』のストーリーに突入するのかは作者のキリヤさん次第だが。
「『原作介入』のオリキャラは私と勇紀、亮太、澪の4人ね。少なくともここにいる人物では」
だねー。残りは本局所属の鳴海少将、未だこの場に出てこない西条、ホモォな道に目覚めた吉満。
転生者は合計7人。もう1人転生してきた下種は俺が殺したし。
後は学校の友人ってとこかねぇ。
他にもいるけど、西条の言葉を借りるならモブだね。名前のあるモブ。
「7人か……俺達の作品もまだ増えるのかな?」
さあ?
俺はすぐ近くのテーブルの上の皿にあったクッキーを2枚取り1枚を輝へ渡し、もう1枚を自分の口に入れる。
「「モグモグ…」」
2人してクッキーを頬張る。
他の皆も会話が弾んでいる様でそれなりに良好な関係を築けている様だ。
「「ガルルルルル……」」
……ディアーチェとはやてを除いてだが。
「ふむ……これはここに……マイクの位置はここだな」
そんな俺達の視界の隅で何やらカルピスウォーターがコソコソとやっている。
「何やってるの?」
そんなカルピスウォーターに茜が尋ねる。
「ん?ラジオ放送の準備だ」
「「「「「「「「「「何でラジオ!?」」」」」」」」」」
異口同音。この場にいる皆の声と台詞が揃う。
「『剣と魔法』でやってるのを見て今回自分もやってみようかと思っただけ。ノリと勢いだけの思い付きだ」
そんなんで良いの!!?
「メインパーソナリティは勇紀と輝でいこう。ちなみにこれ、生放送でいくから」
「いや、『いこう』って言われても…」
「俺達に何を喋れと?」
「問題無い。台本ならここにある」
カルピスウォーターの背後の空間からノートっぽい物が現れる。
…アンタも((王の財宝|ゲート・オブ・バビロン))使えるんですね。
「でもせっかくだし、李朔もやるか?メインパーソナリティ」
「いや、俺はいいや。輝と勇紀がやるのを見ておくよ」
李朔はそう言ってパイプ椅子に座り、片足を組む。李朔の手にはいつの間にかメガホンが握られていた。
「ねえねえカルピスウォーター。僕達は何をすればいいのかな?」
「特にする事は無いぞレヴィ。お前もアイツ等のラジオ放送をここから聴いておけ」
「分かったー」
「……私達も見学しておきましょうか」
「そうね」
レヴィに続き、澪やアリサも近くにあった椅子を並べ、皆揃ってコチラを見ている。
「ていうかホントにやらんと駄目なのか?」
「やるしかないだろ。幸いにも俺は本編で経験済みだ」
うーん…いまいち俺は自信無いけど。
若干不安を感じながら俺と輝は台本を持って収録スペースで待機するのだった………。
〜〜李朔視点〜〜
「それじゃー本番行くぞー」
俺はメガホンを通してスタンバイしている輝と勇紀に声を掛けると、2人は大きく頷く。
「本番5秒前…4…3…」
『2』『1』とメガホンを握っていない手の指を折ってカウントを取る。
そして『0』になり、ラジオ放送が始まった。
「は、はわわわわわ…」
「あ、あわわわわわ…」
「はわわわわわ…」
「あわわわわわ…」
「はわわわわわ…」
「あわわわわわ…」
………何だか2人共、さっきから『はわわ』『あわわ』しか言いやがらねぇ。
はわわ軍師とあわわ軍師の物真似でもしてるつもりか?
勇紀も輝も一向に喋る様子が無いので
「……………………」
パッパッ
「「……………………」」
パッパッ×2
俺はジェスチャーで『喋れ』と伝える。
けど2人共、何を考えているのか俺のジェスチャーを真似する始末。
真似するヒマがあるなら喋れというのに。
「《何か言えよ》」
「「《何か言えよ》」」
「《…喋れよ》」
「「《…喋れよ》」」
「《真似する必要ねえから》」
「「《真似する必要ねえから》」」
……駄目だ。念話で注意してもオウム返しで同じ事を言うだけ。
俺は静かに席を立ち、2人の元へ近付いて行き…
パコーン!!パコーン!!
2人の頭をメガホンで叩く。
「《マジメにやれ!!》」
ちょいキレ気味で注意する。
「……は、長谷川勇紀と…」
「秋雨輝の…」
「「ラジオでGOGO−−−!!!」」
ようやく喋り始めた輝と勇紀。
俺はそれで良いんだ、と深く頷いて席に戻る。
「やっと喋ったわね」(ヒソヒソ)
「ああ…全く手間掛けさせやがって」(ヒソヒソ)
茜が小声で話し掛けてきたので俺も小声で返す。
「OK、ラジオを聞いてる皆。思いきり盛り上がっていこうぜ!!メインパーソナリティは長谷川勇紀と…」
「秋雨輝の2人が務めさせていただきまーす!!さあ、まず最初はこのコーナーからだ!!」
うん、2人共ノリノリだ。これなら良いのが期待…
「「CMです」」
ガタガタガタッ!!
出来るかと思ったところでいきなりCMに入り、俺達聴収側のメンバー全員がズッコケた。
俺はすかさず2人の元へ駆け寄り
パコーン!!パコーン!!
再びメガホンでの一撃をお見舞いした。
「痛ってええぇぇぇぇっっっ!!!!?」
「何すんだよ李朔!!?」
「アホか!!何でいきなりCM入ってんだよ!!!」
やや涙目で睨んでいる勇紀と輝を俺は睨み返す。
「「す、済まん…緊張して台本の行を読み間違えたんだ」」
緊張?ならラジオ放送開始直後の『はわわ』『あわわ』も緊張のせいか?
「今度はちゃんとやるから」
「おう。少しずつ緊張も解けてきたし」
「…ホントだろうな?」
「「ウッス!」」
2人がそう言うので
「…じゃあCM終わらせるから行の読み間違いはするなよ?」
「「ウッス!」」
しっかりと返事を聞き届けた俺は自分の席に戻り
「それじゃーCM終了まで5秒前…4…3…」
最初の時と同じ様に指を折ってカウントを取り、『0』になったところで放送が再開される。
「ラジュオを聞いてる皆。いきなりCMいっちゃってゴメンね」
「緊張したっちゃった」
『ラジュオ』『したっちゃった』なんて言ってる時点でまだ緊張してんじゃないのか?
「さあ、『長谷川勇紀と秋雨輝のラジオでGOGO!!』最初のコーナーはコイツだ!!」
「『勇紀と輝のお悩み相談室』。このコーナーは実に10年振りだ」
…今度は普通に喋る事が出来ていた。
「10年振りと言うが……今日始まったラジオ放送なのであろう?」(ヒソヒソ)
「それ以前に10年前なら『原作介入』も『剣と魔法』も連載すらされてないよ」(ヒソヒソ)
「いやいや、更にそれ以前の問題として『リリカルなのは』の原作自体始まってすらいないよ」(ヒソヒソ)
はやてそっくりのディアーチェっていう子、なのは、亮太がラジオの邪魔にならない様ヒソヒソと言い合ってる。
亮太の言う通り、10年前なら『リリカルなのは』無印自体始まっていない。
無印が始まったのは2004年の10月から。だが今は2014年の4月。逆算しても半年程早い計算になる。
そんな時期に『リリカルなのは』の二次創作なんてある筈も無い。
「(まあ、その事を念話で指摘してもアイツ等、聞きそうにないしな)」
俺は勇紀と輝を眺めつつ、そう思っていた。
「あの…それよりもこのラジオってどこに放送されてるのかな?ここって私達の世界とは別空間なんだよね?」(ヒソヒソ)
「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」
すずかの疑問に答えられる奴はここにはいなかった。
…いや、カルピスウォーターさんなら分かるんじゃないのか?
そう思って辺りを見渡したがカルピスウォーターさんの姿はどこにも無かった。何処へ行ったんだろうか?
「このコーナーはタイトル通り、俺と輝の2人で聴収者の悩みを聞き、解決するという企画物だ」
「悩み事なら恋愛…仕事…交友関係等々、何でもOKだ。聴収者の皆、遠慮せず連絡をくれ。連絡先の番号は〇△〇□―ふんふんふんふん」
「ちゃんと言えよ!!」
俺は声を上げてツッコんでしまった。
何だよ『ふんふんふんふん』って!そんなんで聴収者に伝わる訳が…
prrrr…prrrr…
「「「「「「「「「「通じた!!!?」」」」」」」」」」
んなアホな!!?
だが、勇紀と輝の前に置かれている電話からはコール音が鳴っている。
ガチャリ
「もしもし」
『も、もしもし』
輝が受話器を取り、相手と会話をし始める。どうやらスピーカーモードにしてる様で俺達の方にまで相手の声は届いていた。
相手側の人はやや緊張してるっぽいな。
「…何か僕と声似てない?」
フェイトそっくりのレヴィって子の言う通り、声色が似ている。
「このラジオ聴いて早速相談事を持ってきてくれたんだね。ありがとう。君のラジオネームは?」
『ふぇ、フェイト・テスタロッサです』
「「「「「「「「ぶっ!!?」」」」」」」」
なのは、アリサ、すずか、はやて、茜を除く面子が吹き出した。
え!?本人!?
「(……いや、落ち着け。声が似てるだけで断定する訳にはいかない)」
今のラジオネームも偶然かもしれないし。
「『フェイト・テスタロッサ』さんだね。OKOK!君の悩み事を聞こうじゃないか。悩みってのは何だい?」
勇紀もラジオネーム『フェイト・テスタロッサ』さんに尋ねる。
『はい。実は私、とある事情があって『ある宝石』を集めてるんですが私と同じ宝石を集めてる白い服の子が別にいてまして。集める目的が違うため、どうしても対立しちゃうんです』
…もう本人確定じゃねえか。
『多分今後も出会う度に対立する事になりそうで……』
ここでなのはにそっくりなシュテルという子、レヴィ、ディアーチェ、ユーリっていう子、亮太、椿姫、澪……そして俺の視線は((白い服の子|なのは))に向けられる。
「にゃ!?皆どうして私を見るの!?」
当の本人は困惑気味だ。
でもアレだろ?ここまで言われたらジュエルシードを巡って対立してる現状の構図がハッキリ理解出来るじゃん。
『出来れば争う事無く相手側には諦めて貰いたいんですけど…どうすれば相手は諦めてくれるんでしょうか?』
…ていうかここに相談してまでなのはの事を気遣ってるのかフェイト。ホント良い子過ぎるだろ。
このフェイトの悩みに対し、勇紀と輝はどういう答えをフェイトに伝えるのか。
「「自分で解決せぇゴルァ!!!」」
ガチャッ
2人はキレ気味に叫んで受話器を置く。
「待てやああああぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!!!!」
俺はすかさず叫び、2人の元へ走り出していた。
「「それではCM入りまーす」」
そんな2人は呑気に、しかもまたCMを挟む。
パコーン!!パコーン!!
「「ぎゃああぁぁぁぁっっっっ!!!」」
2人が悲鳴を上げるが、そんな事はどうでも良い。
「何だよ今の回答は!?何で解決してやらねえんだ!!てかすぐCM入れんな!!」
俺は腹の底から声を出して2人に怒鳴る。
「分かってないなぁ李朔は」
「全くだ。こうやって引っ張るからこそ良いんじゃないか」
勇紀と輝は悪びれる様子も無く俺に言う。
「お前等そんな事言って解決策が思い浮かばなかっただけじゃないのか?」
「アホか。俺には((高速思考|ハイパーハイスピード))っつーレアスキルがあるんだぞ」
「俺だって解決策を考える事ぐらい出来る」
ハッキリと言い切るならちゃんと解決してやれよ。
かと言ってフェイトとの通話は切れちまったし。
「…次の悩み事はちゃんと解決しろよ」
もう一度強く睨んでから俺は席に戻る。
「大丈夫李朔?水飲む?」(ヒソヒソ)
「済まん椿姫。一杯貰えるか?」(ヒソヒソ)
椿姫から水の入ったコップを受け取り、グイッと一気に喉に通す。
「………ふぅ」
俺が一息ついて落ち着いたところで、再びCMが終わり放送が再開される。
「ラジオを聴いてる皆。悩みを解決出来なくてゴメンね」
まず勇紀が聴収者の人達に向けて申し訳無さそうな声色で謝る。
まあ、解決しなかったんだからこれは当然の態度だな。
「『勇紀と輝のお悩み相談室』はこれでお終い」
「「「「「「「「「「終わるのかよ!!!?(終わるのですか!!!?)(終わるの!!!?)(終わるのか!!!?)(終わっちゃうの!!!?)(終わるんかい!!!?)」」」」」」」」」」
今度は俺だけでなく全員の総ツッコミが入る。生放送の邪魔になってるだろうがお構いなしに。
「次は『ガンガン!ガンガン!!フリートーク!!!』のコーナーだーーーー!!!!!!」
「これもタイトル通りひたすらフリートークしまくるというコーナーだ!!!」
「俺と勇紀で出来るだけ面白可笑しいフリートークを心掛けるつもりだ。聴収者の皆も大いに楽しんでくれ」
「じゃあ輝、お前から言ってみようか」
「俺か?」
「ああ、何かあるだろ?フリートークに出来そうなネタがさ」
「おお!!一杯あるぞ!!」
「よっしゃ!!じゃあ言ってみようか!!」
「おう!!まずはどのネタにすっかなぁ…」
輝が腕を組み『うーん…』と考え始める。
テンション上がって来てるなアイツ等。もう完全に緊張はしてなさそうだ。
「そうだ!!なのはのネタでいこう」
「私!!?」
輝がポンと手を叩いて言うとなのはが反応する。
「じゃあ本人もすぐそこにいるし、なのはを交えてのフリートークと行こうか」
「そうだな。なのはー!!コッチ来てくれー!!」
「ええっ!!?」
輝に指名され、慌てるなのは。
勇紀と輝は手招きして『コッチ来い』と言ってるが、なのはは混乱状態で立ち上がろうとすらしない。
「((天の鎖|エルキドゥ))」
そんなのはの身体に勇紀が((天の鎖|エルキドゥ))で縛り付け、強引に自分達の元まで引っ張る。
「にゃ!!?酷いよ長谷川君!!いきなり何するの!!?」
「いつまで経っても来ないなのはが悪い」
「放送時間は有限なんだ。さっさと拉致ってコッチでフリートークさせないと時間が勿体無いだろ?」
「輝君まで!?そもそも私参加するなんて言ってないよ!!」
「「なのはに拒否権は無え」」
「にゃーーーー!!!?」
……酷ぇ。
「なのは…ご愁傷様です」
シュテルも心の底から同情してる様だ。
「ホラなのは、さっさと((言|ゲロ))っちまえ。あの時の出来事とかさ」
「あの時?何時の事?」
「あの時だよ。俺とお前のイベントだよ」
「???」
輝が言う事に対してなのはは首を傾げるだけ。
俺はアリサ、すずか、はやて、茜の顔を見るが目が合った途端、小さく首を左右に振る。
どうやら俺達がいない状態…輝となのはだけがいた時の出来事の様だ。
なのはは必死に思い出そうとするが、思い当たらない様子。
「(輝の奴が言ってやればいいのに)」
輝は何も言わずなのはが口を開くのを待っている。
『うーん…うーん…』となのはは唸るだけで時間が過ぎていき…
「「はよ言えや」」
スパーン!×2
痺れを切らした輝と勇紀が同時になのはの頭をシバく。
「痛い!!?何で叩くの!!?」
「「オッケーーーーーイ!!!!『ガンガン!ガンガン!!フリートーク!!!』のコーナーでしたーーーーーー!!!!!!」」
「「「「「「「「「「全然喋ってねえ!!!(喋ってませんよ!!!)(喋ってないよ!!!)(喋っていないわよ!!!)(喋っとらんやろ!!!)」」」」」」」」」」
またも聴収者側の俺達は総ツッコミを入れる。
なのはが頭を叩かれた事に抗議しただけでフリートーク自体成り立ってすらいねえよ。
「よしなのは。お前の役目は終わった。もう戻って良いぞ」
「私何のためにここにいるの!?てか私と輝君だけの出来事って何なの!?」
「ん?俺とお前が初めて公園で出会った時の事だが?」
「だったら素直に教えてくれても良かったよね!?」
「うっせ。思い出せないお前が悪いんだ」
「酷い!?その言い草は酷いよ!!」
「はいはい。どっちにしろお前の役目は終わりだ。だから…」
ガシッ
輝は鎖でグルグル巻きに縛られているなのはを抱え上げ
「さっさと戻れ―ーーー!!!」
思いきり放り投げた。
「にゃーーーーー!!!?」
綺麗な放物線を描いてコチラへ落下して来るなのは。
「キャッチ!!!」
それを亮太が見事に受け止めた。
「あ、ありがとう大槻君」
「気にしないで良いよ」
「な、なのは大丈夫?」
「だ、大丈夫だよアリサちゃん。けど酷い目に遭っちゃったよ。うー…」
若干涙目で小さく唸るなのは。
投げた本人は全く気にしてない様だが。
空中に放り投げられている間に身体を縛っていた鎖も消えて無くなったし。
「「さあお次のコーナーだ。次のコーナーにはスペシャルゲストを登場させちゃうぜ」」
サクッと進めている輝と勇紀。
スペシャルゲストって誰だ?
「毎度ー。来々軒ですー。出前をお持ちしましたー」
「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」」
俺達は目が点になった。
生放送中にいきなり出前持ちの人がやって来たからだ。
「「あー、コッチですコッチー。俺達が出前頼みました」」
何時の間に頼んだんだよ!?てか頼む必要無いだろ!!テーブルの上には料理沢山あるんだぞ!!
「ラーメンとライス(並)2人前ですね」
「「は?」」
ん?
「ちょっと待って下さい。俺はチャーシューメンと炒飯頼んだ筈ですよ?」
「俺はワンタンメンとライス(大盛り)なんですけど?」
「え?でも確かに電話ではラーメンとライス(並)だと…」
「んな訳無いでしょうが!!」
「ちゃんとコッチは頼んだんです!!ソッチが聞き間違えたんでしょうが!!」
2人共怒気を隠そうともしない。
どうやら注文の間違いがあったみたいだな。けどそこまでキレる事か?
「ユウキの奴、覇王色の覇気まで放って怒っておるな」(ヒソヒソ)
「勇紀君…大人気なさすぎですよ」(ヒソヒソ)
「その覇王色の覇気を当てられて、普通に意識を保っているあの出前持ちは何者なんでしょうかね?」(ヒソヒソ)
小声でディアーチェ、澪、ユーリの会話が耳に届いてくる。
「「下手な良い訳なんか聞きたくありません!!さっさと頼んだ物と取り替えて来て下さい!!」」
「す、済みません!!すぐ取り替えてきますーーー!!!!」
バンバンと机を叩いて怒鳴ると出前持ちの人は慌てて去って行った。
何つーか……ご苦労様です。
「「以上、スペシャルゲストのキリヤさんでしたーーー!!」」
「「「「「「「「「「はあああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!!!?」」」」」」」」」」
嘘だろ!!?今の出前持ちの人が俺達の作品の執筆者キリヤだったのか!!?
何で出前持ちなんかやってんだよ!!?
「良いね良いねぇ。ラジオの向こうで聴収者の皆が盛り上がってるのが分かるぜー」
「俺達がメインパーソナリティーに抜擢されたのは正しかったって訳だな」
ゼッテー間違ってるし!!これむしろ抗議ものだろ!!
「このテンションを維持したまま次のコーナーへいくぜ!!」
「次のコーナーは『LOVE・LOVE・告白タイム』のコーナーだ」
今度は何だ?輝の言ったタイトルからして告白ものか?
…大丈夫なのか?アイツ等の司会進行で。もう不安しか無いんだぞ聴収者側としては。
「まずはコーナーへ行く前にこの曲をお聴き下さい」
「『植田佳奈』さんの曲で『Snow Rain』です」
曲を流すのか?
「我の中の人物の曲を流すというのか」(ヒソヒソ)
「わたしの中の人の曲かー」(ヒソヒソ)
反応したのは当然ディアーチェとはやて。
ゆっくりと曲が流れ始め…
「「や〜っと〜、たどり〜つ〜け〜た〜ね〜…」」
「「って、2人が歌うのか!!?(歌うんかい!!?)」」
即座にディアーチェ、はやてがツッコむ。
お前等が歌うぐらいならこの2人のどっちか、もしくは2人が歌えばいいじゃねえか。
そんな俺の思いも届く事無く勇紀と輝の2人はマイクを握り歌い続ける。
「ユウキはともかく輝も上手いですね」
「アイツ、カラオケよく行くみたいだしなー。フェイトと2人だけで行った事もあるみたいだし」
俗に言うデートだなデート。
「……ソレ、ドウイウコト?」
はっ!!?
すぐさま声のした方を見ると瘴気を撒き散らすアリサの姿が。
俺の発言を聞いた瞬間、スイッチが入ったのか!?
アリサの長髪は意思を持っているかの様にザワザワと蠢いている。
「(やべー、輝に死亡フラグ立てちまった)」
視線の先には歌に夢中でコチラの状況に気付いていない輝の姿があった。
この曲が輝の((鎮魂歌|レクイエム))にならないと良いが。
そして曲は流れるまま…
「「ふふふ〜はひはひはひ〜、ひ〜は〜は〜は〜」」
「って、そこから歌詞知らんのかーーーーーーーい!!!!!!」
はやてが盛大にツッコむ。
「「以上『植田佳奈』さんで『Snow Rain』でした」」
『植田佳奈』さんじゃねーよ。歌ってたのお前等だよ。しかも途中の歌詞知らねーし、いきなり曲終わりにしちまうし。
「さて告白されるのはこの方だ!!ディレクターのアリサ・バニングス!!!」
「…………は?」
当の本人はいきなり勇紀に名前を呼ばれ、ポカーンとする。
「告白するのはメインパーソナリティーの秋雨輝ーーーー!!!!!!!」
「……………………」
ここでアリサは少しの間固まった後
「………はああああぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!?」
大きな声を上げて目を見開く。
「え!?ちょ!?何!?告白!!?輝が!!?私に!!!?」
勇紀の発言を理解し始めたアリサは混乱し
「あ……あううううぅぅぅぅぅぅっっっっっっ!!!!!!//////////」(ボンッ!)
顔を真っ赤にして目を回し始めた。
アリサの脳内の処理速度が大変な事になってる様だな。さっきまで放っていた瘴気は完全に霧散していた。
「はいはーい。アリサさーん、時間惜しいんで早くコッチに来て下さーい」
勇紀がアリサを呼ぶが、アリサは目を回しており
「はい招集ー」
再び((天の鎖|エルキドゥ))を取り出してアリサに巻き付け、強引に引き寄せる。
そして目を回しているアリサに往復ビンタをかまし、強引に意識を戻させる。
「何すんのよ!!」
「ん、怒るのは後にしてホラ、輝が待ってるから」
アリサが視線を向けると、その先には真剣な表情をした輝が。
「アリサ…」
「な、何よ…(か、顔近いじゃない)////」
アリサの肩を掴み、ジッと見詰める輝と頬を染めながらやや潤んだ瞳を向けるアリサ。
……((天の鎖|エルキドゥ))で縛られてさえなければなお良かったんだが。
てかマジで告るの?本編ではそんな素振りすら無いのに。
「待ていっ!!」
そこへ何者かの制止が掛かる。
「「「「「「「「……はあ〜…」」」」」」」」
勇紀を含む『原作介入』側の面々が一斉に深く溜め息を吐く。
何だ?どうしたんだ?
「ここで出て来るのか…」
うんざりした様子で勇紀が呟く。
この声の主が誰か知ってんのか?
「物語には様々な役割を持つキャラクターが存在する。物語を牽引していく主人公、主人公を支えるメインヒロインにサブヒロイン、主人公と対立し競い合うライバル、主人公の完全な敵として描かれるボス、そして群衆や背景のキャラとして描写されるモブ……」
声の主が語り出すと同時に何処かからBGMが流れ始める。俺はその声の主の姿を探すととある一点、逆光と共に腕を組みながら立っている姿を発見する。
「だが本来物語には登場せず、されど物語の中心として立つ事を許される役割も存在する。二次創作における主人公的ポジションのオリジナルキャラ……人それを『オリ主』と言う」
「???誰だお前?」
輝がアリサから謎の人物に視線を移して尋ねていた。
「モブに名乗る名前は無え!!!」
そう言って奴は大きく跳躍した。で、空中でデバイスを起動し、バリアジャケットを展開して地面に改めて着地する。
「嫁いるところにオリ主あり。無敵過ぎるオリ主あり。『原作介入』最強のオリ主、西条貴志ここに参上ヒャッハーーーーーーーッッ!!!!!」
……何か無駄にテンションの高い奴が現れたなぁ。
しかも『名乗る名前は無え!!!』とか言っておきながらちゃっかり名乗ってるし。
馬鹿なのか?
「待たせたな嫁達よ。オリ主の俺様が来たからにはもう安心だぜ」
いきなり現れた奴は椅子に座っている女性陣に対してニコリと微笑む。
「アイツ誰?」
「アレは『原作介入』の世界における汚点ですよ茜ちゃん」
「気を付けてね。西条は原作の女の子や一部のオリキャラを自分の嫁と信じて疑わない奴だから」
茜の疑問に澪と亮太が答える。
「おいゴルァ!モブに踏み台!!勝手に俺様の嫁達と喋ってんじゃねぇ!!!」
いきなり吠え出したぞアイツ。
「……という事よ茜。既に貴女も嫁の対象にされてるわ」
「……成る程。女の敵だというのが一瞬で認識出来たわ」
椿姫の言葉に深く同意している茜。あんな奴がいるなんてホント『原作介入』側の世界のなのは達も苦労してるんだろうなぁ。
「それからソッチのモブ野郎!!何俺様のアリサに手ぇ出そうとしてやがる!!!」
今度は憤怒の表情を浮かべて輝を睨みつける。
「『俺様の』ってアンタ何言ってんのよ!!てかアンタ誰よ!?」
「大丈夫かアリサ。このモブ野郎に汚されなかったか?」
「私の質問に答えなさいよ!!」
「もう大丈夫だからな。このモブ野郎がお前に手を出せない様俺様がぶっ潰しといてやるから」(ニコッ)
会話が成り立っていねぇ。
「西条……お前の用件は後にしてくれ」
「あ゛?誰に言ってやがるクソモブ!!テメエの相手は後でしてやるから遺言でも考えてやがれ!!」
勇紀が面倒臭そうに言うと西条が吠える。
「今は告白タイムの真っ最中なんだよ。だから…」
「あ?……そうかそうか、そう言う事か」
お?何かいきなり笑みを浮かべて頷き始めたぞ。
「つまりアリサが俺様に告白するための舞台を用意したって訳だな。クソモブも少しは役に立つじゃねえか」
いや…お前にじゃなくてだな。
「アリサ、恥ずかしがる事は無えぜ。お前の気持ちは((理解し|わかっ))てるが改めてお前の口から聞くのも良いかもな。だから遠慮なくその想いを言ってくれ」
この西条って奴が横入りしてきたせいで話の流れが変な事になってきたぞ。
「はあ!?何言ってんのよ!!初対面のアンタに言う事なんて『どっか行きなさい』ぐらいしかないわよ!!」
「ふっ、相変わらずのツンデレだなアリサは」
凄えなアイツ。拒絶の言葉ですらポジティブに受け取れるのか。ああいう奴ってストレス溜まらなさそうだな。
もっとも、アイツに関わった奴は逆にストレスがマッハの勢いで溜まりそうだが。
現に『原作介入』側のメンバーは心底ウザそうな表情浮かべてるし。
「何だかアリサちゃん、変な人に絡まれて大変だね」
「アリサちゃんの態度見たら明らかに嫌がっとる事を隠そうともしとらんのが分かるけどな」
「アレはもう救いようの無い男ですよすずか、はやて」
「僕達は勿論、僕達の世界のすずかとはやて、なのは達もうんざりしてるんだよ」
すずか、はやて、シュテル、レヴィの順に口を開く。アレと関わりたくないっていう気持ちは痛い程に良く分かる。
「さあ、アリサ。ハッキリと言ってくれ」
「だからアンタの事なんて何とも想ってないって言ってんでしょうが!!!!」
「「オッケーーーーーーイッッ!!!!!以上『LOVE・LOVE・告白タイム』でしたーーーーーー!!!」」
勇紀と輝がコーナー終了を宣言する。
アレ!?輝がアリサに告白する形だったよな!?なのにあの西条って奴をアリサが振るっていう形で終わって良いのか!?
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!」
アリサもこの形で終わるのが不満なのだろう。勇紀と輝に抗議しようとする。
「何だアリサ?このコーナーはもう終わりだぞ?」
「何でよ!!元はあ…輝、アンタが私にこ、こここ、告白する形だったじゃない!!////」
「んだとモブゥ!!?テメエ身の程を知れやゴルァ!!!!」
「アンタはどっかいきなさいよ!!」
バキイッ!!
アリサは強引に((天の鎖|エルキドゥ))を破る。
……宝具を破るとか凄えなオイ。
ドガッ!
「げふぅっ!!!」
解放されたアリサの高速右ストレートがしっかりと西条って奴の左頬を捉え、直撃を受けた奴は吹き飛ばされる。
「ぐううっ。アリサが俺様に攻撃するなんて。ツン期は最高潮って訳か、ヒャハハ」
頬を擦りながらゆっくりと起き上がる西条って奴はまだ勘違いしたまま笑みを浮かべて起き上がる。
……ドMやん。
「次はデレだよな?デレの最高潮を俺様に見せてくれるんだよなアリサ?」
「だからコッチ来んな!!」
バキイッ!!
「あばっ!!?」
「おおっと!?乱闘の始まりだあっ!!!」
おーい勇紀。お前はアイツ止める気無いのか?
「いやー、あの右ストレートは世界を狙えますね実況の秋雨さん」
「そうですねー。しかし本人にボクシングをやる気が無いのが非常に勿体無いです」
「呑気に解説してるヒマあるなら止めろって!!てかCMだCM!!!」
俺は大声で叫び、強制的にCMを挟む。
「イテテテテ………ん?」
「「「「「「「「「げっ……」」」」」」」」」
今度はその視線がシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、椿姫、なのは、すずか、はやて、茜の方へ。
「ど、どうしよう?目が合っちゃったよ」(ヒソヒソ)
「ソッチの世界の私達も絡まれてるんだよね?」(ヒソヒソ)
「オリキャラの私も絡まれるのよね?」(ヒソヒソ)
「っちゅー事は……」(ヒソヒソ)
女性陣がヒソヒソ囁き合っている。この調子だと十中八九…
「何だ嫁達よ。お前達も俺にプロポーズしたいのか?」
やっぱり絡んできた。
「「「「「「「「「絶対に有り得ない!!」」」」」」」」」
「照れるなって」
またもや笑みを浮かべ、起き上がると女性陣の方へ近付く。
「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」
警戒心バリバリの女性陣。特に『原作介入』側の面子はデバイスすら起動させている。
「そこまでにしておきなよ西条」
「豚は豚らしく豚小屋に戻りなさい」
亮太と澪はデバイスを起動してはいないが、あの佇まいから察するにすぐ何らかの行動が取れる様だ。
「あ゛!?モブと踏み台風情が粋がってんじゃねーぞ!!」
まさに一触即発。
「お前等、一体何やってんだ?」
そこへ響き渡る声が。
『原作介入』作者のカルピスウォーターさんが何処かから戻って来たのだ。
「あ、お帰りカルピスウォーター」
「何処行ってたんスか?」
「ちょっと用があってな。けどお前等の放送聴くためにラジオは持っていってたんだぞ。それがさっきからずっとCM入ったまんまだし」
いや、この現状を放送する訳にはいかんでしょ。
「アイツ何とかして下さいよ」
俺は懇願する。
「ふむ。自分がどうにかする前にアイツ等がどうにかしそうだぞ」
カルピスウォーターさんが指差す先には
「んぐっ!!んーーーーーーーっっっ!!!」
バインドで簀巻きにされた西条に
「ここ掘れワンワン♪ここ掘れワンワン♪」
ザクッザクッと音を立て、スコップで中庭を掘ってるレヴィの姿が。
埋める気や。アイツを生き埋めにする気や。
地面は深く掘られていく。
「ふぅ……掘れたよー」
「お疲れ様ですレヴィ」
「ほな、埋めよかー」
「んんんーーーーーっっ!!!」
必死にもがいてる西条を無視し、浮遊魔法で持ち上げられる。
そのまま西条は穴の中に放り投げられる。
「埋めてしまえ。本編にも帰って来れない様埋めてしまえ」
掘り起こした土を今度は穴の中に戻していく。
「んんーーーーっ!!んーーーーーーーーっっっ!!!!!」
バインドで口を封じられてる西条は何を言いたいのか分からないが、分かった所で女性陣が聞く耳持つとは思えないな。
ああ……徐々に西条の体が土に埋もれていくなぁ。
顔の部分にだけ土をかけないのはせめてもの慈悲なのだろうか?
「その顔はいつまでもみたくありませんね」
あ。シュテルが土を西条の顔に被せ始めた。
「えいっ!えいっ!」
そこへユーリも手伝う様に手で土を掬い、穴の中に放り投げていく。
もう西条の悲鳴すら聞こえなくなり、穴は完全に塞がれて中庭は元通りになった。
「これでよし♪」
「一日一善。今日は実に良い事をしました♪」
「ソッチの用事は終わったか?ならラジオの続き始めるが良いか?」
え?まだやるのあのラジオ放送。
「ん?何か言いたい事があるのか李朔?」
あります。ええ、ありますとも。
「あの2人がメインパーソナリティは間違ってるとしか思えません」
「「何てこと言うんだよ李朔!!」」
「当然だろうが!!((素人|なのは))拉致って出演させるわスペシャルゲストが((出前持ち|キリヤ))だわ挙句の果てに乱闘だぞ!!どこにこんなラジオ放送があるんだよ!!!」
「「ここにあるぞー!!」」
「開き直るなーーーー!!!」
「まあ落ち着け李朔。あんな2人の司会進行が聴収者の人達には受けが良いんだ」
は?
「自分が渡した台本にはここまでハッチャけろという旨は書いてなかったんだがな。これ見ろ。聴収者から送られてきたメールだ」
カルピスウォーターさんが送られてきたというメールの内容を空中に表示する。
『CM長い。いつ再開すんの?』
『こんな面白いの初めてです』
『外野のツッコミがいいね』
『乱闘はどうなったの?結果知りてーーー!!!!』
etcetc
……………………マジで?
「思った通りだ。俺達がメインパーソナリティ務めて聴収者の反応は上々だ」
「最初はちょっと緊張したけどなー」
ぐぬぬ。
「そもそも李朔。お前最初俺と勇紀がやるの見るだけだったじゃねえか」
「それがいつの間にか監督みたいな立場になってたな」
「アホか!!俺がツッコむ様な事させるお前等が悪いんだろが!!!」
「うわ!!『ツッコむ』だってさ。聞きましたか輝さん?」(ニヤニヤ)
「聞きましたよ勇紀さん。『誰に』『何を』ツッコむのやら…」(ニヤニヤ)
よし、コイツ等ここで殺ろう。聴収者の皆さんには申し訳ないが首チョンパしちまおう。
「「調子に乗ってすみませんでした李朔様!どうか首チョンパだけはご勘弁を!!」」
一瞬で土下座する2人。息合い過ぎだろ。
「もう漫才は良いか?出来ればラジオを再開したいんだが…」
カルピスウォーターさんが呆れた表情を浮かべながら尋ねてきた。
「…俺個人としては納得出来んが聴収者の皆さんをこれ以上待たせる訳には行かない。ひっじょーーーーーーーーーに納得いかないがな」
「心配するな李朔。次のコーナーからはもう少しマジメにやる」
「ここで神に誓っても良い。さっきみたいにハッチャけ過ぎはしない」
本当か?と疑うのだが2人の表情は真剣そのものなのでもう一度…もう一度だけ信用してみる。
勇紀と輝が即席スタジオの定位置に戻り、俺はパイプ椅子に腰掛け、CM終了までのカウントを取る。
そしてラジオ放送が再開された。
「ラジオを聴いてる皆。CM長くてゴメンね」
「そのお詫びと言っちゃあ何だけど次のコーナーはさっき以上に盛り上げるつもりだ」
「「次のコーナーはコイツだ!!」」
2人はここで一呼吸置き
「「CMです」」
「オラアアアアアアァァァァァァァァァッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!」
そう宣言した瞬間、2人に向かってメガホンを投擲した俺は悪くない………。
〜〜李朔視点終了〜〜
〜〜あとがき〜〜
4回目にして久々のコラボです。
今回はキリヤ様の執筆作品『魔法少女リリカルなのは〜剣と魔法とゆっくりと〜』です。
ネタがマジで思い浮かばなかったのでいつものコラボより内容が短めですが勘弁して下さい。時間の余裕とネタが思い浮かべば加筆修正すると思います。
それと多少(?)のキャラ崩壊については完全スルーでお願いします。
加筆修正のネタと次のコラボネタ探さないと………。
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コラボ第四弾ッス。 | ||
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そういえば確かにアルフとリニスの使い魔コンビは最近空気とかしてますね・・・(海平?) 私もアルトさんに賛成です(カムクラ) はじめまして、アルトと申します。次の話は、アルフとリニスの話がいいですね。なんか最近出ていないような気が・・・。(アルト) …ところで、西条の噛ませ犬ポジは鉄板として意外とさっくり片付いたのが少し拍子抜けだった。キング、メタルときたんだから次ははぐれメタルかキングメタルか、意表を突いてサイジョーナイトか、と少し期待してたのだがwww(プロフェッサー.Y) 見事なグダグダっぷりですなwww(Fols) デルタさーん。そう言うのは竜神丸さん達にもちゃーんと言いましょうねー。後アン姉さんもな。(Blaz) ・・・何と言うか、これってコラボって言えるんですかね? まあ、面白かったけどもうちょっと変化が欲しかった気がしますね。(俊) カオス状態www(kaito) もしこの空間にOTAKU旅団のナンバーズがいたら・・・・・・そっとしておこう(デルタ) 催促するようですが、椿姫と澪が勇紀のヒロインになるのはまだですか?自分は楽しみにして待っております!(トランザム) なんじゃこりゃwwwww(アサシン) コラボの受託及び執筆ありがとうございました。とても面白くて、キーボードにコーヒーを零してしまいましたw(キリヤ) 凄い終了の仕方…まぁ問題ないからいいか(アラル) …輝はともかく勇紀は…この場合誓った相手が「あの」神だしなぁ…www(プロフェッサー.Y) |
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