義輝記 別伝 その六 青州攻略編
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【 一刀の計略 の件 】

 

? ?州 山陽郡 鉅野県近辺 にて ?

 

雲一つ無い晴天の日、普段は長閑なお昼頃、青州黄巾賊は到着し、ワイワイガヤガヤと、昼食の準備と野営地の設置を始める。

 

   ザッザッザッザッザッザッ!

 

黄巾兵「──────あそこです!」

 

閔純は、案内された場所を見て驚く。

 

前方は緑に包まれた大山が聳えたち、大自然への敬いを思いださせるような偉容を現す! 

 

そして、そこから人間の腕のように伸びる『舌状台地』、周りを囲むように流れる河が、青州黄巾賊の侵入を拒むように、障害物として行く手を阻む。 

 

古来より『竜穴』の地と言われるような場所になるのだが、真ん中より、河川の流れがあるため、その働きは軽減されていると思われる。

 

しかし、平地を流れていたと思われる川筋には、水が少ししか流れていない。 よく見渡せば……平地は、よく肥えているようで、丈が少し長い草が風に靡かれ揺れている。

 

閔純は、案内した黄巾兵が指す方向を見ると……右側に見える舌状台地の先端にある『 砦 』。 三方を岩肌晒して侵入を阻み、更に上には、木の板の壁が押し出されて設置されている。

 

気になるのは、砦の間から伸びる『筵(むしろ)』?

 

何故、足場も無い絶好の場所に、わざわざ取り付く場所を設置したのか? ───疑問は湧くが、答えは分からない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

少し経ち、不満を押し殺しながら──配下の将に命じる!

 

閔純「──あれが、曹操軍の砦か? 一万以上滞在していたと聞いているが、たかが小砦ではないか。 二万の軍があれば、充分落とせる! 誰か『左校』を呼んでくるように!! 」

 

黄巾兵「はっ!」

 

 

   ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

左校「──呼びましたか! 大将!」

 

閔純「来たか……! 『左校』よ! お前に二万の軍勢を与える。 あの曹操軍の砦を落とし、曹操を俺の眼前に晒して見せよ!!」

 

左校「承知しましたぜ! 大将!!」スクッ ダッ!

 

閔純「先陣を任せれば、必ず落とす『先駆けの将』だ! これで軽く落とされば、曹操など高が知れる。 だが、曹操の知謀は『軍師顔負け』と言う話でもある。 まずは、拝見させて貰おう!!」

 

 

☆☆★

 

 

? 右舌状台地 先端部 にて ?

 

 

曹操軍─三千 守将『秋蘭』 軍師『朱里』

 

 

秋蘭「敵が攻め込んできたぞ! 弓隊…矢を用意! 放て!!」

 

シューン! シュン! シューン! トス! ドス!

 

黄巾兵「ぐはっ!」  黄巾兵「グフッ!」

 

 

雛里「………切った丸太を、転がして落として下さい!」

 

 

ゴロゴロ ゴロゴロ ガン! ブシュ─! 「────!」

 

 

30aほどの長さで落とす丸太は、登ろうとする黄巾賊達の頭に衝突、上から覗くと……赤い花が幾つか、咲いたように見えた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

───── 二万人が隙あればと一斉に登るためため、幾人かが砦に手を掛ける、少し手前までたどり着く。 

 

 

ヒラヒラ ヒラヒラ パタパタ パタパタ!

 

 

下では……血みどろの戦いが、繰り広げられているのに、筵の動きは緩慢として、平和な日常を思いださせる。 

 

一人の黄巾兵が掴み、引っ張ると意外にしっかりしている。

 

もしかすると、岩場を足掛かりにしなくても、安心して行けるのではないか? 第一、これが邪魔で、上に登れない! 

 

少し踏み外せば、十数b離れた地面か同志と、熱烈な衝突をする事になりかねない! 優しく受け止めてくれると考える奴など、誰もいない。 ………いないはずだ。

 

そこまで、思考した黄巾兵の一人は、筵を掴み登った。

 

それを見た、何人かが……同じように登り始める。 

 

たが……何故───始めに、思い着かなかったのだろうか?

 

 

『これが………此処に垂らしてある《理由》とは?』

 

 

基本的な事を忘れた黄巾賊の一兵卒……数人は、ほぼ同時に、その答えを味わう事になった。 『後悔』と言う二字の名の下で!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ギシッ! ギシッ! ギシッ!ギシッ!

 

 

曹兵「夏侯将軍! 敵兵が筵に掴まりました!!」

 

曹兵「こちらもです!」

 

秋蘭「よし! 紐を解け!!」

 

 

シュルッ シュルッ──!  パッ!!

 

 

黄巾兵「─────なっ!?」 黄巾兵「─────えっ!?」

 

 

────シュッッッ───────ドォン! ドス!

 

 

雛里「………皆さん、次の筵の準備を!!」

 

曹兵「はっ!!」

 

雛里「……………ご主人様………」グスン

 

秋蘭「雛里! 案ずるのは後だ! 案ずるのは、まずここを死守してからにしてくれ!!」

 

雛里「はっ! はぁい!!」

 

秋蘭「北郷の事だ! …………信じよう!!」

 

 

 

▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

北郷一刀の計略  その壱  

 

《 芥川流 蜘蛛糸の計 》

 

▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼

 

 

 

◆◇◆

 

【 『御遣い』 の件 】

 

? 黄巾賊 野営地 にて ?

 

《 夕刻 》

 

 

閔純「ちっ!! 夕刻になったか………! 仕方が無い、『左校』を引き上げさせろ!! 明朝より、もう一度攻めさせよう! 」

 

黄巾兵「はっ!」

 

閔純「………まぁ、いい。 少しは歯応えが無ければ面白みが無いからなぁ。 明日は、山を迂回させて包囲を果たしてみよう!」

 

 

☆☆★

 

 

? 舌状台地の間 平原 にて ?

 

《 夜間 》

 

曹操軍─三千 守将『一刀』 軍師『風』 

 

他………鈴々、季衣、流琉

 

 

赤い夕焼けから暗き夜になるには、そう時間が掛からず………辺りは言葉通り『一寸先は闇』となる。

 

しかし、今日は満月だったので、雲の流れが変われば、月明かりが道を照らしてくれる。

 

 

一刀「では! 行くぞ! 鈴々、季衣、流琉…えっと、風様?」

 

鈴々「行くのだぁ!」 

 

季衣「ちびっ子なんかに負けないぞぉ!」 

 

流琉「はい!」

 

風「──────ツーン、ですー!」

 

一刀「えーとぉ、何か気を悪くする事しました? 風様?」

 

風「………風は、物凄く機嫌が悪いのですー!」プィ!

 

宝ャ「──鈍いなぁ、兄ちゃん! そんな畏まった言葉じゃ風の機嫌は収まらないぜぇ! 

 

折角、『真名』許して貰ったのなら、言葉を普通にしなきゃな! 曹孟徳様と同じような考えで、言えばいいさ!」

 

一刀「……でも、筵の依頼、受けていた時に、郭奉孝様から『 言葉使いに気を付けなさい! 』って、厳しく指摘されたけど……」

 

宝ャ「あの時は、風の事を知らないのに、あの受け応えじゃ叱られて当然だな。 今は、『真名』と言う信頼を預けられたんだぁ! 普通に喋らないと、逆に失礼だぜぇ!?」

 

一刀「………本人が、それで良いなら『本人じゃねえぞぉ!』はいはい、それじゃ………行くぞ! 風!!」

 

風「──行きますよ!」ピョン! ヒョイ

 

一刀「………なんで、俺の背中に?」

 

風「風の機嫌を、著しく損ねたからですよぉー!」

 

一刀「はいはい。 ──時間が無いから行くぞ!!」

 

一同『ジィ────────!』

 

一刀「───ほらぁ!! 気付かれる前に行くぞ!!」

 

 

★★☆

 

 

? 舌状台地 付け根中央部分 にて ?

 

曹操軍─四千 総大将『華琳』 軍師『桂花』

 

他………愛紗、春蘭、真桜、沙和、霞、凪

 

 

華琳「私達も、準備を! 敵が一刀達を攻撃してきたら、木々を切り倒して、大音響を轟かせなさい!! 入り口側の倒木は、直ぐに邪魔にならない所に寄せておく事!」

 

曹兵「承知しました!」

 

華琳「それと、私達が出撃する事になったら、篝火を焚きなさい!

私達が一刀達を救助した後、目印にするから!!」

 

曹兵「御意!!」

 

愛紗「 ( ご主人様───! どうか御無事で!! ) 」ギュウ!

 

春蘭「────北郷! 季衣! 流琉! 必ず生きて帰って来い!」

 

真桜、沙和『 隊長…………! 』

 

凪「風様……!」

 

霞「曹孟徳様! 良ければ…ウチに兵を百、預けてくれへんかぁ?」

 

華琳「?」

 

 

★★★

 

 

? 左舌状台地 先端部 にて ?

 

曹操軍─三千 守将『星』 軍師『朱里』

 

他………桃香

 

 

星「…………始まったか!」

 

朱里「………ご主人様の策が、成功しますように!」

 

 

     ポン! ポン!

 

(──二人の後ろから手が伸びて、肩に手を置く───)

 

桃香「二人共、心配なのは分かるけど……ご主人様を信じよう? あの洛陽で、皆を生かす為に策を実行してくれたんだから。 今度も、必ず私達の下に、戻ってきてくれるからね!」…ブルブル 

 

星「桃香殿…………そうですな!」

 

朱里「─────はい! はいっ!!」

 

 

◇◆◇

 

 

【 一夜三砦の計 の件 】

 

? 舌状台地の間 平原 にて ?

 

 

 

(平原の真ん中に向かうと、刈り取りられた平地が見つかり、そこに部隊を三つに分ける。 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一刀隊は柵作りを開始。 兵は千名

 

一刀「資材は持ってきたか? 篝火を焚きつけろ!」

 

曹兵「はっ!」

 

 

***   ***   ***

 

 

鈴々隊、兵千名は……平地の砦より離れた場所で草弄り。

 

鈴々( 結ぶのだぁ…! 足元に気をつけるのだぁ………! )

 

曹兵達( はぁ! ) 結び……。 結び……。

 

 

***   ***   ***

 

 

季衣、流琉隊 兵数は千名。 

 

各五百に分かれ、柵の左右に伏せる。 

 

季衣「兄ちゃんには、指一本触れさせないぞぉ!」

 

流琉「頑張ろう!」

 

 

★☆☆

 

 

? 黄巾賊 野営地 にて ?

 

夜が深まり、さっきまで晴れて、月が照らしていた大地が……再び闇に覆われた頃……『それら』が始まった………………

 

   ガァーン! ガァーン! ガァーン!

 

閔純「────ん? 何の音だぁ?」

 

早々と寝入っていた閔純の下に、黄巾兵が転がり込む!

 

黄巾兵「も、申し上げます! 敵、曹操軍の陣営から、篝火の灯りと大きな物音が響いています!!」

 

閔純「何ぃ! ────すぐ行くぞ! 案内せよ!」

 

黄巾兵「はい!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

黄巾兵「こちらです!」

 

閔純「───────!」

 

平原の地に、篝火が数カ所、煌々と焚かれ……その中を複数の曹兵達が杭を打ち込む!  

 

そして、白色の上下の服を篝火で輝けながら、複数の曹兵を駆け抜け指示する────北郷一刀。 

 

その姿は、篝火の力を得て、一段と神々しくを浮かび上がらせ、傍に寄り添う『頭に人形を乗せた金髪の少女』が偉容さを更に高めた! 

 

 

黄巾兵1「あ、あれが……天を二分して……敗れ墜ちた御遣い!」

 

黄巾兵2「閔純様から伝え聞く『白装束の神の遣い』!」

 

 

       ガタン ガタガタン! カタン!

 

この様子を見た黄巾兵達の何人かは、武器を落として、拝み始める!

 

 

閔純「ち、違う! あれは『神の御遣い』様では無い!! 『神の御遣い』様は、金髪の女性だ!!」

 

黄巾兵3「あの『御遣い』様の傍にいらっしゃる方は、『金髪』、『女性』だぞ!? 間違い無いではないかぁ!!」

 

黄巾兵4「『神の御遣い』様は閔純様にしか会えないと言うがな? 

 

幽州より伝え聞いた、あの『天の御遣い』様は、民の為に立ち上がり、民の為に罪を得て、天へ帰れなくなったと聞いたぞぉ!?」

 

 

口々に非難の声を挙げる黄巾兵に、閔純は苛立ち怒鳴りつける!!

 

 

閔純「馬鹿者共が! 考えても分かるだろう! 

 

我々の崇める『神の御遣い』は、官軍になど力を貸さぬ! 洛陽の『御遣い』や『墜ちた御遣い』など我らを阻む敵だぁ!!!

 

それに、大事な御遣いを、最前線に少人数で出す訳が無いだろう!! あれは、偽者だ! 我々を混乱させる罠だ!! 」

 

 

      タッタッタッタッタッタッ

 

黄巾兵5「た、大変です! 左側の軍に奇襲! その数、約四百!」

 

閔純「やはりか! 全員持ち場に戻れ!! あれは囮だ! 本体がどこからか攻めてくるかもしれん!! 持ち場に戻れ!!!」

 

 

ノロノロ…… ノロノロ、ノロノロ………

 

 

閔純「くそぉ────!!」ダァ!

 

 

★★☆

 

 

? 黄巾賊 左翼野営地 にて ?

 

 

霞「オラァオラァ! もう終わりかぁ───? 弱過ぎて、おもろう無いわぁ──────!!」  ブ───ン!

 

ガッ! ドッ! ザシュ! 「グハッ!」 「ブハッ!」

 

凪「とおっ! でえやぁぁぁ!!」 シュ────!

 

バキッ! ゴッ! メキッ! 「あべしぃ!」「ぶべらぁ!」

 

 

霞の後方に、四百近い数の松明が、威圧的に隊列を整える!

 

今── 暴れているのは、霞と凪だけ。 

 

『兵卒は傷付けない』との条件で借り受けた曹兵達に、戦闘には参加させずに、松明だけ持たせている状態。

 

その松明の灯りで、敵の目を集めた隙に、顔を泥で塗った霞と凪が、左右同時に踊り掛かり、敵を混乱に貶めていた!!

 

 

『敵だぁ──! 敵が来たぞぉ!!』  ドドドドドドッ!!

 

 

凪「霞様! そろそろ退いて下さい! 敵が纏まりつつあります!」

 

霞「そぉかぁ! 凪ぃ─! それじゃ例のヤツ、一発頼むわぁ!!」

 

凪「はい!! 『猛虎蹴撃ぃ─────!!!』」 

 

 

バシュ━━━━━━━!   ドォゴォーン!!

 

モワモワ モワモワ モワモワーーーーーー! 

 

───────ドタバタ ドタバタ ドタバタ!!

 

 

 

敵陣直前に、猛虎蹴撃の気弾を放ち、敵の混乱を誘った後、一斉に転身して逃走した霞、凪隊。

 

 

 

『 ───────────! 』

 

 

態勢を立て直した閔純の軍が、改めてて見れば……先が見えない暗闇が前を覆っていただけだった…………。

 

   ーーーーーーーーーーーーーーーー  

 

 

? 曹操陣営付近 にて ?

 

 

霞「ゼェー、ゼェー! ………はっはっはっ! えろぉおもしろかったなぁ、凪ぃ〜?」

 

凪「……………寿命が縮みましたよ…………」フゥー

 

 

さっきほどまで、雲に隠れていた月が、辺りを照らし出す。

 

武器を杖代わりに立て、笑い声をあげながら、語りかける──霞。

 

心底疲れたと言わんばかりに、溜め息を吐く───凪。

 

それぞれの楽な状態で、各自で休む『百名』の兵士達………。

 

兵の背中には、背負えるように改良された『四つの松明を括り付けた棒』が…………。

 

凪が、ふと思い出したように、霞に語りかける。

 

 

凪「北郷殿の道具を、無断で拝借しましたが………」

 

霞「かまへん、かまへん! 覇王様に許可えたんやし、問題なんてあらへんよ? その分、ウチらが活躍すれば良いだけだもぉん!!」

 

凪「はぁ……」

 

 

★★★

 

 

? 黄巾賊 野営地 にて ? 

 

 

双方局地的な一戦は、ここだけ。

 

曹操軍側では、杭が打たれる音、木が切らる、倒れる音が響き渡るが、黄巾賊達は………無視した。

 

具体的には、閔純からの命令だった。

 

『 ───お前達が騒ぎ出し隊を乱すと……全軍に波及する恐れがある。 その者達は戦終了まで謹慎を申し渡す! 

 

他の者も、曹操軍の音、光、形で惑わされる恐れがあるから、夜間は見張りのみ、外出禁止とする!    閔純   』

 

そんな訳で、早朝になり曹操軍の構える砦を望むと………

 

 

黄巾兵7「 ───────────! 」ガタガタ

 

黄巾兵8「 て、天の………き、奇跡だぁ─────!!」

 

 

始めは、右舌状大地の上に立つ砦だけだった。 木の板に囲まれた脆い砦、数万人で攻めれば……数日で落とせる筈だった!

 

それが、対する左舌状台地に同じ砦が、平原にも……少し小さめな砦が、そして数段高い場所───大山中腹部に───堅固な砦!!

 

 

 

『 曹操軍は──《一夜》で《要塞》を作り上げた!! 』

 

 

 

後日────冀州、青州で──そんな噂が流れたと言う。

 

 

◆◇◆

 

 

【 嵐の前の静けさ の件 】

 

? 舌状台地 付け根中央部分 にて ?

 

 

華琳「思いの外、黄巾賊に動揺が走っているようね?」

 

桂花「『曹操軍には《天の御遣い》が、力を貸しているからだ!』と、近隣よりも噂されているようです。 

 

ですが、あまり大きな噂になれば……《天の御遣い》を詐称したと、洛陽側から抗議と罰則を負わされる事になりますが………?」

 

華琳「それは大丈夫よ。 私達は自ら名乗っていないから。 勝手に様子を見て判断した民や敵が言い出したもの。 

 

───────そうでしょう? 稟? 風? 」

 

稟「──今回は、その通りですね。 幾ら皇帝陛下の権力を持っても小鳥達や烏(からす)の囀りを止める事など、出来ませんから……」

 

風「稟ちゃん……烏って囀るのですかー? 風は聞いた事ありませんがー? 」

 

稟「……………。 

 

ですが、『強き風』が『幻を映し出す霧』を吹き消してしまえば、小鳥達は驚き、直に鳴き止む事になりますよ? 」

 

華琳「その可能性も、あるわね。 …………益々、欲しくなったわ、貴女の事……どう? 私の下へ………」スッ──  

 

稟 パシッ! 「私には、関係無い事! 失礼します!!」

 

風「失礼しましたぁ〜!!」

 

華琳「 フフフ………………… 」

 

 

★☆☆

 

 

? 舌状台地の間 平原 にて ?

 

 

一刀「何とか仕上げれたな!」

 

ほんと、身体がボロボロだよ………。 この歳で、徹夜明けの重作業、幾ら鍛えているったて、限度があるよ。

 

 

▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲

 

北郷一刀の計略  その弐  

 

《 墨俣、石垣 一夜二城の計 》

 

▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼

 

 

俺が献策した『一夜二城の計』を聞いた軍師達は、更なる効果を高める為、冀州地内で理想な場所を探しだしだ。

 

それがここ……なんだけどね。 

 

何となくエジプトのギザ、大スフィンクスの形を思い出すんだよ。

 

両側、中央、最奥に砦を作れば、威圧的で攻めにくいと言う理由と、これだけの人数で、砦が2つ、3つでは少なすぎると言う現実的な問題のため。 

 

それで、喧々囂々と討論した結果、半要塞化した訳だ。

 

………横では、鈴々、季衣、流琉が、寝台で窮屈そうに寝ている。

 

俺を守るんだぁ! っと言って、夜通し起きてくれてたんだ。

 

風は、眠い目をこすりこすり、華琳達に報告に向かった。

 

俺も眠いが、寝る訳には行かない! 

 

 

─────これからが、俺達の戦いだからだ!!!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

性懲りもなく作品投稿です。

 

勝敗の結果は、多分お分かりの結果になりますが、久秀もある意味望んでいます。 次の策略を仕掛けるために。

 

また、宜しければ読んで下さい。

 

 

説明
義輝記の続編です。 宜しければ読んで下さい。
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コメント
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! ご主人様の呼称は一時的なものです。 洛陽の一件がまだ後を引いていると表したかったので。 御遣いの件も、青州黄巾賊が史実と違う理由で仲間に入る事になります。(いた)
何故に風評が良さ気のか解せぬが御遣い云々はきっちり否定しないとまた外道の日々が戻って来るぞ一刀君。一刀の呼び名はまた「ご主人様」に戻ったのでしょうか?過去を鑑みも反省もしてない言動もあったり。相変わらずのスピード更新に脱帽。(禁玉⇒金球)
naku様 再コメントありがとうございます! いやはや、怖いですねぇ………w(いた)
青州兵士達は、史実通り、多数華琳の下へ参加します。 確かに史実だからと言う面もありますが、久秀の謀に関与しています。(いた)
naku様コメントありがとうございます! 原作だと、確か華琳と一刀が、普段の口調で公私(仲間内が多かったですが)で語りあっていたようでしたので。 場面的には気をつけたいと思います。(いた)
にゃものり様 当意即妙のコメントありがとうございます! 思わず吹き出してしまいました! ───それは、彼の日頃からの行動に依るモノです!(いた)
墨俣の一夜城が元ネタなのは重々承知しているのに一刀がらみだと「素股の一夜嬢」と思い浮かぶのはなぜ?(にゃものり)
雪風様 コメントありがとうございます! 呼ぶのであれば、四人呼ばないと不味いでしょうw 親父さんは留守番で。(いた)
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